201X年 聖龍伝説 神話復活 出逢いの章 作:セイントドラゴン・レジェンド
そんなMrフェイクを追跡するべく、キーオから腕輪であるリングを追跡できる指輪を手渡されたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
鬼と聖女のコンビは、Mrフェイクを追って数多の異世界や物語の世界を転々としていきます。
※今回は、パラレルセーラー戦士の世界に向かいます。
[Mrフェイクを追って]
前回、鏡の国から数多の異世界や物語の世界へと移動できるミラーゲート・リングを盗み出したMrフェイク。
腕輪であるリングを追跡できるのは、二つの指輪のみで、これを鏡の国の王子であるキーオから手渡されたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはすぐさまMrフェイクを追う事に。
そのまま二人はMrフェイクを追って異次元空間へと飛び込み、数多の異世界や物語の世界へと飛び立った。
Mrフェイクを追って、異次元空間へと突入したジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。だが二人はエアライドに搭乗しているMrフェイクとすぐに距離を離されてしまう。
やがてMrフェイクの姿が見えなくなってしまった二人だったが、Mrフェイクが搭乗するエアライドに組み込まれているミラーゲート・リングに反応する指輪の導きの元、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはとある世界へと到着した。
「よいしょっと。……此処はどんな世界なんだ?」
「見た限りじゃ、私達が居た世界とは変わりない世界観ね」
ミラーゲート・リングに反応する指輪に導かれて到着した世界の景観に、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは自分達のいたアニメタウンと変わりない世界観で辺りを見渡す。
「Mrフェイクはどこに?」
ミラーガールがMrフェイクの姿を探索するべく、その場で辺りを見渡している、ちょうどその時。
周囲を見渡しているミラーガールやジャッジ・ザ・デーモンが見上げた視線の先に、見覚えのあるセーラー服に似ているコスチュームの女性達が建物の屋上から屋上へと飛び移っているのを目撃した。
「え!? 今のって……!」
「まさか……セーラー戦士か? なんだ、別世界なんかじゃなく、元いた世界だったって訳か」
一驚するミラーガールに反して、ジャッジ・ザ・デーモンは自分達が移動した先のこの世界が元居た世界だったのかと落ち着いていた。
「し、修司……」
「………………」
「あ、そうだった。ジャッジ・ザ・デーモン、どうする?」
「とりあえず、報告だけでも良いから、うさぎ達と合流するか。そんでもって、聖龍隊の本部に戻ってMrフェイクの追跡をどうするか検討しよう」
「ええ、分かったわ」
咄嗟に今の時点での呼び名を訂正するミラーガールに対し、ジャッジ・ザ・デーモンはセーラー戦士達と合流する事を先決する。これにミラーガールも同意して、二人は早速セーラー戦士を追って彼女らと同じく屋上伝いに移動するのだった。
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールがセーラー戦士を追って後を追尾していくと、セーラー戦士達は謎の敵と激しく交戦してた。
「妖魔め! 今日こそはギャラクシアの思惑通りにはさせない……!」
セーラージュピター達の怒号が飛び交う中、激しい肉弾戦で交戦するセーラー戦士達。
そんな交戦状態を遠くから観察するジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、不思議に思ってた。
「ね、ねえジャッジ・ザ・デーモン……妖魔って、もう私達が子供の頃に倒し切った筈よね? それにギャラクシアって……」
「あ、ああ……それに、あのセーラー戦士達、俺達が知ってるコスチュームとは若干違うみたいだ。まさか……」
「? どうしたの? 何か気付いたの?」
何かしら気付いたジャッジ・ザ・デーモンにミラーガールが問い掛けた、その時。
激しい戦闘で起こった爆発で、戦ってたセーラー戦士達の間近に建っていた鉄塔が根元から倒れてきた。
「あ!」「危ない!」
セーラーマーキュリーとセーラーマーズと思われる女性達が反応する中、一人セーラームーンに酷似した女性が鉄塔の下敷きになりかけた。
「セーラームーンが!」「ッ!」
ミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンもそれを前に、すかさずジャッジ・ザ・デーモンは潜んでた建物の陰から飛び出した。
そしてセーラームーンに似た女性が押し潰される寸前、ジャッジ・ザ・デーモンが倒れてくる鉄塔を自慢の怪力で支えて、倒れるのを阻止した。
「え?」
見た事もないジャッジ・ザ・デーモンに助けられて困惑するセーラームーンに似た女性。そんな彼女の許に今度はミラーガールが駆け寄る。
「さっ、急いで離れましょ!」
ミラーガールはセーラームーンに似た女性の手を取り、彼女を安全な場所まで誘導する。
そしてミラーガールがセーラームーンに似た女性を安全な場所まで導いた後、ジャッジ・ザ・デーモンはようやく倒れてきた鉄塔を放して解放される。
「ふぅ……流石にデーモンの状態で怪力使うのは酷だわ」
流石のジャッジ・ザ・デーモンも、筋肉を膨張させてない状態で怪力を使うのは至難の業だったみたいだ。
それと同時に妖魔と呼んでいた敵達との乱戦も終わりを迎えたのだが、セーラームーンに似た女性が助かったのと同時に付近にいたセーラー戦士達に似た女性達はジャッジ・ザ・デーモンを取り囲んだ。
「妖魔め! 何が目的でうさぎを助けたの!」
「今度は何を企んでいるの、妖魔!」
「ま、待て! 俺は妖魔じゃない! (まあ、妖魔みたいな見た目だから仕方ないが……)」
セーラーマーズとセーラーヴィーナスに似た女性達から睨まれて、ジャッジ・ザ・デーモンは内心自分の見た目から怪しまれも仕方がないと自覚しつつも必死に妖魔ではないと説く。
すると其処に、先ほどセーラームーンに似た女性を助けたミラーガールがジャッジ・ザ・デーモンの前に駆け寄って周りの女性達を前に必死に説明する。
「待って! 彼はもちろん、私達は敵じゃないわ! お願い、攻撃しないで……セーラー戦士!」
と、必死に訴えるミラーガールに対し、セーラー戦士に似た女性達は互いに顔を見合わせて話し始めた。
「……どうする?」
「敵、なのかどうか分からないわ」
「私たちのこと、世間で勝手に呼ばれてるセーラー戦士と呼んでる以上、この二人は妖魔とは違うのかも」
「でも、どう見ても怪しいわよ!」
「だけど……私たち、スターウォーリアーズの俗称であるセーラー戦士と呼んでる以上、この二人はギャラクシアの配下ではないのかも……」
((スターウォーリアーズ?))
