201X年 聖龍伝説 神話復活 出逢いの章 作:セイントドラゴン・レジェンド
そんなMrフェイクを追跡するべく、キーオから腕輪であるリングを追跡できる指輪を手渡されたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
鬼と聖女のコンビは、Mrフェイクを追って数多の異世界や物語の世界を転々としていきます。
今回は聖龍隊所属の異世界開拓のグループと出逢います。
[鬼と聖女が来たのは……]
Mrフェイクを追ってジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが来訪したのは、どこか荒廃した大地が目立つ異世界だった。
「此処は……何だか、さっきのポケモン世界と違って嫌に荒廃しているわね」
「酸素濃度も人間が辛うじて活動できる程のレベルだし、人間が居住できるまでには至ってないみたいだ」
周りの風景を見て唖然とするミラーガールに対し、ジャッジ・ザ・デーモンはデーモンスーツで今いる異世界の酸素濃度を調べる。
「取りあえず、この世界に来てる筈のMrフェイクを探すぞ。もしかすると、Mrフェイク以外にも住人が居るかもしれないしな」
「ええ、そうね」
ジャッジ・ザ・デーモンからの指示にミラーガールも同意し、二人は空を飛んでMrフェイクまたは人間の姿を探し始めた。
「この世界って荒廃しているけど、人って住んでないんじゃない?」
「確かに……まだ聖龍隊が開拓していない異世界なのかもしれないな」
ミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンは上空から地上を目視で見下ろしながら話し合う。
聖龍隊は、かつて異次元亜空間ゲートを開発・成功した事で、多くの異世界と異文化交流を結ぶ事が可能となったが、未だに交流できていない異世界も少なくない。
だが、異世界の中には人間が居住できない環境の世界も多く、数多の異世界と交流を結ぶ聖龍隊はそんな環境課の異世界を開拓して人間が居住できる様にした後で、紛争や迫害などで居場所を失くした人々に居住地として提供させて発展させる活動も行っている。
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールがそれからも上空を飛行して、人間または生物の痕跡を探していると、ミラーガールが指し示した。
「あ! ジャッジ・ザ・デーモン、あれ!」
ミラーガールが指さした方向には、なんと聖龍隊の軍旗が掲げられた鉄塔が見えていた。
「良かった。この異世界は、聖龍隊が開拓中の世界だったみたいだな。もしかすると知り合いがいるかもしれない。行ってみるぞ」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは聖龍隊の軍旗が掲げられた鉄塔を目指して飛んで行く。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが辿り着いたのは、聖龍隊の軍旗が掲げられた未開拓の異世界の地を開拓する際の拠点としての基地だ。
基地には見張りの隊士の姿が見えない事から、軍用施設ではない重要でない基地らしいのは理解できる二人。
静寂が支配する基地に踏み込むジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、そのまま基地施設内へと足を踏み入れる。
「すみませーーん、誰か居ませんかーー?」
ミラーガールが呼びかけるが、返ってくる声は無かった。
「誰も居ないのか……?」
ジャッジ・ザ・デーモンも戸惑い出しては首を傾げる。
と、その時だった。
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが施設内を探索してる別室で、シャワーのノズルを捻って出してたお湯を止めて、シャワー室から出て来ようとする人物が。
「誰なのーー? ミオ? スズカちゃん?」
ミラーガールの声を聞いて、シャワー室からタオルを被って出てきた人物とジャッジ・ザ・デーモン達が鉢合わせする。
「「………………あ」」
「………………え?」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールと鉢合わせしたのは、オレンジのショートヘアの若い女性だった。
