宮廷遊撃部隊・十四番隊   作:らりるれリッター

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第13話 顛末

 

 

-- 瀞霊廷・一番隊隊舎内 --

 

 

 

「おい、元柳斎!!」

 

 

流魂街にて藍染らと浦原らの一件があってより舌の根の乾かぬ内のこと、

それは雷山の怒号から始まった。

 

 

「雷山か。今回は何用じゃ、帰還にしては些か早いが……」

 

「ついさっき帰ってきたばかりだ。んな事より、魂魄消失案件の最終処分。こいつはどういうことだ」

 

「……おぬしそれを何処で聞いた」

 

「白から直接だ。まだ十四番隊(うち)の調査もしてない段階だぞ。何を考えている!」

 

「おぬしら十四番隊の調査を待たずとも、事実として浦原喜助、握菱(つかびし)鉄裁(てっさい)両名の霊圧は現場にて確認されておる」

 

「そっちに関しては春麗が前線を直に見ている。それを以て浦原、握菱(つかびし)両名は無罪と言える。それに俺が言ってるのはもう一方だ。平子信子ら隊長格7名は虚として厳正に処分だぁ?ふざけるんじゃねぇぞ!!」

 

 

先刻、銀華零からあった浦原喜助らの捕縛命令とは別の報告。それは、

 

” 五番隊隊長・平子真子以下7名の隊長格は職位を全て剥奪の上、虚として扱い、処分する ”

 

というものであった。

護廷十三隊の後援部隊と称される”十四番隊”としてこれは到底看過できるものではなく、銀華零が反逆に問われるリスクを負う覚悟を決めていたのも、雷山が怒り、狐蝶寺が藍染を殺すか中央四十六室を殺さない程度に痛めつける行動を起こすと予想がたてられたのもこれが主な理由であった。

 

 

「言いたいことは分かる。じゃが、おぬしらも知っておろう”護廷の為に犠牲もやむなし”であると」

 

「では聞くが、これからの護廷十三隊と鬼道衆。この二つの部隊がどうなるとお前は考えているんだ!」

 

「愚問じゃな。この事態を見越して儂は【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”を発足させた」

 

「見越してだと?どう考えても許容範囲を超えてるだろ!はぁ……もういい。直接中央四十六室(ろうがいども)に抗議してくる」

 

「待て雷山、勝手な真似は――――――」

 

 

山本元柳斎の静止も聞かずに雷山は出て行ってしまった。

先程までの雷山の怒号が嘘のように辺りには静けさが残っていた。山本元柳斎は空位となる席次を埋めるための手を考え始めた。

 

 

 

-- 瀞霊廷・中央四十六室前 --

 

 

 

「【宮廷遊撃部隊(きゅうていゆうげきぶたい)十四番隊部隊長(じゅうよんばんたいぶたいちょう)】雷山悟。中央四十六室に面会を求める!」

 

 

中央四十六室の裁判官と賢者が一堂に会する『地下議事堂』の前で、雷山はそう名乗りを上げ面会許可を求めていた。 しかし、雷山のその声に返答はなかった。

返答が無かったことで今まさに裁判が行われていると判断した雷山は腰に差す斬魄刀に手をかけた。

 

 

「失礼、雷山悟部隊長とお見受けいたします」

 

「……誰だ?」

 

 

声を掛けられたため雷山は背後に目を向けた。そこには自身も知らぬ1人の死神が部下と思われる死神2人を連れて立っていた。

雷山は即座に中央四十六室の護衛の任に就く護廷十三隊の死神だと判断した。

 

 

「私はこの場の警備を任されている者です。失礼ながら名は明かせません。中央四十六室へ面会とのことですが、今は間が悪い。お引き取りを願います」

 

「さっき俺の名前を呼んだからそれ相応に俺のことは知っていると見る。そのうえで言うが、そう言われて大人しく帰るような奴に俺は見えているのか?」

 

「いいえ、しかし恐らくはあなた様の目的の人物はすでにこの場にはいませんよ」

 

「どういう意味だ?」

 

「本来は話す謂れはないのですが、つい先刻のことです。何者かが警備の者複数名を殴打し地下議事堂へ侵入。そして十二番隊隊長・浦原喜助、鬼道衆総帥”大鬼道長”・握菱(つかびし)鉄裁(てっさい)両名を連れ逃げ遂せる事案が発生しました」

 