女性達の会話を前に、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはスターウォーリアーズという呼称に内心反応した。
と、その時だった。
鉄塔が倒れるほどの爆発音を聞きつけ、どうやら民間人が警察を呼んだらしくパトカーが何台も此方へと向かってくるのがサイレンの音で認識できた。
「いけない! 警察だわ」
「敵かどうかは、この二人を尋問すれば解る事だよ」
セーラーマーキュリーに似た女性が反応する中、セーラージュピターに似た女性がジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールを尋問すれば済むと言い出した時点で、ジャッジ・ザ・デーモンは今は話し合う余地はないと判断する。
「いかん、ミラーガールここは一旦退くぞ」「え?」
ミラーガールが唖然とする中、ジャッジ・ザ・デーモンは足元に向かって閃光弾を投げ付けて、凄まじい閃光をその場に放って女性達を怯ませる。
「うわっ!」
女性達が怯んだ隙に、ジャッジ・ザ・デーモンはミラーガールを連れて姿を晦ました。
「くっ、逃げられたか……!」
セーラージュピターに似た女性が悔しがっていると、セーラーマーキュリーに似た女性が皆に言う。
「みんな! 今は私たちもこの場から離れた方がいいわ」
セーラーマーキュリーに似た女性からの提言で、五人のセーラー戦士に似た女性達はその場から離脱した。
そして現場に誰も居なくなったところへ警察が駆け付けてきた。
「くそッ! またセーラー戦士達が暴れたんだな!」
「一体どんだけ、街の公共物や建物を破壊すれば気が済むんだ!?」
セーラー戦士達への文句を言う警察官達の台詞を、遠くの建物の屋上から双眼鏡を用いて観察するジャッジ・ザ・デーモン。
(まずは今の状況を確認する必要があるな。この世界は、俺達が居た世界とは異なっている。それ故に、あのセーラー戦士達も俺達と同じ聖龍隊のセーラー戦士とは別人の様だ)
ジャッジ・ザ・デーモンはミラーガールと共に、夜明けになるのを待ってから行動を再開するのだった。
[情報収集]
朝を迎えてから、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは行動に移した。
まず二人はジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの姿ではなく、民間人に扮して街中で様々な情報を集めるのだった。
「なんか便利だよな。お前のコンパクトの鏡面に反映されれば、一瞬でパワードスーツ姿でも普通の衣服に変えられるんだから」
「ふふ、便利でしょ」
ジャッジ・ザ・デーモンはミラーガールのコンパクトで、着替えも自由自在な魔法に驚きつつも感心してた。
そんな中、ジャッジ・ザ・デーモン、いや小田原修司は前の人が財布から落としたお札を拾い上げて一瞬ながらも凝視した。
「すいません、落としましたよ」
「え? ああ、これはありがとうございます」
修司は一瞬だけお札を凝視すると即座に前を歩いていた人に、お札を返却した。
そしてお札の絵柄を凝視して観察した修司は、隣を歩くアッコに密談した。
「あのお札、俺達が知ってるアニメタウンや日本のお札とは全く絵柄が異なってた」
「つまり、どういう事?」
「俺の勘が当たってるなら……此処は並行世界、パラレルワールドの世界だろう」
「え……!?」
驚愕するアッコに、修司は自説を続ける。
「やっぱりMrフェイクを追って辿り着いたのは、元居た世界ではない並行世界の別世界だったんだ」
「そ、それじゃ……昨晩のセーラー戦士達は?」
「パラレルワールドの……並行世界のセーラー戦士なんだろう。だからコスチュームも若干違っていたし、俺達の事も知らなかったんだ」
「な、なるほど……」
「もっと情報がいるな。ちょっと図書館まで出向いて、パソコンで過去や最近の新聞記事を漁って情報を収集するぞ」
「……この世界のパソコンが、私達の世界のパソコンと近ければいいんだけどね」
こうして修司とアッコは図書館へと赴いた。
修司とアッコ、二人は図書館へと足を運んでパソコンで昨晩遭遇したセーラー戦士達に似た女性達の事を調べ始めた。
「何々……どうやらあの女たちは自分からセーラー戦士と名乗っておらず、世間やマスコミが勝手に彼女達のコスチュームがセーラー服に似ているからセーラー戦士と呼び始めたみたいだな」
「それに、戦闘中に一般人に迷惑行為として負傷させてしまったり、建物や公共物を壊しちゃったりしてるみたい……」
「エンディミオンに似た男も存在しているみたいだ。仮面の騎士、通称マスクナイトと名乗っているらしいが、ネット界隈ではほとんど変質者としてネタにされてるみたいだな……此処は俺達が良く知るタキシード仮面と変わりないな」
「それ言ったら可哀そうよ、修司」
二人で別世界のセーラー戦士達の情報を図書館のパソコンで調べてた修司とアッコ。
と、そんな二人に声をかける女性が。
「あなた達、何をそんなにセーラー戦士達の事を調べてるの?」
「「!」」
突然後ろから声をかけられ、一驚する修司とアッコが同時に後ろへと振り返ってみると其処には見覚えのある青い髪の女性の姿があった。
「あ……!」(亜美……)
それはセーラーマーキュリーこと水野亜美にそっくりな女性だった。アッコと修司は一瞬ポカンとしていたが、目の前の亜美に似た女性は二人に話し続ける。
「結構、熱心にセーラー戦士の事を調べているみたいね」
「え……ええ! 私たち、セーラー戦士について興味があって! ねっ、修司」
「あ、ああ……俺たち、謎に包まれているセーラー戦士について、大学でレポートを纏めようかと思いまして」
「あら、大学生だったの、あなた達」
修司の返答に少し意外という顔を浮かべる亜美に似た女性を前に、アッコは修司と囁き合う。
「だ、大学生って、修司……」
「仕方ないだろ、他に思い付かなかったんだから」
と、そんなヒソヒソ話をする二人を見て、亜美に似た女性は二人に提案する。
「そんなにセーラー戦士の事を知りたいの? 実は私、少しセーラー戦士について知っているから、良かったら教えましょうか?」
「え! 良いんですか?」
「ええ、これも何かの縁よ」
水野亜美に似た女性からの提案にアッコが喜ぶと、女性は何かの縁と言って修司とアッコと共に図書館の屋外にある休憩スペースまで移動した。
「紹介が遅れたわね。私は水野亜美、これでも一応は女医をしているわ」
「女医さんなんですね、亜美さんは(わあ、こっちの世界でも女医なんだ、亜美さん……)」
「………………」
パラレルワールドでの名前も元居た世界と同じ名前と職種だと知って内心唖然とするアッコに対し、修司は落ち着いた様子で亜美が奢ってくれたコーヒー牛乳を一口啜る。
「セーラー戦士ってね、実は本当はセーラー戦士ではなかったの。今の俗称は世間やマスコミが勝手に、彼女達がセーラー服に似たコスチュームを着ているからって、セーラー戦士と呼び始めたのが切っ掛けで、五人の中にはそれを不服と思ってるメンバーも居るみたいよ」
「へえ、こっちのセーラー戦士って、元々はマスコミとかが勝手に名付けてた呼び名だったんですね」
「? こっちの?」
「あっ……い、いえ、なんでもないです。はは……」
思わず口が滑ったアッコに、修司は睨み付けながら肘を隣のアッコにぶつけて訂正させる。
「そ、それじゃ……本来、セーラー戦士達の本当の呼び名はなんですか?」
