今後も高評価低評価問わず気軽に押していただければと思うのでよろしくお願いします!
あと、小説情報にサクラの容姿と武器の記載したAIイラスト置いておくので今後の戦闘シーンの脳内補完等に使用していただければと思います。
アビドスの空には陽が登り始めひんやりとした空気もほのかに温かさを帯び始めていた。
忙しなく開店の準備を進める人々を横目にボクは商店街を散策していた。
昨日は空腹と虚しさからあのまま砂のベットで一夜を過ごそうとしたのだがさすがに放っては置けないということでアビドス高等学校の保健室をお借りすることになった。
急に攻撃したお詫びということで差し入れにおにぎりを持ってきてくれたのだが空腹によく染みた。
寝ている間は何度かホシノが様子を見に来る気配があったが特段それ以上のことは何も起こらなかった、弾丸の1発や2発は覚悟していたがかなり丸くなったらしい。
とはいえ、いつまでものんびりしているのも申し訳のでシーツや布団をまとめ早朝には学校を後にした訳だがあまりにも暇すぎる。
柴関ラーメンの開店まではまだ少しだけ時間があり、久しぶりのアビドスの市街地を散策していたが特段変わり映えのない砂の被った建物ばかりで早々に飽きてしまった。
強いて変わった点を挙げるのなら空き家が増えた事くらい、大きい砂嵐も起きていないのか良くも悪くも本当に変化がない。
やることが無いというのも中々に辛いものだ。
アビドスに戻って二度寝と洒落込むのもありではあったがそろそろ誰か登校していてもおかしくない時間だったので鉢合わせでもしたら面倒事に巻き込まれかねないから止めた。
おかげでかなりの時間待ちぼうけする羽目にはなったが目的のラーメンが食べられると思えば苦ではない。
ぼちぼち柴関ラーメンに向かおうかと考えながら商店街を歩いていたところで胸ポケットに入れておいた携帯が震えた。
バナーに表示された宛名はカンナ、こんな朝っぱらからお仕事とはご苦労なことで。
肝心なメッセージは通話で少し打ち合わせがしたいとの内容、後回しにしても良かったが開店まではまだ数分ある、仕方なく了承の旨のメッセージを送信。
すぐ近くの自動販売機で缶コーヒーを購入しすぐそばの路地に入ると同時に着信音が鳴った、緑色の通話ボタンを押し耳に当てる。
『朝早くからすまないな』
「問題ないよ、それでなんの用?」
『先日の銀行の案件について進捗を聞いておきたくてな、カイザー系列ということもあって上が報告を欲しがっている』
理事の方へは誤魔化してあることを考えれば本社の方から圧がかかったか、内部で直接報告が行ってない辺り理事の方も何とか言い逃れできているようだ。
プレジデントへ直接報告が入っていれば少し面倒だったが⋯手柄の横取りを心配しているのか、なんにせよ扱いやすくて助かる。
「現場の状況だけじゃなんとも言えないかな、覆面のおかげでカメラ映像はすぐには使い物にならないし空薬莢とかも回収されていたようだから少し時間かかりそうなんだよね」
『そうか、追加人員の手配は必要か?』
「そんな戦力があるなら七囚人の捜査にでも充ててボクを交番に戻して欲しいんだけど」
『残念だが生活安全局で七囚人の相手をできる人間を私は知らない』
「ボク一応その生活安全局の所属なんだけど」
『ならサクラを除いてになるな』
「勘弁してよ⋯」
『それで?その七囚人についてはどうだ?今はアビドス砂漠にいるんだろ?』
「ん?⋯あぁ、アビドスにはブラックマーケットに来たついでに寄っただけでそっちについては進捗は無いよ、厄災が暴れた形跡もないし怪盗さんの盗むようなものも無いから完全に無駄足だね」
『そうか、なら明日ヴァルキューレに戻ってきてくれ』
「行けたら行くよ、ちなみに何用?」
『近況報告も兼ねて少し話を聞いておきたいだけだ、すぐに終わる』
「ならこの電話で済ませてよ、アビドスにはもう少しいる予定だし戻るの面倒くさいよ」
