宮廷遊撃部隊・十四番隊   作:らりるれリッター

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原作・尸魂界(ソウル・ソサエティ)
第14話 やっと原作に到達です


 

 

 

-- 瀞霊廷・十四番隊詰所 --

 

 

 

「雷山隊長、先ほど気になる情報が入って来たのですが」

 

 

【宮廷遊撃部隊】”十四番隊”が発足より541年後、

とある日、とある朝、それは浮葉(ふよう)(やいば)が持って来た一枚の報告書から始まった。

 

 

「気になる情報?」

 

 

その言葉と同時に雷山の視線は不要から手渡された報告書へ向いていた。

報告書には、現世で起きたある一件について書かれていた。

 

 

「……現世に大虚(メノスグランデ)が現れた、か」

 

「はい、階級は最下級(ギリアン)だそうですが……」

 

「これには大虚(メノスグランデ)は反撃を受け、虚圏(ウェコムンド)に撤退したと書いてあるが駐在の死神が1人で撤退にまで追い込んだのか?」

 

 

最下級大虚(ギリアン)大虚(メノスグランデ)の中でも知能、実力共に低く倒せないレベルではあるが、現世の駐在に任命される死神が倒すことは限りなく不可能に近いため、雷山は浮葉に聞き返していた。

 

 

「いえ、最下級大虚(ギリアン)とは言え大虚(メノスグランデ)相手では現世駐在の死神1人では無理です。”撤退させられた"のではなく……」

 

「”撤退した"……か」

 

「はい、私としては(くだん)の者が関係していると踏んでおります」

 

件の者(あいつ)か」

 

 

雷山と浮葉が言っている(くだん)の者は今より101年前に起きたとある事件の首謀者のことである。

その名を、藍染(あいぜん)惣右介(そうすけ)

現在、護廷十三隊五番隊隊長を務める死神で、その巧みな話術と人心掌握術で今に至るまで過去の裏切り行為の一切を悟らせていない人物。

 

 

「……成程、ここ最近妙に大人しいと思っていたが、虚圏(ウェコムンド)に手を付けていたわけか」

 

「私はそう判断しております。しかし、何故リスクを冒してまで現世の空座町(からくらちょう)大虚(メノスグランデ)を差し向けたかはまだ不明です」

 

空座町(からくらちょう)か。どこか聞き覚えがある地名だな」

 

「雷山さん、志波(しば)一心(いっしん)元十番隊隊長を覚えていませんか?」

 

 

空座町(からくらちょう)と言うワードについて答えたのは浮葉ではなく、近くで2人の会話を聞いていた銀華零(ぎんかれい)(はく)だった。

銀華零の言う志波一心とは当時の十番隊隊長であり、原因不明の失踪によってその立場を失った人物であり、空座町(からくらちょう)とも遠からずの関係を持っていた。

 

 

「ああ、確か7,80年くらい前に行方不明になったというやつだろ?」

 

「志波元十番隊隊長の霊圧が最後に確認されたのが、その空座町(からくらちょう)です」

 

「……という事はその失踪事件も」

 

「あの方の仕業、ということになりますね」

 

「分かった。浮葉、急で悪いが空座町(からくらちょう)の調査を任せていいか?」

 

「承知しました。その前に空座町(からくらちょう)関連でもう1つ報告書が上がってきているのですが」

 

「おいおい、まだ何かあるのかよ」

 

朽木(くちき)ルキア十三番隊士を覚えておりますか?」

 

 

”朽木ルキア?”という声を上げた雷山は自身の記憶を辿っていた。

六番隊の朽木(くちき)白哉(びゃくや)はよく聞く名であったが、朽木ルキアの方はあまり聞かない名であったからだった。

 

 

「……ああ、思い出した。数か月前に義骸(ぎがい)ごと失踪しちまった朽木白哉の妹か。見つかったのか?」

 

「はい、技術開発局の者が現世の様子を見ている際に発見したとのことですが、どういう偶然か発見された場所が空座町(からくらちょう)だそうです」

 

大虚(メノス)の出現、前十番隊隊長と十三番隊隊士の失踪……偶然にしては出来過ぎているな」

 

「はい、なので元より調査に赴こうと思っていたところでした。準備ができ次第出立します」

 

「頼んだぞ。……あ、その前に朽木ルキアは誰が連れ戻しに行くことになってる?」

 

「初めは十一番隊だったのですが、六番隊の朽木隊長と阿散井(あばらい)副隊長両名に変更となったと聞いております」

 