修司が問い掛けると、水野亜美は真顔で答えた。
「彼女達の本来の呼称はね……スターウォーリアーズなの」
「スターウォーリアーズ……!」「………………」
水野亜美から聞かされたスターウォーリアーズの名に、アッコは唖然とし、修司は黙然と真顔で聞いていた。
そんな二人に水野亜美は更に話し続ける。
「でもね、彼女達は正義のヒロインであるけど、いつも自分自身を傷付けてしまうほど激しい戦いを繰り広げてるの。その分、一般人を巻き込んでしまって負傷させてしまったり、建物や公共物なんかを破壊して世間を騒がしてしまう一面もあるのよね」
「そ、そうなんですか……」「………………」
水野亜美の話にアッコは頷き、修司は黙然とコーヒー牛乳を啜りながら耳を傾ける。
と、修司とアッコがパラレルワールドの水野亜美の話に耳を傾けていると、突然目の前の亜美が眼鏡を外して改めて言葉をかけてきた。
「ところで……あなた達はなんで、セーラー戦士の事を調べているのかしら」
「!?」「えっ? だ、だから、大学のレポートで発表しようと……」
突然目付きを鋭くさせて訊ねる亜美からの質問に、修司とアッコは意表を突かれて戸惑ってしまう。
「最初は信じかけてしまったけど、今どきセーラー戦士の事を調べようとする物好きはそうそう居ないわ。正直に言うと、時には民間人や公共物にも被害を齎すセーラー戦士をレポートに纏めて発表しようなんて人は、普通に考えて居る訳がないの」
「わ、わわわ……っ」「……!」
鋭い目付きで真正面から凝視してくる亜美の話を聞いて、アッコは戸惑い修司は表情を険しく強張らせる。
「……あなた達は何者? 見たところ、恋人同士には見えなくはないけど」
「「………………」」
亜美から問い詰められ、修司とアッコは黙り込んでしまう。
するとその時だった。
「亜ーー美ちゃんっ!」
三人が対話している所に、亜美に向かって気軽に陽気に名前を呼んできた声が。
三人が同時に振り向いてみると、そこには金髪で頭の左右にシニヨンとツインテールが特徴的な髪型の女性が。
「う、うさぎちゃん」その女性を見て、亜美が名前を口にする。
突然やって来たパラレルワールドの月野うさぎの登場に、修司とアッコは互いに顔を見合わせる。
「今だ、アッコ」
修司は水野亜美が月野うさぎに気を取られている隙に、アッコの手を取り、右手にグラップネルガンを持って、図書館の屋上に急いで姿を隠す。
「え?」
いつの間にか姿を晦ました修司とアッコに、亜美は唖然と固まってしまう。
「亜美ちゃん、どうかしたの?」
そんな亜美にうさぎが問い掛けると、亜美は険しい顔でうさぎに顔を向けた。
「う、うさぎちゃん。実は……」
亜美はうさぎに先ほどまで遭遇してた修司とアッコの事を話す。
「えっ!? そ、その二人が私たちの事を調べてたって訳!?」
「ええ、正直、時には民衆から忌み嫌われている私達を調べて発表しようとする物好きな人は普通居ないわ。最初は様子見も兼ねて、私達の活動に支障が出ない限りの情報だけ話して窺ってたんだけど、正体を問い詰めている時、うさぎちゃんに気を取られて目を離したホンの数秒の間に姿を消したのよ。……アレは普通の人間の動きじゃないわ」
驚くうさぎに対して、亜美は修司とアッコが突如姿を晦ました現象を人間離れしてると認識していた。
「うわあ、昨日の夜の怪しい二人組に続いて、今度は私達を調べてたカップルか。不安だなぁ」
話を聞いて、うさぎは不安がってしまう。
「でもでも。さっきのカップルは何処かへ消えちゃったんでしょ? それじゃ、どうしようもないじゃん」
不安がるうさぎに、亜美は自信満々な表情でうさぎに言った。
「大丈夫! 女性の方は口を付けなかったけど、男性の方はしっかり私が奢ってあげたコーヒー牛乳を飲んでくれたわ」
「へっ?」
亜美の台詞に、うさぎは理解できず困惑してしまう。
一方、突然の亜美からの問い詰めに思わず退避するかなかった修司とアッコは、図書館の屋上から会話するうさぎと亜美を観察していた。
「いや~~、この世界の亜美も知性的だな。しかも勘が鋭いと来た」
「い、いきなり腕を引っ張らないでよ修司。ちょっと腕を痛めちゃったわ」
修司が変わらない亜美の知性的な部分と勘の鋭さに一驚する一方、アッコは先ほど修司に腕を掴まれて強引にグラップネルガンで屋上へと上昇した際に腕を軽く痛めてしまってた。
だが、この状況に修司は一抹の不安を覚えていた。
(あの亜美の事だ、なにか考えて俺やアッコに飲み物を奢った筈。俺の考えすぎなら良いが、もし俺が口を付けた、あの紙コップを亜美が調べたら……)
この修司が抱いた一抹の不安は、現実のものへと変わるのであった。
[調べられた遺伝子]
突然目の前から姿を消した修司とアッコに疑問と不安を覚えたパラレルワールドの水野亜美と月野うさぎは、夜になってから他の戦士達を呼び集めて自分達の拠点であるパレス・キャッスルに集結した。
「昨晩の怪しい二人組に続いて、今度は私たちの事を調べるカップルですって!? めちゃくちゃ怪しいじゃん!」
「今、マーキュリーとヴィーナスが調べてくれているけど……何者なんだろう」
「………………」
パラレルワールドのセーラーマーズとセーラーヴィーナスが話してる最中、一人セーラームーンは考え込んでいた。
と、その時。パレス・キャッスルの高性能コンピューターで何かを調査していたマーキュリーとヴィーナスが他の三人を呼ぶ。
「みんな」「ちょっと見て」
二人に呼ばれて、他の三人もモニターに注目すると、其処には遺伝子配列の画面が映し出されていた。
「昨晩の二人組は、まだ何の情報も手に入ってないけど……今日、図書館で出会ったカップルについては、男性の方は遺伝子を調べて分かった事があるわ」
「さっすが亜美ちゃん! 飲み物を奢ってあげると見せかけて、相手に紙コップを使わせて、唾液を採って遺伝子を調べちゃうなんてスゴイ! やっぱり女医さんは違うなあ」
「女医というか……刑事ドラマに出てくる法医学者みたいだけどね」
喜々と舞い上がるセーラームーンに、セーラーマーズが呆れてしまう。
と、ここでセーラーマーキュリーが皆に唾液の調査結果を、画像を示しながら説明を始める。
「唾液を調べて分かったのは、昼間私達を女性と一緒に調べてた男性の血液型は一般的なA型の人間だったって事なんだけど……」
「え!? 人間って……それじゃ、敵であるギャラクシアの配下ではないってことなの?」
セーラージュピターが問い返すと、マーキュリーは真剣な顔で頷いた。
「ええ、彼は人間なのは間違いないんだけど……けど、普通とは違うみたいで」
「普通とは違うって?」
今度はセーラーマーズが訊ねると、マーキュリーは険しい面持ちで説いた。
「昼間、私達を調べていた男性、彼は………………普通の筋肉細胞を持ってはいない、そういった人間なの」
「え? それって、どういう事?」
マーキュリーの説明にセーラームーンが首を傾げて不思議そうにすると、マーキュリーは何かを思い詰めた様な険しい顔付きで自説を唱えた。
「なにか、薬かあるいは超常的な力が働いて、普通の筋肉よりも発達した細胞を持っているみたいなの。つまり、超人的な肉体を持っていて、代謝もいいから傷の回復も通常より早いといった利点もあると考えた方がいいわ」
「そ、それって……普段から、その気になれば超人の様にいられる私たち戦士と同じ……いえ、それ以上って事!?」