「うわあっ!!」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに鉢合わせした女性は、驚きのあまり大声を上げて絶叫。
「「うわあっ!?」」
一方のジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールも驚いて声を上げてしまう。
「なんだなんだ!?」
すると鉢合わせして双方ともに大声を上げてしまう三人の所に、六人の男女が駆け付けてきた。
騒然とする状況の中、ジャッジ・ザ・デーモンは唖然と固まる中で、目の前で頭に被ってたタオルで自身の裸体を隠す女性と、駆け付けてきた男女六人を見て呟いた。
「る……ルナ? それに、トモル、ミオ、ダイ。ユキオ、スズカ、コータも……!」
「じゃ……ジャッジ・ザ・デーモン? それに、ミラーガール……?」
唖然と名前を呼ばれた女性ルナは、目の前で驚いて固まるジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールを、顔を赤らめながら視認する。
「な、なんでジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが此処に……?」
一方でジャッジ・ザ・デーモンが視認した男女の一人である、トモルが何ゆえ二人が此処に居るのか戸惑っていた。
[聖龍隊の異世界開拓者たち]
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが訪問したのは、聖龍隊の異世界開拓の拠点として建造された基地だった。
此処で二人が遭遇したのは、聖龍隊に在籍している異世界開拓者の面々だった。
「ははっ。まさかジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが二人揃って、この異世界にやって来てたなんてな」
「笑ってないでよ。私はてっきり、ミオかスズカが呼んだかと思ってタオル一枚でシャワー室から出てきて、鉢合わせしちゃったのよ」
笑い飛ばすトモルに対し、シャワー室から出たところで二人と対面したルナは恥ずかし気にふてくされる。
そんな和気藹々とする皆を前に、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの二人は苦笑いしてた。
聖龍隊管轄の異世界開拓の拠点で生活しながら、異世界の環境を人間が住居可能なレベルまで整えているのは【惑星サヴァイヴ】のルナとネコ型ロボットのチャコ、そして【おもいっきり科学アドベンチャーそーなんだ!】のトモル、ミオ、ダイ、ユキオ、スズカ、コータの七人と一体のロボット達だった。
と、皆で談笑する中。ユキオが二人に問い掛ける。
「それで二人とも。あの凶悪犯、Mrフェイクがあらゆる異世界を渡航できる術を手に入れて逃亡中だって言うけど、まさかこんな辺境の異世界にまで逃げ込んだって言うのか?」
ユキオの問い掛けにジャッジ・ザ・デーモンが答えた。
「ああ、おそらくな。俺とミラーガールが持っている指輪が導いた異世界が此処な以上、Mrフェイクもこの異世界に踏み入っていると考えた方が無難だろう」
すると開拓班のリーダー的存在のルナが述べる。
「でも、この異世界はやっと聖龍隊の科学班が開発した装置で酸素濃度を回復させたばかりなんだけど、そんな異世界に来てまでMrフェイクは何する気なのかな?」
ルナに続いて、彼女の相棒であるネコ型ロボットのチャコが話し出す。
「まあ、こんな辺境の異世界ではMrフェイクはなんにも出来ないやろうし、アタイらには関係ないやろルナ」
そんな他人事のチャコに、ミラーガールが答えた。
「まあ、Mrフェイクの追跡と捕縛は私達に任せてちょうだい」
と、皆がMrフェイクについて話し合っていると、ジャッジ・ザ・デーモンがリーダーであるルナに問い掛ける。
「ところで、ルナ」
「なに?」
「ちょっとデーモンスーツの調子を確認したいんだが、この施設でスーツの微調整が可能な機材はあるか?」
「ああ、それなら宇宙服とかを着衣したままチェックできる機械があるから、それでチェックするといいわよ」
「分かった、すまないがそれを借りたい。それと可能なら、ジャッジラングも急ごしらえではあるが製作したいんだが、鉄などの鉱物や砥石は置いてないだろうが」
