GAMERA大怪獣絶唱 -Rebirth-   作:あーくこさいん

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1.災いの影、最後の希望(前編)

あれから二年………

 

引っ越してからも響達と携帯で連絡が出来た上に、あの亀から貰った勾玉のお陰で離れ離れになっても寂しくなかった。

中学受験の甲斐あって受かった学校は都内で指折りの進学校。

そこでも勉強漬けの毎日だったが、響と未来と携帯で話す時間は確保しており問題はない。

なんなら時々会いに行ったりもする。

離れ離れになろうとも、充実した日々を送っていた。

 

そんなある日のこと、未来から彼女が夢中になっているツインボーカルユニット【ツヴァイウィング】のライブに行かないかと誘われた。

手際よく3枚のチケットを手に入れており、俺も響も承諾した。

 

そしてライブ当日、俺と響は待ち合わせの場所で合流する。

 

「あっ、ヒロくん!」

 

「お待たせ、響。ライブ楽しみだな。」

 

「もちろん!なんたって未来のおススメだからね!」

 

合流した俺達は会話を弾ませるが、未来がまだ来ていない。

 

「あれ、未来は?」

 

「ああ、俺も探してるけど見つからなくて…」

 

そう言って周りを見渡すがそれらしい姿は見えない。

しっかり者の未来らしくないと俺は首を傾げる。

 

「じゃあ、私電話してみるね。」

 

そう言って響は携帯をかけ始めた。

 

「未来、今どこ?私とヒロくんもう会場だよ………えっ、どうして⁉︎うん…うん…分かった……ヒロくんには私から伝えるから……じゃあ…」

 

響は残念そうな声で電話を切り、ため息をついた。

 

「未来、叔母さんが怪我したらしくて今から家族で行くことになっちゃった…だからライブには来れないって。」

 

「そうか…それは残念だな。未来、ライブ楽しみにしてたのに。」

 

「私って呪われてるかも……」

 

「まあまあ、こうなったら未来の分まで楽しもう!…それとも俺が一緒だと嫌?」

 

俺は響を励ましつつ少し意地悪な質問をすると、響はブンブンと首を横に振る。

 

「そ、そんなことないよ!ヒロくんと二人っきりなんて、なんかデートみたいで嬉しいかなって……えへへ〜///」

 

「そ、そうか…///」

 

少し顔を赤くしながら言う響を見ていると、こっちまで恥ずかしさから顔が赤くなるのを感じる。

俺達3人は同じ小学校出身で仲良くなり、離れ離れになってもそれは変わらない。

特に当時気弱でいじめられっ子の俺を変えるきっかけになった響に対し、最近になって響のふとした言動に思わずドキリとする瞬間がある。

何と言ったらいいか…『意識している』という感じだった。

因みに未来に対してはこっちも同じ小学校出身で大切な友達ではあるものの、時折響を見ている眼が何やら重い感情に溢れていてなんか怖い。

そんでもって俺に対しなんか『響を取り合う宿敵(ライバル)』を見ているような眼でもっと怖い。

…まぁこの場に未来はいないし、今は未来の分まで響と楽しむ事にする。

 

そうしてライブ会場に入った俺達だが…

 

「それにしても、すごい人だかり…」

 

「だね。」

 

見渡す限り人、人、人…どこを見ても人だらけだ。

これがすべてツヴァイウィングのライブ客だというのだからすごいものだ。

 

「…何だか俺達、場違い感が凄いな。」

 

「あはは…」

 

ツヴァイウィングの人気ぶりは尋常じゃない程であり、ライブのチケットは大人気で完売御礼だというから、ここにいるのは皆熱心なファンばかりだ。

そんなライブ会場でのファンが放つ熱気にツヴァイウィングの事をあまり知らない俺と響は若干引いていた。

 

しばらくして遂にツヴァイウィングのライブが始まる。

ファンでは無い俺達が楽しめるのかと少し不安に思ったが、ステージに立つツヴァイウィングの二人…天羽奏(あもうかなで)さんと風鳴翼(かざなりつばさ)さんの歌声に俺達は魅了されていた。