「ええ、そうなるわね。何故、この力があるのか……もしかしたら、ギャラクシアが私たちの遺伝子を使って生み出した全く新しい敵なのかもしれないわ」
セーラージュピターからの疑問に答えるマーキュリーの仮説に、その場の戦士達は激しく動揺した。自分達の様な戦士から生み出された全く新しい敵が存在するのかと思えば、気が気でないからだ。
と、ここでセーラーマーズが一つの質問を問い掛けた。
「……ねえ。ところで、その異常に発達した細胞を持っている男性と、昨晩私達の前に現れた異様な容姿をした怪人は、なにか関係があるのかしら?」
「そうね。もしかしたらルナやアルテミスみたいに、昼間の時は人間の容姿に、夜は怪人の姿に変身できるって考えた方がいいかも。今までの敵も、人間の姿に変身してたケースが多かったから、容易に仮説が立てられるわ」
マーズの疑問にマーキュリーが仮説を唱えていると、ここで沈黙してたセーラームーンが皆に声をかける。
「ね、ねえ、みんな……」
他の四人は一斉にセーラームーンに顔を振り向くと、セーラームーンは痛い気な表情で四人に言った。
「私さ……昨晩、私を助けてくれた、あの怪しい二人が敵だとは、どうしても思えないよ……!」
このセーラームーンの台詞に、セーラーマーズが呆れてしまう。
「出たわ、うさぎの人間を信じたい症候群」
続けてセーラージュピターもセーラームーンに言う。
「うさぎちゃん、前からそうだけど、迂闊に誰彼信じたら危険だよ。今までだって、それで何度危ない目に遭ってきたか」
しかし皆の呆れる視線を浴びても、セーラームーンは自分の思考を貫いた。
「だ、だけど……! 昨日の夜の二人は、私が鉄塔に押し潰されそうになったのを命懸けで助けてくれたんだよ!? もし私達の命を狙ってるなら、見捨てるか、鉄塔に押し潰された時に追撃するのが普通じゃないかな……」
「だけど、それは敵が私たちの油断を招いたり、味方のフリして近付く為の作戦かもしれないのよ!」
セーラームーンに怒鳴るセーラーマーズだったが、それでもセーラームーンはジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが敵だとは思いたくない心中だった。
と、皆が昨晩セーラームーンを助けたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールについて審議をしていた所へ駆け込む三人の姿が。
「みんな、敵よ!」「また敵が街中に現れたみたいだ!」
「スターウォーリアーズ、出撃よ!」
その三人は、人間体の姿をしたルナとアルテミス、そして本来はセレニティという名前のパラレルワールドのちびうさだった。
「って、ちびうさ! もう夜も遅いんだし、子供は早く寝なさい。戦うのは私たちに任せてさ」
「だーーかーーらっ! 私にはセレニティって名前があるんだから、いい加減ちびうさなんてあだ名はやめてよね!」
「ま、まあまあ、二人とも……」
顔を合わせれば喧嘩ばかりのセーラームーンとセレニティを前に、セーラーマーキュリーが困惑しながらも二人を宥める。
「セーラームーン、また例の怪しい二人組が現れるかもしれないし、此処は戦力を強化する意味も込めて、セレニティにルナとアルテミスも参戦させましょう!」
「え、ええ……わ、分かったよ(本当は子供のセレニティには戦わせたくないんだけどな……)」
戦力を加算させる為にも、セレニティとルナとアルテミスにも参戦してもらおうと言い出すセーラーマーズの勢いに押され、セーラームーンは複雑な心境だった。
そしてスターウォーリアーズの女性達は、急ぎ現場へと急ぐのだった。
「みんな、もし昼間私と対面した男性と、昨晩の謎の怪人が同一人物かもしれないから気を付けて! 相手は新陳代謝が強化されて、身体回復も異常に発達した生命体! 油断だけはしないで……!」
現場に同行する道中、セーラーマーキュリーが皆に謎の怪人(ジャッジ・ザ・デーモン)と謎の男性(小田原修司)が同一人物である可能性を示唆しながら警戒する様に伝える。
[集結する戦士達]
そして星々が輝く夜空の真下の街中では。
無数の妖魔たちが民間人を襲撃し、人々は逃げ惑っていた。
「うわーーッ!」「きゃあっ!」
誰も彼も自分優先に行動し、時には他人を押しのけて自分だけ逃げる民間人も見受けられた。
そんな殺伐とする現場を、建物の屋上である高所からジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが寡黙に観察していた。
「ね、ねえ、ジャッジ・ザ・デーモン。私たち、助けに動かなくていいの?」
「俺たちの本来の目的はMrフェイクの追跡だ。むやみやたらに並行世界で活動するのは避けた方がいい」
「………………」
「なに、俺も本当に緊急の時は昨晩の様に動くさ。だが、それ以上にこの世界のセーラー戦士達が如何に動くか確認したいんだ」
ジャッジ・ザ・デーモンの考えに、ミラーガールは彼を信じて黙って行動を共にする。
と、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが黙々と騒然とする現場を見下ろしていた、その時。
「妖魔たち、其処までよ!」
騒然とする現場に並行世界のセーラー戦士、スターウォーリアーズが馳せ参じた。
「来たか!」「!」
終始、現場を観察してたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはスターウォーリアーズが駆け付けた現状に安堵する。
そんなジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが見守る中、スターウォーリアーズは果敢に周囲の妖魔たちを次々に倒していく。
「す、凄い……! 私達が知ってるセーラー戦士達より肉弾戦が激しい……」
「うーーむ、肉弾戦が得意の様だな。この世界のセーラー戦士、いやスターウォーリアーズは」
自分達が知るセーラー戦士よりもスタイリッシュかつ美しく、そして攻撃的でパワフルな戦闘スタイルに、ミラーガールは唖然とし、ジャッジ・ザ・デーモンは静かに観察を続ける。
そんな戦闘の中を、見慣れない二人の戦士も戦いに参戦してるのにジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは気付く。
「ね、ねえ、あの二人って……」
「確か、俺たちの知るルナとアルテミスの人間形態の姿と似ているし……間違いない、あの二人はルナとアルテミスだ」
二人が気付いたのは、棒術で戦うルナと剣術で戦うアルテミスの二人だった。
更にジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが気付いたのは、強烈な蹴りを妖魔にお見舞いして攻撃するセレニティの存在だった。
「あ! ちびうさちゃんだ」
「この並行世界のちびうさも、肉弾戦で戦うのか……(まるでキックアスのヒットガール並みの強さだな)」
セレニティの姿を目視し、ミラーガールは懐かしさで嬉々とし、ジャッジ・ザ・デーモンは彼女の強さを評価する。
と、スターウォーリアーズの女性達が街中に蔓延る妖魔たちを一掃し終わろうとしてた、その時。
「……君たちは何者だ」「「!」」
突如、後方から呼びかけられてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは一驚して振り返る。
