第14話 やっと原作に到達です
-- 瀞霊廷・十四番隊詰所 --
「雷山隊長、先ほど気になる情報が入って来たのですが」
【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”が発足より541年後、
とある日、とある朝、それは
「気になる情報?」
その言葉と同時に雷山の視線は不要から手渡された報告書へ向いていた。
報告書には、現世で起きたある一件について書かれていた。
「……現世に
「はい、階級は
「これには
「いえ、
「”撤退した"……か」
「はい、私としては
「
雷山と浮葉が言っている
その名を、
現在、護廷十三隊五番隊隊長を務める死神で、その巧みな話術と人心掌握術で今に至るまで過去の裏切り行為の一切を悟らせていない人物。
「……成程、ここ最近妙に大人しいと思っていたが、
「私はそう判断しております。しかし、何故リスクを冒してまで現世の
「
「雷山さん、
銀華零の言う志波一心とは当時の十番隊隊長であり、原因不明の失踪によってその立場を失った人物であり、
「ああ、確か7,80年くらい前に行方不明になったというやつだろ?」
「志波元十番隊隊長の霊圧が最後に確認されたのが、その
「……という事はその失踪事件も」
「あの方の仕業、ということになりますね」
「分かった。浮葉、急で悪いが
「承知しました。その前に
「おいおい、まだ何かあるのかよ」
「
”朽木ルキア?”という声を上げた雷山は自身の記憶を辿っていた。
六番隊の
「……ああ、思い出した。数か月前に
「はい、技術開発局の者が現世の様子を見ている際に発見したとのことですが、どういう偶然か発見された場所が
「
「はい、なので元より調査に赴こうと思っていたところでした。準備ができ次第出立します」
「頼んだぞ。……あ、その前に朽木ルキアは誰が連れ戻しに行くことになってる?」
「初めは十一番隊だったのですが、六番隊の朽木隊長と
雷山は十一番隊から六番隊に変わったという点が少し引っかかったが、朽木ルキアの件は護廷十三隊に任せておき、十四番隊は現世の調査を最優先とするべきと考えた。
「……そうか」
「はい、では行ってまいります」
浮葉は一礼すると廊下と部屋とを区切る襖を開けて現世へと出発していった。
「雷山さん、山本総隊長へは報告するのですか?」
「浮葉を現世に派遣したことか?そんなもんするつもりは無いぞ。報告すれば
-- 現世・
現世へと赴いた浮葉は大虚が確認されたという地点へ向かい霊圧の痕跡を調べていた。
「……ここが
見ると足元には小さな粉末のようなものが多数あった。粉末は微弱の霊力を帯びており現世で自然に発生する物ではないことが明らかだった。
「……撒き餌の痕跡。そしてこの霊圧は死神と、
この場所では数日前
最終的に
浮葉は地面に残る
「……大方、そう言う事でしょうね。
浮葉はその時、すぐ近くに朽木白哉と阿散井恋次がいることを霊圧で感じ取った。
それと同時に、自身も聞いたことない怒鳴り声もかすかにだが聞こえていた。
「…………」
浮葉は少し悩んだ。様子を見てみるべきかと、
しかし自身が雷山に許可を得ているのは調査までであり、朽木ルキアの件は護廷十三隊に任せるべきであると頭では分かっていたが、認知してしまった以上事態の把握をするべきだと自身に言い聞かせた。
「命令違反になりますが、聞こえてしまった以上仕方ありませんね」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
浮葉は見物できる位置まで移動すると眼下では朽木白哉、阿散井恋次と斬り伏せられているオレンジ色の髪をした死神、それを庇うワンピース姿の少女の姿があった。
「……成程、先程の地点にあった霊圧はあの死神のものですね。そして朽木白哉とその死神に割って入っているあの少女が朽木ルキア……」
浮葉はオレンジ色の髪をした死神が先程の地点で痕跡として微かに感じた霊圧の持ち主であると断定していた。一方で、ワンピース姿の少女が件の朽木ルキアであることを推察していた。
通常、
「鬼道で霊圧を消している感覚ともまた違う……これはいったい……」
状況を整理している浮葉の眼下では朽木ルキアが自ら
「私を追ってなど来てみろ。私は……私は、貴様を絶対に許さぬ」
「ルキア……!!ルキア!!」
一護の叫びは虚しく
「くそっ……!!俺はまた護られた……!!」
一連の流れを見ていた浮葉はオレンジ色の髪の死神と朽木ルキアの関係性について気になるところではあったが、それは護廷十三隊の仕事であるとして、
その時、浮葉は目の端で捕えた。オレンジ色の髪の死神に傘を差しつつ見下ろしている人物がいることに、
「あれは何者だ……?いや、それよりも――――――
"私があの死神に近づく人物に気付かなかった……!?"」
浮葉がオレンジ色の髪の死神を担ぎ上げる人物を見続けていると一瞬、ほんの一瞬その人物を目が合ったような気がした。
浮葉は驚愕した。しかし、同時に一瞬だけ感じたその人物の霊圧に覚えがあった。
それはかつて護廷十三隊十二番隊隊長の地位にあった人物だった。
「
ハッと我に返った浮葉だったがその時には既に浦原も黒崎の姿もなかった。
浮葉は浦原があの少年をどうするつもりだと思案したが、すぐにここで考えても
-- 瀞霊廷・十四番隊詰所 --
「――――以上が報告なのですが」