『まぁそう言うな、実際面と向かって話さないと伝わらないこともあるだろ?』
「絶対面倒事だよね?」
『⋯⋯そんなことは無いぞ』
「その間はなんなんだよ!」
『とにかく、明日の10時にはヴァルキューレに戻ってきてくれ、遅刻許さないからな』
「絶対嫌だね、ボクは厄ネタ回収機じゃないんだぞ?これ以上面倒事押し付けられてたまるか!」
『そうか⋯それは残念だな、一応サクラの交番勤務についての話もする予定だったんだが』
「もー冗談じゃないですかァ!行くに決まってるじゃないですか!あ、お土産とか何か欲しいものありますか!?」
『お前ってやつは⋯まぁいい、シャーレ先生とは会えたか?』
「昨日少しね、相当なやり手だと思うよ?腹の底が全然見えなかったしアビドスの生徒にすぐ溶け込める人心掌握術と権限のことも考えれば本格的に動き始めたらボクだけで相手にするのはほぼ不可能かな、連邦生徒会長もすごい人を連れてきたもんだよ」
『サクラがそう言うなんて珍しいな』
「カンナもそのうち会うことになると思うけど気をつけた方がいいよ?あれは今すぐどうこうできるような相手じゃない、お上の人達にも静観しているよう伝えておいてね」
『わかった、上にはそう伝えておく』
「よろしく〜」
会話を終え電話を切らずに待っているとピピッと電子的な音が鳴り、机になにかが置かれる音がする、おそらくはICレコーダー、上からの指示か。
『⋯今言われた通りに報告しておけば大丈夫か?』
「さすがはカンナ、話が早くて助かるよ」
『そっちもずいぶん面倒な事になってるじゃないか、カイザー系列の闇銀行が襲撃されたとかなり騒ぎになっているぞ』
「誰だかさんが交番から追い出してくれたおかげでね、そもそもボク別の事案で動いてるんだからあんなので呼ばないでよ」
『あの段階では七囚人の襲撃の可能性もあった上に警備局もまだまともに運用できる状態じゃなかったからな、ちょうど近くにサクラがいてくれて助かった』
「結局取り逃したわけだけどね。ていうかやっぱりボクの居場所ってバレてる感じ?」
『あぁ、貸し出しているP9式拳銃には連携の強化を目的と紛失防止としてGPS機能が搭載されていてな、単独で動くサクラには関係ないかもしれないが何かと役に立つものだな』
「プライバシーの侵害では?」
『防衛室長の指示だ』
「おっと、随分使い勝手のいい魔法の言葉が飛び出したな」
『そんなことよりもその銀行襲撃についてはしばらく伏せておく予定か?』
「そんなことって…まぁ、襲撃犯が確認できてない以上は動きたくないかな、場所もブラックマーケットだし下手に変な組織を刺激したくないんだよね」
『お前のことだがらある程度の検討は着いていると思っていたが?』
「ある程度ならね、ただまだはっきりとは言えないから今のところはボクに預けて置いてもらってもいいかな?カンナならどうにかできるでしょ」
『わかった、とりあえず現状については明日こっちに来た時にでも軽く聞かせてくれ、白紙の報告書を出す訳にも行かないからな』
「おっけー、それにしても普段は深く腰かけたまま動かない上層部が随分と騒いでるじゃん、やっぱカイザーだから?」
『そうだな、カイザーだから…というよりも襲撃された闇銀行と防衛室の繋がりがあるせいと言うべきだな』
「と言いますと?」
『財務室から分配されている防衛費は別に裏資金があることは把握しているな?』
「まぁ多少はね、確か警備費用だったり罰金の一部を裏資金として蓄えてたった話でしょ?財務室の監査でバレかけたって話を聞いた時はさすがに呆れたよ」
『そこまでわかっているなら話は早いな、その裏資金についてだがその監査の際に諸々の不祥事の発覚を恐れて当時の担当が丸々別の場所に送金していてな、その送金先がカイザーだったわけだ』
「つまりその裏金は防衛室を離れて今やカイザーに握られていると?」
