201X年 聖龍伝説 神話復活 出逢いの章   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 鏡の国から数多の異世界や物語の世界に移動できるミラーゲート・リングを盗み出したMrフェイク。
 そんなMrフェイクを追跡するべく、キーオから腕輪であるリングを追跡できる指輪を手渡されたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
 鬼と聖女のコンビは、Mrフェイクを追って数多の異世界や物語の世界を転々としていきます。
 今回は誰もが大好きである、あの超有名な生き物達の世界に飛び込みます。
 ※この話は2014年代の時間軸なので、剣盾以降のは登場しません。



【聖龍伝説】出逢いの章:愛すべき生き物【神話復活編】

[不思議な不思議な生き物たち]

 

 Mrフェイクを追って、別世界へと移動したジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。

 二人が到着したのは、苔に覆われた木々が生い茂る何処かの森の中だった。

「此処は、森の中みたいね……」

 到着するや否や、辺りを見渡してミラーガールが発する。

「うむ……俺達の世界のコケや植物に近いな、この世界の植物類は」

 ジャッジ・ザ・デーモンは、周辺のコケや植物を調べて、自分達の世界の植物と近い細胞を持っていると診断する。

「で、でも……生き物はいないのかしら?」

「いや、居るだろう。此処まで植物が自生してるんだ。動物の一匹や二匹いても可笑しくない」

 語り合うミラーガールとジャッジ・ザ・デーモン。すると二人の目の前の小さな葉っぱが揺れた。

「ほれ、見ろ。やっぱり生き物はいるんだ」

 ジャッジ・ザ・デーモンが注目する中、小さな葉っぱが動き出し、二人の前を通り過ぎる。

「ナッゾ、ナゾ」「「!!」」

 鳴き声を発しながら目の前を通り過ぎる頭に葉っぱが生えている動く植物を目視した二人は驚愕する。

「ね、ねえ、今のって……!?」「間違いない……! ナゾノクサだ」

 ナゾノクサを目撃した二人は、すかさずトコトコと歩くナゾノクサの後を追ってみると、森の中にある広場に出た。

 その広場には、ナゾノクサ以外にも、コラッタやパラス、タマタマ等々、多くの生き物達が生き生きと活動していた。

「こ、此処って………………」((ポケモンの世界だ!!))

 ミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンは心の中で、今自分達がいる世界がポケットモンスター、縮めてポケモンの世界であると知って驚愕する。

 

 だが、今自分達が居る世界がポケモンの世界だと知るや否や、ジャッジ・ザ・デーモンもミラーガールも大いに興奮した様子で共に上空へと飛び上がる。

「ポケモンポケモン!」「生でポケモンを見れるなんて!」

 ジャッジ・ザ・デーモンもミラーガールも、現実にポケモンを目の当たりにできて大興奮し、ジャッジ・ザ・デーモンはデーモンスーツの背中に装備されてるジェットエンジンで、ミラーガールは鏡魔法で形成した羽で上空へと浮上する。