 

雷山は十一番隊から六番隊に変わったという点が少し引っかかったが、朽木ルキアの件は護廷十三隊に任せておき、十四番隊は現世の調査を最優先とするべきと考えた。

 

 

「……そうか」

 

「はい、では行ってまいります」

 

 

浮葉は一礼すると廊下と部屋とを区切る襖を開けて現世へと出発していった。

 

 

「雷山さん、山本総隊長へは報告するのですか?」

 

「浮葉を現世に派遣したことか?そんなもんするつもりは無いぞ。報告すれば理由(わけ)を聞かれる。馬鹿正直に例の件を言うわけにもいかないしな」

 

 

 

-- 現世・空座町(からくらちょう) --

 

 

 

現世へと赴いた浮葉は大虚が確認されたという地点へ向かい霊圧の痕跡を調べていた。

 

 

「……ここが大虚(メノスグランデ)が現れたという地点ですか。ん?これは……」

 

 

見ると足元には小さな粉末のようなものが多数あった。粉末は微弱の霊力を帯びており現世で自然に発生する物ではないことが明らかだった。

 

 

「……撒き餌の痕跡。そしてこの霊圧は死神と、滅却師(クインシー)?何故ここに……」

 

 

この場所では数日前石田(いしだ)雨竜《うりゅう》が(ホロウ)の撒き餌をばら撒いていておりその結果、多数の(ホロウ)大虚(メノスグランデ)を出現していた。

最終的に大虚(メノスグランデ)は石田雨竜と黒崎(くろさき)一護(いちご)という死神代行によって虚圏(ウェコムンド)に撤退していた。

浮葉は地面に残る滅却師(クインシー)が使用する撒き餌の痕跡と報告書にあった記載から2名の正体が分からないながらもこの場で起こったことを事実に近いところまで推測していた。

 

 

「……大方、そう言う事でしょうね。尸魂界(ソウル・ソサエティ)に帰還して雷山隊長へ報告しますか。……ん?」

 

 

浮葉はその時、すぐ近くに朽木白哉と阿散井恋次がいることを霊圧で感じ取った。

それと同時に、自身も聞いたことない怒鳴り声もかすかにだが聞こえていた。

 

 

「…………」

 

 

浮葉は少し悩んだ。様子を見てみるべきかと、

しかし自身が雷山に許可を得ているのは調査までであり、朽木ルキアの件は護廷十三隊に任せるべきであると頭では分かっていたが、認知してしまった以上事態の把握をするべきだと自身に言い聞かせた。

 

 

「命令違反になりますが、聞こえてしまった以上仕方ありませんね」

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 

 

浮葉は見物できる位置まで移動すると眼下では朽木白哉、阿散井恋次と斬り伏せられているオレンジ色の髪をした死神、それを庇うワンピース姿の少女の姿があった。

 

 

「……成程、先程の地点にあった霊圧はあの死神のものですね。そして朽木白哉とその死神に割って入っているあの少女が朽木ルキア……」

 

 

浮葉はオレンジ色の髪をした死神が先程の地点で痕跡として微かに感じた霊圧の持ち主であると断定していた。一方で、ワンピース姿の少女が件の朽木ルキアであることを推察していた。

通常、義骸(ぎがい)に入った死神は多少なりとも霊圧が感知できるものなのだが、姿を視認できるほど近くまで来ている浮葉でさえ、朽木ルキアの霊圧は感じ取ることは出来なかった。

 

 

「鬼道で霊圧を消している感覚ともまた違う……これはいったい……」

 

 

状況を整理している浮葉の眼下では朽木ルキアが自ら尸魂界(ソウル・ソサエティ)へ帰還することを兄であり護廷十三隊六番隊隊長である朽木白哉に伝えていた。黒崎一護を守るために、

 

 

「私を追ってなど来てみろ。私は……私は、貴様を絶対に許さぬ」

 

「ルキア……!!ルキア!!」

 

 

一護の叫びは虚しく穿界門(せんかいもん)は閉じられ辺りは静寂に包まれた。

 

 

「くそっ……!!俺はまた護られた……!!」

 

 

一連の流れを見ていた浮葉はオレンジ色の髪の死神と朽木ルキアの関係性について気になるところではあったが、それは護廷十三隊の仕事であるとして、大虚(メノスグランデ)出現の原因について雷山に報告するために穿界門(せんかいもん)を開こうとしていた。

その時、浮葉は目の端で捕えた。オレンジ色の髪の死神に傘を差しつつ見下ろしている人物がいることに、

 