 

「すごいね!これがライブなんだね!」

 

「ああ、これは確かにすごいな!」

 

気づけばサイリウムを振りながらノリノリで歌声に夢中になっていた。

そして一曲目の『逆光のフリューゲル』が歌い終わると観客の拍手喝采が鳴り響く。

俺達の気分も最高潮に達した。

 

「ツヴァイウィングの歌声とっても綺麗だった!」

 

「未来がハマるのも納得だな!」

 

感想を言い合う俺達を含む観客の気分が最高潮のまま二曲目に入ろうとしたその時……

 

 

ドガァァァァァン‼︎

 

「きゃぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

突如として爆発音と悲鳴が響き渡る。

突然の事に混乱していると、ある怪物が襲来してきた。

 

「ノイズだぁぁ⁉︎」

 

「早くシェルターに!」

 

そう、国連によって特異災害に認定された人を炭素の塊に変える怪物…【ノイズ】が現れたのだ。

逃げ惑う観客に追い縋り、容赦なく炭素の塊へと変えるノイズの群れ。

ライブ会場は一瞬にして地獄絵図に変わった。

 

「響、早くシェルターに!」

 

俺は一刻も早くこの場から脱出しようと響の手を引こうとするが、必死に逃げる人の波に呑まれてしまう。

 

「響ッ‼︎」

 

「ヒロくん!」

 

人の波によって繋いだ手が離されてしまい、別々に人の波に流されてしまう。

 

「響…クソッ!」

 

俺は思わず悪態づくも、響が流された方を見る。

ノイズの群れが迫っている現状、逃げるのが最善だが……

 

(…響を置いて逃げる事なんて出来るか!)

 

まずは響と合流する。

合流してから逃げても遅くはない。

 

「待っていろ、響!」

 

俺は響が流された方向へと駆けて行く………

 

 

 

 

 

 

 

一方、ライブ会場の外では…

 

『ツヴァイウィングのライブ会場にて突然爆発が起きました!今ライブ会場にて何が起こっているのでしょうか⁉︎』

 

ライブ会場の外にてアナウンサーがカメラに向けて語る。

ツヴァイウィングのライブ会場にて起きた爆発に会場の外は騒然となった。

するとライブ会場のある街にサイレンが鳴り響く。

 

『えっ…このサイレンは、ノイズです!ノイズが現れたようです!』

 

そう、このサイレンはノイズ出現を知らせるものだ。

この日本ではノイズが現れた際に避難を促すサイレンと避難用のシェルターが完備されている。

その効果は疑問視されているが、位相差障壁によってこちら側の攻撃を無効化するノイズに対し出来ることはただ逃げるのみ。

 

だが、この時の彼らは知る由もなかった。

上空からノイズよりもタチの悪い災いが舞い降りようとしている事に。

 

ライブ会場の出入り口から続々と観客が出て来る。

彼らの表情から見ても余程切羽詰まった状況なのだと理解できる。

 

『あっ!出入り口から次々と観客が……!』

 

その時だった。

突如として上空から赤い光が迸り、逃げてきた観客が数人倒れた。

 

『………えっ?』

 

現場をリポートしていたアナウンサーも、命からがら逃げてきた観客も、会場の外にいた野次馬達も目の前の光景に絶句していた。

それもその筈、倒れたのではない……胴体が文字通り真っ二つになったのだ。

まるでメスで切られたかのように切断面から鮮血が飛び散った。

 

突然起きた惨劇に皆茫然としていたが、さらに目を疑う存在が現れる。

 

 

ギャオオオオオオオ‼︎

 

 

鳴き声と共にそれは上空から地上に降り立った。

血の様に赤く細身の身体に蝙蝠の様な翼、鉤状の嘴に紫に変色した角、そして目は丸く見開きギョロギョロと周りを見渡している。

醜悪な見た目の飛龍(ワイバーン)が群衆の目の前に降り立ち、逃げ遅れた上に倒れている人に近づき、大きく口を開けた。

 

「いや、いや…助け…!」

 

