魔法少女の隣にいる私   作:しらいうつほ

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6話 冷たい食事

 

 私は自分の布団の上に東江さんを下ろす。

 

 取り敢えず、静かな所と思い至って、自分の家にやって来た。

 

 私は親が家に居ないので実質一人暮らしなので問題はない。

 

 お母さんは、私が物心つく前に死んだし、お父さんは私に負けてから「修行してくる」と言って小学生の頃から顔を合わせていない。

 

 口座の中に毎月のお金は振り込まれてるので、生きてはいるんだろうけど。

 

 というか東江さんの家とか知らなかったので、私の部屋に連れて来たというわけだ。

 

 私は東江さんの横に正座で座り、寝ている顔を拝む。

 

 あ────身長もちっさくて可愛いと思ったけど、やっぱりお顔も可愛い〜〜〜。

 

 私は可愛い女の子が大好きなので、いくらでも見れる。

 

 変態ではない。決して。

 

 私は東江さんの小さい手を取って、触れる。

 

 ウッヒョ!! ぷにぷにですべすべだ!! 

 

 しかし、こんな小さな手で、怪人共と戦っているとはなぁ……。

 

 いくら何でも、魔法少女というのが何なのか分からなくても、一人で戦うなど酷ではないか。

 

 仲間はどうした仲間は。

 

 アニメとかじゃ、魔法少女って仲間が居るはずだろ。

 

 そのセオリーを無視しやがって。

 

 憤りを感じる。

 

 などと、東江さんの手の感触を堪能しながら、心の中で怒っていると、手がピクリと動いた。

 

 私は東江さんの方へ顔を向けると、目を覚ましていた東江さんが、何が起きているのか分からないという表情で私を見ていた。

 

 ……やべぇ……変態行為をしている所を見られた。

 

 な、何とか誤魔化さないと……! 

 

「…………これは……ツボのマッサージ……で……疲労に……よく効く……ので……ハイ……」

 

 言い訳が苦しすぎる。

 

 やべぇ……警察に通報されたらどうしよう……。

 

 変態ロリコン女として通報されたらたまったものではない。

 

「えっと……ありがとうございます……」

 

 東江さんは顔を伏せて、お礼を言ってくれた。

 

 若干顔が赤くなっているが、大丈夫だろうか。

 

 しかし、よかった……下心で触っているとバレなくて本当によかった。

 

 いや、寝てる間に勝手にマッサージも大分ヤバいと思うけど。

 

「あ、あのここは……っていうか! みんなは!? 怪人は!?」

 

 東江さんはその場からバッと飛び起き、周囲の状況を確認する。

 

 しかし、見慣れない風景に困惑している様子だった。

 

 取り敢えず私は、一声かける。

 

「ここは……私の家で……怪人は倒した……みんなは無事だよ……ハイ」

 

 ダメだ、長い言葉を喋ったことがないので、若干しどろもどろになったような気がする。

 

 こ、このままじゃダメだ。

 

 コミュニケーションの練習もしないと……。

 

「そ、そうでしたか……すみません! 一緒に守ろうって言っておきながら、助けてもらって!」

 

「う、うん、大丈夫」

 

 東江さんは頭を下げて来たので、慌てて顔を上げさせる。

 

 それに元々私一人でやるつもりだったし、問題はない。

 

 それにしても怪人は頑丈だった。

 

 私の拳であれだけのダメージだったら拳銃すら効かないだろう。

 

 内心、ちょっと暴れられてスッキリしたし。

 

 あれだけやったんだし、多分、私の前にはもう現れないんじゃないかな? 

 

「私ももっと強くなりたいな……」

 

「うん……多分、なれるよ。頑張って」

 

 何とも無責任な言葉である。

 

 落ち込んでる、東江さんに励ましの言葉を送ろうと思ったらこれだ。

 

 自分で口にして嫌になる。

 

 もう口を開かない方が、私の為なんじゃないか? 

 

 と、私が自己嫌悪に陥ってる時だった。

 

 くぅ〜。

 

 そんな可愛らしい音が東江さんのお腹から鳴く。

 

 東江さんは自分のお腹を抑えて、顔を真っ赤にしていた。

 

 まあ、食欲があるのは良いことだ。

 

「お腹……空いたね……ご飯、食べようか」

 

「は、はいぃ……!」

 

 恥ずかしがっている東江さんマジで可愛い。

 

 どうしよう。

 

 ────

 

「な、何ですか……これは……!」

 

 私が用意したご飯のラインナップを見て、東江さんが驚愕する。

 

「何って……ご飯……」

 

「さ、サラダチキンに茹でただけのブロッコリー……そ、それにこの大量のサプリメントは一体……?」

 

「タンパク質は体作りに重要だし……ブロッコリーもタンパク質の他に栄養素が……高いし……不足してるのは……サプリで補うから……」

 

「た、炭水化物は……!?」

 

「……そういえば……何年も食べてないかな……」

 

 東江さんが頭を抱えて、天を仰ぐ。

 

 そ、そんなに、このご飯ダメだったのかな……? 

 

 一応、栄養とか考えて、厳選を重ねて選んでるんだけど……。

 

 そういえばあったかいご飯を食べたのは何年前だっけ? 

 

 お父さんと一緒に住んでた時ぐらいだったかなぁ。

 

「……こんな冷たい食事……見過ごせません!」

 

 東江さんがテーブルに手を置いて勢いよく立ち上がる。

 

 そして、急いでスマホで何かを調べて、部屋の隅に置いてあった学生鞄から、財布とエコ袋を取り出した。

 

「私、買い物に行って来ます! 十さん! その食事は一旦冷蔵庫に閉まって置いてください!」

 

「ヘ……? は、ハイ」

 

「では行って来ます! 【ニライカナイ】変身!」

 

 そう言うと、変身した、東江さんは家を飛び出して、身体を浮かせて何処かへ飛んでいった。

 

 ……っていうか……お買い物に変身して行くって……。

 

 東江さん、可愛いけど、変わってるな。

 

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