201X年 聖龍伝説 神話復活 出逢いの章 作:セイントドラゴン・レジェンド
そんなMrフェイクを追跡するべく、キーオから腕輪であるリングを追跡できる指輪を手渡されたジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
鬼と聖女のコンビは、Mrフェイクを追って数多の異世界や物語の世界を転々としていきます。
今回は、あの音楽生命体と共に活動する女の子にジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが助力します。
[音楽都市MIDI CITY]
様々な異世界や並行宇宙に移動できるミラーゲート・リングを盗んで逃亡しているMrフェイクを追って、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは新たな世界へと辿り着く。
「此処は何処だ?」
「何だか煌びやかな世界ね。ネオンだらけで見た目は明るい都市みたい」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、辺りを見渡して煌びやかなネオンが目立つ都市部であると認識する。
そして都市を彩るネオンを観察してみて、ジャッジ・ザ・デーモンが何かに気付いた。
「ほう、どうやら此処は……音楽という文化が根強く愛されている様だな」
「確かに。どこもかしこも音楽関係のネオンはもちろん、歌なんかも流れていて賑わっているわね」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが都市の隅々を観察して、どうやら音楽文化が根付いて発展している世界だと理解する。
と、その時だった。
「うわーーっ!」「きゃーーっ!」
突然、音楽が流れる都市から悲鳴のような絶叫が聞こえてきた。
「なにっ!?」「行くぞ、ミラーガール!」
何かしらの事件と判断し、二人は絶叫が聞こえてきた方へと各々宙を舞って移動する。
そしてジャッジ・ザ・デーモンはグラップネルガンでビル伝いに移動し、ミラーガールは背中から翼を生やして飛行して現場へと到着すると。
現場では、巨大な怪物が街中で暴れ回っていた。
「な、なにアレ!?」
「良いからアレを止めるぞ! 被害が出る前にな!」
驚くミラーガールを横目に、ジャッジ・ザ・デーモンは冷静沈着に怪物を食い止めようと行動に移る。
そんな二人に気付いたのか、怪物は二人に襲い掛かって来た。
「避けろッ」
ジャッジ・ザ・デーモンの掛け声に反応し、ミラーガールも同様に怪物の攻撃を回避する。
そしてグラップネルガンを用いて避けたジャッジ・ザ・デーモンは、宙を移動しながら怪物に向けてジャッジラングを投擲して攻撃。だが、怪物には全く効かなかった。
「ッ! 火薬入りのジャッジラングでもダメか」
直撃すると爆発するジャッジラングが当たっても平然と暴れ続ける怪物を前に動揺するジャッジ・ザ・デーモン。
すると今度はミラーガールが飛行しながらミラーソードで怪物の真横を一文字に斬り付けていく。が、怪物には傷一つ付かない。
「爆発も剣も効かないなんて……!」「万策尽きたか……!」
地上に降りたミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンは、自分達の攻撃手段では怪物を倒せない戦況に愕然とする。
と、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが途方に暮れていた、その時。
何処からともなく、ギターの音色と共に音楽が奏でられ、聞こえてきた。
「!?」「なに、この曲……?」
聞いた事もない音楽に、ジャッジ・ザ・デーモンもミラーガールも辺りを見渡した。
すると建物の屋上に、数人の少女たちが各々楽器を手にして演奏していた。
と、少女たちが演奏すると同時にジャッジ・ザ・デーモン達の目の前で暴れ回っていた怪物が苦しみ出した。
「え?」「まさか……あの子たちの音楽が効いているのか!?」
少女達が演奏する音楽で苦しみ出す怪物を前に、ミラーガールもジャッジ・ザ・デーモンも一驚する。
そして演奏が最高潮に達すると同時に、ギター演奏していた少女から放たれた音符の光が怪物に直撃し、怪物は瞬く間に消滅した。
「す、スゴイ……!」
「ううむ……(音楽で敵を倒す……マーメイドプリンセスと似た感じだな)」
音楽演奏で怪物を倒した少女達に目を輝かせるミラーガールに対し、ジャッジ・ザ・デーモンは音楽の力で敵を倒すやり方は【ぴちぴちピッチ】のマーメイドプリンセスに近いと感じていた。
そして怪物が消滅すると、四人の少女たちが二人の前に着地する。
「あ、あの……もしかして、あなた達は聖龍隊のジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール?」