「……成程。つまりは二人とも逃げたから仮に俺がここをぶち破っても無意味……って言いたいわけか」

 

「左様です。お引き取り願いますか?」

 

「……いいだろう。この状況で嘘を吐く意味などないし、いないというのなら無駄に事を荒立てる必要もないな」

 

 

雷山は目の前の死神の言う事が真実であると微塵も思っておらず、自身を帰すための方便と考えていた。しかしここで無理に押し入れば賊軍と扱われ結果として浦原、握菱(つかびし)両名の身柄確保に失敗する可能性を考えあえて引く判断を下した。

 

 

「……良かったのですか?帰してしまって、それに”十四番隊”とは……」

 

 

雷山の姿が見えなくなったのを確認した後、部下の死神が口を開いた。

 

 

「余計な詮索は止した方がいい。死を意味する」

 

「はっ……!し、失礼しました」

 

「今は地下議事堂に侵入した者の捜索が最優先。行くぞ」

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

「ありがとうっす、夜一さん」

 

 

隠密機動の刑軍が身につける黒装束。その顔部分だけを取る二番隊隊長・四楓院(しほういん)夜一(よるいち)に対して浦原は礼を言っていた。

ここは双極の丘の地下に広がるとある空間。中央四十六室の判決を今まさに受けんとしていた蒲原、握菱(つかびし)を四楓院夜一は救い出してこの空間内に逃げ込んでいた。

 

 

「礼なんぞ要らん。夕べ何故儂にも一声掛けんかったと、蹴り飛ばすのも後にしておいてやる」

 

「……!」

 

 

浦原が目を向けると完全に虚化しかかっている7人の隊長格と体力が尽きて眠っている猿柿ひよ里の姿があった。

 

 

「七人の隊長格とおぬしの副官は全員ともここへ運んである。おぬしが研究しておった新しい義骸の試作品ものう」

 

「さっさとやってしまえ、今回の事件のことを最初に平子に聞いた瞬間、おぬしが考えておった最悪の顛末とそれに対する最善の策を」

 

「……ふっ、やらしい人だ。全てお見通しってことっすか」

 

「おぬしがそれを言うか」

 

「鉄裁さん。さっそくですが、平子さんたちに時間停止をかけてください。そしてそのままこの場所に二、三層の結界を、今から20時間で僕たち2人と平子さんたち8人。計10体の霊圧遮断型義骸を作ります」

 

「……夜一殿は如何される」

 

「儂の事など気にするな。どうとでも逃げ遂せる」

 

「現世に身を潜め、解き明かします。必ず、この虚化を解除する方法を」

 

「その前に、私に事の詳細を話してもらっても良いですか?」

 

「!!」

 

 

浦原が作業に入ろうとしたその時だった。突如として、3人に声がかけられた。

見ると銀色の長髪で袖があるタイプの隊長羽織を見に纏う1人の女性死神が立っていた。

勿論、銀華零白本人なのだが、その場の3人は姿だけでは誰かを判別できるわけもなく、警戒するには十分すぎた。

 

 

「ああ、人の目でしたら大丈夫ですよ。この場には私しかおりませんし、入口では別の二人に人払いをお願いしていますので」

 

「……おぬしいったい何者じゃ。何故ここが分かった」

 

「それは中央四十六室の地下議事堂からここまであなた方の後をつけてきたからですね」

 

「……して、おぬしは何者か聞いても良いかの」

 

「これは失礼しました。私は銀華零白と申します。念のため言っておきますが、あなた方3名を捕らえに来た訳ではないのでご安心ください」

 

「銀華零白じゃと?」

 

 

かつて三番隊隊長の職位にあった銀華零白の名前はその経歴から護廷十三隊隊長を担う者なら一度は聞いたことがある程の有名な名前であった。しかしそれと同時に数百年前に戦死したとも伝わっていた。

四楓院夜一はそれを指して、”何故数百年前に戦死した元隊長が隊長羽織を着てこの場にいるのか”と暗に言っていた。

 

 

「もしかしてっすけど、狐蝶寺春麗さんと同じ……」

 

「……雷山さん経由で聞いてはいましたが、やはり春麗ちゃんと顔を会わせているようですね。ならばこちらの立場を明かしても良さそうですね」

 

 