「見て見て! ポッポにピジョンが居るわ!」

「ビジョットいない、ビジョット!」

 ミラーガールもジャッジ・ザ・デーモンも最早Mrフェイクの事などすっかり忘れてしまってた。

 と、そんな二人に急接近する空のポケモンが。

「いけねッ! オニスズメとオニドリルの群れだ!」

「よそ者の私達を追い返そうと、攻撃してきたわ!」

 二人に急接近してくるオニスズメの群れを率いるオニドリル。

 するとオニドリルが必殺の「ドリルくちばし」で攻撃。

「ぐはっ」「修司!?」

 なんと事もあろうに「ドリルくちばし」はジャッジ・ザ・デーモンに直撃。ミラーガールが唖然とする手前、ジャッジ・ザ・デーモンは地上へと落下してしまう。

「ちょ、ちょっとっ!」

 慌ててミラーガールが落下するジャッジ・ザ・デーモンを追う。

 一方、地上に落下したジャッジ・ザ・デーモンは、地面に激突するのかと思ったが、彼を柔らかい土台が受け止めた。

「? これは……」

 ジャッジ・ザ・デーモンは自分を受け止めた柔らかい物体を凝視してみると、それは白く大きなお腹に黒い巨体のポケモンだった。

「か……カビゴン?」

 それは大食いとして有名なポケモンのカビゴンだった。ジャッジ・ザ・デーモンはカビゴンの大きなお腹に落ちて助かってた。

「大丈夫、修……わあ、それカビゴンじゃないの。大きなお腹♪」

 と、その場に舞い降りたミラーガールがジャッジ・ザ・デーモンを押しのけ、自分が代わってカビゴンの大きなお腹に寝転がった。

「あなたはだぁれ? まっくろくろす……」

「アッコ、それは作品が違う」

 思わずミラーガールにツッコミを入れるジャッジ・ザ・デーモン。

 すると二人が騒いでいるのが聞こえたのか、カビゴンが起きそうに顔をムズムズさせた。

「ッ! み、ミラーガール、カビゴンは起きたら起きたで、かなり食べるポケモンだし、起こすのはマズいんじゃ……」

「そ、そうね。起こすのも悪いし、そっとしておこうか」

 話し合った結果、二人はカビゴンが起きない様に、ゆっくり慎重にその場から離れていった。

 

 すると二人は川辺へと辿り着き、そこでも多くのポケモンを目撃する。

「きゃーー、コダックにニョロモ、ヤドンがのんびり寛いでる!」

「ウパーとヌオーの親子もいるぞ!」

 水辺のポケモン達に興奮が冷めない二人が、もっと観察しようとポケモン達に接近すると。

「プシャーーッ」「ッ!」

 なんとニョロモがジャッジ・ザ・デーモンの顔に「みずでっぽう」を吹き付ける。

 

 仕方なく移動すると、今度は森と森に挟まれた環境で広い原っぱが出現した。

「うわあっ、ガーディよガーディ! カワイイ!」

「ポニータとギャロップの群れが並んで走ってる!」

 此処でも生き生きと活動するポケモンを目撃して興奮する二人。

 と、そんな二人に再び災いが。

「きゃあっ! ケンタロスの群れが走って来た!」

「逃げろ! 流石に、あの群れに巻き込まれたらタダじゃ済まない……!」

 ミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンは命辛々、ケンタロスの群れの暴走から逃れられた。

 

 どうにか再び森の中に逃げ果せたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの二人。

 そんな二人の前には、また新たなポケモン達の姿が。

「い、いやあっ。ミミロルにマリルがいるわ!」

「ミミロップだ………………エロい」

《パァンッ》

 自然にミミロルやマリル達と一緒にいるミミロップを見て「エロい」と発したジャッジ・ザ・デーモンに、ミラーガールはすかさず平手打ちをお見舞いした。

「………………なんで?」「ごめん、なんか遂ムッとして」

 唖然とするジャッジ・ザ・デーモンにミラーガールは素直に謝罪する。

 更に森の中には、木の実を分け合うパチリスとサーナイトの姿を発見する。

「綺麗なサーナイト……何処か、みちるさんを思わせるわね」

「これでエルレイドもいれば、百合のカリスマが容易に想像できるな」

 サーナイトを見て、海王みちるを思い起こすミラーガールにジャッジ・ザ・デーモンが説明を付け足す。

「パチリスか………………世界大会で活躍した「パチリスさん」を思い出すな」

 一方のジャッジ・ザ・デーモンは、パチリスを見て世界大会で名実ともに有名になるほど活躍したパチリスを思い出していた。

 

 更に森の中を探索すると、一緒に大きな葉っぱをお皿代わりに使って木の実を食べ合うタブンネにシキジカ、チュリネにドレディア達の姿が見受けられた。

「はわわ……癒されるわぁ」

「タブンネのぽちゃぽちゃしたお腹周り、触ってみたい」

 ミラーガールもジャッジ・ザ・デーモンも完全に虜になっていた。

 と、そこに森の中のお食事会を嗅ぎ付けて来たのか、メリープにモココ、デンリュウもやって来た。

「わあ……っ! あの三匹、家族かしら?」

 目を輝かせて三匹を観察するミラーガール。

 すると此処で遂にジャッジ・ザ・デーモンが痺れを切らして行動する。

「も……もう堪らん!」

 ジャッジ・ザ・デーモンは頭部のマスクを外して、素顔の小田原修司の顔をメリープのモコモコの毛皮に埋める。

「あ! 修司ズルい!」

 ミラーガールも堪らず、修司に続いて身を潜めていた木陰から飛び出す。

「スーーハーー、スーーハーー……ああ、カワイイ」

 メリープの毛並みにうっとりする修司に続き、ミラーガールはメリープ達の近くで戯れていたオタチとオオタチを捕まえてモフモフする。

「さ、最高……!」

 完全に虜になっている二人の前に、一匹の小さなポケモンが歩いてきた。

「ゴォン」

「あら? この仔……」「ゴンベじゃないか」

 それはカビゴンの進化前であるゴンベだった。

「お腹、空いているのかな?」

「ちょっとタブンネ達ごめんよ。この木の実、一個だけくれ」

 ミラーガールが現れたゴンベを覗き込む中、修司はタブンネ達が取り囲んでいる葉っぱの大皿に乗ってる木の実を一個拝借する。しかもこの時、ついでとばかりにタブンネのお腹をプニプニ突いた。