すると二人の前に、仮面を被った黒服の男が二人を見詰めていた。
「あ、あなたはタキシード仮面!?」
「タキシード……? 誰かと勘違いしている様だな」
思わずミラーガールが驚くが、彼女の呼び名に目の前の男は違うといった素振りを見せる。
「そうか、あんたがこの世界でいうキング・エンディミオン……仮面の騎士マスクナイトだな」
「俺の前世を知っているとは……! お前達は何者だ!?」
ジャッジ・ザ・デーモンの言葉に対し、マスクナイトは二人を怪しみ敵視して攻撃してきた。
マスクナイトの攻撃に対して、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはそれぞれ左右に散って攻撃を回避。
「待ってくれ、俺たちに敵意はない」
「何を抜かす……そんな人々を恐がらせる様な見た目で、敵意が無いと何を根拠に信じられる」
マスクナイトが正論を述べると、彼はジャッジ・ザ・デーモンの足元に一輪のバラを投げ付けて突き刺した。
「的が外れている様だが」「フッ、そうかな」「!?」
マスクナイトの言動に不思議がるジャッジ・ザ・デーモン。すると彼の足元に突き刺さったバラから瞬く間に荊の蔦が生えていき、その蔦がジャッジ・ザ・デーモンを拘束する。
「え!?」「なるほど、拘束術か」
ミラーガールが驚愕する中、ジャッジ・ザ・デーモンは慌てる事無く自分を拘束するバラを象った拘束術に納得する。
「お前は後でゆっくり調理してやる。その前に……」
そう言うと、マスクナイトは魔法で剣を出現させて、その剣でミラーガールへと斬りかかっていく。
「わっ、わっ!」
突然の剣戟にミラーガールは激しく動揺し、右に左に攻撃をかわすのがやっとだった。
「ミラーガール! くッ」
ミラーガールの危機に、ジャッジ・ザ・デーモンは自分を拘束するバラの蔦を解く為、鉄の鎖をも断ち切れる両腕に内蔵されているチェーンソーを起動させてバラの蔦を切断していった。
その間も、マスクナイトはミラーガールへと容赦なく斬りかかっていた。
ミラーガールは辛うじてミラーシールドでマスクナイトからの斬撃を防ぐので精一杯だった。
と、ジャッジ・ザ・デーモンがバラの蔦での拘束を断ち切り、マスクナイトがミラーガールへと容赦なく攻撃していた時。
建物の屋上から聞こえてくる剣戟の金属音に気付いて、地上で戦いを終えたスターウォーリアーズの面々が屋上へと跳躍して上がって来た。
「何の騒ぎ!?」
セーラーマーズに続き、マスクナイトを一目見たセーラームーンとセレニティが目を輝かせる。
「「マスクナイト様……!」」
その一方で、先ほど自力で荊の蔦を切断して自由になったジャッジ・ザ・デーモンがミラーガールの許へと駆け寄ると。
「あ! 昨日の奴らもいるよ!」「何を企んでいるの!?」
セーラージュピターとセーラーヴィーナスが二人を問い詰めていると、そこにマスクナイトが付け加える。
「スターウォーリアーズ! この二人は、先ほどまで君らが対処していた妖魔との戦いを此処から傍観してたんだ。ギャラクシアの手先かもしれん、注意しろ!」
そしてスターウォーリアーズにマスクナイトも加わり、全員がジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに向かって少しずつ距離を詰めていく。
「ど、どうする、ジャッジ・ザ・デーモン……?」
「ッ……こうなったら、戦うしか選択肢はないのかもしれん」
動揺するミラーガールに対してジャッジ・ザ・デーモンは、スターウォーリアーズと戦う以外ないのかとジャッジラングに手を伸ばした。
が、その時。
「ま、待って、みんな!」
突如セーラームーンが叫んだと同時に、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールを庇う様に二人の前へと駆け出す。
皆はセーラームーンの一声に反応し、一斉に彼女へと注目する。
「せ、セーラームーン?」
スターウォーリアーズの皆々は、突然のセーラームーンの行動に騒然とするが、そんな中でもセーラームーンは必死に仲間達に訴える。
「待ってよ、みんな。そんな一方的に攻めたら、相手の話なんか聞けないじゃない。忘れたの? この二人は昨日の夜、命懸けで私を助けてくれたんだよ」
「で、でも! それは、そいつらが私達を油断させる作戦かもしれないのよ!」
セーラームーンに訴えにセーラーマーズが反論するが、それでもセーラームーンの思いは変わらない。
「た、確かに……女性の方はともかく、怪人みたいな格好の人はどう見ても不気味だけど……でも、私には悪い人たちには見えない。ねえ、どうか話を聞くだけでもできないかな?」
『………………』
セーラームーンの必至の嘆願に、スターウォーリアーズの面々は言葉を失くす。
と、そんな慈愛に満ちたセーラームーンの嘆願を目の当たりにして、ジャッジ・ザ・デーモンが口を開いた。
「……フッ、なるほど。この世界のセーラームーンも、度が過ぎるお人好し……いや、慈愛に満ちた戦士の様だな」
このジャッジ・ザ・デーモンの発言を聞いて、セーラームーンの嘆願もあってか大人しく話に入るマスクナイトが言った。
「この世界、とは何の事だ? さっき俺の事も、タキシード仮面と呼んでいたが、そもそもお前らは……」
このマスクナイトの疑問に、ミラーガールが立ち上がって返事する。
「ここまで来たら、全部正直に話した方が良いわよね、修司」
「ああ、そうだな」
すると互いに了承したジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、それぞれ顔のマスクを外して一時的に素顔を晒した。
「あ、あなた達! やっぱり昼間、図書館で私たちを調べてたカップル!」
二人の素顔を見て、セーラーマーキュリーが一驚する。
そして素顔を皆に明かした後、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは再びマスクを装着してからスターウォーリアーズの皆に話した。
「話す必要があるのかもしれない。俺たちが追っているMrフェイクという犯罪者を追うのにも、お前達の協力が必要かもしれないしな」
「Mrフェイク?」
マスクナイトが首を傾げると、続いてミラーガールが皆に話した。
「信じてもらえるか分からないけど、私達の素性や事情を話すわ。まずは其処からね」
こうしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、二人でスターウォーリアーズの面々に話そうとした。
が、その時。
先ほどまでのスターウォーリアーズと妖魔たちの戦闘を聞きつけ、警察官達がパトカーで駆け付けてきた。
「落ち着いて話をする為にも、一旦場所を変えよう」
このジャッジ・ザ・デーモンの提案で、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは屋上から屋上へと移動。そんな二人を追って、未だセーラームーン以外は半信半疑のスターウォーリアーズの面々も追走して場所を変える。
[理解し合う一同]
スターウォーリアーズのセーラームーンの嘆願もあって、ようやく落ち着いて話を交えられる一同。
そして場所を変えて自分達の事情や素性そして何故この世界に来たのかを淡々と説明するジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
