GAMERA大怪獣絶唱 -Rebirth-   作:あーくこさいん

3 / 3
2.災いの影、最後の希望(後編)

その頃、大輝は響を探す為に会場内を走り回っていた。

 

「響!何処だ、響!」

 

かれこれ十分以上探し回っているが、彼はノイズに遭遇していない。

()()()の活躍によりノイズの数が減っているが、彼にそんな事を気にする余裕はない。

そうした中、遂に隠れている響を見つけた。

 

「響ッ!良かった…!」

 

「ッ!ヒロくん!どうして…⁉︎」

 

「響を置いて逃げる事なんて出来ない!合流出来た事だし逃げよう!」

 

「う、うん!」

 

そう言い大輝は響を手を掴んで出入り口に向かって走り出す。

やがて出入り口に辿り着いたが、その出入り口から誰かが出てきた。

 

「あれ?誰か出てきて…ッ⁉︎」

 

疑問に思った2人だが、すぐに驚愕に変わる。

何故なら出入り口から出てきたのは人ではなく、血のように赤く細身の身体に蝙蝠の様な翼、鉤状の嘴に紫に変色した角、そして目は丸くギョロギョロと見開いている醜悪な見た目の怪獣…ギャオスだ。

ギャオスの口には人の下半身が咥えられており、そのまま呑み込んだ。

 

異様な光景に2人が言葉を失っていると出てきたギャオスがこちらに気付いて振り向く。

ギャオスは2人を、特に大輝を見ると特上のご馳走を目の当たりにしたかのように涎を垂らしながら舌舐めずりをする。

 

「ひ、ひろ、ヒロくん、人を…丸呑みに……!」

 

「…響、落ち着いて。俺も怖いけど、後退りしながら逃げよう。」

 

ギャオスの反応に2人は恐怖を覚えるが、大輝は響を守る為に恐怖を押し殺し一歩一歩後退りしながら逃走を試みる。

しかしギャオスの方も一歩、また一歩とまるで2人の反応を楽しむかのように醜悪な笑みを浮かべながら近付く。

 

「ひ、ヒロくん……!」

 

「大丈夫、大丈夫だから……!」

 

大輝が響を落ち着かせようとするも、状況は刻一刻と悪化していく。

このままではギャオスに捕食されてしまう……

 

その時だった。

 

 

ギャオオオオオオオ‼︎

 

 

突如甲高い咆哮が鳴り響き、2人だけでなく目の前のギャオスもハッとなって周囲を見渡す。

ギャオスは自身が出てきた出入り口の方を見ると、何かを察したのか慌てて飛び立ち離脱しようと試みた次の瞬間…

 

 

ビィィィィィーーー‼︎

 

 

甲高い音と共に赤いレーザーが出入り口諸共建物を突き破って放たれる。

赤いレーザーは飛び立ったギャオスを掠めたものの、それだけでギャオスは火だるまになり落下していく。

それに留まらずレーザーは周囲にいたノイズの群れを薙ぎ払い、その勢いのままライブ会場の外壁や外の建物などを貫通・破壊する。

 

そして完膚なきまでに破壊された出入り口から翼長50m程のギャオスが雄叫びを上げながら現れた。

先程遭遇したギャオスとは比べ物にならないくらいデカいギャオスに大輝と響はもちろんのこと、ライブ会場でノイズの群れと戦っている2人の少女……天羽奏と風鳴翼も驚愕した。

 

「何だよ、アイツ…⁉︎」

 

「新手のノイズか⁉︎」

 

彼女達は対ノイズのエキスパートだが、怪獣という存在に関しては見た事が無く未知の存在に驚愕し警戒する。

ギャオスの方はライブ会場を見渡すとノイズが跳梁跋扈している状況であり、ノイズの群れに敵意がこもった目で睨むとギャオスは大きく口を開けた。

すると赤黒い粒子がギャオスの咥内に蓄積されエネルギーをチャージ、やがて貯め終わると口から先程の赤いレーザー…超音波メスが放たれる。

 

 

超音波メス

 

 

ギャオスから放たれた超音波メスはノイズの群れを一閃すると、多数のノイズが塵にされてしまう。

()()()()()()無しにも関わらず。

 

その後もギャオスは超音波メスを連続照射し、ノイズの群れを徐々に減らしていく。

シンフォギアを纏っている2人の少女はギャオスという存在に驚愕していた。

 

