火拳は眠らない   作:生まれ変わった人

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少しの間、就活や試験、そして研究に時間を費やして投稿が遅れてましたが、他にも理由があります。

ここから先のデータが実家のパソコンにのみ残っていて、今まで投稿が遅れてました。

今回はそのデータも回収したのでまた定期的に投稿ができますが、これからの用事も迫ってきているので投稿も遅くなるのでご了承ください。

リアルの用事もあと少しで決着が……


倒せと轟く 黄蓋とのガチ決闘

現在、エースはどこかの城の中庭に立っている。

 

そして、眼前にはウキウキしている黄蓋が弓を構えていた。

 

周りには様々な面子が所狭しと集まっていた。

 

目を輝かせて自分に視線をぶつけてくる孫策と陸遜、周泰に孫尚香。

 

冷静にエースを見据える周瑜と甘寧。

 

少し緊張した面持ちで見詰めてくる孫権と呂蒙。

 

そして、ご機嫌な風と鈴仙。

 

いつもと違った状況にエースは呑まれそうになる。

 

「さあ! 存分に力を使ってみるがよい!」

 

半ば呆然としていたエースに黄蓋は本当に嬉しそうに呼び掛けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を遡り、エースと出会った孫策達は一次的にエースを警戒する。

 

しかし、エースは敵意が無いことを両手をあげて示し、必要ならば拘束も構わないと公言。

 

そこまで言った時のエースの眼に一片の曇りは無かった。

 

孫策はエースを信用し、拘束はしないが、甘寧と周泰に監視させるように命令する。

 

そういった軟禁状態でエースは孫策の城へと連れて来られたのであった。

 

「あなたが、火拳のエースだったわね?」

「そうだな。んで、あんたが孫策か」

「もちろん」

 

両者共に軽く素性を確認させた後、すぐに本題に入る。

 

「それで、連合軍の時に敵対していた貴殿が何の用ですかな? 火拳のエース殿」

「何の用って……決まってんだろ」

「いや、ここまで単身で乗り込んできてその質問は…」

 

周瑜の探りにエースがドヤ顔で答えると、意外な切り返しに周瑜もたじろぐ。

 

そして、一言。

 

「おれの仲間と部下を引き取った奴がどんな奴なのか見に来たんだ」

「……それで?」

「それだけ」

「そうか、それは……それだけ?」

「ああ」

 

当然のように答えるエースに周瑜は固まってしまう。

それは他の面子も同じらしく、何も言えなくなってしまった。

 

その疑問を代弁するかのように孫策はエースに問う。

 

「それじゃあ……エースは私を見にここまで来たの?」

「ああ」

「……洛陽からはるばる?」

「当然」

「うへぇ~…」

 

胸を張って答えるエースに孫策は苦笑いを浮かべる。

 

「じゃあ聞くけど……この後どうする気だったの?」

「そうだな……ひでえ奴だったら倒そうかと思ったんだけど、いいや」

「いいやって……随分と軽く引き下がるんじゃな…」

 

傍で聞いていた黄蓋もエースの気まぐれさに苦笑する。

だが、これは決して気まぐれだけではなかった。

 

「まあな、孫策ならおれの部下を預けるに足る奴だと思ったからな」

「あら、あなたは私の何を知ったのかしら?」

「色々」

「さっきからそういう答えばっかりねぇ…」

「いいんだよ。そいつ自身を知るのに言葉はいらねえ。そのまま感じられればいいからな」

「あぁ……それは私も賛成」

 

同意して頷く孫策を尻目に周瑜がエースに再度問う。

 

「しかし、なんでお前はすんなりと我等を受け入れられるのだ? 反董卓連合の時に攻撃してきた我等が憎くないのか?」

「ん~……そうだなぁ……」

 

エースはしばらく考え……

 

「すっげぇムカついた」

「そ……そうか…」

「……だけど、それとこれとは話が違うからな」

「なに?」

 

思いのたけを話すエースに周瑜もたじろぐ。

さっきから憎しみを感じさせない言動が続いたから、エースの本心に虚を突かれていた。

 

