ハーメルンでの活動は初めてなので不安がありますが初投稿です。宜しくお願いします。
夢を見る。いつもと同じ夢、けれども目が覚めればそれは何だったのか思い出せない、そんな夢、それを今日も見る事になる。
暗い中、ただ何もない所に光があり、それを追いかけて走る。だけどその光に届く事はなく、やがて光は小さくなっていくと。
「…………ろ…」
何かが聞こえてくる。だけどうまく聞き取れない。それは訴えかけているのか、助けを求めてるのか分からない。何度もその言葉が聞こえ、やがてはノイズ音となっていきあまりにもうるさくて耳を抑える。そして目覚めろと何度もつぶやくとやがて彼女『篠崎ほのか』は目を覚ました。
「…またですか」
そう呟きながらほのかはベットから降りる。先程見た夢はもう覚えていない、思い出そうとしてもそもそもどんな夢を見ていたのかも分からないし思い出せない。だから彼女にとっては普通に寝て起きただけ、それを2年前からずっと続いている。少し寝ぼけなから自分の部屋に出て階段を降り、リビングへと入る。
「おはようございます…」
「あっ、おはようございます篠崎さん。朝食出来てますよ」
「はーい…相変わらず元気ですね『森本』さん」
「そりゃあ私は元気ですよ、篠崎さんが元気なら私も元気なので!」
いつもと変わらぬ笑顔で答えた森本は自分の朝食をテーブルに置き、互いに手を合わせ「いただきます」と声を揃えた。焼いたトーストの上に乗せる目玉焼き、これは美味い。うん。
「どうです?美味しく出来てますか?」
「はい、美味しいです!おかげで眠気なくなりました!」
「そこまで?」
「そこまでです!」
嬉しく答えたほのかに対して森本は嬉しく感じて笑みを浮かべた。それから朝食を食べ終え、皿洗いは森本に任せてもらい、ほのかは洗面所へ向かう。そして鏡の前で自分の顔を見る。
「…」
今でもまだ分からない。これからの事だって全く分からなければ過去の自分について全く分からない。彼女の人生は分からない事だらけだ、その道が本当に正しいのか、今自分がしている事が正しい事なのかも分からない。本当に分からないのだ。
篠崎ほのかは記憶喪失である。
2年前、彼女が目覚めた場所は病室だった。身体には痛みはなく外傷はなどはない。けれども自分が何者なのか思い出す事が出来なかった。彼女が担当する医師が言うには山にある路上で倒れていたらしい。救急車に運ばれ命に別条はなかったが記憶が無い事から倒れた際に頭を強く打ってしまった事が原因ではないかと言われた。ただ、彼女はどうして山にいたのか、彼女の両親は何処へ行ったのか、それは分からなかった。結局の所、彼女が発見された山付近に警察が散策を行ったものの、見つける事が出来ず捜査は打ち切り。それが彼女が目覚めた次の日の事である。
それから数日が経った頃、彼女を引き取りにやって来たのが当時彼女とその両親との面識があった『森本蛍』である。彼女は篠崎一家とは隣通しのご近所さんであり、ほのかが幼い頃によく遊び、時には森本家に泊まりにいったりした程、互いに親交が深かった。しかし、彼女が高校を卒業し、大学へ通い始めて2年が経った頃に篠崎ほのかが入院をしていると親から連絡があり、それから事情を知らされる。それを聞いた彼女は絶句したと同時に絶望した。ほのかは記憶喪失となり、両親は行方不明。つまり、ほのか自身の記憶もなければ自分と遊び、純粋でいたあの子はもう私の事を覚えてもいない。そう感じてしまった。
酷く絶望したもののすぐに我に返り、彼女の元へ向かった森本はおおよその事情を把握し、彼女を引き取る事に決める。大学は中退する事になるが、これからは篠崎ほのかの為に彼女が両親の代わりになる事に決めた。この事は海外へ出張中の親にも承認済み。そうして篠崎ほのかと森本蛍の生活が始まり、それが2年も続き今に至る。
「支度は大丈夫ですか?」
「バッチリです!」
支度を済ませ、2階へ降りていくと洗面所から森本の声が聞こえ返事を返したほのかは靴を履き始める。いつもの毎日、いつもの登校、これが彼女 篠崎ほのかの1日の始まり。
「それじゃあ、いってきます!」
「はい、いってらっしゃい!」
いつもの言葉を言いながら玄関の扉を開けたほのかは自身が通う学園 宮益坂女子学園へ向かった。
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