助けを求める前にその人は怪物に丸呑みにされ、そのまま飲み込まれた。

人を丸呑みにした怪物はゲップし、次の獲物を求めて辺りを見渡す。

 

「くたばれ、化け物!」

 

すると近くにいたであろう警官が人混みの中から出てきて、怪物に向けて拳銃を発砲する。

だが、その弾は無情にも全て弾かれ、怪物がお返しとばかりに警官に向けて口から赤いレーザーを放った。

そのレーザーによって警官の首が斬られ、宙を舞った。

 

「「「うわああああああ‼︎」」」

 

その惨劇がきっかけとなり、群衆は我先にと逃げ出す。

怪物は逃げ出す群衆目掛けてレーザーを連射し、人々を肉塊へと変えていく。

ある人は袈裟斬りにされ、ある人は真っ二つに、ある人はそのまま踏み潰された。

 

さらに同じ怪物が上空から次々と現れ、最初の一匹から逃げようとした人々目掛けてレーザーを放ち、次々と肉塊に変え咀嚼する。

中には口から舌を槍のように鋭く伸ばし、人間を串刺しにし顎関節を外して丸呑みにした。

 

そんな中、怪物達の一部はライブ会場の出入り口から次々と観客達が出て来る事に気付く。

ライブ会場内にてノイズから命からがら逃げてきた観客達は、外で行われている虐殺劇に皆戦慄する。

 

「な、何だよ…これ⁉︎」

 

「外にもノイズ…⁉︎」

 

「おい!何立ち止まってんだ⁉︎」

 

逃げてきた観客達がパニックに陥る中、数匹の怪物は出入り口に向けて赤いレーザーを放つ。

赤いレーザーにより出入り口に集まっていた観客達は次々と肉塊になってしまう。

やっとの思いで逃げてきた観客達は未知の怪物によって地獄を見る……否、何が起こったのか知る由もないまま文字通りバラバラになってしまう。

そうして出来た肉塊を食べようと怪物数匹が出入り口に一斉に群がる。

さらに出入り口に向かって逃げてきた観客達も怪物の餌食になってしまった。

内部に餌がある事を知った怪物は内部に進撃し、次々と捕食していく。

 

そしてライブ会場の外でも怪物達が暴れていた。

口から放つレーザーで人々を虐殺し、それに飽きたら捕食する……怪物達はそれを繰り返していた。

犠牲者達の血飛沫で辺り一面が血の海へとなっていく光景は、まさに地獄絵図だ。

 

『こ、これは悪夢でしょうか⁉︎空から翼の生えた怪物が現れ、人々を…食べています!』

 

アナウンサーが地獄絵図に戦慄しながらも、懸命に実況している。

そんな中、怪物の一匹がアナウンサーに気付く。

するとアナウンサーとカメラマンに向かってレーザーを放つ。

レーザーによってアナウンサーは縦から真っ二つに斬られ肉塊と化し、カメラマンも倒れたのか映像が乱れ傾く。

そして怪物がこちらに近づいていき、カメラを踏み潰したのか映像が砂嵐となった。

しばらくしてお花畑を背景に『しばらくお待ちください』とテロップが表示される。

大手広告代理店のオフィスにあるテレビには、人が集まりざわめく。

 

「嘘…!」

 

テレビにて惨劇の一部始終を見た和多藍子(わだあいこ)は青ざめていた。

無理もない、何故なら夫を亡くしシングルマザーとなった彼女の一人息子である大輝が惨劇の起こったライブ会場にいるからだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは在日米軍の厚木基地。

長大な滑走路に十数機もの航空機が同時に離陸していた。

その機体は両翼端に二基のジェットエンジンを搭載しており、近未来的なフォルムにV字型の尾翼が特徴的な近接航空支援用VTOL攻撃機【エアリアル】だ。

十数機のエアリアルが次々と離陸していき、最後の一機が離陸し終えると一斉にエンジンを水平方向に指向し戦闘機並の速度で続々と飛んでいく。

 

「エアリアル全機、目標空域に向けて飛行中。」

 

