初投稿です。現役JCなので優しくしてください。
漆黒の翼━━━
このワードを投げかけられた諸兄は「おっ、厨二病か?」「ダサすぎワロタ」などと思うことだろう。アニメやコミックといったサブカルチャーに於いては、「漆黒」と「翼」が邂逅したワードはフィクションであることを差し引いても些か痛々しい概念とされている。
何の話だよと思われているところだろう。
この物語はそんな痛々しい概念のみで構成された名前を付けられてしまった、見方によっては哀れなとある競走馬の物語だ。まぁ、あまり期待せずに流し見してみてほしい。
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この競走馬は北海道のとある生産牧場で生産された。この牧場は過去に名馬と呼ばれる馬を何頭も生産してきた、所謂「エリート牧場」であった。
そんな牧場に生まれたその牡馬はなかなかに人懐っこい馬で、牧場関係者たちからも可愛がれていた。
そんな彼の父は生ける伝説となった競走馬、母は競走馬としては大成しなかったが実績馬を多く輩出した名牝で、まさしくこの馬は「良血」と言ってもよかった。その血統に対する期待は大きく、牧場でも「きっとよく走ってくれるぞ」と持て囃されていた。
当歳セレクトセールでも注目株の一頭として人気が集まった。血統良し、馬体良し、気性良しなのだから当然である。
そんな中でこの馬を競り落としたのはとても羽振りの良い個人馬主であった。
彼の名は林田孝太郎という。
彼は馬主になってから3年目と新人といえる馬主だった。重賞勝ち馬など過去一頭も所有していなかったし、繁殖を事業として展開することも当然できていなかった。
しかしながら、そんな彼はネットや馬主のコミュニティ内では好かれていた。
その大きな理由が馬への名付けである。
参考までに、彼の所有馬第一号の名前は━━━「コントンノシシャ」。
そう。
信じられないセンスをした名付けによって彼はネタにされるという形で愛されていたし、馬の方も珍名馬として有名になり、応援されることとなったのだ。
さて。
そんな林田に購入された「フェザーミスティの20XU」。この当歳馬は非常に賢く従順、人も馬も拒まない優等生であった。馬体は牧場で「クロタロー」と呼ばれるほどに黒々とした黒鹿毛で、細身のように見えながらも隆々とした筋肉が見て取れる美しい馬である。
そして。
彼に付けられた競走馬としての名前は
シッコクノツバサ
とんだネタネームである。
しかしこの名前が伝説の始まりだとは、林田含め誰も予想だにしなかった━━━。
デビュー予定が発表された時はネットでバチボコにネタにされてました