「! あなた、なんで私達の事を……!?」
「もしや、俺達の異世界の出身者か?」
ゴスロリ服の少女からの問い掛けに驚く二人の返答に、少女は不器用ながらに頷いた。
それから四人の少女達と二人は場所を変えて、話をする事になった。
[伝説のギターを奏でる少女]
それからジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは、四人の少女達に招かれて「BANDED ROCKING RECORDS」通称(BRR)に訪れた。
「なるほどなるほど。この二人は、シアンと同じ世界から来たというジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールなのですな」
「はい、有栖川社長!」
そこで二人は、卵に細い手足が生えた様な見た目の、BRR社長の有栖川メイプルと対面する。
「初見、失礼する。有栖川社長。それで、そこの少女……シアンと言ったか? 君は……」
「は、はい。私はお二人と同じ世界の出身で、聖川詩杏といいます。みんなからはシアンと呼ばれてます」
ジャッジ・ザ・デーモンからの質問に答えるゴスロリ少女のシアンに、続けてミラーガールが質問した。
「し、シアンちゃん。それで、あなたはなんでこの世界に? そして、この世界は何なの……?」
「は、はい。話せば長くなるんですが………………」
ミラーガールの質問に、シアンは自分の素性からこの世界の実情を語り明かしてくれた。
この世界は「サウンドワールド」と呼ばれる異世界であり、ミューモンと呼ばれる音楽生命体たちがバンドを組んで音楽活動に専念しているという。
「音楽を制するものが、王として君臨する都市、MIDI CITY(ミディシティ)」
夢の為、名誉の為、モテる為、金の為……それぞれの目的は違えど、仲間を集めバンドを結成し、音楽活動をしている。
世界中に様々な種族が存在し、姿形もさまざま。唯一共通している事は「みんな音楽が大好き」ということ。
MIDICITYには約2,000万人のミューモン達が暮らしているらしい。
聖川詩杏は、バンドに憧れるちょっと内気で平凡な高校一年生だったが、自身の性格も相まって中々軽音部入部のきっかけが掴めずにいた。「明日こそは入部しよう」と意気込みつつ音ゲーアプリ「SHOWBYROCK!!」をプレイしていたところ、突然異世界「サウンドワールド」に引きずり込まれてしまう。そこで彼女はミューモンとしての「シアン」となってからは、伝説のギター「ストロベリーハート」と共にダークモンスターを倒したりチュチュ・レトリー・モアのバンドプラズマジカに入って念願のバンド活動を始めるなど、様々な出来事を経験していたという。
「……そうか、音楽生命体という生き物、ミューモンが暮らす異世界サウンドワールドなんだな、此処は」
「は、はい。でも、この世界で度々ダークモンスターという怪物が現れていて、私が奏でられるギター「ストロベリーハート」の音色で撃退できているんですが……最近、余計に活発化していて困ってるんです」
シアンからの説明を聞いて理解するジャッジ・ザ・デーモンに、シアンはサウンドワールドで猛威を振るうダークモンスターの活動が最近になって活発化している現状に困り果てた様子で呟く。
「その、ダークモンスターだっけ? そいつらは、なんでこの世界で暴れてるの?」
「それが、なんでダークモンスターが現れるのか、そして何を目的に行動してるのか……はたまた、何者かに操られているのか、皆目見当も付かないのですぞ」
ミラーガールからの疑問に、有栖川メイプル社長が困惑しながら返答する。
「なるほど、粗方理解できた。先ほどのダークモンスターの様な怪物を倒せるのは、シアンが奏でるストロベリーハートの音色だけなのだな」
「は、はい、そうです」
「そうか、音楽の力でしか倒せないのだな………………俺、音楽は専門外」
「「ガクッ」」
音楽の力でダークモンスターを倒せると知ったジャッジ・ザ・デーモンの呆気ない返事を聞いて、ミラーガールもシアンも思わず呆然としてしまう。
「じゃ、ジャッジ・ザ・デーモン。無理に音楽で戦わなくたっていいのよ。貴方は貴方のスタイルで戦えばいいわ」
「ま、まあ、そうだが……だが、Mrフェイクだけでも厄介なのに、そんなダークモンスターなんて怪物も現れるとなると……」
「え! Mrフェイクって、あの狂気犯罪者の!?」
ミラーガールとジャッジ・ザ・デーモンの話を聞いて驚愕するシアンに、二人は語り返した。
「ああ、実は俺たちMrフェイクを追って、様々な異世界を巡っている最中なんだ」
「Mrフェイクを止めないと、何を仕出かすか分かったもんじゃないわ」
「Mrフェイク? 誰なのです?」
二人の説明に有栖川メイプルが訊き返すと、ジャッジ・ザ・デーモンが答える。