「自律飛行システム、問題なく稼働しています。」

 

厚木基地の中央司令室では米軍のオペレーター数人が急行しているエアリアル編隊の状況をモニターに映して機体を制御している。

そう、エアリアルは自律制御が可能な無人機なのだ。

 

中央司令室には軍人の他に見慣れない人物が3人いる。

1人目はスーツ姿の男性で、日本人のような見た目である。

2人目は私服に白衣を羽織った女性であり、おっとりとした印象を受ける。

そして3人目はスーツ姿に銀髪のオールバックの男性。

眼鏡をかけており、高圧的な感じである。

 

とても軍にいるような人間ではないが、ある理由により中央司令室にて指揮を取っている。

 

「エアリアル編隊、作戦空域に到達。映像出します。」

 

オペレーターの1人がそう言い、中央司令室のモニターにエアリアルからの映像を映す。

そうして出力された映像に皆戦慄する。

 

そこには東京の街が火の海となっており、所々火の手と黒煙が舞っていた。

さらにビルの方では壁に赤い怪物が張り付き、窓に頭を突っ込んで人を食べていた。

 

「あの翼に醜悪なフォルム…間違いない、ギャオスね。」

 

「ニューギニア島からここまで来たか…」

 

異様な光景に軍人達が戦慄している中、白衣の女性…エミコ・メルキオリが怪物をギャオスと呼び、日系人の男性…ジェームズ・タザキがギャオスがどこから現れたかを言及していた。

 

「…将軍、エアリアルをバトルモードに。ブラスターカノン及びハイマニューバミサイルの使用制限解除を。」

 

そんな中、銀髪のオールバックの男性…モルガン・スネイルが指示を出す。

東京にて殺戮の限りを尽くすギャオスの群れに対し、殲滅命令を下した。

 

本来こういうスーツ姿の男が軍の将軍に命令するなど前代未聞だが、将軍はスーツ姿の男の力関係を分かっているのか、特に異議を唱えず従った。

 

殲滅命令を受けたエアリアルの編隊は殺戮の限りを尽くすギャオスの群れに照準を合わせる。

機体下部からブラスターカノンが、機体両側面からハイマニューバミサイルが展開され、攻撃準備が整う。

 

「エアリアル隊、殲滅しなさい。」

 

モルガンの命令によりエアリアル全機は攻撃を開始する。

ブラスターカノンからはレーザーが放たれ、ギャオスに迫る。

ビルに張り付いて獲物を貪っていたギャオスは反応が遅れ、レーザーをモロに受ける。

強力なレーザーはギャオスの体表に発生しているエネルギーシールドを貫通し、そのままギャオスを文字通り焼き切った。

同じくビルに張り付いていた他のギャオスも慌てて飛び立とうとするが、エアリアル編隊の統制の取れた射撃によりなす術もなく倒された。

 

「ビルに張り付いた個体、全て沈黙!」

 

「続いて地上にいる個体、ハイマニューバミサイルで駆逐しなさい。」

 

ビルに張り付いたギャオスを全滅させたエアリアル編隊は、続いて地上にいるギャオスに狙いを定める。

そして機体両側面からハイマニューバミサイルが放たれ、地上にいる複数のギャオスに向かって飛ぶ。

その内の一匹が両断したバスの断面にに頭を突っ込み、中の死体を啜っていると強烈な風切音と共に炸裂したハイマニューバミサイルの爆熱波がギャオスの身体を焼き、たまらず絶叫する。

周辺に散る各個体が同様のミサイル攻撃を浴びると、辺りはギャオスの断末魔で埋め尽くされた。

 

「ブラスターカノン及びハイマニューバミサイル、いずれも効果あり!次々と撃破しています!」

 

「いける…いけるぞ!」

 

余程エアリアルに絶大な信頼を置いているのか、将軍が興奮気味に語る。

事実、最新鋭無人機エアリアルは米軍と()()()()の共同開発にて誕生した兵器であり、先の紛争にて多大な戦果を上げたまさに【空の王者】である。

 