銀華零はこの少し前、雷山経由で流魂街にて狐蝶寺が浦原と顔を会わせているこを聞いていた。

しかし、浦原を直接見たことがない銀華零は果たして、目の前にいる人物が浦原喜助本人なのか分からなかったために、狐蝶寺の名前が実際に出るまであえて身分を明かさずにいた。

 

 

「改めて、【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”が一人、銀華零白と申します。今回”十四番隊”も魂魄消失案件の調査を行っておりました。狐蝶寺春麗が前線に居たのはそのためです。浦原十二番隊隊長、後ほど雷山悟に報告するために私にも今回の顛末及び今後の対策を話してもらえると助かります」

 

「分かりました。まず、魂魄消失案件は五番隊副隊長・藍染惣右介による(ホロウ)化の実験による結果です。残念ながら現状では(ホロウ)化を解除する方法はなくこれから長い時をかけて解明するつもりです。しかし、尸魂界ではその時間はないために僕と鉄裁さん、平子隊長たち計10体の義骸を作り、現世に身を潜めるつもりでいます」

 

「……成程。では、その件について雷山悟には山本総隊長へは別な報告としてあげるよう進言いたします。先程名前の挙がらなかった四楓院二番隊隊長はどう逃げ遂せるつもりですか?」

 

「先程喜助にも言うたが、儂のことは気にするでない。どうとでも逃げ遂せる」

 

「そうですか。……四楓院二番隊隊長、そのことで1つ提案ありますが、よろしいですか?」

 

「なんじゃ?」

 

「よろしければの話ですが、あなたが犯した逃走幇助(ほうじょ)の罪を我々”十四番隊”が被るのはどうでしょう?」

 

 

銀華零が突然言い出したその提案に四楓院夜一は警戒心を露わにした。”十四番隊”という組織が如何ほどのものか知らないが、そんな真似をしてタダで済むわけがないと思ったからだった。

 

 

「何故そのような事をする?」

 

「我々は表立って行動することができないためです。これから先のことを考えた場合、護廷十三隊側に我々と繋がる者を設けるのは悪い話ではないと考えた結果です」

 

「つまりは儂に間者になれと?そのような話なら断るぞ。儂は隊長の座も隠密機動総司令官の座もさほど執着してはおらぬ。この機に辞めてしまうならそれも構わぬとすら考えておった」

 

「あら、残念ですね。であれば、我々も取るべき行動を変えましょうか」

 

「何をするつもりじゃ」

 

「簡単な話です。流魂街では逃げられたと報告が来ておりますが、後ほど雷山さんと合流して今回の事件の首謀者である藍染惣右介を捕らえに行くt……」

 

「待ってください。銀華零白さん」

 

 

銀華零の言葉を浦原が遮った。

銀華零、引いて言えば”十四番隊”が”藍染惣右介を捕らえ、事態の鎮静化を図る”行動をとる事は浦原もなんとなく察していたことであった。

しかし、これほどの事をいざ実行に移すまで誰にも詳細について悟らせなかった藍染惣右介の不気味さを体感した浦原は”十四番隊”と言えどもただでは済まない事態になると推測していた。

 

 

「……何でしょうか?」

 

「今回の事件、【宮廷遊撃部隊】は知らぬ存ぜぬを貫いてください」

 

「……その理由(ワケ)を伺っても?一応言っておけば、我々”十四番隊”が藍染惣右介を捕らえたとなれば、それ相応の理由があると山本総隊長も理解を示してもらえるはずですが」

 

「それは分かります。しかし、藍染惣右介の暗躍は僕にも護廷十三隊にも、そして恐らくは【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”でさえ実際に行動に移すまでは尻尾すら掴めていなかったはずです。そんな相手に僕たちのためとは言え無策で関わることは避けるべきと思います」

 

「……その結果、謀反人として追われる立場になってもですか?」

 

「仮に僕たちが無罪になったとしても、平子さんたちは(ホロウ)として処理されてしまう、それだけは避けたいんです」

 

「……はぁ、強情なのも考え物ですね。分かりました。そこまで言うのでしたら、こちらも浦原十二番隊隊長の気持ちを汲みましょう」

 

「ありがとうございます。それからもう1つお願いしたいことが」

 

「もう1つ?」

 

「僕の副官であるひよ里さんを【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”で匿ってはもらえませんか」

 

「匿うこと自体は構いませんが、我々に任せても良いのですか?現世で他の隊長格の方と居たほうが彼女の為にもなると私は考えますが」

 

