回帰した灰色鼠   作:実った青リンゴ

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焚き火を囲んで

-過去転移魔術とは

タイムトラベル。老デウスが召喚魔術と転移魔術を応用して発明した魔術。ただし未完成のため使用した老デウスは術の発動によって内臓を失い数分後に死亡した。(某考察wikiより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、エリスよりも先にルイジェルドが目を覚ました。

 

「大丈夫ですか、ルイジェルドさん」

「ああ、問題ない」

 

 ルイジェルドはそう言って焚き火の傍に座り直した。

 少々、気まずい沈黙が流れる。

 

 軽率な俺の行動で、二人を危険に晒してしまった。

 ……まあ、オルステッドのことを考えれば、二人のことを殺すことは絶対にありえなかっただろうけど。

 

「ルイジェルドさん」

「なんだ」

「僕の軽率な行動で危険に晒してすみませんでした」

 

 そう言って、ルイジェルドに頭を下げた。

 少しの沈黙のあと、

 

「もう、気にするな。俺の方こそ、故郷に安全に送り届ける約束したのにそれを果たせず、すまなかった」

「いえ、どうかお気になさらず。相手はあの七代列強の龍神だったのですから、仕方がありませんよ」

 

 相手は世界最強の龍神様だ。

 オルステッドに勝つには、世界を滅ぼすような代物でも使わない限り無理だろう。

 たとえば、鈴をつけた青いタヌキが出してくる、あの地球破壊爆弾とか。

 

「そうか、どうりでな……」

「強いですよね、あのあと、僕も手も足も出ずやられました」

「一目みた瞬間、勝てる気がしないと思ったのは……ラプラス以来だ」

 

 ……ラプラスか。

 自分の呪いを切り離して、槍にうつし、スペルド族に押しつけた――そんな人物。

 そのせいで、スペルド族からは強く恨まれている。

 …………でも、なんとなくだけど、ちょっと可哀想な人だったような気もする。

 ……たぶん。

 うーん、思い出せないな。

 たしか、生きてる時の話じゃなかったと思うけど……。

 

「俺も"七大列強"の上位に対抗できるとは思っていない。

 奴らは人知の及ばぬ本当の化け物だ。

 ああいった輩と一本道で遭遇するのは、運が悪いとしか言えん。

 そして、生き残れた事は運がいいとしか言えん。

 ルーデウス、もしまたああいう奴と出会う事があっても、決して喧嘩は売るなよ。目も合わせるな。今回のような事になりたくなければな」

「え、ええ。まあ、多分次は目を逸らして通り過ぎますよ」

 

 苦笑いを浮かべながら、そう答える。

 ……残念だけど、きっと次に出会ったら、また俺は真正面から話しかけに行くだろう。

 

 大丈夫。きっと大丈夫なはず。

 急に殺しにかかってくるなんてこと、ない……よな?

 ……さすがに。

 

 次会う時は、まず敵じゃないってことを伝えるんだ。

 ちゃんと話せば分かってくれるはず。

 ……温厚で誠実な人だから。

 うん、大丈夫。きっと、大丈夫。

 

 ルイジェルドを見ると、何か考え込んでいるようだった。

 ……何かあったんだろうか。

 

「何か、悩んでいるんですか?」

 

 聞くと、ルイジェルドは鋭い目で俺を睨みつけた。

 

「ヒトガミとはなんだ?」

 

 ……おう。そいつのことか。

 

「奴は最初、俺たちを見逃すつもりだった。

 殺気を撒き散らしつつも、眼中にはなかった。

 だが、ヒトガミの名前を口にした瞬間、殺気が完全にお前に向いた」

 

 よし、伝えよう。

 あいつは悪神だ。詐欺師だ。

 一見、ためになるような助言をするが、結局は自分が得するように仕組んでいる。

 そして何より――ネタばらしした時に、相手が絶望する顔を見るのが大好きな性格最悪の変態だ。

 転移した時から、夢の中にヒトガミと名乗る正体不明の変態が偉そうな態度でいくつかの助言をしてくる。

 そしてつい最近、ヤバいやつだとわかったから夢に現れても絶対話を聞いてはいけないことを伝えよう。

 

「実は――」

 

 そういえば――ヒトガミの奴、俺の心が読めなくなったと言っていたな。

 あれは一体どういうことなんだろう。

 もしかして俺が戻ってきたことと何か関係があるのか?

 ……だったらいっそ、オルステッドみたいに俺の姿がみえなくなってたらいいのにな。

 

 あと、ラプラスの呪いのことを説明しとかないと、

 

「あと、ラプラスの呪いについてなんですが――」

 

 ……スペルド族。

 そういえば、たしかルイジェルドは、どこかでスペルド族の集落に行けるはずだった。

 でも、それがどこだったのか、思い出せない。

 くっ……ダメだ、思い出そうとすると、頭が痛くなる。

 

 時間が経てば、思い出せるだろうか。

 ――そのときに、またちゃんと伝えよう。

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