「それも十分、貯蓄があるから作れる筈よ。同じ聖龍隊なんだし、好きに施設を使っても構わないわよ」
「助かるよ」
こうしてジャッジ・ザ・デーモンはルナに許可を得て、施設内でデーモンスーツの微調整や装備品であるジャッジラングの補充を行った。
そんなジャッジ・ザ・デーモンを、ルナ以外の面子は険しい面持ちで目を向けていた。
無人の異世界や惑星に手を加え、人の住める環境に作り変える【惑星・異世界開拓の技師】であるルナの許可を得て、ジャッジ・ザ・デーモンは基地施設でスーツや装備の充填を行った。
まず最初に、様々な異世界に出向いて戦った事でハイテクスーツであるデーモンスーツに不備がないかをMRIの様な機械で念入りに調べるジャッジ・ザ・デーモン。この時、何故かジャッジ・ザ・デーモンはスーツを脱ごうとしなかった。
そしてデーモンスーツの細小な亀裂などの不具合は、応急処置で亀裂を溶接して半ば強引に使い続けられる様にジャッジ・ザ・デーモン本人が行った。
最後にジャッジ・ザ・デーモンは、今までの戦闘で使用してきた投擲武器であるジャッジラングを、金属板のプレス機で手裏剣状に加工した上で高速回転する金属用の砥石で研いで鋭利な刃物状へと成形していく。
流石にお手製の手裏剣であるジャッジラングを研ぐ際は、デーモンスーツのヘルメットマスクを外して素顔で念入りに研いで、精密に鋭利な刃物へと形成していく。
そんな小田原修司の素顔でジャッジラングの刃を集中して研いでいく様子を【そーなんだ!】の六人は静かに陰ながら観察していた。
「? どうしたの、みんな」『!』
そんな六人の様子にミラーガールが声をかけると、驚く六人。だがジャッジラングを研いでいる修司は集中して振り向こうともしない。
ジャッジラングを研ぐのに集中している修司を余所に、六人はそわそわしながらミラーガールと顔を合わせる。
「だ、だってミラーガール……!」
「ジャッジ・ザ・デーモン、いや、修司さんは……」
「?」
否応に挙動不審な言動の六人を前に首を傾げるミラーガール。
そう、当然ながら未開拓の異世界である此処でも既に話が行き届いていたのだ。
ジャッジ・ザ・デーモン、いや小田原修司が犯した……現政奉還という乱世の凶行を。
[乱世という大罪]
鉄板をプレス加工した上で刃物状に研いで急ごしらえに形成したジャッジラングを装備品として充填する小田原修司。
そして同様に精密検査もしたデーモンスーツの不具合も応急処置で直し、フルフェイスマスクを被ってジャッジ・ザ・デーモンへと完全に変わると彼はミラーガール達が集う広間へと戻ってくる。
「あ、ジャッジ・ザ・デーモン。武器の充填は終わったの?」
「ああ、此処の施設の機材で何とか充填はできた」
ミラーガールからの出迎えに応えるジャッジ・ザ・デーモン。
「やれやれ、元連続殺人鬼の武器を作る為に基地の施設を使われたくないな」
「ちょっと! トモルくん」
と、そんな広間に戻って来たジャッジ・ザ・デーモンに、トモルたち六人が茶化し出すが、そんな彼らにルナが制止するよう呼びかける。
が、ジャッジ・ザ・デーモンは彼らに何を言われても何も動じないかのように、施設の外へと出て行ってしまう。
「あ、ジャッジ・ザ・デーモン……」
外に出ていくジャッジ・ザ・デーモンを、ミラーガールが慌てて追う。
「あ……ちょっと、みんな! やけにジャッジ・ザ・デーモンに冷たいじゃない」
ルナが六人に注意の意味合いも込めて問いかけると、ユキオがルナに反論する。
「でも、ルナさん。ジャッジ・ザ・デーモン……いや、修司さんは、いくら自分のクローンである新世代型二次元人を世界が生み出していたからって、現政奉還なんて戦乱を引き起こして多くの命を死なせたんですよ」
するとユキオに続いてスズカも話し始める。
「それを考えると、流石に寛容になれないわよ。私たち」
そんな小田原修司の現政奉還での罪過を見過ごせない心境の六人に、ルナが指摘した。
「ま、まあ、確かに……修司さんの犯した罪は、そうそう許し難いのは解かるわよ。でも、修司さんも今では自分のクローンである新世代型二次元人を受け入れて、アッコさん達とも仲直りしたんだから、それを未だに非難するのはどうかと思うわ」
『………………』
「それに、罪と言えば。あなた達だって子供の頃に、ゲーム世界に飛ばされた際に二組に分かれていがみ合い、争い合った原罪があるじゃない。それなのに、修司さんだけを非難するのはどうかしてるわ」