「ほれ、これが欲しいのか」

 修司は素顔でゴンベに木の実を差し出すと、ゴンベは一礼してから木の実を受け取り、それを美味しそうにガツガツ食べ始めた。

「ふふ、可愛いわね」「ああ、ホントだな」

 思わずゴンベの食事に見惚れる二人。

 

 ポケモン達の食事風景を一通り観終わった二人は、再び森の中を歩く事に。

 すると樹液が滲み出している木々に、虫ポケモン達が集まっていた。

「わあ、ビードルにコクーン、スピアーだわ」

「気を付けろよ。特にスピアーには」

 スズメバチに近いスピアーに用心するよう注意するジャッジ・ザ・デーモン。

「あら、トランセルも居るわ! バタフリーも樹液を飲みに来てる!」

「おっ、あっちではカイロスとヘラクロスが樹液を求めて闘ってるぞ!」

 二人とも、虫ポケモンにも怖気付かずに観察するのだった。

 

 

[世界一有名なポケモン]

 

 それからもジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは森の中を歩き回った。

 すると先ほどとは違う広い場所で、コリンクやルクシオなどの電気ポケモン達が戯れる風景を目の当たりにする。

「わあ……っ! コリンクにルクシオがいるわ……!」

「エレブーにエレキッドもいるぞ」

 二人が電気ポケモンを凝視してると、ここでミラーガールが目の色を変えて辺りを見渡し始める。

「電気ポケモンというと、あの仔はいないのかしら、あの仔は……!」

 するとあちらこちらを見渡して、探索したミラーガールがお目当てのポケモンを群れで発見する。

「う……うわあっ! 本物だぁ……! ピカチュウ……!!」

 それは世界で知らないものはいないであろう、最も有名なポケモンのピカチュウの群れだった。

「ピカチュウピカチュウ!」「あ! アッコズルい!」

 最早我慢を忘れたミラーガールと修司は、颯爽とピカチュウの群れに突っ込んでいく。

 そして各々ピカチュウを撫でまわし始める。

「いい仔ね、いい仔ね」「ほれほれ~~」

 ミラーガールも修司も、ピカチュウを優しくマッサージする様に撫で回す。

 すると修司がアニメで見たとおりにピカチュウの赤い頬をマッサージする様に撫でまわすと、ほっぺを撫で回されたピカチュウは仰向けになって寝転がる。

「チャ~~~~」《ブホッ》

 お腹を丸出しにしてリラックスするピカチュウを目の当たりにし、修司は思わず鼻血を噴き出す。

「アッコ、すまん。ちり紙おくれ」

「ごめん、私も噴き出しちゃってる……」

 ピカチュウのお腹丸出しの格好を目の当たりにし、二人とも興奮のあまり鼻血を噴き出していた。

「ピ~~カ~~?」「ピカチュ?」

 と、二人がピカチュウ達を撫で回していると、他のピカチュウ達が興味津々に二人の周りを囲むように群がる。

「ここがヘブンか……」「そうね、ヘブンね」

 ヘブン(天国)と称する修司に賛同するミラーガール。

 

 と、修司とミラーガールがピカチュウの群れにすっかり癒されている中、其処に一匹のピンクの丸いポケモンが草むらから現れる。

「わあっ、あれ見て見て。プリンよ」

「ホントだ、歌うのが得意なプリンだ」

 二人が草むらから現れたプリンに注目する中、一方のプリンは見慣れぬ二人を前に自慢の歌を歌い始めた。

「プ~プリン、プ~プリン、プ~プリ~~ン……」

「「………………」」

 プリンの歌に思わず聞き惚れる二人は、プリンの歌の効果で瞼が重くなり眠りそうになる。

 と、自分の歌を最後まで聞かずに寝ようとする二人に気付いてか、プリンが怒り出した。

「プ……プッキュゥ」

 そんな怒って脹れるプリンに気付いて、二人は目を覚まして興奮する。

「「か、カワイイ……!!」」

 怒って丸く脹れるプリンの様子にも、二人は骨抜きにされた。

 