「Mrフェイクは俺達の世界で猛威を振るう犯罪者だ。様々な異世界を移動できる魔法アイテムを盗み出し、行く先々で悪事を働いている。俺達は、そんなMrフェイクを止めるべく追っている訳なんだ」
「なるほど。ダークモンスターだけでも厄介なのに、そんな悪人がこのサウンドワールドに来ているなんて大変ですぞ」
ジャッジ・ザ・デーモンの説明を聞いた有栖川メイプルは思わず考え込んでしまう。
そんなBRR社の様子を、屋外から盗聴器を通して聞き耳を立てている人物がいた。
「ふむふむ、なるほど……ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはともかく、あのシアンって女の子もボクらと同じ世界の出身者だったとはね。兎に角、これは面白くなってきたぞ! グフフ」
怪しく笑むMrフェイクは、そのまま近場に置いてあったエアライドに飛び乗って何処かへと飛んで行ってしまう。
そんなMrフェイクがエアライドで向かったのは、大手レーベル社「unicorn virtual music」通称(uvm)。そこでMrフェイクを待っていたのは。
「おお、帰ってきたようだな。Mrフェイク」
Mrフェイクを待っていたのはuvmの社長であるダガー・モールスだった。
「ただいま、ダガー! いやあ、この世界の音楽は実に興味深いね!」
「そんな事より、BRRは……有栖川たちの様子はどうだった!?」
「いやね、それが……先ほど、ボクと貴方とで強化したダークモンスターを倒そうとした謎の人物が居たって言ってたでしょ。その二人が、ボクを追っているジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールだったんだよね」
「確か、お前の……そして聖川詩杏の世界で活躍しているヒーローだったな」
「まあ、正確にはジャッジ・ザ・デーモンの方はヒーローモドキって奴だけど。それよりも、その二人とBRRの連中がタッグを組んだらしいよ。ダークモンスターという脅威を倒そうというチームという名目でね」
「メイプルは気付いていたか?」
「いいや、彼は未だ、貴方が裏でダークモンスターを操っている事実には気付いていないみたいだよ。どうやらジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが協力して、ダークモンスターを倒せる音楽を創っちゃうかもしれないね」
「バンドはどうでもいい! ギターの娘はどうだったと聞いているのだ」
「あのシアンって女の子かい? まあ、貴方がこのサウンドワールドに呼んだ彼女は、少しずつではあるけど、ギターを使いこなして演奏の腕前も上がっているみたいだね」
「私の目に狂いは無かったようだなぁ……」
「まさか、サウンドワールド……いや、この宇宙サウンドコスモを手中に収める為に、あのシアンって女の子に伝説のギターを奏でさせて自分の目的の為に利用するとは。いやあ、中々の悪役っぷり! 惚れ惚れしちゃうなあ」
「彼女の音楽スキルが上がれば上がる程こちらには好都合だからなぁ」
「そしてボクと貴方で強化したダークモンスターを暴れさせて、二人でサウンドコスモの天下を取っちゃいましょう! キャハハッ」
「………………(コイツ、本当にIQが280もある天才なのか? ただの狂人にしか思えないが……)」
常に陽気で狂気じみたMrフェイクの言動を前に、謀略を張り巡らせるダガー・モールスは些かMrフェイクとの共謀に不安を覚えていた。
[音楽を奏でる聖女]
Mrフェイクと共謀する、シアンをサウンドワールドに呼び寄せた張本人ダガー・モールスの企みが着々と進行している一方で。
BRR社長の有栖川メイプルと話し合った結果、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはダークモンスター襲来に備えてシアン達と協力する事になった。
しかも話し合いの中、なんとミラーガール本人がシアン達とバンドを組んで音楽を演奏してダークモンスターを迎え撃つ事になってしまう。
音楽に関しては、全くの無知であるジャッジ・ザ・デーモンは、渋々ながらミラーガールのバンド参加に同意し、ミラーガールはシアン達とバンド練習を行う事に。
「………………」
シアン達と和気藹々と切磋琢磨してバンド練習するミラーガールを傍観しながら、ジャッジ・ザ・デーモンは無言で壁に背中を預けていた。
「いやぁ、あのミラーガールというレディー、なかなかのクオリティを持っておりますぞ」
「そ、そうか……」
そんなジャッジ・ザ・デーモンに歩み寄る有栖川メイプルの評価に対しても、ジャッジ・ザ・デーモンは理解できず軽く返事するだけ。
「あのルックスにパフォーマンス、そして周りの子と協力し合って素晴らしいものを生み出そうとする協調性……本音を言いますと、とんでもない魅力を秘めておりますぞ!」
