Kivotos with the Lostbelt   作:2匹目の蝉

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3-16:What's in the box?

 まず最初に始まったのは、尋問だった。もちろん、この時点で既にかなり強い圧力をかける形での。当然ながら、カンナがこれを担当する。

 

「単刀直入に聞こう。大陸の心臓に向かうルートはどの方面になる?」

「ひっ! ……いや、言わない。侵入者がそこに行く目的は分かっているぞ、この大陸船団を止める気だな! いや、心臓が死んだとしても止まるような船団ではないが、言わん! 言わんぞ!」

 

 そういう目的ではなく、本当にただその前に行くだけでいいのだが、そんなことを言っても聞いてくれないのは明らかだ。なら、むしろそのつもりでいてもらった上で、吐いてもらおう。

 

「なるほど? それは良いことを聞いた。つまりそんなに()()()()()()()()()()()()()()のではないかな? 言いやすくなったな、言え」

「……」

 

 意地でも言わない気らしい。何も言わないというのは、最も効果的で簡単な対策だ。変なことを口走る心配を、かなりやりやすい方法で消せるのだから。

 そしてこれを言葉だけで破るのは、容易ではない。それを悟ったか、レイアが前に出てきた。

 

「カンナさんよ、確かアンタは普段治安維持の仕事をしてるって話だったよな? じゃあ、こういう犯罪まがいのやり方に抵抗はあるのか?」

「ある。とはいえ、背に腹は代えられないという状況にあって、それでもなお清廉潔白を望むほど、出来た人間でもない」

「よーし。じゃあ……」

「「ぶん殴る!」」

 

 というわけで、拷問開始。結局こうなるんだな、とため息をつく先生。程々にね、と苦笑いするイリア。ナノとアイムは目を覆い、ワカモは銃剣の剣の部分なら使っていいのだろうか、などと考え始める。

 これはまずいと思ったか、合計4発殴られたタイミングであちらも折れた。曰く、心臓の在り処となる場所の入口は上から数えて第7層と、かなり浅い層になるらしい。

 

 一発目からかなり有力な情報が得られた。しかしここからが大変である。というのも、「地図で言うとどの辺り」という考えはあまりここの人々にはないようで、どの方面なのかを把握するのがあちらからしても難しくなる。

 その辺りの事情も鑑みて、慎重かつ暴力的なやり方で、少しずつ情報を集めていく。

 

“大陸の心臓はこの層から見に行ける。それでいいんだね?”

「は、はいぃ……ただここからだと、一旦上の階を経由した方が早いかとぉ……もう、いいですか?」

「おっけー。するってーとここの山みたいな地形を通る感じ?」

 

「ごめん、あたし達どうしても心臓があるとこに生きたいんだけど、教えて?」

「えぇ、私もよく知らないんだけど……ああもう、機長様はどうしてこんなことを、私はどうしてこんな運を?」

「ほんとにちょっとでいいから、ね?」

 

「わたしの推理だと〜、ここから突き当りまで行ってから右、まっすぐ、まっすぐ、左……」

「うわあ、そこまで当てるな! 怖い、怖いよぉ! 続きも教える! 教えるから!」

「……あれぇ〜?」

 

 なんだかんだで、十数人分の情報を集めるに至る。その情報から、おおよその目標の位置は掴めるようになり、あとはそちらの方面に向うだけ。というか、アイムがこれをするまでもなく「閃いて」しまっていた節がある。

 突発的に万能解決法になってしまう可能性を秘めているのだから恐ろしい。今回は完全に彼女無しでは無理なシチュエーションではないが、そんなシチュエーションがあっても打開できてしまいそうな気さえする。

 

『先生、これくらいで、勘弁してくださいぃ〜……』

 

 アロナがもうクラクラしている。かなり必死にマッピングをしていったようだ。だがこれで、もはや今すぐに行くべき場所は完全に一箇所に絞られた。

 

“よくやったね。あとはもう、しっかり休むといい”

 

 その指し示す方向は、今となっては目と鼻の先。 もう時間感覚が失われてきて、気が狂いそうになっているが、この先がゴールならと走っていける。

 アロナとプラナの予測は、ほとんど誤差なく的中していた。一度通った場所ながら、ただの壁にしか見えないために見過ごしていたが、それはただの偽装だった。他の部屋に入るドアと大して変わらない、見た目が違うだけ。

 

 開けた。向こう側が見えた。明るかった。

 おかしい。ここは巨大な船の内部空間、地底とほぼ同義の空間であるはずだ。なのに、その中の風景は地上にいるのではないかと錯覚させられる。

 上に見えるものは、青空のようにみえる。だがこれはあくまで映像のようだ。それでもあまりに出来が良く、感覚を騙すには十分すぎる代物だ。

 

「ようこそ。驚いた? 上みたいな景色だから? それとも、ここにお目当てのものがどう見ても無いから?」

 

 見覚えのある金髪。これは紛れもなく、先程ホログラムを通じて話しかけてきたテンカその人だ。驚いた原因としては主に前者で、後者については、一同揃って言われてから気付いた。

 この部屋には、大陸の心臓らしきオブジェクトはない。エンジンらしきもの、心臓らしきもの、その他特徴的はもの、何一つない。

 

「王の使者、試練の案内人の役を羽織るのは、ここまで。ここからは、対等な相手として、種明かしをしてあげる。まず……大陸の心臓は、確かに、この先にある」

「この……先? あー、そゆこと?」

 

 ナノはすぐに察した。見て分かるわけではないが、この部屋には隠されている扉か何かがまだあり、その先にあるのだろう。

 そして、今目の前にいる人物の持つ役割までも。

 

「この部屋を地上みたいにしてるのは、実際大した意味はないの。忙しくてあんまり出られないから、息抜きに使ってるだけ。でも、雰囲気はいい部屋でしょう?」

“悪いけど、雑談をしている余裕はそんなに無くてね。ここに待ち構えて、わざわざ立ち塞がるようなことをしてる理由は?”

「景色を色々切り替えることもできるし、それで楽しんでいたりもするけど……一番は、()()()()。せっかくだし、試練の一環として、勝負に付き合ってくれない?」

 

 その手には、極めて丁寧に磨き上げられていながら、使い込まれているのも分かる、そんなハンドガンが握られていた。




その日はずっと心待ちにしていた
初めて地上を歩ける日だった
きっと豊かで、満たされた、素晴らしい場所だと思っていた
だからこそ、自分達のような人々に与えてくれるのだと
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