なぜならさっきからエースは穏やかな笑みしか浮かべていなかったから。

 

「よく考えりゃあおれ達海賊も似た様なことばっかやってたからな。それで恨むのは筋違いだろうと思ってよ」

 

エースの言葉に全員が脱帽した。

 

「仕方無いって……それでいいの?」

「あぁ…だからこそ今まで死ぬ覚悟のある奴だけおれの部下にしてきたしな! それにあんたはおれの部下を世話してくれてるからな」

「へぇ……意外と義理堅いじゃない」

 

孫策が妖しく笑いながら言うと、エースはフっと笑って答える。

 

「おれみたいなゴロツキよりも、お前等みたいな奴等に拾われた方があいつ等も本意だろうしな…」

「……」

「だから、あいつ等のことを頼む」

「ええ、最初からそのつもり」

 

頭を下げて頼むエースに孫策は嘘偽り無く返す。

 

虎牢関で暴れた猛将、天の御遣い火拳のエース。

 

世間で最も噂される彼が頭を下げた。

その頼みは酔狂や気まぐれでされたものではない。

 

軽く頭を下げるような凡夫でもない。

 

彼にあるのは仲間のせめてもの幸せを願う『願い』

 

そのためだけに洛陽からはるばるここまで一人で来たのだ。

 

「用件はそれだけですか?」

「ああ、孫策がどんな奴なのか確認できたしな、信用できる奴でよかったよ」

「うふふ…ありがとう」

 

首を傾げる陸遜の問いにエースは満足気に答えると、孫策もにこやかに返す。

 

そんな時、黙って話を聞いていた孫権がエースに問いかけてみる。

 

「それで、これからどうするのだ?」

「分かんね」

「分からないって……この大陸の情勢がどうなっているのか分かっているのか?」

「いや、最近商人とかにも会ってねえから状況が分かんなくて困ってたんだ」

 

エースの言い分に呆れながらも納得した孫権が何も知らないエースに分かりやすく教えてやる。

 

董卓との戦いの後、曹操、劉備、孫策の名が一気に上がったこと。

 

それによってその三人が大陸の三大国となって君臨

各地の諸侯も三人を中心に敗北、吸収されていること

近い将来、その三国に収束されると予想されていることを……

 

「今の状況では国境を越えるのにも一苦労だ。虎牢関で姿をあまり公にしなかったとはいえ、お前の名は有名だから国境を越えるのは無理だろう」

「なら突破するさ」

「あのなぁ……そんなことしたらお尋ね者として追われるのだぞ?」

「慣れてる」

「慣れてるって……どんな人生を歩んできたんだお前は…」

 

孫権は奔放すぎるエースの説得に頭を悩ませていると、見ていられなくなった孫策がエースの説得に参加する。

 

「それなら私達の仲間にならない?」

「え?」

 

意外な申し出に今度はエースが目を見開く。

 

「このままお尋ね者になって雑魚に追われるよりも私達と強い敵と闘って暴れる方が有意義だと思わない?」

「しぇ…雪蓮姉さま…」

「それに、元々はあなたの部下なんでしょう? だったら最後まで自分で面倒見たら?」

「(たしかにそうなんだがなぁ…)……」

 

孫策の言葉一つ一つがエースにとって正論に思え、ここを去ろうとした足も止まる。

 

(確かに部下を丸投げにするのはあまりに無責任だし……だからといって軍には縛られたくねえし……)

「それにここは最近賑わってきてね、おいしい露店やお酒が多いわよ~?」

「じゃあ客として」

「釣られるの早っ!!」

 

旅の間、何も食べていなかったエースにとって孫策流のネゴシエーションは食べ物の話題でフィニッシュを迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、エースって本当に火を出せるの?」

「あぐ?」

 

大広間で孫策に食事をご馳走されていた時、不意に孫権が聞いてみた。

 

それを中心に孫策達も集まってきた。

 

「そうねぇ……それは気になってたのよ」

「エースさんの体からは焦げた匂いとか何もありませんし~…」

「外見は普通に見えますよね」

 