「……つまり、何か? 君たち二人はパラレルワールドから来たって事か?」
「ああ、そう言う事だ」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの話した内容に、マスクナイトを始めとしたスターウォーリアーズの面々は半信半疑だった。
「パラレルワールド、並行世界……創作なんかの物語では、よく使われる設定だけど、物理学的には実在してると言われてるアレね……」
「ちょ、ちょっとマーキュリー、まさかパラレルワールドなんてホントに信じてる訳!?」
物理学的には実在していると認識するセーラーマーキュリーの意見に、セーラージュピターが一驚する。
「紹介が遅れたけど、私はミラーガール。並行世界のスターウォーリアーズ、セーラー戦士と日夜一緒に戦っているわ」
「あなた達の並行世界では、私達は前世からセーラー戦士だったのね……」
ミラーガールの自己紹介を聞いて、セーラーマーズが並行世界での自分達の愛称に驚く。
「そして彼がジャッジ・ザ・デーモン。見た目は怪しいけど、弱者を救済する為に毎夜、凶悪な犯罪者と戦っている私の仲間よ」
「宜しく」
ミラーガールの紹介を受けて一言発するジャッジ・ザ・デーモンに、彼の異様な容姿に未だ疑心暗鬼を抱くスターウォーリアーズの面々。
「そ、それで……あなた達二人は、この世界にMrフェイクっていう犯罪者を追って、やって来たんだよね……」
「ああ、Mrフェイクは異常性犯罪者すなわちサイコパスだ。別の世界で、どんな悪事を働くか分かったもんじゃない。早々に捕縛しなければならない」
セーラームーンの問い掛けに、ジャッジ・ザ・デーモンが返答する。
「うーーん、俄かには信じられない……パラレルワールドという存在だけでもそうだが、別の並行世界では、僕達が別の戦士いや英雄達と一緒にチームを組んで戦っているなんて……」
「でも……別の並行世界でも、私達は戦っているんだね。平穏な生活とは違って……」
「セレニティ……」
俄かには信じ難い話に下を俯く人間形態のアルテミスに対し、別の並行世界でも自分達は平和とは程遠い戦いに身を投じていると知って悲痛な面持ちを浮かべるセレニティを人間形態のルナが悲し気に見詰める。
すると此処でジャッジ・ザ・デーモンが数歩前に出て、今度はスターウォーリアーズの面々に質問を投げかけた。
「俺たちの素性は話した。今度はそっちが話してくれないか……スターウォーリアーズとは何なのか? そして今、あんた達が戦っている敵は何者なのかをな」
ジャッジ・ザ・デーモンからの質問に対し、スターウォーリアーズの面々は一気に険しい顔になった。
そしてスターウォーリアーズの面々はジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに自分達の事を語り始める。
まず昼間、水野亜美が修司とアッコに話した様に、この世界のセーラー戦士という俗称は世間やマスコミが勝手に名付けた名称であり、本来はスターウォーリアーズというのが正しい。このセーラー戦士という名称には、一部のスターウォーリアーズの面々は内心不服と感じているらしい。
また彼女達には、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの世界の様に、アッコから派生した変身ヒロインに共通しているコンパクトやペンといった変身アイテムを持っておらず、己の意志だけで短時間で変身及び変身解除が可能だという。
更に変身していなくても、各々戦士としての特殊能力や身体能力は継続されており、無論鍛錬を積む事でそれらの能力も増していき、その気になれば常時超人の状態で生活が可能。が、それによって一般人に迷惑をかけたり怪我を負わせたり、うっかり私物や建物に公共物を破壊してしまうという。
そしてマスクナイトは、原作の地場衛と同様に前世は地球の王国の王子であるエンディミオンであり、現世では仮面の騎士マスクナイトとして活動。主に剣、薔薇を象った拘束、投擲攻撃系魔法も操れるという。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールがちびムーンと思っていたのが、この並行世界では地球から遠く離れた惑星で暮らす付きの王国の一族の子孫であり、セレニティという本名らしい。が、うさぎから嫌味半分でちびうさと渾名されていて、未来から来た月野うさぎと地場衛の娘ではないとの事。月の王国は一度滅亡するも、王族は全滅したわけではなく、生き残りが他の惑星に移住して生き延び、国を再建しているという。
先ほどスターウォーリアーズに混じって参戦してた人間形態のルナとアルテミスはセレニティの従者兼親友。本来は人間体の姿なのだが、猫に変身して地球での潜入捜査を行いやすくしているという。また、スターウォーリアーズほどの力はないが、人間体での戦闘も可能。ルナは棒術、アルテミスは剣術で戦うという。
「ふーーん、なるほど。この世界の変身ヒロインは、アイテム無しで変身できるのか。それは凄い」
「と、いうか……そっちの並行世界では、俺たち以外にも変身できる輩が大勢いるんだな」
話を聞いて頷くばかりのジャッジ・ザ・デーモンに、彼らの並行世界では自分たち以外にも変身して戦う戦士がいる事を知ってマスクナイトが呆然とする。
「凄いなぁ、変身してなくても超人並みの特殊能力や身体能力が使えちゃうなんて……!」
「ま、まあ、それで結構色んなものを壊しちゃったり、一般人に怪我させちゃったりと大変なことも多いけどね……」
子供の様に目を輝かせるミラーガールに、セーラーマーズが日常から使える故に不便な点も唖然としながら述べる。
「俺たちが知っている地場衛こと、エンディミオンは超能力や剣術を用いて戦っているが……剣術だけでなく、薔薇を使った拘束術に投擲系の攻撃魔法も使えるとは流石だな」
「ま、まあな……」
「……ま、変質者と見られる点は一致してるがな」
「ッ!!」
ジャッジ・ザ・デーモンからの指摘を受けて、マスクナイトは表情を歪ませる。
「こっちのちびうさちゃん……あ、いいえ、セレニティは、うさぎさんと衛さんの娘じゃなくて、月の王族の末裔なのね」
「あなた達の世界の私は、うさぎとまもちゃんの娘なの!? 何だか複雑。まもちゃんはともかく、うさぎの娘ってのは気に食わない」
「何ですって……!」
説明を聞いて驚くミラーガールと対話するセレニティの発言に、思わずセーラームーンが腹を立てる。
「ルナとアルテミス、この世界のお前達も常時戦っているとは。しかも普段から猫の姿ではなく、人間とはな」
「僕たちが猫の姿になるのは、潜入調査しやすくする為の手段だからね」
「逆に常時、猫の姿なのね。そっちの世界の私達は」
人間姿のルナとアルテミスを見詰めて感心するジャッジ・ザ・デーモンに、アルテミスとルナは逆に常時猫の姿である並行世界の自分達に驚くばかり。
「……それで、話の本筋として教えてもらいたいのだが、今お前達が戦っている敵とは誰なんだ? 俺やミラーガールの事を、ギャラクシアの手先と言っていたが……」
「! ひょっとして……! あなた達の世界にも、ギャラクシアが存在してるの!?」
「え、ええ。でも、結構昔に……私が小学生の頃に戦って、決着をつけた敵よ」
ジャッジ・ザ・デーモンの反応を見て、セーラーマーズが険しい顔で問い掛けると、それにミラーガールが答える。
