怪人二人と戦い、レフィーヤが本格的に居候し始めた時から一先ずは変わらない日々を過ごせている。
あれ以来、離反したと思われる怪人達が、ちらほらと出現しているが、私と東江さんで止めていた。
東江さんはあれ以来、武術の修行にハマった様子で、今では私が教えている空手に夢中になっている。
実力はメキメキと伸ばしており、なんか魔法と空手の型の使い方を模索しているようだ。
魔法の方は私は力になれないから、魔法少女×空手の技が完成した暁には手合わせしてみたい。
そんな東江さんだが……。
「えっとね、ここの問題は……」
「わー! すごい! 聖理佳ちゃんありがと〜! よしよししてあげるね!」
「わふっ! も〜やめてよ〜」
放課後の自由時間、胸の大きいクラスメイトとなんか萌え四コマみたいな事していた。
ふふふ、かわいい……じゅるり。
少し恥ずかしながら、頭を撫でられている東江さん……。
小動物みたいで、猫ちゃんみたいである。
光景を見ながら、ニヤニヤしたいが今は教室だ。
我慢しなければ。
「う〜ん! やっぱり聖理佳ちゃんはかわいいね〜!」
そう言いながらクラスメイトはその豊満な胸を東江さんの頭に押し付けながら、満遍なく撫で回している。
「わ〜! ちょっとやめてよ〜!」
なんか心なしか東江さんが嬉しそうだ。
なんだ? 東江さんはおっぱいが好きなのか……?
そう思いつつ、私は自身の胸に目を落とす。
無ッ……!
そんな効果音が聞こえてきそうな、絶壁が私の目前に広がる。凹む。
いやこれはサラシ巻いてるだけだし……。
脱げばBくらいはあると思うし……。
お風呂で見た時はちゃんと膨らみがあることは確認してるし……レフィーヤみたいにムチムチッ……! ♡みたいな効果音は聞こえてはこないが、スラッ……♡ポヨ……♡みたいな効果音は出てるはずだ……!
大きい事は別に良いが、なんかデカいおっぱいって下品っぽく見えない?
私みたいな程々に胸に脂肪があって、後はスラッとした体系の方が綺麗で良くない?
むむむ……なんかそう思えば思うほどムカついてきたぞ……!
私は席を立ち東江さんの方へ向かう。
「……? 十さん?」
「も!? ももも十さん!?」
「東江さん、帰ろ」
私は東江さんの手を取り、帰宅を促す。
なんかクラスメイトは挙動がおかしくなり、顔を赤くして小刻みに震え、その豊満なおっぱいを震わせている。
なんだそれは、私への当てつけか。
私が東江さんと一緒に帰ることに嫉妬しているのか?
フッ! 残念だったな! 私と東江さんは同じ屋根の下で暮らしているのだよ!
ロリと同居だぞ! ロリと!! どうだ? 羨ましかろう?
なんか異物が居候してるけど。
私は当てつけてきたクラスメイトに見せびらかすように、東江さんの肩を抱き、身体を私の方へ寄せる。
その瞬間、東江さんがお顔を真っ赤にして狼狽し、教室が急にざわめき始めた。
「えっ!? もぎきしゃん!?」
「行こうか、東江さん」
「ふえ……ふぁい……」
え? 何その返事、かわいい。
なぜかふわふわ状態になってしまった東江さんと一緒に帰路に着くことになったのであった……。
────
「魔法少女! 貴様の生命力も貰おうか!!」
「絶対にそんな事は許しません!」
帰る途中怪人と出会い、東江さんが一戦交えている。
私は、後ろの方で見てるだけだ。
いや、ものぐさしてる訳ではない。
取り敢えず、東江さんには怪人と戦ってもらい、今現状、東江さんの力がどこまで通用するのかを見定める為。
それと、もし東江さんが負けてしまった時の保険だ。
東江さんは「十さんが後ろで見ててくれると、とても頑張れます!」とすごいキラキラした笑顔で言っていた。
そう言われてしまうと、私は手を出すのをグッと堪えるしかない。
取り敢えず、生命力を奪われて放心状態になっている人たちを攻撃の届かない安全な所に運んでいよう。
こうして、せっせと安全なところまで避難させていると、東江さんがなんとか勝ったそうで、怪人は気絶して目を回している。
それと同時に白い霧みたいなのが出てきて、放心状態になっている人たちの顔に生気が戻っていた。
東江さんは今回もギリギリで勝ったらしく、肩で息を切らしながら、少し悔しそうな表情を浮かべていた。
それもそうだよな……。
この怪人は囮だと言うことに私も東江さんも気づいている。
東江さんと囮が戦い、その隙に他の場所で人間の生命力を奪っているのだ。