威力もそうだが、位相差障壁によって物理攻撃を無効化するノイズに対し攻撃が通じるという点であった。

 

本来ノイズに対抗するには、炭化作用を無効化するバリアフィールドとギアが奏でる旋律によってノイズを強制的に現実世界の物理法則下に固定する効果を持つFG式回天特機装束……通称【シンフォギア】しかノイズに効果が無い筈である。

 

だが、このギャオスは違う。

生物であるにも関わらずノイズの位相差障壁を無効化し、攻撃出来るのだ。

 

ノイズの群れは大型ギャオスを脅威と判断し、飛行型ノイズが形状を槍のように変形させて突撃する。

大型ギャオスに複数の飛行型ノイズが命中するものの、炭化する事は無く自身に纏わり付いたノイズを振り落として踏みつけたり、噛みついたりして倒していく。

 

「ノイズの炭化攻撃が効かない…⁉︎」

 

「まるでシンフォギアみてぇじゃねぇか…!」

 

奏の言う通り、まさに【生きたシンフォギア】と言える存在だった。

 

やがてノイズの群れをある程度倒すと、ギャオスは観客席の方を見る。

そこには大輝と響が唖然した様子でギャオスを見ていた。

そんな2人を目にしたギャオスは先程のギャオス同様、特に大輝の方を見て涎を垂らしながら舌舐めずりをした。

完全に2人を餌と認識している。

 

「…響、逃げるぞ!」

 

「う、うん!」

 

流石にヤバいと思った2人は一目散に逃げ出す。

ギャオスの方も2人に狙いを定め捕食しようとするが、その瞬間に観客席がギャオスの重さに耐えきれなかったのか崩れ出し、2人とギャオスが巻き込まれてステージ近くに落ちてきた。

 

「うわぁ⁉︎」

 

「きゃぁっ⁉︎」

 

「あの子達は…⁉︎」

 

「逃げ遅れたのか⁉︎」

 

ステージ近くに落ちてきた2人に翼と奏が驚いていると、落ちてきたギャオスがムクリと起き上がり未だに尻餅をついている2人に襲い掛かる。

 

「ッ!まずい!」

 

直感でヤバいと感じた奏は直様ギャオスの前に躍り出て、槍を構える。

ギャオスは奏諸共捕食しようとするも、そうなる直前に奏は槍を大きく振いエネルギー刃を放った。

 

 

POWER∞SHINE

 

 

エネルギー刃を頭部に受けたギャオスは痛みに悶え苦しみ、数歩後退し仰け反る。

 

「今だ、走れ!」

 

奏の掛け声に2人は逃げ出そうと走り出すも、ギャオスは口内にエネルギーを溜め超音波メスを放とうとする。

 

「させるかぁ!」

 

その事に気付いた奏はギャオスの前に立ち塞がり、放たれた超音波メスを槍を回転させることで防ごうとする。

だがその攻防の最中超音波メスの余波でシンフォギアの装甲が砕け、飛び散った装甲の破片が逃げようとした響の胸に突き刺さり、そこから血が吹き出した。

 

「…え?」

 

「な…⁉︎」

 

あまりに突然な出来事に一緒呆然とするが、我に帰った大輝が大慌てで響に駆け寄る。

 

「うわああああ‼︎響、響ぃ‼︎」

 

彼の悲鳴が木霊する中、ギャオスは捕食に入ろうとするも激怒した奏の一突きを口内に喰らう。

 

「くたばれェェ‼︎」

 

そのまま穂先を回転させる事で竜巻を発生させる。

 

 

LAST∞METEOR

 

 

竜巻を口内からモロに喰らったギャオスは頭部が原型を留めない程吹き飛ばされ、そのまま力無く倒れる。

チャンスとばかりにノイズがギャオスの死体に群がり、死んだことでエネルギーシールドが機能しないのか炭化作用を無効化出来ず部位ごとに次々と灰になっていく。

ギャオスの死亡を確認した奏は2人の元へと駆け寄る。

 

 

 

 

 

「響!目を開けてくれ、響ぃ‼︎」

 

俺は必死に呼び掛けるが反応は無い。

響の胸から血がドクドクと溢れ出し、なんとか手で押さえてみるも一向に血が止まる気配が無い。

 

「おいっ!大丈夫か、しっかりしろ‼︎」

 

そんな中、奏さんが駆け寄ってくる。

駆け寄ってきた奏さんは必死な様子で響に声を掛けた。

 

「生きるのを諦めるな!」

 

その言葉を聞いた響は薄らと瞼を開いた。

その事に俺と奏さんは安堵するも、早く病院に連れて行かないと響が……!