そうしてスターウォーリアーズは今現在、自分達と敵対している存在についても語り出した。
それはジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールがまだ子供の頃に決着がついている、あのギャラクシアだった。この並行世界では宇宙の女帝として君臨し、多大なる犠牲と強大な権力による完全な宇宙の平和と統治の実現を目論んでいるという。
「まさか……この並行世界では、未だにギャラクシアが猛威を振るっているのか」
「ええ、冷酷無比で恐れ知らず、そして頭脳明晰な彼女は度々私達の元に妖魔などの手先を送りつけては街中を戦火に晒すわ」
ジャッジ・ザ・デーモンが考え込んでいると、セーラーマーキュリーがギャラクシアの悪行について説く。
スターウォーリアーズが語ってくれた彼女達の詳細及び、今現在敵対しているギャラクシアについて一通り聴いたジャッジ・ザ・デーモンは一時ばかし考え込んでいると、マスクナイトがジャッジ・ザ・デーモンに言った。
「考えているところ悪いが……確かに俺たちは今現在ギャラクシアとの戦いの最中だが、そっちの並行世界からやって来たというMrフェイクという犯罪者も見過ごせない。確か、ジャッジ・ザ・デーモンだったな。Mrフェイクを追う手掛かりはないのか?」
「! まさか、手助けしてくれるのか……!?」
「ああ、確かにギャラクシアの件だけでも手一杯だが、ギャラクシア同様に一般人に危害を加えかねないMrフェイクという犯罪者を野放しにする訳にもいかないからな」
「助かるよ」
マスクナイトの発言に、ジャッジ・ザ・デーモンは素直に感謝の気持ちを含めてマスクナイトと握手を交わす。
「そ、それなら! 私達も、その何とかフェイクってのを探すお手伝いをしようよ! 悪い奴なら、さっさと捕まえないと!」
『………………………………』
「ま、まあ……確かに、そのMrフェイクは見過ごせないかも」
「癪だけど、此処はセーラームーンの意見に賛同するか」
マスクナイトと一緒に活動したい一心で挙手するセーラームーンに呆れるスターウォーリアーズだったが、確かに放っておけない一件だとして渋々賛同するセーラーマーキュリーとセーラーマーズの意見に他のスターウォーリアーズも首を頷かせる。
「あ、ありがとうございます!」
「ふぅ、まあマスクナイトが協力するなら、私達も協力しますか」
「ええ、そうね!」「危険な悪人は、さっさと捕まえるに限る!」
スターウォーリアーズ達の助力宣言に感謝の意として頭を下げるミラーガール。その横でセレニティとその従者であるルナとアルテミスも意気投合する。
皆の意見が一致したところで、再びマスクナイトがジャッジ・ザ・デーモンに問い掛けた。
「それで……話は戻るが、そのMrフェイクを追跡する手掛かりはないのか?」
「それなんだが……奴が持っているミラーゲート・リングというアイテムを追尾できる指輪を、俺とミラーガールが持っていて、その指輪でリングを持っているMrフェイクが何処の世界に飛んだかまでは分かるんだが……あいにく、その世界の何処に居るのかまでは反応しないんだ」
「なるほど。今そのMrフェイクが俺たちの世界に居る事は解っても、何処に居るのかまでは指輪が反応しないから分からないという事か……」
マスクナイトとジャッジ・ザ・デーモンの会話を聞いて、セーラーヴィーナスが話に加わる。
「それじゃ……私達が拠点にしているパレス・キャッスルで、この世界の何処で、どんな犯罪が起こってるか調べて、Mrフェイクの居場所を突き止められないかな?」
「パレス・キャッスル、拠点か……! そこで調べてくれるのなら有難い。俺やミラーガールは、この世界の情勢については無知も同然だから助かる」
セーラーヴィーナスの発案に、ジャッジ・ザ・デーモンは大いに助かると述べた。
「それじゃ今夜は一旦、パレス・キャッスルに戻ろっか! 悪者と思ってたジャッジ・ザ・デーモンたちも、実はパラレルワールドから来たヒーローだって解かった事だしさ!」
と、セーラームーンが満面の笑顔で言うと、ここでジャッジ・ザ・デーモンが訂正を告げる。
「いや、勘違いしないでほしいから話しておくが、俺はスターウォーリアーズやミラーガールの様な英雄などではない」
『???』
スターウォーリアーズの皆がきょとんとする中、ジャッジ・ザ・デーモンは自分の信念を述べるのだった。
「俺は別に英雄でも無ければ、自分を正義の味方とも捉えてはいない。俺はただ、自分の信じるモノの為に戦い続けるだけの存在……特に今は、平等なる裁きの象徴として戦ってるだけの恐怖を具現化した存在。それがジャッジ・ザ・デーモンだ」
『………………………………』
ジャッジ・ザ・デーモンの信条と信念が詰まった発言に、スターウォーリアーズの皆は全員愕然と言葉を失った。
そんな皆に、ミラーガールが焦った様子で話を付け加える。
「あ、あのですね。ジャッジ・ザ・デーモンは信念が異常に高いというか、信念を貫いて戦っているというか……他のヒーローとは一線を引いて戦っているところがあるんです」
「へ、へぇ……」
ミラーガールの説明を聞いて、セーラームーン達は複雑な心持だった。
そして何とか互いの事情を共有した一同は、一旦スターウォーリアーズの拠点であるパレス・キャッスルにジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールを連れて帰還する事にした。
[パレス・キャッスルにて]
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールから、並行世界から来た事を聞いて驚くスターウォーリアーズ。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールも、スターウォーリアーズの事情や現状そして敵対しているギャラクシアについて詳細を聴いた。
まずは、並行世界から来た犯罪者Mrフェイクを捕縛する為にも、情報を収集する為にスターウォーリアーズの拠点であるパレス・キャッスルへとジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールを連れて帰還。
一行はパレス・キャッスルで、Mrフェイクの居場所を特定する為に情報収集を開始した。
「ふむふむ、俺たちの世界に在るネオ・トーキョーの拠点と似てるな」
パレス・キャッスル内を見たジャッジ・ザ・デーモンは、自分達が居た世界でのセーラームーンが統治するネオ・トーキョーの拠点と似ている城内に目を見張る。
「うーーん……今現在、世界中で目立った犯罪は起こってないみたいね」
パレス・キャッスルのコンピューターで世界中で起こってる犯罪を調べるセーラーマーキュリーが唱える。
「そうですか。Mrフェイクは何処に行ったのかしら……」
マーキュリーの調査結果にミラーガールも熟考するが、いい案は思いつかない。
「そう言えば、Mrフェイクが持っているというミラーゲート・リングというのは一体……?」
マスクナイトの質問に、ジャッジ・ザ・デーモンが答える。
「ミラーゲート・リングというのは、俺たちと交流のあ鏡の国が秘蔵していたアイテムで、普通の人間でも自由自在にあらゆる世界へとゲートを開いて行き行きできる品だ」
「鏡の国?」
この時、ジャッジ・ザ・デーモンが発した鏡の国という言葉にセーラーマーズが反応すると、それについてもジャッジ・ザ・デーモンは返答した。