「は、はぁ……」
依然、有栖川メイプルの称賛に対して何も理解できないジャッジ・ザ・デーモンは思わず口走ってしまう。
「全ッ然わからん」
真顔で言うジャッジ・ザ・デーモン。
そんなこんなで、シアン達とのバンド練習を終えたミラーガールが汗だくで休憩に入る。
「ふぅ~~。戦闘以外で、こんなに汗を流したのは初めてかも」
ミラーガールは戦いでは感じられない音楽を奏でる爽快感に感動してた。
そんなミラーガールに、ジャッジ・ザ・デーモンがスポーツドリンクを持ってきて声をかける。
「ミラーガール、これ」「ありがとう、ジャッジ・ザ・デーモン」
ミラーガールは笑顔でジャッジ・ザ・デーモンからスポーツドリンクを受け取って一気にペットボトル半分ほどの量を体内に流し込む。
「ぷはぁっ、美味しい……」「お前、相変わらず酒を飲むみたいに……」
ジャッジ・ザ・デーモンはミラーガールの酒豪の如き飲み方に呆然としてしまう。
「それで、どうだ? シアン達とバンドを演奏し合って」
「うん! シアンちゃん達とは仲良くできてるし、上手く曲も演奏できてるし、今のところ問題ないわ」
「そ、そうか……」
音楽に関しては全くの無知であるジャッジ・ザ・デーモンは、ミラーガールの返答に相槌を打つしかできなかった。
と、そんなジャッジ・ザ・デーモンにミラーガールがふとある疑問を問い掛けた。
「そう言えばジャッジ・ザ・デーモン。あなた最初にシアンちゃんと話した時、もしや同じ世界出身者だって言ってたけど、シアンちゃんが私達と同じ世界から来たってこと知ってたの?」
「ああ、まあな」
「よく解ったわね。シアンちゃんが私達と同じ世界出身って」
「いや、実はな……最近、二次元界では「転生」と呼ばれる現象が増加傾向にあるんだ。シアンも、その事例通りに転生していたのかと思ってな」
「転生?」
「ああ、元居た世界で何らかの形で死亡した場合など、別の異世界で全く別の存在として転生する現象の事なんだが……まあ、シアンの場合は転生ではなく、飛ばされてやって来たって感じだが」
「転生ねえ………………つまり生まれ変わる形で、異世界の住人になるって事ね。そんな現象が増えていたなんて」
ジャッジ・ザ・デーモンから二次元界で増加傾向にある「転生現象」について教えられたミラーガールは頷くばかりだった。
と、ジャッジ・ザ・デーモンから、二次元界で増加傾向にある「転生現象」を知ったミラーガールたちの許に有栖川メイプルがやって来て二人に話し掛ける。
「君たち君たち! 聞いてなのです。実は今度、サウンドワールド内で音楽のビッグフェスが開催される事になって、私達BRR所属のグループにも声がかかったのです!」
「ほう、音楽祭って奴だな」
「そうなのですそうなのです! そして、その音楽祭でミラーガールをプラズマジカの特別ゲストとして一緒にバンドしてほしいのです!」
「わあ! 楽しそうなフェスね! それじゃ、私もますますバンドの練習を励まなきゃ」
有栖川メイプルから伝えられ、ミラーガールは休憩を終えて再びシアン達とバンドの練習を再開する。
「……音楽祭か。ところで有栖川メイプル、その音楽祭は主催者とかいるのか?」
ジャッジ・ザ・デーモンからの質問に対して、有栖川メイプルは怪訝な顔で答えた。
「ま、まあ……実は、昔ちょっと付き合いのあったuvmの社長であるダガー・モールスが主催の大掛かりなイベントなのです。しかも何だかダガーの奴、今回は後ろ盾に「F」なる大物がいるらしく、何かを企んでいるのかもしれないですぞ」
「F、だって……」
有栖川メイプルが明かしたダガー・モールスの協力者「F」という人物に対して、ジャッジ・ザ・デーモンは不安をよぎらせた。
[ダガー・モールス主催の音楽祭]
そして音楽祭当日。
サウンドワールドで最大の音楽祭が開催され、そこには多くの若者たちによるバンドが思い思いの楽曲を演奏して、音楽祭は最高潮に達していた。
そんな最高潮の中、遂にミラーガールを特別ゲストに加えたプラズマジカが大勢の観客たちの前で演奏を披露する事に。
「うわあ、緊張するぅ……」
「そんなにガチガチに硬くなってたら演奏も上手くできないわよ。もっとリラックスして」
「うぅ、ミラーガールは大勢の観衆の前で緊張しないんですか?」
「まあ、私はヒロイン歴も長いから、もう慣れちゃったかな」
シアン達の緊張を解すミラーガール。すると其処にBRR社長の有栖川メイプルとジャッジ・ザ・デーモンが応援しに来た。
「みんな、これからフェスが盛り上がる大事な場面での出番だけど、緊張しすぎないで!」
「ミラーガール、それにシアン達も。演奏が無事に終わるといいな」
「なによ、無事にって。ジャッジ・ザ・デーモンは心配し過ぎよ」
ジャッジ・ザ・デーモンの心配を不貞腐れた顔で返事するミラーガール。
そんなジャッジ・ザ・デーモンは、緊張しているシアン達に気付いて彼女達に声をかける。