孫策、陸遜、周泰が気になって自己分析を始めている。

 

すると、そこへ末娘の孫尚香が無邪気に提案してきた。

 

「だったら、エースが誰かと闘えばいいんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「それだ!!」」

「姉さま!?」

「祭殿!?」

 

急にスイッチが入った孫策と黄蓋が目を光らせてエースに振り向く。

 

それには孫権も周瑜も仰天する。

 

「彼は今は客人なのですよ!? 客人と殺し合いする気ですか!?」

「や~ね~、殺さないわよ。ちょっと腕が見たいって思っただけよ」

「少なくとも食事中に言うことではありませんよ!!」

「食事で精力つけて全力を出させたいところじゃのう」

「もう私の声が届かない!!」

 

孫権はこうなった元凶の末娘に詰め寄る。

 

「シャオ!! こうなることを予想してわざとあんなことを…!」

「だって~…その方が確実だし、雪蓮姉さまなら遅かれ早かれああ言ってたもん。シャオは知恵を出しただけだもん」

「エースの迷惑を考えろ!! それに姉さまがああ言う反応すると知ってやったな!!」

 

孫尚香は意地悪く舌をペロっと出して答える。

 

「殺さないって言ってるからいいじゃない。それに思春に勝ったんだから大丈夫でしょ?」

「し、しかしだな……」

「それに顔は合格。中々いい体してるし、火のように熱い男も好みだし~♪」

「それ関係ないでしょ!?」

 

姉妹の痴話げんかが続くも、それを黄蓋が抑える。

 

「蓮華さまも小蓮さまもその辺にしておれ。これは決定事項、王の権限でもある」

「もっと権限を有意義に使って欲しかったわ……」

「心配せずとも儂は殺さぬよ」

「ちょっと、なんで祭が戦うってなったの!? 私がやる!!」

「策殿はシ水関でやったんじゃなかったのかのう?」

「途中で逃げられただけよ!!」

「とにかく、儂だけまともに顔合わせしとらんのじゃ。これは決定事項じゃ」

 

黄蓋が勝手に決め、エースに近寄ってきた。

 

「食後の運動程度で構わん。相手を願いたい」

「……(コク)」

「よっしゃ!! それじゃあ先に待っておるぞ!!」

 

食後の運動ということもあり、エースは深く考えずに頷くと黄蓋はウキウキと中庭へと出ていった。

 

「はぁ……まあ、エースの戦いぶりを見られるなら今回は譲るわ」

「少しは自重してほしいものだ。祭殿もな…思春も来てくれ」

「はっ」

「それでは私も準備に行ってきますね~♪」

 

孫策と周瑜と甘寧、陸遜は出て行き、その場には未だに食べ続けるエースと孫権、孫尚香、周泰、呂蒙が残っていた。

 

「……ふー、食った食った。ご馳走さまでした」

「あ…いえ…お粗末様でした」

 

急に話を振られた周泰は慌てて返す。

 

孫権は申し訳なさそうにエースに謝罪する。

 

「すまん。姉さまも祭…黄蓋も悪気はないんだ…ただちょっと…」

「いいさ。おれも退屈してたからな。たまには悪くねえ」

「そうか……そう言ってもらえると助かる…」

 

そんなことを話していると、急に大広間の門が開かれた。

 

皆がそこに目をやると、そこに二人の影があった。

 

「後処理も疲れたね。風ちゃん」

「大国ともなれば前準備も後処理も大変ですから覚悟しましょうね~」

「うわ~い…はぁ…」

 

エースもよく知っている顔がそこにあった。

 

「よぉ、お前等元気か?」

「もう疲れたよ~……朝からだから体もカチカチ……」

「うっす」

 

フリーズする二人に何気なく挨拶する。

 

「……」

「なんだよ元気ねえな?」

「鈴仙?」

 

エースと孫権は呆然とする鈴仙に呼びかけ、返って来ない返事に首を捻る。

 

そんな沈黙もすぐに破られた。

 

