「……何で我、簀巻きにされてるの……?」
変態の怪人であるレフィーヤとやらが、目を覚ました瞬間、自身の置かれてる状況に困惑して、疑問を口にする。
どうやら寝ぼけているようだ。
あの後、路地で倒れていた変態を、このまま放置しようかと思ったが、東江さんが「もしかしたら目を覚ましたら悪い事するかも……!」と言ったので、一旦私の家に連れ帰った。
すこぶる気乗りはしなかったけど。
取り敢えず、起きて暴れ出したら困るので布団で簀巻きにしてある。
力一杯締め上げたので、多分解けないだろう。
「どうしてあんなところで倒れてたの、レフィーヤ」
東江さんが神妙な面持ちで変態に問いかける。
しかし、変態の名前レフィーヤって言うのか。
なんか西洋かぶれみたいな名前だな。
髪色も金髪だし。
よく見たら、顔つきも何だか西洋人っぽい。
綺麗系と言うか何と言うか。
「……も、元はと言えば……アンタ達が……ごにょごにょ……」
レフィーヤは歯切れ悪く、何かを誤魔化しながらぶつぶつと言う。
「私たち……?」
「……そこの女に脅されて仕方なく、アンタを守ってたら組織から追放されたのよ……」
oh……。
あの時、気絶している東江さんに流れで攻撃が当たったら、マズイと思ってたので、圧をかけて守らせていた。
頑丈だし、どうにかするでしょって思ってたし、何か動きを見せたら即座に叩く予定だったのだが。
それが原因で怪人が所属しているアルタノギアとかいう組織から追放されたらしい。
と、レフィーヤは言っていた。
うん、どう考えなくてもこれ私のせいだ。
なんかそう思ったら不憫に思えて来たな。
「十さん……今、不憫だなって思いませんでしたか……?」
東江さんが頬をぷくーっと膨らませながら、こちらを見る。
あれ? また怒らせちゃったのかな……。
「えっ……う、うん……」
「ククク……笑うなら笑えば良いじゃない……我、捨てられたのよ……うう……」
簀巻きにされたレフィーヤが、涙を流し始める。
それを見た東江さんが、溜め息を吐きながら私の手を引っ張り、レフィーヤとは別室に移動させられた。
「……もしかしたら、私たちを騙して後から奇襲を仕掛けようとしてるのかも……」
「……でも、嘘を言ってるようには見えなかったけど……」
「も、十さん……相手は怪人ですよ……確かに……十さんの方が強いからって……少し甘いと思います」
「でも、あの怪人……前よりずっと弱くなってる……多分、普通の一般人でも……訓練を積んだ人間なら勝てるんじゃ……ないかな」
「……! そんなことまで分かるんですか……?」
私に攻撃を仕掛けて来た時に比べて怪人特有の気持ち悪いオーラが鳴りを潜めている。
それに、身体能力も簀巻きにしているから、よく見えないけど、身体の感じからすると一般女性と変わらないと思うし……。
「……ですが……レフィーヤは怪人で……」
「うん……そうだね」
しかし現状、あの変態が人間の敵であると言うことは変わりはない。
このままどうすれば良いのか二人して悩む。
そして私は思いついた。
「じゃあ、アイツ私が見張ってようか……?」
「え?」
私ならあの怪人が暴れ出しても、抑え込めるし良いアイデアだと思う。
その代わり、アイツと四六時中、学校の時以外は見張ってないといけないけど、東江さんの負担が減るならそれもありだろう。
外出するなら、今回のように簀巻きにしとけば良いだけだし。
「私の家に……住まわせて……見張っておくよ。東江さんの負担も……減るでしょ……?」
「…………ず、ずるい……」
え?
東江さんが急にワナワナと震え始めて、私を睨みつける。
ダメだ、また怒らせてしまった。
ていうか、アイツが来てから東江さん怒りっぱなしじゃないか?
クソ! 疫病神め!
「何で十さんはすぐに一人で抱え込もうとするんですか! 今日、言いましたよね!? 私たちはこれから一緒に戦っていく仲間なんです! このペンダントに誓って!」
「う、うん……」
「……ほっとけない! ……ほっとけません! 十さん! 私も貴女の家に引っ越す許可をください!」
「え、ええ!?」
急に東江さんが引っ越すとか言い始めた。
え? 私の家に!?
東江さんが!?
はわわ、どうしよう。
で、でも……東江さんの負担もこれまで以上に増えそうだ。
主に私が私生活の面では案外ポンコツなので。
「いや……その……そこまでしなくて大丈夫……だと」
「じゃあ何なんですか!? 十さんはレフィーヤと二人っきりが良いとでも言うんですか!?」
それは正直言ってごめんである。
おっぱいのデカい女苦手だし、好みとしては東江さんのように小さい女の子の方が好みだけど。
って何思ってんの私。
「私も十さんと一緒に居たい! ずっと一緒なんですから! 私と貴女! これからもずっと!」
やったー! 東江さんからの愛が重い!
なんで!? そう言えば昨日からなんか東江さんの様子がおかしかった。
それほど仲間に飢えていたということなのか……?
って言うか私で良いの? 仲間。
何回も繰り返すけど、私、魔法少女でもなんでもないんですけど?
しかし、この状況でそれを言い出すことは私には出来ない。
東江さんの剣幕がすごいからだ。
「十さん!」
「……は、はい……不束者ですが……よろしくお願いします……」
こうして、私は東江さんの勢いに押されて、東江さんが私の家に引っ越して来ることが決まったのであった。
「……あの〜我、トイレ行きたいんだけど……」
別室から、そんなレフィーヤの気の抜けた声を聞きながら、本当にこれで良かったのかと思ってしまう。
え? 私、昨日で大分、心臓もたなかったような気がするけど、大丈夫?
死なない?
活動報告にて十 葉荼芽のキャラクターデザインを公開しました。