「お前ら大丈夫か? ちょっと顔色が悪いぞ」
「は、はい。なんとか……でも私、こんな大勢で、しかもサウンドワールドの住人全員が観ている舞台で演奏するのなんて緊張しちゃって……」
「……ふぅ、シアン、いやプラズマジカのみんな。聞いてほしい」
緊張しているシアン達に、ジャッジ・ザ・デーモンは真剣に語り掛けた。
「俺は確かに音楽には無知な上に、歌にも自信がない。だが、音楽からは確かに物語同様に生きる力を与えられるのも事実。音楽も物語も同じ創作物……自由に自分の思い描いた創作物は、まさに自由が具現化した自由の象徴。俺は、そんな創作物から今も元気をもらっている」
「ジャッジ・ザ・デーモン……!」
ジャッジ・ザ・デーモンの力説を聞いて、シアン達は自分が好きな音楽が持つ自由に対して想い馳せるのだった。
と、その時。シアン達プラズマジカの出番が知らされる。
「さあ、行ってこい! お前達を縛るものは何もない、思う存分自分の思うが儘に演奏してみろ!」
ジャッジ・ザ・デーモンからの熱い声援を受けて、シアン達プラズマジカの女子達は力強く頷いた。
(ふふ。修司ったら。相変わらず人の夢を応援するのが好きなのね)
ミラーガールは人知れず、他人の夢を応援するのが性分のジャッジ・ザ・デーモンを評価していた。
そしてダガー・モールス主催の音楽祭で、ミラーガールをゲストに加えたプラズマジカのバンドは大成功。
突然、プラズマジカに加わったミラーガールの歌唱力や表現力も高評価され、会場は大絶賛の嵐で騒然とした。
ミラーガールが加わった上に、今までの経験で成長したプラズマジカの演奏に、ライバルである他のバンドの面々も熱い拍手を送った。
が、そんな会場が騒然と賑わっていた時だった。
「そろそろ貴方の出番ですよ。ダガー・モールス……!」
そうダガー・モールスに囁くMrフェイクの合図と共に、Mrフェイクが改造した凶悪なダークモンスターとダガー・モールスが合体。
ダガー・モールスは悍ましい化け物としての本性を現し、フェスに参加していた多くのバンドメンバーを人質にして、伝説のギターであるストロベリーハートを奏でられる唯一の存在シアンを洗脳しようとする。
「そう思い通りにさせるか!」
そう怒鳴り込みながら、ジャッジ・ザ・デーモンがミラーガールと共に化け物と化したダガー・モールスに襲い掛かる。が、Mrフェイクによって強化されたダガー・モールスに簡単にあしらわれてしまう。
そしてこの時、ダガー・モールスによってシアンこと聖川詩杏をサウンドワールドに引き寄せ呼び込んだのがダガー本人であり、全てはシアンの演奏力を高めた上で彼女にしか扱えないストロベリーハートでサウンドコスモ全てを支配しようと目論んでの行動だったと告げた。
ダガー・モールスは強化された自身の能力でシアンを洗脳し、ストロベリーハートを利用しようとするが、そこにジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが駆け付けて間一髪のところでシアンを救出する。
「このままでは、シアンを洗脳してストロベリーハートでサウンドコスモを全て支配されてしまうぞ!」
ミラーガールがシアンを押さえる中、ジャッジ・ザ・デーモンはダガー・モールスがシアンを洗脳してしまうのに時間がかからない現状を訴える。
すると此処でジャッジ・ザ・デーモンは、ある決断をミラーガールに提案した。
「ミラーガール、俺達が持っている二つの指輪で、シアンを元いた三次元界と並行する二次元界に戻すぞ!」
「え!? で、でも……」
突然のジャッジ・ザ・デーモンからの提案を聞いて戸惑うシアン。だが、ジャッジ・ザ・デーモンの提案を聞いてミラーガールも同意した。
「分かったわ。もうそれしか手が無いのは、私も分かるわ」
「そ、そんな! まだサウンドワールドのみんなが捕まったままだし……」
「シアン! このままお前がサウンドワールドに居続ければ、いずれダガーはお前を洗脳してストロベリーハートを奏でさせるだろう。そうすればサウンドコスモはダガーに支配されてしまうんだ! 分かってくれ」
「そんな……!」
激しく動揺するシアンを横目に、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは自分達が所持している指輪を発動させて、自分達やシアンが元いた二次元界への入口を導く。
「待てッッッ! そいつは私のだ!!」
と、シアンが元の世界へと戻る前に、彼女を洗脳しようとダガー・モールスが迫って来た。
「シアン、お前だけでも逃げるんだ!」「シアンちゃん、どうか元気で」
「ま、待って……うわっ」
ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに背中を押されて、半ば強引に元の世界へと戻されるシアン。
