《天竜》の伝説   作:PAPA

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第五説:初めての戦闘(という独壇場)

いつものように小島で鍛練をして帰りの船の中。

 

「ううっ…」

 

いつにもましてボコボコな俺。

 

「まだまだ弱いな」

 

それを見て笑うガイア。

 

いつもと変わらない平和?な日常。

 

「なあ、ガイア。せめて覇気は無しにしてくれ。攻撃読まれちゃ勝てないぞ」

 

「ダメだ。これもお前のためだからな。お前も早く覇気を覚えたいだろう?」

 

「確かにそうだけど…」

 

「なら我慢しろ。それに実際、見聞色の覇気なんて上位者同士の戦いになるとあまり役に立たない。考えを読んでいる暇なんてないからな」

 

「本当の理由は?」

 

「私がお前をボコボコにしてスッキリしたいか……、ゲフン、ゲフン!何でもない」

 

「おいこら、ちょっと待てガイア。てめー今本音漏れただろ」

 

ボコボコにしてスッキリしたいからって聞こえたぞ。

 

「空耳だ」

 

「シラをきるな」

 

黙りこくるガイア。

 

「〝錬金〟ダイヤモンド」

 

「あっ!」

 

「〝大地の揺りかご〟(ガイア・エッグ)ダイヤモンドVer(バージョン)」

 

ガイアがダイヤモンド製の丸い壁に包まれた。

 

「ちょっ、こら!ガイア!能力使って逃げるなー!」

 

「………」

 

とっても平和な日常だった。

 

 

 

 

 

 

まあ、そんなこんなで船はシャボンディ諸島に着いた。

 

「ほら、早く防護服着ろ。テラ」

 

今の今までダイヤモンド製の丸い壁に隠れていたガイアが能力を解除して船から降りる。

 

「ガイアお前、後で覚えとけよ…」

 

「覚えておいてもいいが、お前は私に勝てないだろう?」

 

「うぐっ…」

 

こんちくしょー!

言い返せないのがまた悔しい。

 

「諦めろ、テラ」

 

……泣かす。

いつか絶対泣かす。

 

俺は防護服を着ながらいつものようにそう思った。

 

「ふむ、にしてもいつにもまして傷が多いな」

 

確かにさっきからジンジン痛みますが。

 

「特に顔の傷は不味いな。何があったか勘ぐられるかもしれない」

 

そうだ。

体の傷は防護服で隠せても顔は隠せない。

他の天竜人に何があったか聞かれて奴隷に修行をつけられている、なんてことがバレたらただじゃ済まない。

 

「仕方ない。近くで顔を隠すマスク買ってくるからここで待ってろ」

 

「え」

 

そう言ってガイアは街の方に行こうとする。

 

「ちょっと待てよ。マスクなんかしてたら余計に怪しまれないか?」

 

「下々民と同じ空気をできるだけ吸いたくないからだ、とでも誤魔化せばいいだろう」

 

「あっ、そうか!」

 

納得する俺。

しかしちょっぴり罪悪感があるなあ。

 

「とにかく買ってくるから必ずここで待っていろよ」

 

そう言い残すとガイアは行ってしまった。

 

待つしかないか。

 

俺は待っている間だけでも防護服を脱ぐことにした。

 

本当に辛いんだよ着てるのが。

蒸し暑いから汗をかいてそれが傷にしみてかなわないだよ。

本当にこんな服よく着るな。

天竜人のここだけは素直に尊敬する。

 

「ふう」

 

防護服を脱ぎ終わった俺は一息つく。

 

その時、誰かの気配を感じた。

それも多数。

 

嫌な予感がする。

 

そしてその気配の主たちが現れる。

 

「グヘヘヘへ…」

 

人相の悪い男たちだ。

全員それぞれ武器を持っている。

 

「まさかこんなところで天竜人のガキに出会えるとはよお…」

 

「………」

 

いったい何が目的なんだ、

こいつらは?

 

「ついてるなあ、おい。何で傷だらけなのかは知らねえが、しかるべきところに売ればたんまり金が貰えるぜ」

 

「!!」

 

人さらい屋か!

 

「へっへっへ…。悪く思うなよ、坊主。これも商売だからな」

 

ふざけるなよ。

誰が易々と捕まるか。

とはいうもののまずいな…。

いかんせん数が多い。

それにこっちは手負いの状態。

圧倒的に不利だ。

 

「行くぜ!俺達〝ブラックオーガ〟の獲物だ!絶対逃がすなよ!」

 

チームのリーダーっぽい奴がそう言って手下に俺の周りを囲ませる。

 

くそっ!

どうする!

