魔法少女の隣にいる私   作:しらいうつほ

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9話 裏切り者と呼ばれて組織を追放されました。〜我のような才能溢れる怪人を追放したことによって、組織が崩壊寸前!?今更戻ってこいと言われても、もう遅い〜(願望)

 

 レフィーヤと呼ばれる人物は、アルタノギアの幹部の一人だ。

 

 怪人として英才教育を受けた彼女は、組織の中でも優れた才覚を持ち合わせ、瞬く間にその頭角を表した。

 

 戦闘……は勿論、いかにどうすれば人間の生命力を効率よく奪えるか。

 

 その事を常に考え、気がつけば、組織の中でもトップクラスの実力を持つ、アルタノギア一番隊次席にまで上り詰めていた。

 

 一番隊はアルタノギアの中でも戦闘に特化した部隊。

 

 そんな中、冷静に物事を考えられるレフィーヤの存在は稀有だった。

 

 彼女は才能もあり、努力の怪人でもある。

 

 それが、組織の中での彼女の評価。

 

 頭に血が昇りやすく、突発的な行動に出てしまうのが偶に傷だが。

 

 それでも、怪人の中では比較的、自身の感情をコントロール出来る。

 

 そんなレフィーヤは、気絶した怪人三人を担ぎ、なんとかアジトに帰って来た。

 

 しかし、それはレフィーヤにとって最悪の選択肢となってしまった。

 

「ガハッ……!」

 

「不様を晒したな、レフィーヤ」

 

「ひ、筆頭……! なんで……!」

 

「貴様、アルタノギアを裏切り、人間に与し、魔法少女を庇っていたというではないか」

 

 レフィーヤはロングの髪を後ろに束ね、ハーフアップの容姿端麗な女。

 

 一番隊筆頭、つまり直属の上司と言える怪人に制裁を加えられていた。

 

 筆頭はレフィーヤの腹を蹴り、地面に転がす。

 

 その目は、レフィーヤにとって、恐怖の象徴とも言える目だった。

 

 十の圧倒的な強さに筆頭を思い出し、筆頭の圧倒的な強さに十を思い出す。

 

 あの時、レフィーヤがクルリの攻撃の流れ弾から、魔法少女である東江を庇っていた事は明確に筆頭の耳に届いていた。

 

「ち、違うのよ! 筆頭……! あれは……!」

 

「なんだ? あれは……とはなんだ? よもや、人間に怯え、言われるがままに行動したとでも言うのか?」

 

「……っ」

 

 言い訳も出来なかった。

 

 事実、本来、敵であり餌である人間に味方するような行動を取ってしまった。

 

 こうなってしまっては、レフィーヤは怪人として、組織内で行動するのは難しいだろう。

 

 裏切り者には制裁を。

 

 それがアルタノギアの鉄の掟だった。

 

 そして幹部であるレフィーヤは……。

 

 生命力を奪われた挙句、人間の世界に放り出される。

 

 それはすなわち、その場にてのたれ死ねと言う事だった。

 

「ちょ!? 何するのよ!?」

 

 レフィーヤは筆頭に生命力を奪われ、身体の力を無くし、部屋に入って来た怪人二人に腕を掴まれる。

 

「ま、待って! 筆頭! 我、次はちゃんとやるから! ぜ、絶対に……期待に応えて見せるから……!」

 

「……怪人としての矜持も忘れたか……残念だよレフィーヤ、君みたいな優秀な怪人を失ってしまうことになるとは。最後は怪人らしく魔法少女に特攻でも仕掛け、潔く散るがいい。花ぐらいは手向けてやろう、さらばだ」

 

「待って! 待って、筆頭……」

 

 そしてそのまま、レフィーヤは組織内から追放されたのであった。

 

 その様子を筆頭である彼女は、見送り、そして目を閉じて溜め息を吐いた。

 

「本当に……残念だ……レフィーヤ……」

 

 一番隊はなんだかんだと言って、レフィーヤに支えられて来た部分も多かった。

 

 アルタノギアのトップクラスの勢力が集まる隊だとしても、その殆どが戦闘狂ばかり。

 

 レフィーヤのおかげで、生命力を効率よく奪え、魔神復活へ向かって、1番の功績を残している。

 

 しかし、レフィーヤをその才能惜しさに手元に残しておけば、他の隊からも糾弾され、一番隊自体が裏切り者として制裁を受ける可能性がある。

 

 他の筆頭に彼女が負けるつもりもないが、かと言って、他の隊員を危険に晒すような真似はしたくない。

 

 彼女は椅子に腰を深く掛け、天を仰ぐ。

 

「…………そうか、出て来たのか……彼女が。() ()()()()……」

 

 その独り言は、部屋の中に小さくこだました。

 

 ────

 

「うう…………これから一体どうすれば良いのよ……」

 

 レフィーヤはトボトボと一目につかないような場所を歩いていた。

 

 怪人である彼女が人間の世界に生命力なしで出歩いては、ボンテージ姿のその格好から警察に捕まることは必至だろう。

 

 もっとも生命力を奪えば良いだけの話ではあるが、それをしたら魔法少女に気配を察知されて、狩られるリスクもあった。

 

 半べそをかきながら、一人で暗闇の中を彷徨い続けるその姿は、哀れという他なかった。

 

 怪人の食事とも言える生命力が枯渇し、レフィーヤの腹が盛大に鳴る。

 

 人間が普段食している、食べ物でも腹を満たす事もできるが、今の彼女は無一文。

 

 生命力によるパワーも無いので強奪もできない。

 

 今の彼女は人間の一般的な成人女性と同じ戦闘力。

 

 まさに詰んだ、としか言えない状況。

 

(……このまま我は……死んでしまうのか……)

 

 あの時、自爆覚悟で十に特攻でも仕掛ければよかったと後悔するが、それでも、一発で沈められた記憶が蘇り、十の存在が怖くて仕方がない。

 

(……怪人としての……矜持……か……そう思えば……我は調子に乗っていたのね……)

 

 アルタノギアの中で一番隊の中で決して欠かせない存在。

 

 そんな事実が、彼女を調子づかせていた。

 

 そんな伸ばした鼻を、彼女はプライドと共に全て折られていた。

 

(お腹……空いたなぁ……)

 

 レフィーヤは路地裏で倒れる。

 

「うう……ううう……」

 

 そしてそのまま、泣き出し、気が済むまで静かに泣いた後、泣き疲れ、そのまま眠りについた。

 

 その後彼女は、自身を追放へと追いやった元凶である、十の家で目を覚ます事となる。

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