 

「あれは何者だ……?いや、それよりも――――――

 

 

"私があの死神に近づく人物に気付かなかった……!?"」

 

 

浮葉がオレンジ色の髪の死神を担ぎ上げる人物を見続けていると一瞬、ほんの一瞬その人物を目が合ったような気がした。

浮葉は驚愕した。しかし、同時に一瞬だけ感じたその人物の霊圧に覚えがあった。

それはかつて護廷十三隊十二番隊隊長の地位にあった人物だった。

 

 

浦原(うらはら)喜助(きすけ)……」

 

 

ハッと我に返った浮葉だったがその時には既に浦原も黒崎の姿もなかった。

浮葉は浦原があの少年をどうするつもりだと思案したが、すぐにここで考えても(らち)が明かないと判断して、穿界門(せんかいもん)を開いた。

 

 

 

-- 瀞霊廷・十四番隊詰所 --

 

 

 

「――――以上が報告なのですが」

 

「……ふむ、滅却師(クインシー)にオレンジ髪の死神か」

 

 

雷山は浮葉から手渡された報告書を見ながら呟いた。報告書には、

滅却師の撒き餌によって大虚が誘き寄せられた可能性。それを撤退に追い込んだのは空座町の地区担当をしていた朽木ルキアではなくオレンジ色の髪をした死神と思われる人物だという事。

そしてこの死神だと思われる人物が、銀城(ぎんじょう)以来となる死神代行である可能性などが書かれていた。

 

 

「死神代行が再び現れたのか」

 

「今のうちに対処しておきますか?」

 

 

雷山は浮葉が発した”対処しておきますか”の言葉が引っかかった。自身の耳には朽木白哉は現世にて朽木ルキアの連行に反抗した死神の鎖結(さけつ)魄睡(はくすい)を破壊したと伝わっていた。

通常、この2つを破壊されれば死神の力を失い、後に銀城(ぎんじょう)が接触してくることもないため特別対処する必要がないからである。

 

 

「朽木白哉が鎖結(さけつ)魄睡(はくすい)を破壊したんじゃなかったのか?」

 

「はい、しかしある人物によってその場から運ばれているのを目撃しました。前十二番隊隊長・浦原(うらはら)喜助(きすけ)に」

 

「……浦原喜助か。その名前も久しぶりに聞いたな」

 

「どういたしますか?」

 

「放っておけ。だが、あちらがこちらの存在に気付いて姿を見せたという事は何かしらの準備をしているというメッセージという事になるだろうな。ともかく、懸念材料はその撒き餌をまいたという滅却師(クインシー)とその死神代行だけか」

 

「朽木ルキアさんを取り返しに来ますかね」

 

 

銀華零はその死神代行が朽木ルキアを奪還するために尸魂界(ソウル・ソサエティ)に乗り込んでくることを危惧していた。

 

 

「さあ、それは分からないが、仮にその死神代行が朽木ルキアの奪還に来たとしてもそれは護廷十三隊の管轄になるだろうな。こちらが動くのは元柳斎から要請が来た後でも十分だろ。浮葉、急な調査を任せてすまなかったな。しばらく休んでていいぞ」

 

「雷山くん!雷山くん!!大変だよー!!」

 

 

騒がしい声と共に詰所の廊下と部屋を仕切る襖が勢いよく開かれた。

そこには狐蝶寺(こちょうじ)春麗(しゅんれい)が慌てた様子で立っており、付き添いの元十二番隊副隊長・猿柿(さるがき)ひよ()はそれを呆れた様子で見ていた。

 

 

「……すまんな浮葉。どうも休ませるわけにはいかなくなったらしい」

 

「雷山くんこれを見てよ!!」

 

「朽木ルキアの処遇についてか。随分と早い気がするが……」

 

 

狐蝶寺は雷山の目の前まで走って来ると手に持つ1枚の書類を雷山に手渡した。渡されると同時に雷山の視線はその書類に向いており、書類には朽木ルキアの処遇についてが書かれていた。

 

 

「銀華零隊長、只今戻りました」

 

「はい、ご苦労様ですひよ里さん。少し前からお願いしていることですが、どうですか?」

 

「い、いえ特には……」

 

「ふふっ、これから少しずつ鬼道で姿を変えてという形になりますが春麗ちゃんと同じことをやってもらおうと考えているので、よろしくお願いしますね」

 

「はい!」

 

 

