私は自分の布団の上に東江さんを下ろす。
取り敢えず、静かな所と思い至って、自分の家にやって来た。
私は親が家に居ないので実質一人暮らしなので問題はない。
お母さんは、私が物心つく前に死んだし、お父さんは私に負けてから「修行してくる」と言って小学生の頃から顔を合わせていない。
口座の中に毎月のお金は振り込まれてるので、生きてはいるんだろうけど。
というか東江さんの家とか知らなかったので、私の部屋に連れて来たというわけだ。
私は東江さんの横に正座で座り、寝ている顔を拝む。
あ────身長もちっさくて可愛いと思ったけど、やっぱりお顔も可愛い〜〜〜。
私は可愛い女の子が大好きなので、いくらでも見れる。
変態ではない。決して。
私は東江さんの小さい手を取って、触れる。
ウッヒョ!! ぷにぷにですべすべだ!!
しかし、こんな小さな手で、怪人共と戦っているとはなぁ……。
いくら何でも、魔法少女というのが何なのか分からなくても、一人で戦うなど酷ではないか。
仲間はどうした仲間は。
アニメとかじゃ、魔法少女って仲間が居るはずだろ。
そのセオリーを無視しやがって。
憤りを感じる。
などと、東江さんの手の感触を堪能しながら、心の中で怒っていると、手がピクリと動いた。
私は東江さんの方へ顔を向けると、目を覚ましていた東江さんが、何が起きているのか分からないという表情で私を見ていた。
……やべぇ……変態行為をしている所を見られた。
な、何とか誤魔化さないと……!
「…………これは……ツボのマッサージ……で……疲労に……よく効く……ので……ハイ……」
言い訳が苦しすぎる。
やべぇ……警察に通報されたらどうしよう……。
変態ロリコン女として通報されたらたまったものではない。
「えっと……ありがとうございます……」
東江さんは顔を伏せて、お礼を言ってくれた。
若干顔が赤くなっているが、大丈夫だろうか。
しかし、よかった……下心で触っているとバレなくて本当によかった。
いや、寝てる間に勝手にマッサージも大分ヤバいと思うけど。
「あ、あのここは……っていうか! みんなは!? 怪人は!?」
東江さんはその場からバッと飛び起き、周囲の状況を確認する。
しかし、見慣れない風景に困惑している様子だった。
取り敢えず私は、一声かける。
「ここは……私の家で……怪人は倒した……みんなは無事だよ……ハイ」
ダメだ、長い言葉を喋ったことがないので、若干しどろもどろになったような気がする。
こ、このままじゃダメだ。
コミュニケーションの練習もしないと……。
「そ、そうでしたか……すみません! 一緒に守ろうって言っておきながら、助けてもらって!」
「う、うん、大丈夫」
東江さんは頭を下げて来たので、慌てて顔を上げさせる。
それに元々私一人でやるつもりだったし、問題はない。
それにしても怪人は頑丈だった。
私の拳であれだけのダメージだったら拳銃すら効かないだろう。
内心、ちょっと暴れられてスッキリしたし。
あれだけやったんだし、多分、私の前にはもう現れないんじゃないかな?
「私ももっと強くなりたいな……」
「うん……多分、なれるよ。頑張って」
何とも無責任な言葉である。
落ち込んでる、東江さんに励ましの言葉を送ろうと思ったらこれだ。
自分で口にして嫌になる。
もう口を開かない方が、私の為なんじゃないか?
と、私が自己嫌悪に陥ってる時だった。
くぅ〜。
そんな可愛らしい音が東江さんのお腹から鳴く。
東江さんは自分のお腹を抑えて、顔を真っ赤にしていた。
まあ、食欲があるのは良いことだ。
「お腹……空いたね……ご飯、食べようか」
「は、はいぃ……!」
恥ずかしがっている東江さんマジで可愛い。
どうしよう。
────
「な、何ですか……これは……!」
私が用意したご飯のラインナップを見て、東江さんが驚愕する。
「何って……ご飯……」
「さ、サラダチキンに茹でただけのブロッコリー……そ、それにこの大量のサプリメントは一体……?」
「タンパク質は体作りに重要だし……ブロッコリーもタンパク質の他に栄養素が……高いし……不足してるのは……サプリで補うから……」
「た、炭水化物は……!?」
「……そういえば……何年も食べてないかな……」
東江さんが頭を抱えて、天を仰ぐ。
そ、そんなに、このご飯ダメだったのかな……?
一応、栄養とか考えて、厳選を重ねて選んでるんだけど……。
そういえばあったかいご飯を食べたのは何年前だっけ?
お父さんと一緒に住んでた時ぐらいだったかなぁ。
「……こんな冷たい食事……見過ごせません!」
東江さんがテーブルに手を置いて勢いよく立ち上がる。
そして、急いでスマホで何かを調べて、部屋の隅に置いてあった学生鞄から、財布とエコ袋を取り出した。
「私、買い物に行って来ます! 十さん! その食事は一旦冷蔵庫に閉まって置いてください!」
「ヘ……? は、ハイ」
「では行って来ます! 【ニライカナイ】変身!」
そう言うと、変身した、東江さんは家を飛び出して、身体を浮かせて何処かへ飛んでいった。
……っていうか……お買い物に変身して行くって……。
東江さん、可愛いけど、変わってるな。