ー皆さんは「転生」というものをご存知ですか?
転生…意味としては一度死んだ人が生前の記憶や経験を引き継いだまま新たなる人生を歩むことであり、簡単に自分なりに表すなら
「強くてニューゲーム」
といった感じになるのではないでしょうか。
さて、何でいきなり転生について語ったのかといいますとですねぇ…
わたくし、どうやら前の人の記憶を持ったまま生まれ変わったようです
最初に違和感に気づいたのは3歳の頃、きっかけは村の加工屋にあった「太刀」という武器を見たときでした。私は太刀を見たときにその武器をとても懐かしいと感じたのです。そこからはもう、川の水が氾濫したかのごとく記憶が蘇り三日間ほど知恵熱で寝込んでしまいましたが。
「これからどうやって生きていきましょうかねぇ」
私は考えます
「取り敢えずハンターにはなりたいですね、前の自分でもそれなりにハンターとしては有名でしたし」
ええ有名でしたよ本当に、ラオシャンロン亜種をひとりで討伐したり、ヤマツカミをひとりで討伐したり、アカムトルムやウカムルバスをひとりで討伐したり……
「ってほとんどボッチじゃないですかぁぁ!!」
ついうなだれてしまった、だって…よくよく考えればリオソウルZや龍刀劫火を作ったときなど以外はほとんどソロでしたし。
「前の私って凄く寂しかった人なんですねぇ…」
いやいやホント、皆私のことバケモノでもみるような眼でしたし、マトモに口をきけたのはトレジャー爺さんとG級の受付嬢ぐらいでしたし
「っよし!」
私は覚悟を決めます
「今世はハンターとしての友達を百人作ります!」
こらそこ、ショボいとか言わないでください。こちとら死活問題なんですよ。
というように考えを纏めているとキッチンから女性の呼ぶ声が聞こえます
「アリア~、そろそろご飯にするわよー?」
「はぁい、お母さん、今行きまーす!」
母さんから呼ばれて部屋を出る。
あ、言い遅れました
私、アリア八歳、前世では男のハンターだったのに、今世では女の子になったようです。
さて、新しく人生を始めるに当たって三つの問題点が見つかりました
一つ目は今の時間と言えばいいでしょうか。どうやら今は前の私がミラルーツと相討ちになってから18年後であるということです。何故具体的に18年後だというとですね、その、あの、
ミラルーツと相討ちになった私の名前をつけられた人がちょうど18歳だからです。
どうやらミラルーツと相討ちとはいえ伝説を討伐した私はかなりの有名人になったそうでして、「この子もそんな強い子に育ってほしい」という願いがこもっているそうです。私からしたら恥ずかしいし、自分の名前が呼ばれているようでむず痒くなりますけどね。
二つ目は至極簡単
「ッフンッフンッフンッ!」
ハンマーを振るたびに風を切る音が鳴る、練習用とはいえ八歳の子どもが扱いこなせるようなものではない。
つまりこの身体、女性であることを除けばハンターの素質溢れる身体であるということです
これについては素直に嬉しいと想いました、前の自分はお世辞にも、ハンターとしての素質は高いとは言えないものでしたからね。
三つ目はとても悲しいことでした
太刀を振るうどころか、持つことすら出来なくなったのです。
始めはただそのときだけ気分が悪かったからなどと思ったりしていましたが、太刀を持つと身体のふるえが止まらなくなり、しまいには強烈な吐き気におそわれてしまうのです。なぜこのようになってしまったかについては、どうやら前世の最後のミラルーツの狩りが少なからずとも無意識にトラウマになってしまったようなのです。私にとって太刀は始めから共にあり続けた、まさしく命を預けてきた武器といっても過言ではない程でしたので、この事は少なからず私にとっては衝撃でした。
「…悔しいですが別の武器に乗り換えるしかないですね…」
幸い今世はまだ八歳の子供、武器を変えたとしてもまだ間に合うじきですしね。
「さて、今日も一日立派なハンター目指してがんばりますよ!」
私は練習用のハンマーを片付けて、母の所に向かいました。
-とある母の思い-
(この子は将来とても大きな人になる)
私はこの子を産んだとき、母にそう言われました。始めは何をいっているのかよくわかりませんでしたし、この子も最初は唄を歌ったり、あっちこっちを走り回る、とても元気のいい子でした。
しかし、三歳のときに加工屋さんの所にいってから娘の雰囲気が変わったように感じたのです。その日からでしょうか、娘は余り走り回ることはなくなり、部屋にこもって何かをかいていたり、村のすみでにかこそこそするようになりました。気になって後を付けてみたのですが、私はそのときに母の言葉をようやく理解出来たのです。
娘は小さな身体には不釣り合いなハンマーを身体を振られることなく振るっていたのです。そのときに聞こえてしまった声を忘れる事ができません
「まだだ、まだ前の時よりもできてないっ!?、クソっ、鈍ってる!?」
前の時?、出来ていない?、鈍る?、私は訳が解らなくなりました。
この日から私は娘に対して少し怖くなりました
「ん?、お母さん、どうしたの?」
「んー、ちょっとした考え事よ。」
「えー?、なに考えてたの?、教えてよー」
「ふふっ内緒よ内緒☆」
「むぅーー…」
そうして娘は膨れてしまいました。こういうところは本当に愛らしのてですが、ふと見せる動作がどうしても重なってしまうのです。
私の、狩りで無くなってしまった、たった一人の、兄に。
どーでもいい複線
主人公アリアちゃんのお母さんは前世の妹(主人公は気づいていない)