と、二人がシアンを元の世界へと戻した直後、ダガーの攻撃が二人に直撃する。
「「うわあっ!」」
ダガーの拳に殴られて、吹っ飛んでしまうジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
だが無事にシアンを元の世界に戻したジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールは態勢を立て直して、宙に浮いているストロベリーハートをジャッジ・ザ・デーモンが握り締める。
「どうするジャッジ・ザ・デーモン。このままじゃ、ダガー・モールスがサウンドコスモを支配するのも時間の問題だわ!」
「うーーむ……今のダガー・モールスは、Mrフェイクが強化したダークモンスターと融合した姿。やはり音楽の力で倒すしか手がないが……」
「音楽の力って……今や、ダガーによって全てのバンドメンバーは捕まって演奏もできないのに、どうするの?」
「うーーむ、こうなったらシアンと言う演奏者が居なくなった、このストロベリーハートで……」
次の瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンはミラーガールの前で自分が思いついた作戦を強気で言った。
「殴る!!」《パァン》
ジャッジ・ザ・デーモンがストロベリーハートでダガーを殴ろうと言い放った瞬間、ミラーガールの鋭い平手打ちが炸裂した。
「ストロベリーハートを壊す気!?」
「だって俺、演奏できないもん! ダークモンスターが音楽の力でしか倒せないなら、どうやって戦うんだ!?」
「だからって……!」
「そう言うならミラーガール、お前ギター演奏できるのか?」
「私だって無理だけど……だからって鈍器みたいに扱うのは無いでしょっ!」
そう言い争うジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールの二人を前に、化け物と化したダガー・モールスとその隣でエアライドに乗って観戦するMrフェイクが呆れ果てていた。
「………………………………」
「ね。ミラーガールはともかく、ジャッジ・ザ・デーモンはヒーローモドキでしょ」
伝説のギターであるストロベリーハートを演奏できるシアンが不在となったサウンドワールドで、化け物と化したダガー・モールスと対峙するジャッジ・ザ・デーモンとミラーガール。
果たして、化け物と化したダガー・モールスとそれに組するMrフェイクの野望を阻止できるのか。
[音楽を愛する気持ち]
一方、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールに背中を押されて半ば強制的に元の世界へと戻されたシアン。
しかし彼女は、シアンはサウンドワールドで交流を深めたバンド仲間やライバル達を放って、自分だけ安全な元の世界へ戻る事に抵抗を感じてた。
(このままじゃいけない……!)
そう思うシアンは、元の世界へと戻る道中、それを拒んで自力で再びサウンドワールドへと戻ろうと決意する。
その頃、ダガー・モールスの猛威が振るわれるサウンドワールドでは。
「きゃあっ」「ッ!」
ミラーガールやジャッジ・ザ・デーモンがダガー・モールスと激しい抗戦を繰り広げていた。
だが、今やMrフェイクが改造したダークモンスターと融合して狂暴化したダガー・モールスには、ミラーガールの聖なる力も、ジャッジ・ザ・デーモンの武力も効力が無かった。
と、二人が激しい抗戦をしている中、ダガー・モールスが巨大な手でミラーガールを捕えようと腕を伸ばしてきた。
「ミラーガール!!」
そこにジャッジ・ザ・デーモンが駆け寄り、ミラーガールを押しのけて彼女に代わってダガー・モールスに捕まってしまう。
「グハハ、この醜い鬼め、お前から握り潰してくれるわ!」
粗暴な言い回しでジャッジ・ザ・デーモンを握り潰そうと握力を強めるダガー・モールス。
が、巨大な化け物と化したダガー・モールスの握力でもジャッジ・ザ・デーモンは中々握り潰せない。
「な、なんだ。いくら力を入れても握り潰せない……!」
困惑するダガー・モールスに、エアライドでMrフェイクが耳元に近付いては囁き掛ける。
「あのデーモンスーツ、ミサイルでも壊れない設計なんですよ」
Mrフェイクから聞かされた事実に、ダガー・モールスは一驚する。
するとジャッジ・ザ・デーモンを握り潰せないと理解したダガー・モールスは、己の邪悪なエネルギーをジャッジ・ザ・デーモンに放流して苦しませる。
「ぐ……ッ!」「ジャッジ・ザ・デーモン!」
苦しみ出すジャッジ・ザ・デーモンを見て、ミラーガールが悲痛な表情を浮かべる。
「グハハッ、もうシアンも居ない、誰もストロベリーハートを奏でられない! 誰も私を止める事などできないのだァ!!」
