Fateコラボのストーリーをズバーッとやったんですけど…あのジジイはいつになったら退場してくれるんですかね?
ジジイ、ピノコニーのメインストーリーでもロクなことしてなかった気がするんですけど。
なんならスターピースカンパニーのアホグラサンよりもヘイト溜まってます(個人的に)。
砂漠の風が、衣の裾を揺らす。
空は高く、雲一つない。
陽は砂を照らし、空気の端々にじんわりと熱が含まれ始めている。
まだ「灼熱」と呼ぶには早い時間帯だが、ここが砂漠であることを、肌が確かに思い出させてくる。
ざらつく風が白いコートの裾を揺らし、耳の中でかすかに砂の音が鳴った。
『この辺りには普段から壊れたドローンや警備ロボ、オートマタが徘徊しています。進行ルートはそのままで問題ありませんが、注意してください。』
アヤネの通信が、耳元の端末に静かに流れ込む。
その声は、いつも通り冷静だったが、背後には同時進行での状況判断と警戒が張り巡らされている。
「……ねぇ、ふと思ったんだけどさ。」
隊列の中央で、セリカが歩調を緩めながら口を開いた。
「なんでゲヘナの風紀委員長が、アビドス自治区のことを把握してたんだろ?」
単なる疑問――そのように聞こえたが、その言葉の裏には、私も思い至っていた疑念が確かに含まれていた。
「…まぁ、元より風紀委員会の情報収集能力は他の学校よりも秀でてるからね。」
カヨコの返答は冷静で、なおかつ現実的だった。
その通りだ。風紀委員会は秩序を掌握するための機構であるため、その分野に突出している。
だが、他学園自治区にまで及ぶ情報網を、あの年頃の少女たちが当然のように扱っているというのは――やはり、違和感を覚える。
「やっぱりマンモス校は違うね〜。」
ホシノののんきに聞こえる一言が、緩やかに空気を和ませる。
けれどその裏で、ホシノ自身も思考を止めてはいない。
『委員長という立場なら、風紀委員会が持ち得る情報のすべてを把握していてもおかしくありません。それに、あちらの行政官がたしか――』
アヤネの声が、ふと重なる。
数日前の記憶――あの整った、無機質な声。
――他の学園自治区の“付近”なのですから。きちんと、その辺りは注意するのが当然でしょう?――
先日のアコの言葉。
あれは正論であり、同時に――当然ではないはずのことを、当然として口にした違和感でもあった。
『…少なくとも、あの行政官は私たちの知らないことを知っていました。』
「うん。となると、ゲヘナの風紀委員長は私たちが知らないことを知っていてもおかしくはない。」
そんな疑問を胸に抱く彼女たちだが、歩みを止めるわけにはいかない。
この先に何があろうと、進まなければ答えには届かないのだから。
「ここから先って……私たち、初めて足を踏み入れる場所ですよね。」
ノノミの声は少し緊張したようだった。
その言葉に、他の生徒たちも周囲を見回すようにして頷く。
砂に埋もれた住宅街を抜け、目の前に広がったのは、一面砂の世界。生物が生きているとは思えないくらいに何もない。
…だが、そこには確かな記憶があった。
「この景色…懐かしいねぇ。」
ふと、軽く笑うようにホシノが言った。
予想外の一言に、通信越しのアヤネがすかさず反応する。
『懐かしい…? ホシノ先輩、来たことがあるんですか?』
「生徒会の仕事でね。まだ一年生のころだけど、一度だけ。」
ホシノはへらっと笑い、話を続ける。
「もう少し行けば、アビドス砂祭りが行われてたオアシスがあるんだよ。」
「オアシス!? こんなところに!?」
セリカが驚いて身を乗り出す。
「ま、今はもう干上がっちゃったけどね。すっごく大きなオアシスだったんだよ。大きな船が浮いちゃうくらいのさ。」
その言葉に、一瞬、空気が和らぐ。
その和らぎの中に、どこか懐かしさの余韻が流れていく。
そして、その雰囲気に背中を押されるように――ふと、言葉が口をついて出た。
「……アビドス砂祭りは、大きな祭りだった。」
言った瞬間、自分でも少し驚いた。
出すつもりはなかった言葉だ。
なのに、記憶の奥底から、まるで自然に引き上げられるように浮かび上がった。
そのとき見えていたのは、今ではもう存在しないオアシスの光景ではない。
祭りの喧騒のなかで、自分の腕をぐいと引いて歩く――アイツの後ろ姿だった。
「うへ? 先生、来たことあるの?」
ホシノが不意に問いかけてくる。
だが彼女の声には詮索の色はなく、ただ確認するような、柔らかさがあった。
俺は一拍だけ黙ってから、小さく頷くように答える。
「……一度だけ。”知り合い”に、無理やり連れて行かれた。」
その“知り合い”の顔が、鮮やかに思い浮かぶ。
断っても無駄だと分かっていた。頑なだった自分を、アイツはよく知っていたから。
「へぇ〜。先生を無理やり連れ出すなんて、すごい人だね。」
ムツキが茶化すように笑う。
俺はその言葉にすぐ返さず、少しだけ目を細めて――ぽつりと静かに言った。
「……そうだな。」
語りすぎる気はなかった。
そして、誰もそれ以上は何も言わなかった。
彼女たちも、何となくそれが“そういう記憶”なのだと感じ取っていたのだろう。
「今は砂だらけの寂しい場所だけど……かつては笑顔があったのね。」
アルの言葉がそっと地面に落ちる。
誰もが目を伏せ、あるいは遠くの風景を眺めた。
「うへ、砂嵐が発生するまでは、この辺りもけっこう住みやすかったらしいよ。」
ホシノの言葉が続き、会話はゆるやかに日常へと戻っていく。
俺は胸元のペンダントに指先を触れた。
金属の冷たさが、遠い記憶の温度を呼び起こす。
だが、それ以上は何も思い返さなかった。手を離し、再び歩みを始めた。
