Kivotos with the Lostbelt   作:2匹目の蝉

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3-10:ANDORXOR

 すぐに拠点に向かいながら、情報を整理した。とは言っても、議長がおおまけにまけてくれた情報でも極めて断片的。曖昧に伝えられた地名は、候補地が多すぎるものと、どこにあるのかがよく分からないもの、そして今はまだ行くべきでない所ばかりであった。

 仕方がないので、一番場所がハッキリとしている場所に注目をする。

 

「アテシが思うに、大陸の心臓ってのはこの大陸船団の動力部、黄金の港は多分どっかの貿易港。鋼鉄の大地と辺境の浜辺は……どこだろ? アテシが分かんないなら他の皆も多分分からんでしょ」

 

 ナノの言葉に揃って友人たちは頷く。相当なマイナースポットを指定するとは、やはりどんな形であれ試練ということだろう。

 さて、そうなると最初に目指すべき場所は絞られた。

 

「大陸の心臓を目指すことを、私からは提案したい。もちろん、その過程で他のスポットの情報を集めることも怠るつもりはないが……先生も、異論ありませんね?」

“うん。港はたくさんありそうだし、他は心当たりすら無いなんて相当なものだからね”

 

 というわけで、大陸の心臓なる場所を目指すことになった。しかし、ここでワカモが恐る恐る手を挙げているのが見えた。

 

「あの、ナノさんでしたっけ? 私、少し考えがあるのですが」

「ん、なになに〜? 遠慮なく言っちゃってよ」

「動力部というのは、エンジンでしょうか? そのようなところで、試練というものをやるということを、ここの王は本気でお許しになるのですか?」

 

 おそらく、ワカモは少し考えが凝り固まっている。というより、どうしても思考がそちら側に向いてしまう、その筋で生きている者の癖なのかもしれない。

 代議院前での暴れ方からも、察せられるところがあったのだろう。

 

「んー、何も銃で撃ち合うばっかりが試練じゃないとアテシ思うワケなんだけど。んまーどっかでは必要になりそうだし、そこは頼りにしてるから」

「それにさ! 逆にワカモの考えも合ってるかもしれないでしょ! ほら、その……どこだろ?」

 

 イリア、フォローに失敗。言わんとすることは分かるものの、建設的なことは何一つ言えず。

 だがそのイリアに対してのフォローが入ってくれたのは、幸運だったのかもしれない。

 

「管制室とか制御室とか、そういうのだったりしない? あ、でもこれ心臓じゃなくて脳みそなのかな〜」

“……いや、候補として考えておく価値はないとも言えないよ。これで候補地は複数になっちゃったか。でも、まあ行ってみればいいだけだよね”

 

 アイム、フォロー大成功。ただし、だからといって何か進展を望める提案ができたわけではない。

 こういう場合は、更なる知恵を求めていきたいところである。

 

「行ってみればって言ったところで、それがどこなのか分からなければどうしようもないでしょう、先生。幸い、私達には探しものに優れた機械を作れる人物を知っていますが」

“……そうか、ウタハ! 方舟の皆に、連絡入れてみようか”

 

 連絡を入れる機会を逸し続けていたが、状況を共有するいい機会でもある。せっかくなので、ナノのコンピュータを介して繋ぐことで回線も登録しておこう。

 

 

『おや、このようなタイミングで繋いで、どうされましたか?』

 

 まず聞こえてきたのは、穏やかな紳士の声。エアトン氏である。先生が思っていた人と違う人物が出てきた。

 

“ちょっと、ウタハの技術を借りたくて。彼女はどこに?”

『方舟の修理の指示を出しています。私と交代でやっているのですが、いやはや気合の入りようが違いますね。というよりは、苛立っているようにも見えましたが』

 

 何やら深刻なことになっていることが伺える。心配だが、こちらもこちらで心配している場合ではない。

 ともかく、まず最初に近況報告をお互いに。現地の協力者に会えたことや、この陸地がどのようなものであるかということ、その中心部が当面の目的地である、といったことを簡潔に伝達した。

 

“──といった具合で、また地下地形のスキャンというものが役立ちそうだな、といった具合です”

『左様ですか。こちらは……思ったより難航はしていますが、航行以外の機能はほぼ無事という奇跡的な状態なのが幸いしています。食料品についてもこれまでと比較して遥かに調達が簡単ですし』

 

 物価は高いが、噂を聞きつけて物資を分けてくれる市民が多いらしい。しかも、海岸なので釣りができる。

 治安もいいので、方舟の周りについてはあまり心配する必要は無いようだ。

 

「え、地下地形のスキャンって何〜? おもしろそ〜」

“アイム、気になるの? じゃあちょうどいいし、エアトンさん。ココホルト君、でしたっけ。アレのマニュアルと、以前使った際に得られた画像データをサンプルとして、こちらに送って貰えますか?”

『お安い御用です。それくらいのデータの扱いについては、開発者の許しは得ていますからね』

 

 転送にかかる時間は一瞬だ。すぐに画面上には細かいマニュアルが映し出され、別のモニターには雪原の地下にある空洞と横に抜ける道が見て取れる映像が現れた。

 

“これを使えば、隠された部屋や通路のひとつやふたつ、船内区画のどこかで見つかるんじゃないかな?”

「へー、そっちにいる発明家さんけっこうやるじゃん。アテシどっちかっちゅーとモノづくりタイプじゃないンだけど、そういうんじゃない意味合いで友達になってみたいかも」

『それは何よりです。交代のタイミングにでも彼女にお伝えしましょう。そうだ、ついでにといってはなんですが、頼み事をひとつお願いできますか?』

“……? はい”

『実は、航行に関わる機能以外はほぼ無事、というのは機能だけの話でしてね。物品、特に消耗品はそれなりに被害も出ているのです。医務室が中でも酷いあ有様でして……最低限の薬剤くらいで十分ですので医療用品を、どこかで調達いただきたいのです』

 

 ついでで頼むには、少しばかり重そうにも思えるが、この豊かな世界だ。もしかしたら設備投資の機会かもしれない。

 快諾し、今後の方針をまたひとつ加えるのであった。

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