「ええ、しかしたった1人(ホロウ)化を免れているひよ里さんまで現世に身を潜ませるのはと僕は考えます」

 

「成程……」

 

 

銀華零は少し悩んだ。浦原の言う事も一理あるが、いくら”十四番隊”でも瀞霊廷内で隠し通せるものなのかと、

そして何より、猿柿ひよ里本人の選択無しに引き受けてしまっても良いものかと、

熟考した末、銀華零は腹を括ろうと覚悟を決めて浦原からの依頼に対して答えた。

 

 

「……分かりました。猿柿ひよ里さんの件も雷山悟へ言伝します」

 

「銀華零白さん……いえ、銀華零隊長。よろしく頼みます」

 

「ええ、雷山悟に代わり私がお答えする形になりますが、任せておいてください」

 

 

銀華零は一礼すると猿柿ひよ里を抱えて去って行った。その姿を見ていた浦原であったがすぐに目を離し、義骸の作成に集中し始めた。

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

-- 瀞霊廷・十四番隊詰所 --

 

 

「春麗さんすいません。肝心な時に一番最後になってしまいまして」

 

「気にしなくって良いよ。私だってこうやってのんびりしちゃってるんだから」

 

 

十四番隊詰所では雷山から休息と言う名の待機を命じられる狐蝶寺春麗とつい先ほど戻ってきた椿咲南美の2人がいた。

椿咲は任務があったと言え、肝心な時に最後に戻ってきてしまったことに申し訳なさを感じていた。

 

 

「雷山悟。今戻った」

 

「おっかえり~♪雷山くん、結局どうなったの?」

 

「元柳斎は命令に従えの一点張り、央四十六室(ろうがいども)の方は何者かに襲撃を受けたとで入れなかった。それにすでに浦原喜助以下9名の行方の分からなくなったそうだ。白たちは戻ってるか?」

 

「まだだよ。その襲撃したって言うのは白ちゃんたちじゃないの?」

 

「まだ本人たちから聞けていないから不明の状態だな」

 

「遅くなりました。銀華零白、浮葉刃、山吹雷花。3名帰還いたしました」

 

「戻ったか―――……?」

 

 

雷山は襖を開けて入ってきた銀華零たちの姿を見て雷山はまず銀華零が抱える1人の死神に目がいっていた。

 

 

「えーっと……白ちゃん?」

 

「……まあ、いろいろと聞きたいことはあるが、まずその抱えている死神はどうしたんだ?」

 

「この方は猿柿ひよ里さんです。浦原十二番隊隊長から託されましたので、ここまで連れ帰りました」

 

「猿柿ひよ里?」

 

 

雷山はその名前に聞き覚えがあると思ったと同時に、かつて前十二番隊隊長・曳舟桐生が挨拶のためにここにやってきた時に猿柿ひよ里と言う名前を言っていたことを思い出した。

 

 

「成程、あの時曳舟が言っていた猿柿と言うのはこの死神のことだったのか。しかし浦原喜助に託されたとはどういうことだ?白たちが身柄を確保したんじゃなかったのか?」

 

「その事なのですが……」

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

「……四楓院夜一が?」

 

 

雷山は驚きの声を上げていた。

この数分前から銀華零は起きたことを順を追って雷山に説明していた。

浦原喜助、握菱(つかびし)鉄裁の身柄確保は四楓院夜一に先を越されたこと、2人が7名の隊長格と共に現世に身を潜めること、それを聞いた際に猿柿ひよ里を託されここへ連れ帰ったこと。

 

 

「四楓院のじゃじゃ馬姫め……浦原喜助たちは十四番隊で何とでも出来たのに……」

 

「雷山さん、話を進める前に一言謝罪の機会を下さい」

 

「謝罪っておい」

 

「勝手に猿柿ひよ里さんを預かる判断をしてしまい、申し訳ありませんでした」

 

 

雷山が止めるよりも前に銀華零は頭を下げていた。

銀華零はあの場に雷山がいなかったとはいえ、”部隊長”たる雷山の頭を越して勝手に判断していたことに後ろめたさを感じていた。

 

 

「そんなものは別に構わない。話を聞き、白が良いと思ったなら俺はそれ以上言うことは無い」

 

「ありがとうございます」

 

「しかし、それはそれで厄介なことになるな」

 

「厄介なこと?」

 

 

雷山が口にした”厄介なこと”