「鏡の国とは、文字通り鏡の中に存在しているという魔法世界で、ミラーガールに変身用のアイテムを渡したのも鏡の国の女王なんだ。鏡の国は、鏡が存在している有りとあらゆる世界を見通せると言われてる」
「へっ!? そ、それじゃ、私達の世界も見られちゃってる訳?」
一驚するセーラームーンにジャッジ・ザ・デーモンが言う。
「ああ、おそらくな。だから時には皮肉を込められて、監視世界と呼ばれる事も多々ある」
「まあ、私達の日常生活までも鏡を通して見られるってのは、あまり気分良くないしね」
ジャッジ・ザ・デーモンの説明に、セーラージュピターも呆れ果てる。
「話は戻るが……Mrフェイクは、その鏡の国からミラーゲート・リングってアイテムを盗み出したのか?」
「ああ、そうだ。腕輪であるリングを、Mrフェイクは自製のエアライドに組み込んで数多の別世界を旅行気分で逃走してる。奴を追うには盗まれたリングを追尾できる二つの指輪のみ……Mrフェイクが凶行をする前に、何としても奴を止めなければ……!」
マスクナイトからの問い掛けに、ジャッジ・ザ・デーモンは険しい声色でMrフェイクの悪事を懸念する。
と、ジャッジ・ザ・デーモンの信念溢れる自論を聞いて、セーラージュピターがジャッジ・ザ・デーモンに歩み寄って唐突に話し掛けた。
「ジャッジ・ザ・デーモン、あなたは私達とは違って一般の犯罪者を追って活動してるの?」
「ジュピター……まあ、元来は確かに一般の凶悪犯罪を解決する為に活動している。中には特殊能力を持っている犯罪者と格闘する事もあれば、Mrフェイクの様な異常性犯罪者とも死闘を展開する事も多々ある」
「なるほどね………………私達スターウォーリアーズも、時には社会問題や国際問題が絡む事件に関わったりして、社会の闇や人間の醜さ、正義の脆さなんかも痛感してるよ」
「………………何が訊きたい? セーラージュピター」
「……私達は、そんな社会の闇や人間の醜さ、そして正義の脆さなんかも目の当たりにして……時には苦悩して、絶望して、自棄になりながらも、自分達なりの正義を貫いているんだよ」
「………………」
「そうやって、正義と悪の定義を問われる事も多々あるんだけど……ジャッジ・ザ・デーモン、あなたは自分が行っている正義が常に正しいと感じる事はあるの?」
自分達の正義を過去に何度も苦悩してきたセーラージュピターからの質問に、ジャッジ・ザ・デーモンは静かに答えた。
「……このパレス・キャッスルに来る前に言ってた筈だが……俺は自分を正義の味方でもなければ、英雄とも自称してない。俺はただ、自分の信念に則って悪人に裁きを与える恐怖を具現化した存在だ」
「………………」
「何より本音を言えば、俺は正義という価値観を嫌ってる。この世の、人間の世情での正義というのは時代や情勢によってその都度変わり続ける曖昧な価値感。過去に人間が奴隷を従えていた制度も、魔女狩りをして大量殺戮を行っていた価値観も……当時では常道としてまかり通っていた正しい価値観として認識されていた。だから、俺は人間の価値観で度々変わる正義という思想には囚われない」
「……何だか、やっぱり凄い信念なんだね。あなたは」
ジャッジ・ザ・デーモンの正義という価値観の認識を知って、セーラージュピターは改めてジャッジ・ザ・デーモンの思想を理解。そしてそれは、他のスターウォーリアーズの面々も同じだった。
それからジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール、そしてスターウォーリアーズはパレス・キャッスルのコンピューターでMrフェイクの痕跡を発見できずに一晩が過ぎた。
その頃、宇宙の何処かにあると言われるギャラクティカ・パレスでは。
全身を黄金の鎧で覆った、かなりの長身でやや筋肉質の、美形の女帝ギャラクシアが一人玉座に座って黙々とスターウォーリアーズを倒す策を練っていた。
と、ギャラクシアが玉座に座っていたその時。ギャラクティカ・パレスの天井に黒い渦が出現。
「な、なんだ!」
突然出現した黒い渦にギャラクシアも思わず驚いて玉座から立ち上がる。
するとギャラクシアが凝視する中、黒い渦の中から何かが飛び出してきた。
「い~~やっほぉ~~~~ッ!」「な、何奴!」
黒い渦の中から飛び出してきたのは、赤いスーツにF字型のアイマスクを装着した目立った身なりのMrフェイク。エアライドに乗って現れたMrフェイクに、ギャラクシアは更に驚く。
黒い渦の正体は、Mrフェイクが開けた異空間の出入り口で、Mrフェイクは其処を通ってギャラクシアの居城であるギャラクティカ・パレスにやって来たのだ。
そして異空間から現れたMrフェイクは搭乗するエアライドを着地させると、颯爽とエアライドから降りて舞い上がる。
「ほうほう、此処がこの並行世界のギャラクティカ・パレスなんだね」
辺りを見渡して喜々と舞い上がるMrフェイクを前に、当然ながらギャラクシアが怒声を浴びせる。
「貴様! 此処を何処だと心得る! 恐れ多くも我が居城に侵入するとは……! いや、それ以前にどうやって忍び込んだのだ」
ギャラクシアが問い掛ける中、Mrフェイクはギャラクシアを見るなり彼女に近付いて一方的に話し掛けてきた。
「おやおや? おおっ、あなたはセーラー戦士の敵キャラの一人であったセーラーギャラクシア! いや待てよ? それにしては、やけに筋肉質で長身だな……」
「貴様! 妾の質問に答えぬか!!」
「! ひょっとして……並行世界、パラレルワールドのギャラクシア? それなら面白い!」
するとMrフェイクはギャラクシアに自分の顔を近付けて、更に一方的に話し掛ける。
「ギャラクシア、あなたはひょっとしてセーラー戦士とやらに苦戦しているのではないのでは?」
「セーラー戦士……? 人間界でのスターウォーリアーズの俗称ではないか」
(ほうほう、この世界のセーラー戦士はスターウォーリアーズって言うんだ)
思わず笑みが零れるMrフェイクは更にギャラクシアへと話し掛ける。
「ギャラクシア、あなたはそのスターウォーリアーズという目障りな邪魔者を排除したいのではないですか?」
「なに!? ……貴様、何を考えている」
「いえいえ、ボクはただ、あなたのお力になりたいな~~って思っただけですよっ。ボクの天才的頭脳と、あなたのお力が組み合わされば、そのスターウォーリアーズなんか、あっという間に倒せちゃうかもしれませんよ」
「………………」
「どうですかな? 一緒に手を組んで、そのスターウォーリアーズと戦ってみませんか? メチャクチャ面白いですよ!」
「……(この者、得体が知れないが何やら秘策とかがあるのかもしれん。完全に信用はできぬが、物は試し、使ってみるのも一興だろう)」
本来は正体不明なMrフェイクなのだが、彼の巧みな話術がギャラクシアの信頼を少しばかり獲得した。
「……宜しい、お前の策を聴こうではないか」
「ありがとうございます! ボクの名はMrフェイク! 以後、お見知りおきを……!」
ギャラクシアに対して笑顔を向けるMrフェイクは、内心密かに思ってた。
(フフフ、並行世界のセーラー戦士を苦しめたり、このギャラクシアとの死闘を異世界旅行のお土産として映像に納めたりと……いやぁ、楽しみが尽きないなァ)
英雄の苦戦や強敵との死闘を面白おかしく観戦したい為だけにギャラクシアと手を組んだMrフェイク。
手を組んだ二人は、果たして何を仕出かすのか。