 

「…おい、アンタ。この子を頼めるか?」

 

「え…あっ、はい!」

 

突如奏さんに聞かれ戸惑いながらも返事をする。

すると奏さんは何かを決意したような表情で立ち上がると、未だに群れているノイズへと歩みを進める。

 

「いつか……心と身体、全部空っぽにして思いっきり歌いたかったんだよな………」

 

そう呟くと奏さんは何かを歌い出した。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

 

奏さんの口から発せられる歌に意味は分からなくても、彼女の歌声に俺と響は魅入られる。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl

 

「かなでぇぇ‼︎その歌を歌ってはダメェェ‼︎」

 

翼さんが焦ったように駆け寄ろうとするも、無数のノイズに阻まれ近寄る事が出来ない。

その間にも奏さんは歌い続ける。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

 

翼さんの焦り具合から、奏さんが歌おうとしている歌は余程危険なものかと思ったその時……

 

グルルル……!

 

「……え?」

 

ふと後ろから唸り声が響いた。

獣のような唸り声に背筋が凍り、恐る恐る振り向くとそこには……涎をダラダラ垂らし、特上のご馳走でも見ているかのような表情で俺達を見る怪物だった。

 

Emustolronzen fine el ziー

 

ギャオオオオオオオ‼︎

 

「うわああああああッ⁉︎」

 

怪物の鳴き声と俺の悲鳴が同時に木霊する。

それらを聞きつけた奏さんが歌を中断して振り返ると同時に怪物は俺達目掛けて飛び掛かった。

 

(もう駄目だ…!響、未来、ごめん…!)

 

飛び掛かった怪物の口が大きく開き、俺達を食べようとする。

死を覚悟した俺は響をギュッと抱き寄せた……

 

バヂィィ‼︎

 

ギャアアッ⁉︎

 

だが、俺達は食べられなかった。

不思議に思って目を開けてみると、辺り一面翠色の空間だった。

一瞬死んだのかと思ったが、空間の向こうには全身が焼けて痛みに悶え苦しむ怪物がいた。

 

怪物は敵意と殺意がこもった目で俺達を見ると、今度は口から鋭い何かを突き出した。

しかしそれも翠色の空間に阻まれ、それが痛かったのかさらに悲鳴を上げた。

 

「何…これ……?」

 

呆然としていると胸元が光っていたので見てみたら、首に掛けている勾玉が発光している。

さらに辺りを見回してみると俺の周りに翠色の空間が張っており、同じ色で発光している勾玉が発生源だろう。

 

「もしかして、バリアを張ってるのか…?」

 

俺がそう推測したのも束の間、槍が飛んできて怪物の頭部を貫いた。

その一撃を受けた怪物は倒れピクリとも動かなくなった。

 

「大丈夫か、アンタら!」

 

その直後、奏さんが安堵と申し訳なさで一杯な表情でこちらに駆け寄ってくる。

 

「すまねぇ、アタシがついていながら…!」

 

奏さんが俺達に謝る中、ノイズを捌き終えたであろう翼さんもこちらに駆け寄ってきた。

 

「奏、どうして絶唱なんて使ったの⁉︎ LiNKERも打ってない状態で絶唱したら奏は…奏は……!」

 

翼さんが今にも泣き出しそうな顔で迫る。

それを目の当たりにした奏さんはバツが悪そうに謝る。

 

「……ごめん。」

 

そんな中ノイズの群れは未だ健在で状況は最悪なままだ。

 

「くそっ……首の皮一枚繋がったが、状況は何一つ変わってねぇ…!」

 

「奏、貴女はこの子達をお願い。こっちはまだ余力があるし、突破口を開いてみせる。」

 

「…分かった。その代わり、死ぬなよ。」

 

「ええ。」

 

そんなやり取りの後、翼さんが前に出る。

状況が気になりつつも俺は響の方を見る。

 

響はまだ息はあるものの、血は未だに止まらない。

手遅れになる前に早く病院に連れて行かないと……!