完全に勝ち誇るダガー・モールスを前に、ミラーガールは憤りで表情を引きつらせた。
と、サウンドワールドの住人たち皆が諦めかけていたその時。
「……諦めないわ……!」「え!」「なに!?」
突然頭の中に直接伝わるような声に、ミラーガールもダガー・モールスも驚いた次の瞬間。
混然とする異空間と化したサウンドワールドに、元の世界に逃がされた事を拒んで自力で舞い戻って来たシアンの姿が飛び込んだ。
「シアンちゃん!」
「シアン……!? フッ、まあいい。計画通り洗脳して、ストロベリーハートを奏でさせるとしよう」
喜々とするミラーガールに対し、ダガー・モールスは当初の計画通りシアンを洗脳しようと、再びシアンへと迫る。
が、それをミラーガールがミラー・バリアーで防いだ。
「なにッ!?」
自分の力を弾いたミラーガールのバリアーに激しく動揺するダガー・モールス。
「シアンちゃん、覚悟はできているみたいね」
「はい! 私、大好きな音楽を悪い事に使われるのは嫌です! でも、それ以上に……大好きなサウンドワールドのみんなが苦しんでるまま、一人だけ逃げたくない!」
「シアン……!」
ミラーガールの問い掛けに威勢よく返答するシアンの言葉に、ジャッジ・ザ・デーモンもサウンドワールドの住人達も感極まる。
「シアンちゃん、こうなったら私達の音楽でダガー・モールスを倒しちゃいましょっ!」
「はい!」
ミラーガールの提案に強く反応するシアン。
するとミラーガールの左手首に装着しているコンパクトから聖なる光の粒子が放出され、その粒子がミラーガールとシアンを包み込んだ。
そして次の瞬間、シアンは今までとは全く新しいゴスロリの服装で、ミラーガールはまるでマーメイドプリンセスの衣装を足して二で割った様な衣装に変身した。
「な、なんだ! この力は……!!」
(うわあ……! ミラーガールの能力で彼女もシアンって子も変身したよ)
突然目の前で見た事もない衣装に変身する二人を目の当たりにして驚愕するダガー・モールス。一方でミラーガールの変身能力を目撃した自称ヒーローオタクのMrフェイクは内心感動してた。
そして変身を終えたミラーガールは、シアンの横で鏡魔法を用いて彼女が持つストロベリーハートに似たギターを出現させて手にする。
「え? ミラーガールって、ギター演奏できたっけ?」
「まあ、ほとんど魔法で演奏してみるわ。あとはノリと勢いでね」
「の、ノリと勢いって……」
ミラーガールの返答に唖然としてしまうシアン。
だが、そんな二人にダガー・モールスが迫る。
「思い通りにさせるかッ!!」
ダガー・モールスが二人に迫って来た、その時。ミラーガールとシアンは唐突に各々のギターを奏でて楽曲を演奏し始めた。
「ウオオオオオッ! (な、なんだ!? この異常なまでのパワーは……!!)」
ミラーガールとシアンの音楽演奏に圧倒され、委縮してしまうダガー・モールス。
と、二人の演奏が効いたのかダガー・モールスに拘束されていた多くのサウンドワールドのバンドメンバーが解放された。
そして彼らと同じく解放されたジャッジ・ザ・デーモンがバンドメンバーたちに呼び掛けた。
「今だ! みんな、ミラーガールやシアンと共に音楽を演奏するんだ! 自分の思い描いた楽曲のパワーがダガー・モールスの力を弱らせられる!!」
ジャッジ・ザ・デーモンの呼びかけに、多くのバンドメンバーが応えて誰もがミラーガールとシアンに続いて演奏を開始する。
ミラーガールとシアン、そして多くのバンドメンバー達の演奏はやがて一つの楽曲と化してダガー・モールスを確実に弱らせた。
「くッ……こ、こんな事があって、堪るか……!!」
やがてダガー・モールスは力が弱まった為か、元の人間形態へと戻っていってしまう。
そんなダガー・モールスの弱まった瞬間を見逃さず、ミラーガールがジャッジ・ザ・デーモンに声をかける。
「ジャッジ・ザ・デーモン! あとは貴方に任せるわ!」
するとミラーガールの演奏に続く様に、サウンドワールド中の楽曲パワー全てがジャッジ・ザ・デーモンに注がれた。
やがてその力はジャッジ・ザ・デーモンの右拳に集中し、ジャッジ・ザ・デーモン本人にも多大な増強を感じさせる。
此処でミラーガールと相槌を打ったジャッジ・ザ・デーモンは、勢いよく弱り切ったダガー・モールスへと駆け寄り迫った。
「これが音楽を真に愛している者たちの想いだ、ダガー!!」
「ッ!」
サウンドワールドの住人全員の想いを拳に集結させたジャッジ・ザ・デーモンに距離を詰め寄られ、蒼然とするダガー。
そしてそのままジャッジ・ザ・デーモンはダガーに向けて、音楽を愛する想いが詰まった虹色に輝く拳を叩き込んだ。
「ミュージック・ソウル・ナックル!!」
「ぶべっ!!」
顔面に思いっきり拳を殴り込まれたダガーは、そのままサウンドコスモの彼方へと吹っ飛んで消えていった。