「……ふむ、
雷山は浮葉から手渡された報告書を見ながら呟いた。報告書には、
滅却師の撒き餌によって大虚が誘き寄せられた可能性。それを撤退に追い込んだのは空座町の地区担当をしていた朽木ルキアではなくオレンジ色の髪をした死神と思われる人物だという事。
そしてこの死神だと思われる人物が、
「死神代行が再び現れたのか」
「今のうちに対処しておきますか?」
雷山は浮葉が発した”対処しておきますか”の言葉が引っかかった。自身の耳には朽木白哉は現世にて朽木ルキアの連行に反抗した死神の
通常、この2つを破壊されれば死神の力を失い、後に
「朽木白哉が
「はい、しかしある人物によってその場から運ばれているのを目撃しました。前十二番隊隊長・
「……浦原喜助か。その名前も久しぶりに聞いたな」
「どういたしますか?」
「放っておけ。だが、あちらがこちらの存在に気付いて姿を見せたという事は何かしらの準備をしているというメッセージという事になるだろうな。ともかく、懸念材料はその撒き餌をまいたという
「朽木ルキアさんを取り返しに来ますかね」
銀華零はその死神代行が朽木ルキアを奪還するために
「さあ、それは分からないが、仮にその死神代行が朽木ルキアの奪還に来たとしてもそれは護廷十三隊の管轄になるだろうな。こちらが動くのは元柳斎から要請が来た後でも十分だろ。浮葉、急な調査を任せてすまなかったな。しばらく休んでていいぞ」
「雷山くん!雷山くん!!大変だよー!!」
騒がしい声と共に詰所の廊下と部屋を仕切る襖が勢いよく開かれた。
そこには
「……すまんな浮葉。どうも休ませるわけにはいかなくなったらしい」
「雷山くんこれを見てよ!!」
「朽木ルキアの処遇についてか。随分と早い気がするが……」
狐蝶寺は雷山の目の前まで走って来ると手に持つ1枚の書類を雷山に手渡した。渡されると同時に雷山の視線はその書類に向いており、書類には朽木ルキアの処遇についてが書かれていた。
「銀華零隊長、只今戻りました」
「はい、ご苦労様ですひよ里さん。少し前からお願いしていることですが、どうですか?」
「い、いえ特には……」
「ふふっ、これから少しずつ鬼道で姿を変えてという形になりますが春麗ちゃんと同じことをやってもらおうと考えているので、よろしくお願いしますね」
「はい!」
猿柿はまるでお使いが出来た子供が母親に褒めてもらえたかのように笑顔を浮かべていた。
101年前、十二番隊副隊長の地位と気の合う隊長格の仲間を失い絶望感すら抱いていた彼女を狐蝶寺と銀華零が献身的に診ていた。
その事もあってか猿柿はかつて元十二番隊隊長・
ちなみに狐蝶寺には、”たまに変な事をするがいざとなったら頼りになる姉”と言う印象を持っている。
「おい、どういうことだこれは?」
そんな中雷山が声を上げた。
その場の全員の視線が雷山に集まる。
「朽木ルキアさんの処遇がどうされたんですか?」
「白、人間に死神の力を譲渡した場合の罪は最も重くてだいたいどのくらいになる?」
雷山の急な問いに銀華零は「はい?」と間の抜けた返事をしてしまったが、雷山のその問いの意図を察してかすぐに、「そうですね……」と前置きをし腕を組んで考え始めた。
「……程度にもよりますが最も重くても地下監獄の6,7層目の投獄刑……辺りになるでしょうか」
「”
『
瀞霊廷の中心にある丘の上に立つ処刑台の事であり、矛と
矛の方には斬魄刀百万本に値する破壊能力が、
「……まさか、朽木ルキアさんの処遇って」
「ああ、
「死神の力の譲渡だけですよね。いくらなんでも重すぎませんか?」
「だよな。春麗、そもそもこれは誰からもらったんだ?」
「総隊長のおじいちゃんに決まってるじゃん」
「その元柳斎は何と?」
「『四十六室がそう判決したのならば、それに従うのみ。例え十四番隊でもこの判決に異を唱えることは許さぬ』だって」
「……はぁ、元柳斎らしいと言えばらしいがあの堅物め。しょうがない、これに関しては俺があとで直接
「了解♪」
「ちょ、待て!何でウチがオマエなんかに行くとこ決められなアカンねん!」
狐蝶寺は猿柿を連れて行く意図を察した様子だったが、雷山に指示されることを嫌う猿柿はその意図になんとなくでも気付こうとするのを無理矢理やめて反抗していた。
この光景は毎度のことながら、雷山は「反抗するのは大いに結構なんだが、話が進まなくなるのはな……」と困っていることのひとつでもあった。
「そもそも狐蝶寺さんと勝手にセットにされとんのが気に入らんわ!」
「それどういう意味!?」
流れ弾を受けた形となった狐蝶寺は初めこそ困った表情をしていたが、段々とショックが込み上げて来ている様子だった。
狐蝶寺は101年前の事件の際、
「ひよ里さん。気持ちは分かりますが、雷山さんと春麗ちゃんにあまり乱暴なことは言わないでくださいね」
「……すんません」
「はい、よろしい」
「……教育かなんかか、これは」
雷山はその光景を見て、一般的な教育とはこういうことを言うのだろうなと思った。
それはそれとして話を戻すべく、わざとらしく咳払いをした。
「ゴホン、では話を戻すが、春麗は猿柿を連れて情報の共有。俺はこの後中央四十六室へ赴いて事態の把握に努める。白と浮葉は
そういう雷山の頭では、ある可能性が頭を過ぎっていた。
中央四十六室のこの判決がいつもの傲慢さによる判決ではなく、
本来ならばあり得ない、あり得てはならないことである可能性が、