 

「響、もう少し頑張って。必ず病院に連れて行くから…!」

 

俺は響を励まそうと彼女の手を握る。

すると響の表情が少し安堵したような気がした。

そんな時、ノイズの群れが襲いかかって来た。

 

「来るよ、奏!」

 

「必ずアンタらを病院に連れて行く!だから…生きるのを諦めるな!

 

そう言うと翼さんと奏さんは剣と槍を構え迎え撃つ。

その時だった。

 

キィィィィィン…!

 

奇妙な音と共に暗くなり始めた空が急に明るくなったので、ふと見上げてみると……

 

「……え?」

 

巨大な翠色の光球がノイズの群れ目掛けて落ちていく光景を目の当たりにした。

 

「おい…何だよ、ありゃ……⁉︎」

 

「落ちてくる⁉︎」

 

奏さんと翼さんが驚いたのも束の間、その光球はノイズの群れのど真ん中に落ちた。

大小様々な形状のノイズが光球によって表面からガリガリと削られ、塵すら残らず消滅する。

僅か数秒足らずでノイズの群れは一掃された。

 

光球の方はしばらく光っていたが、やがて輝きを失うとその全貌が明らかになった。

 

「……甲羅?」

 

一瞬岩かと思ったが、よく見ると形状が亀の甲羅に酷似していた。

ただ甲羅の表面が岩山のようにゴツゴツしてたのと、何より甲羅自体がとてつもなく大きい。

俺はもちろんの事、奏さんと翼さんも規格外の大きさを誇る甲羅に圧倒されている。

 

すると甲羅から折り畳んでいた腕が出て、その次に厳つい脚が出てきた。

その脚で立ち上がると甲羅に引っ込んでいた頭を出し、俺達の前に姿を現した。

 

これが後に俺達と共に戦う怪獣……ガメラとのファーストコンタクトだった。

 

 

 

 

 

大輝、奏、翼は目の前の怪獣に度肝を抜かれていた。

 

何故ならその怪獣は身長60mを誇り岩山のような甲羅は勿論の事、全身にはセンザンコウに似た【鱗装甲(ハードシェル)】に覆われ、とても大きな腕部に長い尻尾と全体的にマッシブな体つきをしており腹部が翠色に発光している。

頭部は下顎の2本の牙を筆頭に無数の歯が生え揃っており、まさに亀の大怪獣といった感じだ。

 

そんな中ガメラの蒼白の光を灯した獰猛な瞳が、遥か眼下の大輝を見つめ瞳孔を開く。

ガメラとの邂逅を果たした大輝は、本来なら知るはずもない怪獣の名前を確かに呼んだ。

 

「………ガメラ

 

するとガメラの視線の先が空に向く。

そこにはライブ会場から漂う芳醇な匂いに釣られたギャオスの群れがライブ会場に迫っていた。

その群れを見据えたガメラは咆哮を上げる。

 

ガアアアアアアアッ‼︎

 

山鳴りの如き咆哮を上げたガメラは大きく胸を膨らませ、気流さえ巻き起こす程の吸引をする。

胸部に青白いプラズマに迸り赤熱が喉を伝って口内に溜まると、ギャオスの群れ目掛けてプラズマの火球…【火焔弾(マグマブラスター)】を放った。

 

 

火焔弾(Magma Blaster)

 

 

口から放たれた直径5m程の火球は2〜3秒足らずでギャオスの群れに到達、芳醇な香りによって興奮状態にあった数頭に直撃し跡形も無く蒸発。

それを横目に数頭のギャオスが距離を取っていたが、火球自体がマグマと同様の粘性を持ち、尚且つプラズマエネルギーと特定の波長を持つパルス放電も併用している為、直撃しなくても圧倒的な熱量とパルス放電によってギャオスのエネルギーシールドを貫通し焼き殺した。

 

それでも【火焔弾(マグマブラスター)】の爆熱波を辛くも生き残った10頭のギャオスはガメラに肉薄し、機動力と数の優位を活かして活路を開こうとするも、周囲を羽虫のように飛ぶギャオス達に対しガメラは巨腕を振い巨大な爪で切り裂いたり、捕まえて握り潰す。

残り3頭になったギャオス達はガメラの皮膚に取り憑くと足の爪で引っ掻いたり至近距離で超音波メスを放ったりするが強固な【鱗装甲(ハードシェル)】によって阻まれ、まもなくガメラによって殲滅された。