 そんなプリンの容姿にすっかり見惚れる二人に反し、プリンの歌声を聴いたピカチュウ達はすっかり夢の中。

「あ~~……カワイイの宝庫」「ホントにそうだな。ウへヘ……」

 ミラーガールも修司も完全に夢うつつのピカチュウ達を前に顔がニヤけるのだった。

 

 

[造られたポケモン]

 

(……お前達は誰だ)「「!」」

 と、二人がピカチュウの群れに夢中になっている所に、何処からか謎の声が聞こえてきた。

 修司とミラーガールは慌てて辺りを見渡していると、そんな謎の声の存在に驚いてか夢うつつだったピカチュウの群れが一斉に起き上がる。

 そして修司とミラーガールがピカチュウの群れと共に、周辺を見渡していると突然風が吹き抜け、辺りが騒然とする。

 吹き抜ける風が静まると、思わず背けてた顔を二人が上げてみると、視界の先である上空に一体の白い人型のポケモンが浮遊しているのが目視できた。

「あ、あれって……!」「ミュウ、ツー……!」

 上空に浮遊するミュウツーを目撃し、ミラーガールも修司も愕然とする。

 一方のミュウツーは驚く二人を前に物怖じせず、落ち着いた様子で二人に接近してきた。

(……なるほど、お前達はトレーナーではないな。そして…………この世界の人間でもない)

「え!? な、なんで……」「テレパシーで何もかもお見通しのようだ……!」

 テレパシーで意思疎通するだけでなく、ミラーガールや修司の思考も読み取るミュウツーに一驚する二人。

 そして二人の目前まで接近したミュウツーは、二人に問い掛ける。

(だが何故、この地に留まっている。此処にお前達の目的は皆無の筈だが)

 ミュウツーに問われて、ミラーガールと修司が慌てて返答する。

「そ、その……私達の世界にはポケモンが居なくて、それでちょっと興味が湧いちゃって……」

「別に俺達はポケモンを傷付けようとは思ってない。ただ少しだけ触れあっていただけなんだ」

 二人の返答を聞いて、ミュウツーは睨みを利かせたままその場に足を着けた。

(……そうか、分かった。敵意がないのは理解しよう)

 ミュウツーと理解し合えて胸を撫で下ろす二人。

 

「みゅ、ミュウツーは何故ここに? 此処はカントー地方なの?」

 動揺しながらもミュウツーに訊ねるミラーガール、するとミュウツーは彼女に顔を向けて答えた。

(いいや、この地は人間達にとっては未開の地、多くの野生のポケモンが暮らしている自然豊かな地。私は此処で他のポケモン達と共に過ごしている)

「そ、そうなのね」

 ミュウツーの返答を聞いてミラーガールは理解する。

すると此処で唐突にジャッジ・ザ・デーモンのマスクを外している修司が神妙な真顔でミュウツーに話し掛けた。

「な、なあ、ミュウツー……」

(おや? お前は不思議な人間だな。私のテレパシーが通じないとは)

 ミュウツーは修司自身の闇の能力で無力化されるテレパシーについて不思議がるが、そんなミュウツーに修司は問い掛ける。

「ミュウツー、あんたは……あの幻のポケモン、ミュウのクローンなんだよな」

「ああ、私はミュウの遺伝子を基に造り出された生命体。それがどうした?」

 神妙な面持ちで問い掛けてくる修司に、ミュウツーが真顔で返答すると修司は意を決して語り始めた。

「実は、俺は………………俺の遺伝子を基に生み出された、それこそ俺のクローンと呼べる存在と共生しているんだ」

(! ほほう、なるほど。理由は知らないが、お前にも自分自身のクローン生命体が存在しているんだな。そして、その生命体と共生している訳か)

 修司の話を聞いて一驚するミュウツーだが、すぐに冷静になって修司の話に耳を傾ける。

「俺は、最初……勝手に生み出される自分のクローン達に対して激しく嫌悪感と不安を覚えてた。俺は正直、心身ともに綺麗な人間ではない。それなのに世界は俺のクローンを様々な理由で大量生産して、無尽蔵に生み出した。俺は、俺の様な穢れ切った命が、そして心を持った生命体が存在する事を許せず、最初はそのクローン達を生産している世界諸共滅ぼそうと自暴自棄になってしまってた」