「そ、それを言われると……」
ルナに子供時代の行いを指摘され、六人はバツが悪そうにする。
一方、外に出たジャッジ・ザ・デーモンは装備品である双眼鏡で基地の高所から周辺地域を見渡していた。
そんなジャッジ・ザ・デーモンを追って、ミラーガールも彼の後ろに立つ。
「Mrフェイクは必ず、この異世界の何処かに居る。見つけ出して捕縛せねば……!」
「………………」
ジャッジ・ザ・デーモンの言動に対し、背後のミラーガールは悲痛な面持ちで立ち尽くしていた。
「……どうした?」
そんなミラーガールの様子に気付き、ジャッジ・ザ・デーモンが振り返って訊ねるとミラーガールは悲痛な表情で問い掛ける。
「ねえ、その……修司は、気にしてないの?」
「なにをだ?」
「さっきのトモルくん達の言動……」
「………………」
ミラーガールの質問に、ジャッジ・ザ・デーモンは微動だにせず答えた。
「……俺が連続殺人鬼だったのは変わらない過去だ。そしてそれ以上に、アイツ等は俺が現政奉還で何をしたかも既に周知しているんだろう。そんな俺を毛嫌いしていても可笑しくない」
「………………」
「なあに、Mrフェイクを探し出してスグに捕縛してからこの異世界を去ってほしいと思っているんだろう。こんな自分にも世界にも嫌悪感を抱いた事で乱世を引き起こした俺と一緒に居たくないんだろうよ」
「……修司……」
素っ気なく返答するジャッジ・ザ・デーモンの発言に、ミラーガールは自然と悲痛な感情を滾らせる。
戦争という人類の過ちを経験し、更に大切な仲間を護る為に軍政に血を売り、強大な戦闘力を得た小田原修司。
そんな修司は自分自身を呪い、そして忌み嫌った。そんな折に、修司のクローンである新世代型二次元人を世界は均衡を保つという名目で生み出した。
世界が呪われた自分のクローンを大勢生み出していく行為を許せず、修司は世界に失望した末に現政奉還という乱世を引き起こす。
最終的に、呪われた自分の遺伝子を持つクローン、新世代型二次元人を許容した修司は彼らと共に生きる道を探りながら再び生き続ける道を見出した。
だが、彼の原罪が消える事もなく、修司も、修司のクローンである新世代型二次元人も共に大罪を背負った状態で共生する道を探り続ける。
その道の先に何があるかは、誰にも分からないまま。
[鉱山資源加工工場にて]
と、ジャッジ・ザ・デーモンがミラーガールの悲痛な眼差しを浴びながらMrフェイクの捜索を行ってたその時。
遠くの山向こうから、何かが爆発したかのように白煙が舞い上がった。
「! アレは……!」「なんなのかしら……!?」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、前触れも無しに山向こうから舞い上がる白煙に驚き戸惑う。
「なに!?」
すると山向こうから発せられる爆音と地響きを感じて、施設内からルナ達も飛び出してきた。
「ルナ! あの山向こうには何がある!?」
「確かあそこには……この異世界で採れる希少鉱物の発掘現場である鉱山と隣接している資源加工工場がある筈よ!」
ジャッジ・ザ・デーモンからの問い掛けに返答するルナの言葉を聞き、ジャッジ・ザ・デーモンは憶測を立てる。
「希少鉱物……加工すれば、機械類を強化もできる筈。Mrフェイクが自機であるエアライドを改良するべく、無人の鉱山に踏み入った上で加工工場を稼働させているのかもしれん」
「えっ!?」
ジャッジ・ザ・デーモンの仮説にミラーガール達は一驚する。
と、ジャッジ・ザ・デーモンは逸早く行動した。
「行くぞ、ミラーガール!」「え、ええ!」
一瞬戸惑いながらも、先に飛び立っていくジャッジ・ザ・デーモンを追う様にミラーガールも飛び立とうとする。
と、そんな飛び立とうとするミラーガールにルナが声をかけた。
「み、ミラーガール!」「!」
立ち止まって振り返るミラーガールに、ルナは真剣な顔で言った。
「ジャッジ・ザ・デーモンを……修司さんを宜しく」
ルナからの懇願を聞いて、ミラーガールは力強く頷くと再度ジャッジ・ザ・デーモンを追って空へと飛び上がり、急いで鉱山に隣接している加工工場へと向かうのだった。
一方、工場では。
無人の鉱山を爆発して、希少鉱物を強引に発掘した上、工場を無断で使用していたのは、やはりMrフェイクだった。