しかし、その熱気に冷や水を……否、絶対零度まで落とす報告が上がってきた。

 

「しょ、将軍…!」

 

「ん?なんだね?」

 

「その…」

 

オペレーターの1人が目を泳がせ、言い淀む。

その様子を見て、モルガンは内容の良悪に察しがつき報告を続けるように促した。

 

「…続けなさい。」

 

「……横須賀沖に展開中の第七艦隊が超大型タイプの飛行生物と交戦。……空母一隻と駆逐艦三隻が、大破…したとの事です。」

 

「…なんだと!」

 

想像を絶する報告に高揚していた空気は急降下した。

 

「…現在、超大型飛行生物は目標空域に向けて移動中。到達まであと5分との事。」

 

「エアリアル全機に伝達。目標を超大型ギャオスに変更。直ちに集結し、最大火力にて殲滅せよ。」

 

そんな中モルガンは素早く指示を出す。

命令を受けてエアリアル全機はギャオスの掃討を中断し、上空に集結する。

全機の照準が超大型ギャオスの予測進路にセットされ、ブラスターカノンを最大出力までチャージし、残りのミサイルを構える。

無人機故の統率された動きに無駄はない。

 

今か今かと待ち構え、やがて目標が網にかかった。

 

「撃て。」

 

次の瞬間、ブラスターカノンとハイマニューバミサイルが一斉に放たれ、超大型ギャオスに迫る。

そして数秒後、上空にて大きな爆発音が轟いた。

 

「全弾、目標に命中!」

 

「良し、良し!やったぞ!いくら図体がデカくても所詮は生物!恐るるに足らん!」

 

エアリアル全機の攻撃が命中し、中央司令室の面々は流石に死んだだろうと安堵したその時………

 

映像から赤い光が迫り、そして途切れた。

 

「何が起こった⁉︎」

 

「エアリアル三機撃墜!目標…未だ健在!」

 

エアリアル全機の一斉攻撃を受けても尚健在する超大型ギャオスに中央司令室の面々は驚愕する。

 

「エアリアル残存機に通達。増援が来るまで持ち堪えなさい。」

 

しかしモルガンが冷静に指示を出す。

こうなる事は分かっていたかのように。

 

命令を受けたエアリアル残存機は編隊を組み直し、残ったブラスターカノンで応戦する。

だが、超大型ギャオスに効果は無くエアリアルの一機を足で鷲掴みにし、そのままちり紙の様に握り潰された。

他のエアリアルは散開しブラスターカノンを浴びせ続けるが、その攻撃を鬱陶しく感じたギャオスは口内にエネルギーを溜め、威力が一段階増した赤色レーザー…【超音波メス】を放った。

 

高熱を帯びた超音波メスによりエアリアルは紙屑の様に切り刻まれ、次々と撃墜されていく。

また放たれた超音波メスは周囲のビル群も切り裂き、断面に沿って崩れ落ちる。

崩れ落ちた瓦礫は下で逃げ惑う群衆、懸命に避難誘導・救助活動する警官隊・救急隊・消防隊をまとめて押し潰す。

二次被害が急速に拡大していく。

 

「ブラスターカノン、超大型個体に効果ありません!」

 

「また放たれたレーザーにより周囲のビルが数棟切断!二次被害が拡大していきます!」

 

オペレーターの悲痛な報告が次々と上がってくる中、最後のエアリアルからリアルタイムで送られた映像には、翼長100mを超す超大型ギャオスがこちらに向けて急接近し、足を突き出し鉤爪で握り潰される光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、地上ではエアリアル編隊のハイマニューバミサイルによって火だるまとなった筈のギャオス達が不気味に蠢き始めていた。

数頭の幼体やブラスターカノンが命中した個体は再生が追い付かず息絶えたが、他の連中は違った。

ハイマニューバミサイルの爆熱波が皮膚の一部を焼いたが、どれも程なくして再生した。

ギャオス…否、怪獣達は体が大きくなればなる程、体表に発生するエネルギーシールドはより一層強くなり、大抵の物理攻撃は通用しなくなる。

 