「エ……」

「?」

「エース……さん!」

「おう?」

 

涙を流しながらエースに抱きついてきた鈴仙を受け止めると、エースの胸の中で鈴仙が涙を流す。

 

「おいおい…そんなに泣くのかよ……」

「あったかい……本当にエースさんだぁ……」

「参った…お?」

「……」

 

今度は背後から弱い衝撃を受け、振り返ると風もエースの後ろからしがみついていた。

 

「……もう少し早く来てくれた方がよかったのです…」

「……悪いな…待たせてよ……」

「…今度から気を付けてくれますね……?」

「おう」

「……ん…」

 

風のしがみつく手が強くなる。

さっきはできなかったが、会えなかった分だけ甘えるように…

 

エースは二人の妹分との触れ合いにしばらく浸っていた。

 

「……」

「あわわわわ……二人共大胆です…」

「い…いけませんこんなところで…!」

「二人共ズルい~…シャオも~…!」

 

最後の発言は孫権に止められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな経緯があって冒頭に至る。

 

すぐに落ち着いた風と鈴仙は上機嫌になってエースの試合を観戦する。

 

全員に体を覆うことのできる濡れた手ぬぐいを持たせて。

 

最初は全員不思議がっていたが、一番付き合いの長い二人が言うのだから素直に従おうと手ぬぐいを装備する。

 

「ふふ…血肉躍る……ここまで興奮するのはいつぶりじゃろうか?」

「浸ってないでさっさとやろうぜ。おれも少し盛り上がってんだからな」

「そうか……なら…」

「!!」

 

黄蓋はノーモーションで矢をエースに放った。

エースはスウェーで避けながら口笛を吹いて驚きを表現する。

 

「すげえ腕だな。今まで会った奴の中で弓の腕はピカイチだな」

「そう言ってもらえるとは光栄じゃ…な!」

「ほ…ふ…」

 

黄蓋と軽口を叩き合いながら矢を完全に見切るエースに外野は驚きと賞賛が起きる。

 

「んじゃ、おれもやるかな」

「む?…おう!?」

 

そんな中で痺れを切らせたエースが黄蓋に突進してきた。

 

いきなりで虚を突かれたが、黄蓋はすぐに口を吊り上げて迎え撃つ。

 

エースは黄蓋に向かって跳躍し、飛び蹴りを見舞う。

 

「当たるか!!」

 

黄蓋がそれを避けるが、着地したエースはすぐに水面蹴り。

 

「ぬぅ!!」

 

片足を上げて避ける黄蓋は間髪入れずに矢を補充、エースに放つ。

 

「おっと」

 

それをバク転で避けるが、黄蓋の追撃は続く。

 

矢をエースに次々と射るが、それさえもたやすく避けていく。

矢の雨を笑顔で避けるエースの身体能力は異常とも言えたが、黄蓋にとっては嘗められてるとしか思えてなかった。

 

「ええい!! チョコマカと!!」

「なに言ってやがる、本気でもねえ奴に文句言われる筋合いはねえぞ」

 

それを聞いた黄蓋は体をピクっと反応させて手を止める。

それに合わせてエースもその場に止まる。

 

「そうか……なぜ分かったのじゃ?」

「よく言うぜ。本気でやりゃあ息の一つくらい乱れるに決まってる」

「それは……」

「それに迫力が感じられねえ……だからおれも様子見で済ませてんだ」

 

不敵に笑うエースに黄蓋は参ったという風に表情を緩ませる。

 

「ふふ……お主ほどになればこの老躯の限界などお見通しか?」

「そういう訳じゃねえ。だが、おれは本気の奴にしか応えねえ。おれを見極めたいなら全力で来なよ」

「そうか……それじゃあ“準備運動”もここらへんにして本腰を入れようかのう」

 

そう言って深呼吸すると、黄蓋はすぐに目を見開いて矢を構える。

 

「!!」

 

いまさっきとは違う速度のノーモーション早撃ちにエースも慌てて回避する。

 

跳躍での回避は危険と判断し、側転で避けるが黄蓋の弓はエースに向かってくる。

 