 

 

 

 

 

 

 

 

いやはやマジでついてるぜ。

天竜人のガキが独りでこんな人気のないところを彷徨いてるとはな。

天竜人に対してはほとんどの奴はよくは思ってないから奴隷として売れば、確実に売れる。

政府や海軍、天竜人にはバレないようにしないとな。

 

「さあ、野郎共。ガキを捕らえろ!」

 

手下の一人が俺の言葉に反応してガキに向かって行った。

 

が、鈍い音がしてそいつは吹き飛んでいった。

 

「は?」

 

何が起こったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うわー、ビックリした。

自分の強さではない。

相手の弱さにだ。

だって余りにも動きがトロイ。

トロすぎる。

それに軽く殴り飛ばしただけでヒューンっと飛んでいった。

これがガイアだったら逆に俺が飛ばされてるところだな。

 

「くっ、このガキ!」

 

手下の一人が手にした武器で斬りかかってくる。

俺は腰を低くしてそれをかわし、その腹を殴り飛ばした。

それだけで相手は空中を飛んでいく。

負けるかと思ったけど杞憂だったようだ。

六式を使うまでもない。

 

「こ、この野郎ー!!」

 

「ふざけやがって!!」

 

「舐めんじゃねえよ!!」

 

手下が一斉に襲いかかってくる。

 

「はあ…」

 

早く帰ってこないかなあ、ガイア。

 

────────

 

─────

 

──

 

「…何やってるんだ、お前?」

 

「おっ、ようやく帰ってきたか、ガイア」

 

ガイアは呆れている。

それはそうだろう。

何せ当たり一面に人が倒れてるんだ。

手下全員は倒すことはなかったかな。

やり過ぎた。

 

「な、何で天竜人がこんなに強いんだよ!?しかもこんなガキが!」

 

そして今唯一立っているのが人さらいたちのリーダーだった。

 

「そりゃ、鍛えてるからな。それよりもお前らをどうしよかな?天竜人に手を出した大罪人として海軍につきだしてもいいんだけどなー」

 

「ひいっ、お助けを!」

 

必死に平伏する。

 

うーん、少し可哀想だな。

……そうだ!

 

「…冗談だよ。あんた名前は」

 

「はえ?」

 

「名前だよ。名前!」

 

「ギドーですけど…」

 

「よし、ギドー。これあげるからもう人さらいはやめろ」

 

俺はそう言ってお小遣いの内の100万ベリーをギドーに渡す。

 

「へ?」

 

「それで俺の情報屋になれ」

 

「はあー…」

 

ガイアがため息をつく。

 

「許して…くれるのか?」

 

「んー?」

 

「俺達はあんたをさらって売ろうとしたんだぞ」

 

「別にこっちは結果的に何も被害なかったしね」

 

「…お前本当に天竜人か?」

 

「よく言われるよ。それよりやるのか?」

 

「それは…」

 

「ガイアー、海軍の駐屯所ってどこだっけ?」

 

「やります!!やらせていただきます!!」

 

「うん♪」

 

やったぜ!

思わぬところで情報源をゲットだ!人さらい屋もやめさせられて一石二鳥!

 

「報酬は定期的に渡すからな。絶対に人さらいなんかするなよ。したら海軍につきだすからな」

 

釘を刺しながら俺は防護服を着る。

 

「さあ、行こうぜ。ガイア」

 

「まったくお前は…」

 

俺はガイアからマスクをもらってつける。

 

「まあ、いいじゃないか。それよりも…」

 

「何だ?」

 

「俺ってマジで強かったんだな」

 

ガイアは再びため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「ただいま戻りました」

 

家に戻ってきた俺達。

 

「お帰りテラマキア」

 

「父様は?」

 

「どこかの人との取引の算段を立ててるらしいわってあらあら。今日も傷だらけね。リビングに行っていて。薬箱出してくるから」

 

「すみませんお母さん。お風呂いただいていいですか?」

 

「ええ、いいですわよ。ガイアさん」

 

「ありがとうございます」

 

ガイアは風呂場に向かう。

くそっ、ガイアめ。

ぬけぬけと風呂に向かいやがって。

鬱憤晴らしに俺を殴ってることバラしてやろうか。

 

「さあ、テラマキア。リビングに行きなさい。果物を用意してるから」

 

「分かりました。母様」

 

俺はリビングに向かった。

 

 

 

 

リビングには母様の言った通り、机に切られた果物が置いてあった。

 

「母様に感謝だな」

 

俺は果物を手にとる。

 

「いただきまーす」

 

がぶっ。

 

モグモグ…

 

「うっ」

 

まっっっずうううぅぅぅ!!!!

 

何なんだよこれ!?

不味すぎだろ!!

何の果物だよ!!

 

「うぷっ」

 

ダメだ吐いちゃ!

いくら何でも吐くのはまずい。

母様に怒られる。

 

「うっ…く…」

 

ごくんっ

 

何とか飲み込む。

 

「はあー…」

 

地獄を見たぜ…

 

「どう、テラマキア。おいしかった?」

 

薬箱を持ってリビングに入ってきた母様が聞いてくる。

 

「は、はい…」

 

滅茶苦茶不味かったけどね。

 

「よかった。変な模様がついた果物だったから味がわからなかったのよ」

 

変な模様?

 

…嫌な予感がする。

 

「おーい、サマルドリア。取引用にここに置いていた悪魔の実を知らぬかの?」

 

「あら、悪魔の実は知らないけどそこにあった果物なら切ってテラマキアが食べたわ」

 

「なん…じゃと…」

 

父様の顔が驚愕の色に染まる。

 

「うあ…」

 

つまり俺が食ったのは悪魔の実だということですか。

 

………マジ?

 

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