 

「すげぇ…!」

 

大輝達はガメラの戦闘力に驚愕していると、ライブ会場に入ってきた数頭のギャオスが大輝目掛けて咆哮を上げながら襲い掛かってきた。

 

「奏、怪物達が!」

 

「くそッ!来やがった!」

 

迫り来るギャオス達に翼と奏はアームドギアを構え、大輝と響を守る為に迎え撃つ。

だが、ガメラがギャオスの接近を察知して駆け寄ると、地形を丸々変える程のパンチでギャオス数頭をまとめて粉砕する。

パンチの振動が伝わったものの、大輝達に怪我は無い。

 

「…あの亀、私達を助けてくれたのか?」

 

「まぁ何にせよ、アタシ達の敵では無い事は確かだな。」

 

ガメラの方は安堵した表情で大輝を見る。

すると突如として空が一瞬赤く光り、赤いレーザーがガメラに直撃する。

ガメラは少し怯むも、体勢を立て直して空を見上げる。

 

その瞬間、ガメラの前に新たな敵が現れる。

それは翼長100mの大きさを誇り、顔の醜悪さはそのままに体躯が大型化した個体……

そう、先程都市やエアリアル編隊を蹂躙した超大型ギャオスである。

 

超大型ギャオスも芳醇な匂いに釣られてやって来たが、ライブ会場には自らの脅威となる存在……ガメラがいた。

ガメラに対し敵意の籠った眼を向けると、先制として超音波メスを放ちガメラを怯ませた。

そのままガメラの前に躍り出て、宣戦布告とばかりに咆哮を上げた。

 

ギャオオオオオオオ‼︎

 

その後は飛翔型故の機動力を活かしてライブ会場の周囲を旋回する。

ガメラは超大型ギャオスを見据えると胸部にエネルギーを溜め、【火焔弾(マグマブラスター)】を三連射する。

一発、二発は外したものの、三発目で左翼に命中した。

 

飛行体勢を崩され燃えながら落下するも、大きく羽ばたく事で消火と共に空中に留まる事に成功した。

この機を逃すまいとガメラは四発目を放つが、ギリギリのところで回避する。

回避したギャオスは一旦距離を取ると旋回した勢いのまま、猛スピードでガメラに肉薄する。

 

肉薄するギャオスに対し、ガメラは五発目を放つ。

放たれた火球を飛び上がる事で回避を試みた結果、直撃を受けた右足が焼け落ちたもののスピードは衰える事もなく残った片足の鉤爪を【鱗装甲(ハードシェル)】が比較的薄い肩口に突き刺した。

 

そのまま肩を掴まれガメラの両脚が僅かに浮く。

すかさず至近距離からの超音波メスの直撃を受け、ガメラの表皮を無慈悲に刻み出血する。

その痛みに悶絶するも、その眼には闘志は宿ったままだ。

 

ガメラはギャオスの身体を掴むと叩き落とし、そのまま頭部を踏み付ける。

続け様に翼と脚を掴むと力一杯引っ張り、ギャオスは吐血する。

たまらずギャオスは飛んで逃げようとするも、ガメラはギャオスの尻尾を掴み勢いよく叩き落とす。

それによってライブ会場の観客席は完全に破壊された。

 

ガメラは倒れたギャオスに飛び掛かり、ギャオスの頭部を鷲掴みにする。

その際ガメラの爪がギャオスの眼を貫き、あまりの痛みにギャオスは悲鳴を上げる。

一旦頭部を離すと、今度はギャオスの首根っこを掴んでぶん回し投げ飛ばした。

 

ライブ会場の外壁を破壊しながら投げ飛ばされたギャオスは勢いよくバウンドしてダウンする。

その隙を見逃さず、ガメラは五指を握り渾身のエネルギーを口内に溜め発射準備が整った。

ギャオスの方は何とか起き上がるものの、その時にはガメラの口から【火焔弾(マグマブラスター)】が放たれた。

 

 

火焔弾(Magma Blaster)

 

 

迫り来る火球を前に最早ギャオスは弱々しくも怨嗟の籠った咆哮を上げることしか出来ない。

そして火球が着弾し炎上、燃え盛る業火の中でギャオスの断末魔が鳴り響いた………

 

 

 

 

 

あの火球が着弾してから数秒後、熱波と衝撃波が俺達を襲った。

 