「ウフフ、この異世界って、まだまだ開拓途中で無人同然だし、好きに工場や希少鉱物を使えるのは得だな」
鉱山で強引に採取した希少鉱物を加工して製造した部品を、工場内でエアライドに組み込んで改良していくMrフェイク。
Mrフェイクは自身の手でエアライドの配線を繋げたり溶接したりと、器用にエアライドに改良を加えていく。
と、Mrフェイクが自機のエアライドの改良に専念してると、工場の窓ガラスを突き破ってジャッジ・ザ・デーモンが屋内に飛び込んできた。
「Mrフェイク、観念しろ!」
ジャッジ・ザ・デーモンが威勢よく啖呵を切るジャッジ・ザ・デーモン。すると続いてミラーガールも遅れて屋内に飛び込んできた。
「Mrフェイク、大人しくしなさい!」
ジャッジ・ザ・デーモンに続きミラーガールにも啖呵を切られたMrフェイクは、工具を手放し溶接用マスクを頭から外すと二人に話し返した。
「ふう、おやおや君たち。結構遅かったじゃないか。もうボク自慢のエアライドの改良は終わっちゃった所だよ。この異世界にある希少鉱物を使って、かなりパワーアップしたから戦闘力も格段に上がっちゃってるよ」
そう話し終わると、Mrフェイクは改良し終わったばかりのエアライドに飛び乗って宙を舞い始める。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに狙いを定めて、機能向上したエアライドから小型ミサイルを複数連続発射して攻撃してきた。
「避けろッ!」
ジャッジ・ザ・デーモンの掛け声にミラーガールも反応し、二人は素早い身のこなしでミサイルを回避する。
するとMrフェイクのエアライドが連射するミサイルは工場内を手当たり次第に破壊して、瞬く間に工場は崩壊してしまう。
そんな崩壊する工場をエアライドに乗って飛び出すMrフェイクは、上空から崩壊した工場を見下ろした。
「フフフ、まさかとは思うけど……あの二人、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールがこうも簡単にやられる筈はないよね? もっともっとボクを楽しませてほしいな」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールとの戦闘を楽しむMrフェイクは、不気味に微笑んでいた。
一方、ミサイルを回避したものの崩壊する工場の瓦礫に呑まれた二人は、双方とも自力で瓦礫を退かして脱出する。
「だ、大丈夫か、ミラーガール」「ええ、なんとかね」
ジャッジ・ザ・デーモンからの問い掛けにミラーガールは茫然としながら答えた。
そんな二人を見下ろすMrフェイクは、再び二人に向けてミサイルを発射しようと待機していた。
「フフフ、もっと楽しみたかったけど、そろそろ鬼ごっこも終わりにしようかな」
そう言ってMrフェイクは、エアライドを操縦してミサイルを二人目掛けて発射しようと飛行態勢を保つ。
と、Mrフェイクがジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに向けてミサイルを発射しようとした、その時。
「わっ! な、なんだこのネバネバした糸みたいなのは!?」
突然、死角からMrフェイクが搭乗するエアライドに粘り気の強い糸みたいな物質が絡んできた。
Mrフェイクが振り向くと、その視線の先の地上ではバズーカの様な物を担いでMrフェイクが搭乗するエアライドに向けて粘り気のある糸を発射するルナ達の姿があった。
「よし! 撃って撃って撃ちまくるぞ! Mrフェイクのエアライドを動かなくさせろッ!」
「み、みんな……」「………………」
トモルに続いてMrフェイクのエアライドに糸を絡ませて身動きを封じようとする開拓班の勇姿に、ミラーガールもジャッジ・ザ・デーモンも唖然とする。
「ッ……こんな糸でMrフェイクのエアライドが止められると思ったら大間違いだ!」
と、粘り気のある糸が絡んで動きが封じられるエアライドに乗ってるMrフェイクは、エアライドを操作してその場で滞空しながら回り、強引に絡んでいる糸を引き千切ってしまう。
『うわっ!』
糸が強引に引き千切られて、糸と連結しているバズーカを持ってた七人は勢い余って後ろへと転倒してしまう。
「それじゃ、ボク自慢のエアライドは改良し終わった事だし、そろそろこんな辺鄙な異世界はおさらばするね! もっともっと、色んな世界を旅したいからね!」