『そう単純な話でもなくてな、カイザーからしてみれば個人名義で大量に貯金をしただけにしか見えていないはずだ、太客とは見ているかもしれないがまさかそれが裏資金とは思っていないだろう』
「個人?その担当が自分の名前で貯金したの?それこそ財務室の目に留まりそうな気もするけど…さすがにマヌケ過ぎない?」
『幸か不幸か相手が闇銀行だったからな、銀行側としてもネギを背負ったカモを早々手放したくは無いはずだ、上手く揉み消したんだろう』
「まぁ経緯はわかったよ、要はその裏金が無事かどうか心配で心配で仕方がないってことでしょ?」
『資金そのものもそうだが銀行には取引の際に使用した書類や帳簿があるはずだ、そんなものが流出したとなれば連邦生徒会の信頼問題にも関わる』
「会長の失踪だったり矯正局脱獄だったりでココ最近不祥事続きだったからね、もう手遅れな気もするけど」
『そう言うな、それに防衛室が信頼を失うということはその管轄下にある私たちヴァルキューレの信頼低下も避けられない、サクラの目指す平穏な交番生活にもまた一歩遠のくことになるな』
「怖いこと言わないでよね…ていうかそんなにその裏資金が怖いなら回収しちゃえばいいのに、財務室は難しくても防衛室内でも保管くらいできるでしょ…多分」
『そうしておきたいのは山々なんだがその当時の担当が問題でな』
「問題しか出てこないじゃん…んで、誰なの?」
『不知火カヤ防衛室長だ』
「うわぁ、本当にめんどくさい…」
『今の防衛室長の地位はカイザーの支援があってこそのもの、もちろん支援の対価に諸々の待遇措置があるわけだがそのひとつにその裏金が関与していると私は考えている』
「カイザーを動かせるほどの額なんですか?財務室の目もあるうえ今どき資金洗浄の手段だって限られているんだよ?そもそも運用すること自体難しいじゃん」
『裏資金自体はヴァルキューレ開校当時からあった、各部署でストックした裏金を本校舎に集約し洗浄して防衛室で保管するといった流れでな…その額はざっと1000億は下らない』
「あぁ…そりゃカイザーも手放さないわけだ、てっきり上層部連中の懐に入っていると思っていたけど」
『各部署から集めてたわけだから下手に手をつける訳にも行かないし財務室の目も盗まなければ行けないからな、それならカイザーの袖の下に置いておいた方が有意義と判断したんだろう』
「そんな金があるなら防衛費だとか交番の設備を整えるのに使って欲しいもんだけどね、前にコーヒーメーカーを注文したら断られたんだけど?」
『ただでさえ防衛費をかき集め無ければならない状況でそんなものにOKが出るわけないだろ、どの道正規ルートで運用できない資金だ、一般の部署で扱い切れる代物じゃない』
「預けておけば裏資金を人質に協力を得られるが言いなり、回収すれば操り人形は卒業しても今までの不祥事+最悪裏資金の事実が公開発表、もう八方塞がりじゃないすか」
『下手に動けば防衛室長の地位どころかヴァルキューレの存続すら危ぶまれるからな、それなら預けたままにしと置く方が無難だと判断したんだろう』
「はぁ、その結果がこれなら目も当てられないよ…それで、ボクに何をさせたい訳?どうせ拒否権なんてないんだからさっさと言ってよ」
『やる気があるようで何よりだ。とりあえずは引き続き襲撃犯を追ってくれ、損害や当時の現場の状況がこちらで確認できてない以上はサクラしか動かすことが出来ない…そのうえで例の裏資金についても探りを入れて欲しい、襲撃犯及びカイザーへの接触方法はサクラに一任する』
「七囚人の方は?」
『裏資金優先で構わない、防衛室長も今はそれどころではなさそうだからな』
「相変わらずなようで何より、んじゃボクはこのあと用事があるから続きはまた明日聞くよ」
『あぁ…その前にひとつ』
「なに?」
『先日の銀行の一件でお前が動いているのが各校に勘づかれた可能性がある』
「そりゃまた随分と面倒な…」