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『み、みなさん!』
少し歩いた頃、アヤネの声が、緊張を帯びた音で通信から流れてきた。
口調は冷静だったが、その奥にある違和感が、はっきりと伝わってくる。
『巨大な……街? いえ、工場……あるいは駐屯所……? と、とにかく、大きな施設が見えました。』
「何かの見間違いじゃないの?」
ホシノが尋ねる。
その声にはすでに緊張が滲んでいた。
『……恐らく、見間違いではありません。』
一瞬の沈黙の後、俺は静かに指示を出す。
「……全員、武器を構えろ。」
自分の声がいつもよりわずかに低く響いた。
その一言に、背後の空気がすっと張りつめる。
誰も何も言わなかったが、数秒後には、金属の擦れる音が次々と響いた。
さらに歩を進めて、岩陰を越えたその先に――それは、あった。
「な、なにこれ…。」
「とてもじゃないけど、工場には見えない…。」
「石油ボーリング施設……でも、なさそうです。いったい、何なのでしょう?」
セリカ、シロコ、ノノミが次々に声を漏らす。
アル、ムツキ、カヨコ、ハルカは揃って口を小さく開けていた。
その視線の先には、鉄とコンクリートが複雑に絡み合う巨大な構造体。
まるで生き物のように、砂漠のただ中に異質な影を落としていた。
俺たちは慎重に中へと進む。
有刺鉄線が張られたその施設は、見れば見るほど何のために存在しているのかが分からなかった。
「こんなの……昔は、無かった。」
ホシノが小さくつぶやくように言った。
その声には懐かしさではなく、明確な警戒が宿っていた。
その瞬間――。
ピリ、と皮膚が張り詰めるような感覚。
誰かの視線。狙う意志。
咄嗟に振り返る。
そこには、こちらに銃口を向ける無機質な“それ”――オートマタの姿があった。
――反射だった。
足に力を込め、一気に距離を詰める。
こちらの接近に一瞬驚き、退きかける機械兵。
明確な意思を持ってこちらに照準を合わせようとしたが、それよりも早く、俺は刀を引き抜いていた。
一閃。
砂が裂け、鋼が悲鳴を上げる。
そして、静かにオートマタは崩れ落ちた。
刀を鞘に収めた音と共に、アヤネの声が再び響く。
『みなさん!4時と7時方向から正体不明の敵が接近中です!』
同時進行でハルトたちの部隊も接触したか。
ならば、判断は早い方がいい。
「お前たち、そっちは任せた。」
そう短く告げて、俺は通信を切った。
『ちょっと先生! いきなり消えな――』
セリカの声が追ってきたが、もう耳には届いていない。
そして俺は顔を上げ、目の前に並び立つ新たなオートマタたちに視線を向ける。
こちらをじっと見据え、何も言わず、ただ機械的に銃を構えている。
数は…ざっと20。何も問題はない。
俺は再び、鞘から刀を静かに引き抜いた。
砂漠の風が、白いコートの裾を揺らす。
「元より戦闘する気はなかったが…そっちから向かってくるのなら――話は別だ。」
わずかに間を置いて、問いかける。
「……お前たちは、何者だ?」
返事はない。沈黙。そして照準のロックオン音だけが虚空に響く。
「…そうか。」
そして、刀をゆっくり構え直す。
「ならば、無理にでも――吐かせるまで。」
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辺りには、機械の残骸が散らばっていた。
砂の上でバチバチとスパークを上げながら転がる鋼の腕、胴、そして黒く焦げた残骸。
静寂のなか、風が金属片を吹き鳴らしている。
目の前の一体――最後に残ったオートマタの両腕は、すでに斬り落とした。
それでも、そいつは無言で立っていた。
いや、立つよう“命令されている”だけか。
刀の切っ先を下ろしたまま、短く問う。
「……お前らは、何者だ?」
返答はない。わずかにカメラアイが明滅しただけだった。
人の言葉を解さないのか。あるいは――答える気など、最初から無かったのか。
数秒だけ待って、俺はその目を見据える。
「…それが、お前の答えか。」
そして、無造作に腕を振るった。
刃は鋼を斬り裂き、音もなく首を落とす。
無機質な頭部はゆっくりと宙を舞う。
数秒後、コンクリートの地面にガシャンと砕ける音を立てて崩れた。
喧騒が去っていく。
だが、疑問だけは残った。
こいつらは何だったのか。
この施設は、何を目的に造られたのか。
一歩、踵を返し、ハルトたちのもとへ戻ろうとしたそのとき――視界の端に、ある“印”が入った。
建物の外壁。
わずかに砂に埋もれたパネル。
その表面に、黒く擦れたマークが描かれていた。
妙な違和感を覚えながら近づく。
そして、その下に刻まれた文字に気づいた。
「KAISER……」
やはり、カイザーが関係していた。
だが、よく見ると文字に続きがある。砂を被っていて、読めない…。
俺は無言で腰を落とし、手で砂を払う。
ざらり、ざらりと音が耳に残る。
そして――その全貌が現れた。
「……まずい。」
それを見た瞬間、思わず声に出ていた。
この場に立ち、そして目の前の文字を目にした時から、胸の奥に湧いた直感が確信へと変わる。
民間軍事会社――KAISER PMC。
「…一刻も早く離脱する必要がある。」
もしこの場所が既に何らかの監視下にあるなら。
もし、ここに軍隊が向かっているとしたら――
今のこの戦力で、生徒たちを守りきれる保証はない。
俺はすぐに通信を繋いだ。
「こちら黄泉。ハルト、今すぐ撤退を――」
その言葉がすべて言い切られるより早く、
ヴイィィィィィィィ――!!