ジャッジ・ザ・デーモンがダガー・モールスを殴り飛ばしたと同時に、ミラーガールとシアンの演奏も無事に終演し、更に混然と化したサウンドワールドが元に戻っていった。
ミラーガールとシアンのデュエット演奏は、サウンドワールドを大いに興奮させると同時に無事に終幕するのであった。
[暗躍する者たち]
サウンドワールドを救った二人の演奏者、ミラーガールとシアンを称賛する拍手の嵐が喝采する一方で。
「う、う~~ん……」
ダガー・モールスが音楽の力で委縮された際に、その迫力に吹き飛ばされて今まで気絶していたMrフェイクが目を覚ます。
「あらら、ダガー・モールスやられちゃったか。まっ、いっか。この世界でも思う存分、自由にできたからね」
自由を謳歌したいだけのMrフェイク。と、そんな彼を探し回る影が。
「Mrフェイク! 何処に行った!!」
「ギクッ、ジャッジ・ザ・デーモン……相変わらずしつこいなあ」
と、Mrフェイクが自分を探し回るジャッジ・ザ・デーモンに隠れながら、再び一人で別世界に逃げようとエアライドに忍び寄っていると。
「こっちだ、Mrフェイク」「! き、君は!?」
なんとエアライドの側に、瞳も全身も漆黒の鬼の姿をした、ジャッジ・ザ・デーモンとそっくりな人物がMrフェイクを待っていた。
「今は俺が誰かなんて良いだろ。早くジャッジ・ザ・デーモン達から逃げないと捕まるぞ」
「う、うん……」
突然、現れた瞳も全身も漆黒の鬼の姿をした人物に声をかけられ、Mrフェイクは彼に腕を掴まれる。
「それじゃ、次の異世界に逃げるぞ」
「ぼ、ボクに命令しないでよ!」
口論になりそうながらも、そのまま謎の人物とMrフェイクは別世界へと逃亡してしまう。
それから騒動が落ち着いてから、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールはサウンドワールドの皆と別れを惜しむ事に。
「ありがとう、ミラーガール!」
「あなたとシアンのお陰で、サウンドワールドが救われたよ!」
皆から声援を送られるミラーガールとシアンの二人。そんな中、シアンが皆に告げた。
「あの……サウンドワールドも無事だった事だし、私は元の世界に帰るわ」
「それがいい。いつまでも別世界の人間が異世界に居るのは、かえって混乱を招く事だからな」
「それ、貴方が言えた事かしら」
シアンの帰省宣言にジャッジ・ザ・デーモンが頷くと、それを聞いたミラーガールが呆れてしまう。
「わ、私……このサウンドワールドでチュチュやレトリー、それにモアたちとプラズマジカ組んだり、色んな経験をして思ったんです。今度は自分の意思で、自分の力で自由な音楽活動をしたいって。だからこんな内気な自分でも、勇気を出して一歩前に踏み出さなきゃって……」
「シアンちゃん……」
シアンの決意を聞いて、ミラーガールは笑顔で彼女に激励を送った。
「大丈夫! このサウンドワールドでの経験は、決してあなたを裏切らないわ! この世界で積み重ねた経験は、きっとあなたに勇気を、そして自由な音楽活動をやれる自信をも与えてくれる筈よ!」
「み、ミラーガール……!」
「頑張って! 私は応援してるわ、あなたの夢を」
ミラーガールからの激励を受けて、更に勇気と自信に満ちた顔付きになるシアン。
そしてシアンは、ジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールが持つ指輪の力で、元いた世界に帰っていった。
「それじゃ、俺達もまたMrフェイクを追うとするか」「ええ」
そしてジャッジ・ザ・デーモンとミラーガールまた、Mrフェイクを追うべく指輪の力でサウンドワールドを去っていくのだった。
一方で。
「………………ここは、どこだ…………?」
ジャッジ・ザ・デーモンに殴り飛ばされて、サウンドコスモの彼方にまで放り出されてしまったダガー・モールス。
サウンドコスモを悪戯に漂う虚無の中、どうしようもない現状に無気力に至るダガー。
と、そんなダガー・モールスの前に、サウンドコスモの何もない空間から突然、一人の全身黒いローブ姿の人物が現れる。
「お、お前は……!?」
「このまま、果てしない虚無の宇宙空間を漂うのか。もし、この空間から抜け出たいのなら……我の下に降るのだ」
ダガーの目の前に現れた、その人物は最後にこう名乗った。
「我が名は………………ヒルコ」
サウンドワールドから元の世界へと帰っていったシアン。
彼女が目を覚ますと、そこは何故か元の世界ではなく謎の異空間の中だった。
「こ、此処は何処? ……! み、みんな!?」
更に辺りを見渡したシアンの目に飛び込んできたのは、なんとサウンドワールドで親しくなったチュチュ・レトリー・モア、そして多くのバンドメンバー達だった。
みんなもシアンと同様、謎の黒い粘り気によって異空間の壁に拘束されている状態だった。
「ど、どうなってるの?」
困惑するシアンの疑問に答えてくれる者は、居なかった。