(なるほど、自分自身に嫌悪感を抱いてた為に、自分のクローンを生み出す世界をクローン共々滅ぼうと自棄になってしまったのだな)

「ああ……だが、此処に居るミラーガールや多くの仲間達の力によって、俺は遅かれ早かれ自分のクローンを我が子として受け入れられる様に至った。最初こそ忌み嫌ってはいたが、呪われた遺伝子を持つ者同士として今では共に生きていけるほど寛容になれたんだ」

(……それで? 私に何を求める、人間よ)

「お、俺は……! 時々、今でも自分のクローンである奴らと、どう向き合っていけばいいか分からなくなる事が多々ある。それでミュウツー、同じクローン生命体であるお前はどんな気持ちで今を、そして自然の生態系の中で生きているのか知りたくて……クローン生命体であるアンタの気持ちが分かれば、俺のクローン達の気持ちに少しでも近付けるかなって……」

「修司……」

 ミュウツーに自身のクローンである新世代型二次元人の気持ちを理解したいと述べる修司の言動に、修司が新世代型二次元人を世界ごと滅ぼそうとした現政奉還を起こした経緯を知っているミラーガールは心痛な顔を浮かべた。

 そして修司の苦悩を知ったミュウツーは、自分なりの考えを修司に述べ返す。

(……私も最初は、優秀なポケモン、最強のポケモンとして望まない出生を与えられた。最初は私を造り出した人間への憎悪と怒りに感情を滾らせていた事もあった……だが、人間とポケモン、そんな両者の繋がりと絆を目の当たりにし、そして私の様な造られた生命もまた、普通のポケモンや人間同様に自然の一部……命の輪の一部であると諭されて今に至る。造り出された私自身もまた、私が憎んでた人間と同等の命だったのだと……)

「そうか……ただ造られた命、そして強大な力を持ったクローンという生命は、自然の生態系をも壊してしまうのではないか。俺は、自分のクローンを生み出された時、それを懸念した」

(確かに……クローンという生命が自然の生態系を破壊してしまうという可能性は否定できない。だが、それでも生きている以上、他の命の存在を受け入れ、そして共生していくのが互いの生命にとって大切なのではないかと、私は思う)

「他の命を受け入れ、互いに共生するのが大切……か」

 ミュウツーの話を聞いて、修司は自分のクローンである新世代型二次元人たちの事を思い浮かべていた。

 

 そんな修司とミュウツーの対話を前にして、ミラーガールは双方の心情を察した上で、双方の暗い思いを少しでも晴らす様に歌い出した。

「歩き続けて 何処までもゆくの? 風にたずねられて、立ち止まる……」

(なんと優しい声色だ)「………………」

 ミラーガールが歌い出した子守歌にも近い優しい声色の歌声に、ミュウツーも修司も耳を澄ます。

 

 修司とミュウツー、クローンを生み出された側とクローンとして造られた側。

 確かに、造られた命、生み出された命に罪はない。

 だが、その造られた命が自然の生態系にどの様な変化を与えるのか。

 そんな不安を払しょくさせる様に、ミラーガールの心優しい声色による歌が森の中に響き渡るのであった。

 

 

[蒐集されるポケモン]

 

 そんなミラーガールの穏やかな声色での歌声に、修司もミュウツーも聴き入っていた。その時。

 突然、遠くの森から轟く爆音が地に響いた。

(なんだ!)「!」「……!」

 歌を聴いていたミュウツーも修司も動揺し、ミラーガールは驚いて歌を中断した。

 すると此処でテレパシーを有するミュウツーが何かを察知した様子。

(何者かが森に棲んでいるポケモン達を襲っている様だ)

「何ですって!?」「!」

 ミュウツーの報告に、ミラーガールも修司も驚愕する。

 と、ここでミュウツーは宙に浮いてそのまま現場まで急速で向かった。

「俺達も行くぞ!」「ええ!」

 修司はマスクを被ってジャッジ・ザ・デーモン状態へと戻ると、ミラーガールと共にミュウツーの後を追った。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンはグラップネルガンで森の木々を移り渡り、ミラーガールは背中に発生させた蒼い翼で飛行してミュウツーを追走する。

 そして一足先に現場に到着したミュウツーが目撃したのは。

(これは……!)