そう言い残すと、Mrフェイクはエアライドに組み込んでいるミラーゲート・リングを発動させて、別世界へ続くゲートを開いて一人逃走してしまうのだった。
[自分の複製を受け入れた鬼]
辛くもMrフェイクに逃げられたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの二人は、ルナ達と共に再び拠点である基地に帰還した。
「ごめんなさい、私達が非力なばかりにMrフェイクに逃げられてしまって……」
「いや、こっちこそすまない。せっかく駆け付けて来てくれたって言うのに、Mrフェイクを取り逃がしてしまって……」
そうルナとジャッジ・ザ・デーモンが詫び合っている中、ジャッジ・ザ・デーモンは再び施設内の設備で傷付いたデーモンスーツの補強などを行い、応急処置で修復した。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、再び別世界へと逃げ去ったMrフェイクを追跡するべくルナ達と別れる事に。
「短かったけど、色々とお世話してくれて感謝するわ。私達はまたMrフェイクの追跡に戻るわね」
「ああ! ミラーガール気を付けてな!」「ジャッジ・ザ・デーモンも」
ミラーガールからの感謝の言葉に、トモルもユキオも笑顔で返事する。
と、ルナ達を前に黙り込むジャッジ・ザ・デーモンの目前に立つルナが、徐にジャッジ・ザ・デーモンの肩に自分の手を置いて優しくも強く励ました。
「大丈夫……過ちや間違いをしたからこそ、あなたは今まで以上に強く正しく生きていけるわ。修司さん」
「………………」
ルナからの激励を受けて、ジャッジ・ザ・デーモンは皆の前で固く閉ざしていた口を開いて語り始めた。
「俺は……俺は、限りなく遅かった。我が子ともいうべき新世代型二次元人の存在を許容する事ができず、彼らを生み出した世界ごと拒絶してしまってた。その果てに、現政奉還なんて乱世を引き起こしちまった……」
『………………』
自分のクローンである新世代型二次元人の存在を受け入れるのが遅く、故に大きな過ちを犯してしまった自分の愚行を後悔するジャッジ・ザ・デーモンの発言に、ミラーガールやトモル達も悲痛な顔を浮かべる。
そんなジャッジ・ザ・デーモンに、再びルナが優しく訴えかけた。
「確かに新世代型二次元人の存在を最初は許せなかった。でも、最後は彼らもまた命ある存在として受け入れ、共に生きてみようと思えたのも事実よ」
そんなルナの励ましに対し、ジャッジ・ザ・デーモンは素直な気持ちを述べる。
「だが、俺は未だに我が子である新世代型二次元人と、どう向き合っていいか分からず仕舞いだ」
「親と子が、どう向き合っていいかの答えは多種多様、一つじゃないわ。どんな関係でも、少しずつ探りながら向き合い、そして距離を縮めて行けばいいのよ」
ルナからの温かい励ましに、ジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司は考えさせられた。
と、そんな自問自答しながらルナに激励されるジャッジ・ザ・デーモンをおちょくる様に、トモルが言葉を投げかける。
「そんなんじゃ、アッコさんと結婚して子供ができた時が大変ですよ」
「う、ウルサイ! まだ結婚もしてねえよ!」
トモルからのちょっかいに照れ臭くて激情するジャッジ・ザ・デーモンに、今度はミオとスズカの二人もからかい始める、
「そう言っていられるのも、今の内だけですよ」「そうそう」
この発言に、ジャッジ・ザ・デーモンは完全に怒り出してしまう。
「殺す! お前ら完全に殺す!」
そんなジャッジ・ザ・デーモンを押さえつけながらミラーガールが呆れながら言う。
「まあまあ修司、そう照れない照れない」
「止めるなアッコ! せめて一発殴らせろッ!」
逆上するジャッジ・ザ・デーモンを背後から押さえ付けながら宥めるミラーガール。そんな二人を前に、朗らかな気持ちで笑うルナ達だった。
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、再び別世界へと逃亡したMrフェイクを追って、自分達も別世界へと向かうのだった。
そんなジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの健闘を、ルナ達は心の中で祈りながら温かく見送るのであった。