しかしギャオス達はある問題に直面していた。

それは上空で暴れ回る超大型ギャオスの存在であり、このままでは次の()()()のタイミングでここにいる個体全てが奴に喰われてしまう。

 

その焦りと強力な生存本能によって、ギャオス達は風に乗った()()()()に気付く。

それは芳醇で甘美な香り…食欲をそそる匂いだ。

ギャオス達はその香りが漂ってくる奇妙な建物目指して一斉に羽ばたき始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…エアリアル編隊、全滅…です。」

 

「馬鹿な…!我が軍の最新鋭機が、全滅…⁉︎」

 

認め難い現実を前に司令室内は水を打ったように静まり返っていた。

しかし件の3人は比較的落ち着いており、モルガンが将軍に指示を出す。

 

「将軍、統合戦略司令部に伝達。グアムにて待機中のB-61に出撃命令を。N2弾頭の使用を許可します。」

 

「街一つ消し飛ばしたあの爆弾を東京で使用するだと、正気か⁉︎」

 

「敵の戦闘能力が分かった以上、通常戦力の逐次投入は悪戯に被害を拡大させるだけ…奴が他の地域に飛び立つ前に蹴りをつけるのが最善です。」

 

「しかし…!」

 

モルガンの決定に抗議する将軍だが、彼は将軍を冷徹な眼差しで睨む。

 

「将軍、貴方は我々の指示に従えばいい……でないと、上層部に将軍としての能力を問う事になりますよ。」

 

明らかに権力を用いた脅しに、将軍は苦虫を噛み潰した表情で命令を受諾した。

モルガンとの力関係に疑問を抱いたオペレーターの1人が将軍に問う。

 

「…将軍、あの男は一体…⁉︎」

 

「モルガン・スネイル……F.I.S(米国連邦聖遺物研究機関)の長官だ。」

 

「唯の研究機関の長が何故…⁉︎」

 

「唯の研究機関ではない、今では失われた異端技術(ブラックアート)の発掘・解析を主にしており、聖遺物関連…特にノイズや怪獣事案に対しては米軍の全戦力を動かせる程の権限を有している。現にエアリアルも我が軍とF.I.Sの共同開発によって誕生した物だ。流石の米軍も奴ら(F.I.S)には頭が上がらんらしい…」

 

将軍の説明にオペレーターは驚愕するが、レーダーを睨んでいた別のオペレーターが更なる異変に気付いた。

 

「さ、相模湾上に別の飛行物体!」

 

「今度は何だ⁉︎」

 

「分かりません…こちらに向かっています!」

 

ただでさえ超大型ギャオスに苦戦している状況下に、更なる【未知】の出現。

度し難い程絶望的な状況にも臆せず、モルガンは指示を出す。

 

「…エミコ、相模湾に現れたアンノウンから発せられる()()の照合を。」

 

「了解。」

 

指示を受けたエミコは端末を操作し、レーダーにリンク。

そしてアンノウンから発せられる生体粒子…マナの波形パターンを分析、アーカイブから照合する。

しばらくして解析結果が出た。

 

「これは…!」

 

解析結果に彼女は驚き、直様モルガンに報告した。

 

「長官、これを…!」

 

彼女から端末を渡され、画面を見るとそこには…

 

 

【GAMERA】

 

 

と表示されていた。

 

「ほう、カテゴリーSの怪獣ですか…」

 

新たな怪獣の登場にモルガンは少し考え、指示を出した。

 

「増援のエアリアル、出撃準備を急ぎなさい。アンノウンについてはそのままで構いません。」

 

「正気か⁉︎ただでさえ超大型個体に手をこまねいているのに、もう一体乱入でもしたら…!」

 

「問題ありません。目には目を、歯には歯を…怪獣には怪獣を。」

 

モルガンは冷静に…否、冷徹に言い放つ。

 

「ガメラ…」

 

そんな中、エミコが呟く。

突如として現れたアンノウン…ガメラは彼女にとっても、彼女がかつて所属していた()()にとっても因縁深い怪獣だった………




※長くなったので、前編と後編に分けます。
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