それはその場に集まる十四番隊メンバーが考えに至る大騒動だった。

しかしそれにイマイチ、ピンと来ていない狐蝶寺だけが聞き返していた。

 

 

「春麗さん、隊長代理ですよ。これだけ一気に隊長格が抜ける事態となれば、最低でも1人は要請がかかると思います」

 

「1人で済めばいいけどな。ひとまず、隊長代理が要請されると想定して一通り決めておくが、八番隊は京楽の次男坊がいるから必要なしとしよう」

 

「……三番隊隊長代理は私が入りましょう。元々居た隊なので、勝手がわかります」

 

「そう言うことならば、私は五番隊隊長代理に入ります」

 

「よし、要請がかかった場合、三は白、五は椿咲。七には浮葉、九には春麗と取り決めしておこう。山吹は十二を頼めるか?」

 

「あたしは構いませんが、雷山部隊長は如何されるのですか?」

 

 

山吹は唯一名前が挙がっていない雷山はどうするのか疑問に思っていた。確かに【宮廷遊撃部隊・十四番隊部隊長】がおいそれと隊長代理に就いていいとは山吹自身微塵も思っていないが、雷山がただ静観に徹する人物ではないことも知っていたために抱いた疑問だった。

 

 

「俺は鬼道衆を担当しようと考えている。トップとナンバー2が一気にいなくなった分、護廷十三隊より深刻そうだからな」

 

「成程。では要請を受けた場合の十二番隊隊長代理の件、承知しました」

 

「私は九番隊ね。了解したよ♪」

 

「ああ、まだそうなるかは不透明だがよろしく頼む」

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

半月後、

 

-- 瀞霊廷・一番隊隊舎 --

 

 

 

「本当に良いんだな?」

 

「四十六室からの命じゃ。(いささ)か、不服ではあるが」

 

 

雷山と山本元柳斎が向かい合うように立っていた。雷山は元柳斎から正式に今回も【宮廷遊撃部隊】による隊長代理は必要なしの判断を中央四十六室からの命で下したことを伝えていた。

本来は元柳斎と雷山双方の合意によって行われる隊長代理だが、事態の揉み消しを図る中央四十六室が出張ってきた形であった。

 

 

「聞くが、何故中央四十六室(ろうがいども)が出張ってきた?”【宮廷遊撃部隊】における『隊長代理』行使の決定権及びその任命権は護廷十三隊総隊長、十四番隊部隊長両名が有する”そう取り決めていたんじゃないのか?」

 

「今回は特例措置ということになっておる」

 

「特例措置、ねぇ……。早い話が、表向きは殉職したとされる始末特務部隊を本当は(ホロウ)として処理しようとしたことを揉み消そうってわけだろ。そのためには事情を事細かに知る十四番隊に出てこられてはマズイと」

 

「分かっておるなら大人しく手を退け」

 

「別に余計な混乱を招くつもりはない。だが、あとで手が足りないと言われても俺たちの預かり知らぬことだからな。それは言っておくぞ」

 

「心配せぬとも、手は打ってある」

 

「……そうか。では、隊長代理の話は無かったこととして、俺は詰所に戻るぞ」

 

 

元柳斎から正式に『隊長代理』が行使されないことを聞いた雷山は要は済んだと言わんばかりに背を向けて歩き始めた。

 

 

「待て、まだ話は終わってはおらぬ。半月前の流魂街魂魄消失案件とその始末特務部隊の身に起きた事象について説明をしてもらおう」

 

 

元柳斎は中央四十六室の動きからして自身の耳に届いている報告がすべてではないことを察していた。

そこで、行方知れずとなった浦原たちと8名の隊長格以外で前線に居た【宮廷遊撃部隊】からその情報を得ようとしていた。

雷山は元柳斎のその思惑を分かっていたが、銀華零が浦原と結んだ”知らぬ存ぜぬを貫く約束”と中央四十六室からの余計な追及を避けるために断る意思を示した。

 

 

「時が来たら報告する、とだけ言っておく」

 

「それはつまり、言えぬ訳がある……と捉えても良いか」

 

「さあ、それは元柳斎の捉え方に任せる。じゃあな」

 

 

そう言うと雷山は部屋から出て行った。

その場に残る山本元柳斎は雷山があえてしたと思われる言い回し、その理由について思案することとなる。

 

 

そして、月日は流れる――――――...

 

 

 

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