「うわっ!あち…!」

 

「ここまで離れているのに、届くとは…!」

 

「あの火球、下手すりゃ絶唱並だぞ⁉︎」

 

空を飛ぶ怪物達を倒したガメラは俺達の方を振り向くと、そのまま近付いてくる。

翼さんと奏さんは剣と槍を構えるが、胸元にある勾玉が僅かに光る。

その勾玉を通じてガメラの心境が手に取るように分かった。

 

「待って下さい!ガメラに敵意はありません!」

 

「…何ッ⁉︎」

 

「どういう事だ⁉︎」

 

そうこうしている間にガメラは俺達の元に近付き、しゃがみ込むとガメラの胸元が青白く光り、その光は右手へと伝っていく。

握った右手を開くとそこから翠色の粒子が溢れ出てくる。

 

溢れ出た大量の粒子はこちらに飛んできて、響と奏さんの身体に纏わりつく。

奏さんは一瞬身構えるが、何事も無かったかのように構えを解いた。

 

「奏、大丈夫⁉︎」

 

「いや、大丈夫だ。むしろ体の奥底から力が湧いてくるというか……」

 

そして響の方はというと、粒子が傷口を修復し血も止まった。

浅く早かった呼吸も落ち着いていき、ひとまず大丈夫なのは分かった。

 

響の様子に安堵した俺はガメラを見上げる。

ガメラもまた安堵した表情で俺達を見ていた。

 

そんな中、ふとガメラに対し違和感を覚える。

 

(……あれ?おかしいな、何で俺はあの亀の怪獣が“ガメラ”って知ってたんだ?)

 

俺とガメラは初めて会った筈なのに、会った瞬間“ガメラ”という名前が頭に浮かんだ事に疑問を抱く。

というか………

 

(それに何だろう、この懐かしい感じ…?まるで俺とガメラは前に会ったような気がする……?)

 

不思議に思った俺は記憶を辿ってみる。

 

当時気弱だった俺が同級生にいじめられたところ、響が割って入り助けて貰った事…

 

それがきっかけで響と仲良くなり、その流れで彼女の幼馴染である未来とも知り合った事…

 

母さんの意向で引っ越す事が決まり、三人一緒に過ごせる最後の夏休みとして思い出作りに奔走した事…

 

思い出作りの一環で虫取りに行った際、大きな石亀を助けてお礼に勾玉を貰った事………あっ!

 

(あの時の石亀か!)

 

あの時一際大きい石亀を助けたお礼とばかりに勾玉を貰った事を思い出す。

そして勾玉を形作った翠色の粒子も、今響と奏さんを癒した粒子と同じ物だと実感した。

改めて見上げてみると、2年前と比較してあの時の石亀とは想像もつかない程デカくなったが、ガメラには何となく石亀の面影があった。

 

「やっぱり…あの時勾玉をあげた石亀なんだね、ガメラ…!」

 

「何…?」

 

「アンタ、あの怪獣の事知ってんのか?」

 

俺とガメラの関係を翼さんと奏さんが訝しんでいると、ガメラの顔に複数の爆発が起きた。

辺りを見渡すと空から数機の戦闘機が飛んできてガメラにミサイルをお見舞いする。

確かあれは在日米軍基地に配備されたばかりの最新鋭戦闘機の筈。

中学校に入った時に出来た友達のジュンが興奮気味に話してたような…

 

ゴアアアアアアッ‼︎

 

そんな中ガメラは夜空見上げ大きく吠えると、その場から離れた後にその巨体を屈ませた。

するとガメラの周囲に煙が充満し、海亀のような姿になると脚からジェットを出して空を飛んだ。

あっという間に夜空に消えていき、戦闘機の追跡も振り切った。

 

 

 

 

 

「超大型個体、沈黙…これで飛行生物は全滅しました……」

 

「亀型生物、飛翔を開始……は、速い…!マッハ3は出ています!我が軍のF-57では追いつけません!」

 

ガメラとギャオスの戦闘が終わり、ガメラが飛び去った所でオペレーター達が報告をまとめる。

現実離れした報告が一通り終わると、レイモンドは司令席にどっかりと腰を下ろし事も無げに口を開いた。

 

「……生物というのは音速で飛行出来るものかね?」

 

「さあ……分かりません。」

 