その証拠に、私が少し気を張り巡らせたら、街から伝わってくるちょっとした気の乱れを感じ取れる。
後手に回っている状況、東江さんも面白くないだろう。
東江さんを支えると誓ったのはいいものの、今の状態の東江さんでは一人で怪人を倒すのは精一杯。
私とて、広い街を一瞬で移動して、怪人を倒すなんて事は出来ない。
手分けするにしても、東江さんの身に危険が起きたらどうする。
私の手の届かない所で、東江さんがエッチな目に遭っていたら私は悔やみに悔やみ抜いて、何をしでかすか分からない。
助けた後、オカズにしてしまうだろう……。
しかし……この現状……どうすれば良いのか……。
東江さんも手分けをした方がより多くの人を助けられると内心では思っていても、自分の力では強力な怪人が出てきてしまった時に、足を引っ張ってしまうと思い、私には何も言わないでいる。
そんなこんなで、家に帰り、思い切ってレフィーヤにこの事を相談してみた。
「え? 我、怪人側なんだけど……」
全くもってその通りである。
なんか普通に暮らしてるからすっかり忘れていた。
まずいな……相談する相手を間違えた。
「それにアンタ、少し東江に過保護すぎなのよ……! パートナーのこと信じてあげないでどうすんの!」
それに説教された。凹む。
しかし、言ってる事はその通りなので何も言い返せない。
「我の修行内容だって東江のやってるやつの倍だし……」
「それは……レフィーヤには武術の……才覚があるから……」
「え? そうなの?」
東江さんにも短期間で武術の基礎を身につけるぐらいの才能はある。
しかし、レフィーヤはその倍の才能があった。
怪人なので身体能力が人間のとは違うのだろう。
最初、路地裏で見つけた時より、遥かに強くなり、もう少ししたら私の組み手相手になれるぐらいの逸材だ。
特に柔術の方がレフィーヤの体に合っているらしく、今では空気投げの練習に励んでいる。
東江さんの方は基礎をもう少し練り込まないと、応用には入れない。
「まあ良いわ、アルタノギアの離反組についてなら我も少し探っているし」
「え……? なに……? また家から出てるの?」
「ち、違うわよ! ヒヨリとか我の言う事聞いてくれる怪人に頼んで情報収集してるの!」
「え……? なに……? 勝手に人の家に呼んでるの……?」
「仕方ないじゃない! 家から出られないんだから!」
まあ私の言った事だし、それを忠実に守ってくれてるならまだ良いか……。
良くはないけど。
「それはそれとして、ちゃんと東江も一端の魔法少女なんでしょ? ちょっとのピンチくらい自分で跳ね除けちゃうわよ……! 良いから、手分けして戦いなさいよ!」
それも……そうか……。
今思えば、初めて出来た友達で、危険な目に遭ったら可哀想だから、少し過保護になりすぎたのかもしれない。
これは私が東江さんの事を信じられてないからだろう。
よし……。
ちゃんと東江さんと話をしよう。
「と言う訳で……東江さん……手分けして、怪人を倒そうか」
「私もそう思ってました……これじゃ手が足りなくなって……みんなを助けられないんじゃないかって……」
「うん……」
「十さんが居ないと不安で……でも……私、甘えてばっかりいられません! 十さんに鍛えてもらったんです! それに、このペンダントがあれば一人じゃないから」
そう言い東江さんが、猫のペンダントを取り出す。
私も取り出して、東江さんに近づき、離れた猫をくっつける。
私たちの距離が近づく。
そして気づいた。
東江さんの身体が少し震えている事に。
多分まだ、怪人と戦う事に不安が残っているのだろう。
でも、目は負けていなかった。
私なんかで、不安が取り除けるのならいくらでも側にいよう。
一人が良かった前と違い、東江さんに出会った事で、友達って良いものだなって思えたから。
「えへへ……! 十さん! 頑張りましょうね!」
「うん……そうだね……」
私はそのまま東江さんの小さな身体をギュッと抱きしめる。
「ふぇ!? も、十さん!?」
「頑張ろう……ね?」
なんだか……ずっと昔、東江さんとこうして、抱き合っていたかのような不思議な既視感を覚えた。
なんだろう、この感覚。
なんだかソワソワして、気持ちが高揚してポカポカする感じ……。
不思議な感じだ……だけど悪くない。
こうして、東江さんと私は手分けをして、怪人退治に乗り出したのであった。