しかも、さっきまでとは考えられない速度で飛んでくるだけでも舌を巻いたというのに、もう一つ驚くべきことがあった。

 

「二本同時かよ!!」

 

エースはあまり味わったことのない攻撃にそう毒づく。

 

黄蓋もその二本を自在に操り、エースを翻弄する。

 

時折、同時でなくリロード無しの射撃もくるから厄介極まりない。

 

このままゴリ押しで突っ込んでもまた逃げられて狙い撃ちがオチだろう。

 

そう考えていた時、今度は黄蓋から余裕の一言。

 

「どうした? 儂は本気でやっとるのにお主は様子見か?」

「!!」

「だったらお主の無礼を儂が正す!!」

「ちょっ!!」

 

黄蓋が至近距離まで近づき、矢を射るのでは無く直接手に持って突いてきた。

エースも少し黄蓋の言葉にショックを受けているところだったから反応が遅れ、紙一重で避ける結果になった。

 

それが悪かったのだろう。

 

「しまっ…!」

 

急な回避でエースは足を踏み外して転倒する。

その刹那、エースは眼前で弓を自分に構える黄蓋を見た。

 

「これで終わりじゃ!!」

 

黄蓋は臆することもなく矢をエースに放つ。

近付いてくる矢を前にしてエースは意外な反応を見せた。

 

「認める!! あんたは強い!!」

「?」

 

急になにを言うのかと思った黄蓋はその瞬間とてつもない熱気を帯びた風に見舞われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…何が起こったのだ?」

「分からない……というより口の中に砂が……」

「ほえ~……」

 

周瑜と孫策、側にいた陸遜は突然吹き荒れた砂嵐に苦闘している。

 

「さっきまであんなに晴れてたのに……」

「大丈夫ですか? 小蓮さま」

「うえ~…目に砂が~…」

 

周泰と呂蒙は目をこする孫尚香を護るようにあらかじめ渡されていた手ぬぐいで砂嵐を防いでいた。

 

「なんだか熱いな……」

「蓮華さま。すぐに手ぬぐいを」

 

急な温度変化に困惑する孫権に甘寧が手ぬぐいを被せてやる。

 

皆、いきなり起こった城の中庭で起こった異常事態に混乱している。

 

そんな中で事をなんとなく理解している風が皆の前に出てくる。

 

「心配せずともこの風はすぐに止みますから」

「風?」

「なにを言ってるのですか~?」

 

ノホホンと言いながら必死に手ぬぐいで砂を防ぐ陸遜の質問に風は諭すように言う。

 

「……これが皆さんの見たがっていた“物”の正体なのです」

「「「「「「「??」」」」」」」

 

風の言葉に鈴仙以外の全員が首を傾げた。

 

この後起こる超常現象の予想もできずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ……何だとゆうのじゃ…」

 

黄蓋は急に起こった砂嵐に苦悶の表情を浮かべていた。

 

エースに矢を射った直後、急に目の前で熱風が吹き荒れた。

 

まるでエースが起こしたかのように…

 

そんなことを思っていると、段々と熱風が収まってきた。

 

黄蓋も仕切り直しといった感じで弓を構えた時だった。

 

「陽炎!!」

「!!」

 

舞い散る砂埃の中から巨大な火の塊が黄蓋目がけて飛んできた。

 

黄蓋は反射的に身を投げ出して回避。

 

通り過ぎた火の塊が地面に着地した瞬間、爆発を起こす。

 

「うぐぅ…!」

『『『!!』』』

 

爆風で砂埃が綺麗に吹き飛ばされ、辺りの様子が元に戻ったのに皆は驚く。

 

しかし、黄蓋と外野の驚きのベクトルは違っていた。

 

黄蓋はどこからともなく現れた火に、外野は再度起きた異変に…

 

そんな時に火の着地地点から人が現れた。

 

「それじゃあ、こっからは気持ち良く戦うとするか」

「!!」

 

それは言うまでもなく不敵な笑みを浮かべたエースだった。


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