 なんと森の木々は倒され、草や苔に覆われた大地は大きなキャタピラの痕跡が酷く残されていた。

「ミュウツー!」「なにがあった!」

 そこにミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンが駆け付け、ミュウツーに遅れて現場の惨状を目撃する。

「あぁ、酷い……」「誰かが森の中を重機で踏み込んだらしいな」

 思わず口を塞ぐミラーガールに反して、ジャッジ・ザ・デーモンは冷静に状況を分析する。

(だが何者だ? この土地は、まだまだ人間が未開拓の地の筈……!)

 ミュウツーは何者が森の中に重機で踏み込んだのか理解に苦しむ。

「今は兎に角、このキャタピラ痕の後を追ってみましょう!」

「そうだな。土地開発なら、もっと多くの重機が踏み込んできてもいいが、それが一機だけなのが怪しい」

(うむ)

 ミラーガールに指摘され、ジャッジ・ザ・デーモンとミュウツーは三人でキャタピラの痕跡を追跡し始めた。

 

 そのキャタピラ痕の先では、一機の見慣れぬ巨大重機が森の中の木々を次々に踏み倒しながら、同時に森で生活しているポケモン達を乱獲してた。

 重機の空いている上部には、小さな檻がいくつも確認でき、その中にはイーブイやガーディなどのポケモン達が押し込められてた。

「ブイ~~……」

 悲し気に鳴くイーブイや悲痛な表情を浮かべるポケモン達。

 と、そこにミュウツーと共にジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが駆け付けてきた。

「やめなさい! 誰だか知らないけど、自然破壊だけじゃなくポケモンまで乱獲するなんて!」

 ミラーガールが怒声を放つと、ミュウツーと共に駆け付けた二人を操縦席から視認した操縦者が拡声器から声を発した。

「あらら? ジャッジ・ザ・デーモンにミラーガールじゃないの。君たちも、この森……いや、ポケットモンスターの世界までボクを追って来たんだねェ」

「その声、Mrフェイク!?」

 木々を踏み倒し、ポケモンを乱獲する重機の操縦者がMrフェイクだと知って、ミラーガールが驚く。

「Mrフェイク、なぜポケモンを乱獲してる!」

 更にジャッジ・ザ・デーモンが問い詰めると、操縦席からMrフェイクは喜々と笑いながら返答した。

「ハハハッ、ジャッジ・ザ・デーモン! なんてことないさ、この世界のトレーナー同様、ボクもポケモンをコレクションしようかなと思って、ちょいと盗んで改造したこの重機でポケモン達をゲットしちゃってるだけだよ」

「乱獲なんてやめなさい! Mrフェイク!」

 そんなMrフェイクにミラーガールが怒鳴るが、Mrフェイクは笑い飛ばしながら反論する。

「何を言ってるんだい、ミラーガール? 普通のポケモントレーナーだって、ポケモンをモンスターボールでゲットしてコレクションしてるじゃないか。ボクはちょっとゲットの仕方が違うだけで、普通のトレーナー達がやってる事をしてるだけだよ?」

 この悪びれる様子もないMrフェイクの言動に、ミラーガールは更に怒鳴った。

「あなたはポケモントレーナーじゃないでしょ! ジャッジ・ザ・デーモン、あの重機を止めるわよ!」

「ああ!」

 ミラーガールに促され、ジャッジ・ザ・デーモンも戦闘の意思を示す。

(なあ、お前達はあの人間を知ってるのか?)

 と、戦闘突入前にミュウツーが質問をするとジャッジ・ザ・デーモンがそれに答えた。

「奴はMrフェイクという、俺達の世界から逃亡中の犯罪者だ!」

(なるほど……善人でも無ければトレーナーでもないのなら、私が直々に手を下しても構わないだろう)

 ジャッジ・ザ・デーモンの説明を聞いて、ミュウツーもMrフェイクを止めようと行動に出る。

「ミュウツー、協力してくれるの!?」

(ああ、これ以上ポケモン達の穏やかな生活を壊されるのは許せないのでな)