猿柿はまるでお使いが出来た子供が母親に褒めてもらえたかのように笑顔を浮かべていた。

101年前、十二番隊副隊長の地位と気の合う隊長格の仲間を失い絶望感すら抱いていた彼女を狐蝶寺と銀華零が献身的に診ていた。

その事もあってか猿柿はかつて元十二番隊隊長・曳舟(ひきふね)桐生(きりお)を母親のように慕っていたように、銀華零のこともまた母親のように慕っていた。

ちなみに狐蝶寺には、”たまに変な事をするがいざとなったら頼りになる姉”と言う印象を持っている。

 

 

「おい、どういうことだこれは?」

 

 

そんな中雷山が声を上げた。

その場の全員の視線が雷山に集まる。

 

 

「朽木ルキアさんの処遇がどうされたんですか?」

 

「白、人間に死神の力を譲渡した場合の罪は最も重くてだいたいどのくらいになる?」

 

 

雷山の急な問いに銀華零は「はい?」と間の抜けた返事をしてしまったが、雷山のその問いの意図を察してかすぐに、「そうですね……」と前置きをし腕を組んで考え始めた。

 

 

「……程度にもよりますが最も重くても地下監獄の6,7層目の投獄刑……辺りになるでしょうか」

 

「”双極(そうきょく)を使った処刑”になんてなることなんかあるか?」

 

 

双極(そうきょく)』とは、

瀞霊廷の中心にある丘の上に立つ処刑台の事であり、矛と磔架(たっか)のセットになっている。

矛の方には斬魄刀百万本に値する破壊能力が、磔架(たっか)の方には同党の斬魄刀を防ぎきる防御能力があるとされ、主に隊長格などの処刑に用いられることの多いものであった。

 

 

「……まさか、朽木ルキアさんの処遇って」

 

「ああ、1月(ひとつき)の猶予期間の(のち)、双極を使っての死刑に処する。だそうだ」

 

「死神の力の譲渡だけですよね。いくらなんでも重すぎませんか?」

 

「だよな。春麗、そもそもこれは誰からもらったんだ?」

 

「総隊長のおじいちゃんに決まってるじゃん」

 

「その元柳斎は何と?」

 

「『四十六室がそう判決したのならば、それに従うのみ。例え十四番隊でもこの判決に異を唱えることは許さぬ』だって」

 

「……はぁ、元柳斎らしいと言えばらしいがあの堅物め。しょうがない、これに関しては俺があとで直接中央四十六室(ろうがいども)を問いただしに行ってくる。春麗は猿柿を連れてこの件を零番隊に共有しに行ってくれるか」

 

「了解♪」

 

「ちょ、待て!何でウチがオマエなんかに行くとこ決められなアカンねん!」

 

 

狐蝶寺は猿柿を連れて行く意図を察した様子だったが、雷山に指示されることを嫌う猿柿はその意図になんとなくでも気付こうとするのを無理矢理やめて反抗していた。

この光景は毎度のことながら、雷山は「反抗するのは大いに結構なんだが、話が進まなくなるのはな……」と困っていることのひとつでもあった。

 

 

「そもそも狐蝶寺さんと勝手にセットにされとんのが気に入らんわ!」

 

「それどういう意味!?」

 

 

流れ弾を受けた形となった狐蝶寺は初めこそ困った表情をしていたが、段々とショックが込み上げて来ている様子だった。

狐蝶寺は101年前の事件の際、流魂街(るこんがい)にて猿柿を助けたこともあり、銀華零程ではないにしても慕われている方だと思っていたからである。

 

 

「ひよ里さん。気持ちは分かりますが、雷山さんと春麗ちゃんにあまり乱暴なことは言わないでくださいね」

 

「……すんません」

 

「はい、よろしい」

 

「……教育かなんかか、これは」

 

 

雷山はその光景を見て、一般的な教育とはこういうことを言うのだろうなと思った。

それはそれとして話を戻すべく、わざとらしく咳払いをした。

 

 

「ゴホン、では話を戻すが、春麗は猿柿を連れて情報の共有。俺はこの後中央四十六室へ赴いて事態の把握に努める。白と浮葉は(くだん)の者たちに動きが無いか、椿咲と山吹に連絡を取ってくれ。場合によっては呼び戻してもらっても構わない」

 

 

そういう雷山の頭では、ある可能性が頭を過ぎっていた。

中央四十六室のこの判決がいつもの傲慢さによる判決ではなく、

本来ならばあり得ない、あり得てはならないことである可能性が、

 

 

 

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