『情報が行き交うブラックマーケットには各校からの工作員が集まる、それがあらゆる裏取引の金が流れるカイザーの闇銀行なら尚更な』
「そういう視線は感じなかったんだけどな…ボクももう歳だな、余生は交番でのんびり過ごしたいんだけど」
『諦めろ、現に今朝ゲヘナの方で風紀委員に大きな動きがあるとの連絡が入った、関連性は不明だがサクラも気をつけた方がいい、学園、企業問わずサクラを恨んでいるやつがいるのも事実だからな』
「ご忠告どうも…全く、モテる女はつらいよ」
そう言い捨てて通話を終える。
カイザー理事や上層部が出しゃばってきているあたり相当面倒なことになっているのは間違いなさそうだ、それに加えて防衛室長の尻拭いまでさせられる羽目になるとは貧乏くじにも程がある。
ここまで見据えてカンナがボクを呼び戻していたのなら飛んだ慧眼の持ち主だ、両手に高々と中指を立ててあげよう。
七囚人は今のところ派手に動いている様子は無い、あの馬鹿どもが本格的に動く前にこちらを片付けておいてもいいのかもしれない。
不在時にカイザーの連中に面倒事を起こされるくらいなら1度ここで燃やし尽くしておいた方がいい。
問題は先生だ、アビドスで行動するにあたって先生という障害物は避けては通れない。
別に無理して避ける必要は無いのだがどうも彼がいると調子が狂う、余分な変数は少ない方がいい。
腕時計を確認すると柴関ラーメンの開店時間から既に数分経過していた、こんな面倒事にリソースを割いている場合では無い。
急いで路地から飛び出し柴関ラーメンへと向かう、平日の昼間ということもあり人が並んでいる様子は無い。
開店中の札がかけられた扉を開け暖簾をくぐると醤油ベースのスープの香りが瞬く間に鼻腔の奥を突き抜けていく。
昨日から我慢していたラーメンの香りに一瞬意識が飛びそうになる、変な薬を決めるよりもよっぽど危険だろ、こんなん合法でいいんですかい?
「いらっしゃい…ってサクラちゃんか!久しぶりだな!」
厨房から元気よく出てきたのはここの店主の大将、キヴォトスでも数少ない常識人であり人情味溢れる大人。
最近は来れていなかったがアビドスに来た際はほぼ毎回来ているおかげか顔を覚えられている、少し気恥しいが悪い気はしない。
「お久しぶりです大将、お変わりないようで良かったです」
「そうでも無いさ、最近は足腰に来やすくなってな…ま!そんな話はあとにしてとりあえず座んな、メニューはいつものでいいだろ?」
「うん、固め濃いめ全トッピングマシマシの大盛りでお願い」
「あいよ!」
店内を見渡すがボックス席に4人座っているだけで席は空いていた、アビドス生の姿は見られない。
前に来た時はもっと活気があった気もするが平日の昼間だしこんなもんだろう、言われた通り入口付近のカウンター席へと向かう。
道中にある漫画棚から時間つぶし用の1冊を選ぼうとしたところで奥のボックス席から机を叩きつける音と共に叫び声が響き渡る。
奥のボックス席の4人へと視線を向けると1人の少女が立ち上がり変な顔をしながら八つ当たりにも近い意味不明な文言を羅列している所だった、正面に座る2人も少し困惑している様子。
その言葉に耳を傾けているのは横に座る紫髪の少女のみ、目を輝かせながら話を聞いていたかと思うと上着の内ポケットから何かを取り出した。
遠目ではっきりは見えないがあの形状の物体をSRTの頃にも見たことがある、アンテナとレバーの付いた片手サイズの機器、C4爆薬等に使う遠隔の起爆デバイス。
即座に踵を返し厨房に戻ろうとする柴大将へと覆い被さる。
カチカチと短いスイッチ音が2回、背後から強い衝撃を受けそのまま大将と共に吹き飛ばされた。
前回のアンケートの結果貞操観念逆転シチュは一般ではないことが分かり…おっと失礼、文字数に関しては意外に五分五分だったので間を取ってキリがいい所まで書きまくるになりました!
…何か変わったのかな()