 ミュウツーの協力に、ミラーガールは大いに喜んだ。

 そして先手必勝とばかりにミュウツーが両手を構えてのサイコパワー弾を発射、Mrフェイクが操作する重機に直撃させる。

 だが、最強クラスのポケモンであるミュウツーの攻撃を受けても、Mrフェイクが操縦する重機は傷一つ付かない。

「ハハハッ、この重機はボクが更に改造を加えて強化した特別製……生半可な攻撃は効かないよ!」

 安全な操縦席の中からMrフェイクは笑い飛ばす。

「はァっ!」

 と、次はミラーガールが跳び上がって真上から重機をミラーソードで攻撃してみるも、重機の装甲は硬く、ミラーソードの刃を容易くはじき返してしまう。

「ハハッ、効かない効かない」

 その間もMrフェイクは気分上々で森を破壊しながらポケモン達の乱獲を続ける。

「危ないッ」

 一方でジャッジ・ザ・デーモンは、素早い動きで可能な限り重機の進行方向で逃げ惑うポケモン達を捕まえて安全な場所まで避難させてた。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンがポケモン達を逃がす一方、ミラーガールとミュウツーは絶えず重機を攻撃し続ける。が、重機は全く動じず前進するばかり。

「っ、どうしたら……!」

 ミラーガールが戸惑う中、ミュウツーも暴走する重機の対処を考える。

 するとその時、ジャッジ・ザ・デーモンによって無事に逃げれたり、仲間のポケモンを助けようとMrフェイクの重機の周りを取り囲むように野生のポケモン達が包囲し、重機に向かって各々攻撃を始めた。

「みんな……!」

(皆、自分達の居場所を守り、仲間のポケモンを助けようと必死なのだ)

 ポケモン達が重機を攻撃するのを目視し、ミラーガールもミュウツーも感銘を受ける。

 すると攻撃する野生のポケモン達の中で、ウインディやギャロップが重機のキャタピラに向かって火炎放射を口から放出するのを視認して、ジャッジ・ザ・デーモンが重機の微かな変動に気付く。

「あれは……! みんな! そのまま重機のキャタピラに火炎放射を浴びせ続けるんだ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンの指示を聞き、ギャロップやウインディ達は更に口から吐く火炎放射の火力を上げる。

 すると次第に重機のキャタピラが溶け出し、連結部分が接合して上手く前進する事が不能になって来た。

「あ、アレレ? 動かなくなっちゃったぞ?」

 操縦席のMrフェイクは、操縦する重機が動かなくなる状況に困惑する。

 そして遂にキャタピラは完全に火炎放射で連結部分が溶けて接合し、ピクリとも動かなくなった。

 その動かなくなった重機に向かって、ドンファンが体当たりをし、同時にリングマ達が重機を持ち上げようと力を込める。

(みんな、大丈夫だ。その程度の重機など、簡単に持ち上げられる……!)

 そんなポケモン達の頑張りに応える様に、ミュウツーがサイコキネシスで重機を宙に持ち上げてから、簡単に横転させてしまう。

「うわッ!」

 重機が横転する衝撃で操縦席から投げ出されるMrフェイクは、地面へと転げ落ちる。

「やあっ!」

 更に其処へミラーガールが既に小さな檻の中に閉じ込められてたイーブイやガーディなどのポケモン達を、檻を一刀両断して救出する。

 一方で地面に転げ落ちたMrフェイクが顔を上げると、既に彼の周りには自分達の棲家である森を破壊したMrフェイクを怒りの表情で睨み付ける野生のポケモン達が群がっていた。

「わ、わぁ………………」

 思わず顔面蒼白するMrフェイクに、追い打ちをかける様に彼の目の前にミュウツーが舞い降りる。

 そしてミュウツーと共に駆け付けたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールがMrフェイクを追い詰める。

「Mrフェイク! 観念しろ!」

「ポケモン達はみんな助けたわ。今度は、あなたの番よ」

 ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに追い詰められた上に、ミュウツーやポケモン達に包囲されたMrフェイクは完全に絶句する。

「こ、こういう場合は……」

 そして追い詰められたMrフェイクは。

「三十六計逃げるに如かず!」

 なんとその場でミラーゲート・リングを組み込んだエアライドを自動操縦で呼び出し、上空へと逃亡。そして上空でミラーゲート・リングを使用して別の世界へと逃げていった。

「ッ、逃げられたか……!」

「ジャッジ・ザ・デーモン、今はまず負傷したポケモン達の治療をしなきゃ」

 Mrフェイクに逃げられて舌打ちするジャッジ・ザ・デーモンに、ミラーガールが負傷したポケモン達の治療を率先するよう言い渡すのであった。

 

 

[愛しい愛しいポケモンたち]

 

 森を破壊しながら同時にポケモン達を乱獲してたMrフェイクが別世界に逃亡した一方で、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはミュウツーと共に森林破壊や乱獲の際に負傷したポケモン達の治療に専念してた。