「……あれは何と言ったかな、日本人が好きな……モンスタームービーの……あれだ。」

 

「怪獣……ですか?」

 

「そうだ……その怪獣が出現して、東京で暴れてる。」

 

まるでジョークを語るかの様にジェスチャーを交えながら、憮然と続けるレイモンド。

 

「こんな馬鹿げた奴らと闘う方法を、士官学校では教えてくれたかね?」

 

オペレーターが返答に困っていると、再びレイモンドが嘆息を漏らす。

 

「…ただ、()()()()()()で街一つ消し飛ばしたあの爆弾(N2弾頭爆弾)が東京で使用されなかったのは不幸中の幸いだな。」

 

そんな事を呟くと、彼は後ろを振り向く。

オブザーバーとして同席していたエミコとタザキはこの場に居らず、既に退散した後だった。

 

「…あの2人はどうした?」

 

「少し前に退出し、財団所有の有人型エアリアルにて現地へと赴いたそうです。」

 

「そうか……ったく、財団(奴ら)が関わると毎回ロクな事にならないな………」

 

レイモンドはため息を吐きながらも、事態収束の為部下に指示を出す。

 

 

 

 

 

ガメラが飛び立ってしばらくした後、赤いシャツを着た男性…風鳴弦十郎を筆頭に特異災害対策機動部二課のエージェント達が現場に到着する。

 

「翼、奏、無事か⁉︎」

 

「司令!」

 

「おっさん、この子を病院へ!」

 

弦十郎の目には倒れている響と彼女を介抱している大輝がいた。

弦十郎は状況を察するとエージェント達に指示を出す。

 

「…分かった。その子を病院へ搬送しろ!」

 

弦十郎の指示により響は病院へと搬送された。

大輝も着いて行こうとするが、翼に止められてしまう。

 

「俺は彼女の友達なんです!行かせて下さい!」

 

「…悪いが、貴方には我々と一緒に来てもらう。先の生物…ガメラについては勿論、胸元の勾玉についても聞きたい事がある。言っておくが貴方に拒否権はない。」

 

「そんな…!」

 

そうしている間にもエージェント達が彼を取り囲み連行しようとしたその時、大輝達は上空から強烈な光に照らされた。

 

「うわッ…!」

 

「何だ⁉︎」

 

「あれは…エアリアル⁉︎」

 

「あのシンボルマーク……ユースタス財団か!」

 

上を見上げてみると、ジェットエンジン特有の騒音を響かせながら現れたオレンジ色の有人型エアリアルが廃墟と化したライブ会場へと降り立った。

機体の所属を表すエンブレムは国際的なエネルギー開発機構および慈善団体……【ユースタス財団】のものである。

オレンジ色のシンボルマークがペイントされたドアからエミコ・メルキオリとジェームズ・タザキが颯爽と現れた。

殺伐とした風景にはミスマッチな澄んだ声でエミコが尋ねる。

 

「ふう。……貴方達平気?怪我は無い?」

 

「…アンタらは?」

 

「驚かせてごめんなさい。そこの少年に話を聞きたいの。」

 

「俺ですか?」

 

「失礼ですが、この少年は我々と一緒に同行する手筈となっている。おいそれとそちらに渡すわけには……」

 

「いや、その必要はない。既に日本政府から正式に通達が届いている筈だ。」

 

するとタザキが前に出てある事を伝えた。

それを聞いた弦十郎は端末を確認すると、改めて指示を出す。

 

「…こちらも通達を確認した。2人を本部に案内する。」

 

「おっさん⁉︎」

 

「外部の人間を招き入れるのですか⁉︎」

 

「政府から正式な命令が出た。“ユースタス財団と連携し今事案の対処にあたれ”…とな。」

 

特異災害対策機動部二課とユースタス財団の連携が決められた中、エミコは大輝の方へ向き直る。

 

「それじゃあ改めて聞かせてもらうわね。君を襲ったギャオスの事……そしてそのギャオスから君を守ったガメラの事を。」

 

この日を境に大輝は非日常へと足を踏み入れる事になる………




財団所属の2人と共に特異災害対策機動部二課の本部へと足を踏み入れた大輝。
彼はそこで自分達を襲ったギャオス……そして自分達を守ったガメラについてエミコから説明を受ける。
彼も2年前の不思議な出来事について皆に語るのだった………

次回、『怪獣とは?』

乞うご期待ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。