「大丈夫だからね」

 治癒能力のある魔法で負傷したポケモン達を治療していくミラーガール。

(これは不思議だ……まさか、魔法というものが実在している異世界があるのだな)

「ふふ、驚いたでしょ」

 ミラーガールの治癒魔法に驚くミュウツー。

 一方で、治癒能力を持たないジャッジ・ザ・デーモンは、オレンの実やオボンの実などの回復効果のある木の実を森中から集めて、負傷したポケモン達に食べさせていた。

「さあってと、これで傷付いたポケモン達は粗方回復したかな」

 木の実を運んできてくれたジャッジ・ザ・デーモンに、回復したポケモン達が群がり、お礼を伝えようとする。

「ははっ、たくさんお食べ」

 ジャッジ・ザ・デーモンはマスクで見えないとはいえ、笑顔でポケモン達に接していた。

 

 そして傷付いたポケモン達を介護したジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、再びMrフェイクを追う為に此処でポケットモンスターの世界を去る事を決意する。

(ありがとう、ジャッジ・ザ・デーモン、ミラーガール。君たちのお陰で、ポケモン達は完治された。礼を言う)

「いいのよ、ミュウツー。それよりも森が滅茶苦茶になっちゃったけど、それは大丈夫なの?」

(大丈夫だ。自然は強い、何より私とポケモン達で時間をかけて再び緑を増やすつもりだ)

「それなら一安心だな」

 二人に礼を述べるミュウツーに、ミラーガールが訊ねると返答するミュウツーの話を聞いてジャッジ・ザ・デーモンが安心する。

「それじゃ、俺達は此処で去るとするよ。Mrフェイクを止める為にも、また奴を追わなければ……!」

(あ、ああ、それは理解できるのだが……)

 ジャッジ・ザ・デーモンが去り際に決意を述べるのだが、そんなジャッジ・ザ・デーモンにミュウツーが唖然としていた。

 と、そんなジャッジ・ザ・デーモンにミラーガールが呆れながら言った。

「修司、なに自然な流れでニャースをお持ち帰りしようとしてるの?」

「いやな、うちのお袋が大好きなんだよ、ニャース」

 いつの間にかニャースを抱っこしていたジャッジ・ザ・デーモンにツッコむミラーガール。

 すると今度はジャッジ・ザ・デーモンがミラーガールに言った。

「そう言うお前こそ、なにピカチュウを持ち帰ろうとしてるんだ?」

「だって、ポケモンと言えばピカチュウ、ピカチュウといえばポケモンでしょ」

「確かに、そうではあるけど……」

 いつの間にかピカチュウを抱っこして持ち帰ろうとするミラーガールに呆れてしまうジャッジ・ザ・デーモン。

(おいおい、二人とも。トレーナーでもないのに、ポケモンを持ち帰ろうとしないでほしいんだが……)

 そんな二人を前に、ミュウツーも呆れ果てて呆然としてしてしまう。

 

 改めて、各々渋々ながらニャースとピカチュウを手放してMrフェイクの追跡に戻ろうとする。

「それじゃ……ニャースは」「ピカチュウは諦めて行くけど」

(それが普通だ)

 未だにポケモンとの別れを惜しむジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに、ミュウツーは毅然とした態度で伝える。

「それじゃ、本当に名残惜しいが……元気でな、ミュウツー」

「森のポケモン達と平和に暮らしてね」

(ああ、ありがとう)

 そうしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、ミュウツーとポケモン達に別れを述べるとMrフェイクを再び追跡するべく、自分達が所持する指輪を用いて別世界へと通じるミラーゲートを開いた。

「それじゃみんな、元気でね!」

 最初にミラーガールがミラーゲートを潜って姿を消し、その後を追う様にジャッジ・ザ・デーモンもミラーゲートを潜ろうとすると。

(ジャッジ・ザ・デーモン)「!?」

 突然、ジャッジ・ザ・デーモンにミュウツーが声をかけてきた。

(……元居た世界に戻っても、自分のクローン達を大切にしてほしい)

「……分かったよ、ミュウツー」

 そうミュウツーからの言葉に、ジャッジ・ザ・デーモンは小さく頷いて返事する。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンもミラーガール共々、ミラーゲートを潜って別の世界へとMrフェイクを追って行くのだった。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール、二人が去った森にはいつも通りの爽やかな風が吹き抜けるのであった。

 

 

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