耳をつんざくような警報音が、施設の奥から鳴り響いた。
空気が変わった。
静寂が砕け、重く、濁った不協の振動が周囲を包み込む。
警報の轟音の中、周囲が混乱に染まっていく。
アヤネたちの通信が混線する中、俺は一歩、前へ踏み出した。
刀を構えたまま、わずかに目を細める。
風に揺れる白いコートの中、胸元のペンダントがわずかに肌に触れた。
その感触が、俺を引き戻す。
「……まだ――間に合う。」
呟きは自分自身への宣言だった。
振り返ることなく、俺はハルトたちの元へと走り出した。
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警報音が響き続けるなか、低くうねるような音が耳に飛び込んできた。
ヘリのローター音。地を叩くような轟音と共に、戦車の履帯音までが混じって聞こえてくる。
”みんな、撤退するよ!”
通信越しに聞こえた黄泉先生の声に、即座に判断した。
まだ正体も、規模もわからない。だがこの音が“本物”であることだけは、疑いようがなかった。
施設の外へ走り出たその瞬間――白いコートが、風を裂いて視界に現れた。
「俺が殿を務める。お前たちはすぐにここを離れろ。」
落ち着いた、でも明らかに緊迫した声。
そして、まっすぐこちらを見る視線に、一切の迷いはなかった。
「……こいつらを頼んだぞ、ハルト。」
その一言に、胸がざわついた。
今にも何かを“置いていく”ような……そんな深い意味が隠れているように感じて、息を呑む。
”……先生。”
そう呼びかけると、黄泉先生はわずかに口元を歪めて言った。
「…俺が死ぬとでも思っているのか? 馬鹿なことを考えてないで、早く行け。」
その口調に、少しだけ――それでも確かな安心感があった。
……だが。
「だったら、私も残るよ。」
鋭く割り込んだ声。
振り返ると、小鳥遊さんが拳を握りしめていた。
「私たちの自治区に勝手にこんなもの作って……許せるわけがないよ。」
その声には、怒りと悔しさが混じっていた。
怒って当然だ。アビドスを想う彼女にとって、目の前の光景は絶対に見過ごせない。
けれど――。
「ダメだ。」
黄泉先生の声が、一段階低くなった。
「敵は軍隊。囲まれたらそこで終わりだ。お前の安否を気にしてる余裕はない。」
その言葉に、小鳥遊さんが食い下がる。
「でも……!」
「出発前に言ったことを忘れたか? 今回は戦闘が目的じゃない。行って、帰ることが最優先だ。」
「…こうなったのは全て、早い段階で撤退を伝えなかった俺の責任だ。だから――さっさと行け。」
鋼のような言い切り方だった。
誰もが言葉を失い、小鳥遊さんは動けなくなっていた。
――でも、それでも。
「ホシノ先輩、早く!」
十六夜さんが叫んだ。だが小鳥遊さんはその場に立ち尽くす。
……その時だった。
「ほら、早く行くわよ! 黄泉先生を困らせないで!」
陸八魔さんが、小鳥遊さんの腕をぐっと掴んだ。
一瞬だけ、彼女は振り返って陸八魔さんを見た。
そして、その目に何かを宿したまま、ついに動き出した。
私たちは背を向けた。
背後で風が巻き、鋼の足音が近づく気配があった。
それでも、誰一人として振り返らなかった。
――あの人なら、大丈夫だ。
そう信じて、私たちはアビドス高校への撤退を開始した。
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”右から来るよ!”
私の声に反応し、黒見さんは咄嗟に銃を構えて引き金を引いた。
撃ち抜かれたオートマタがスパークを上げて倒れ込む。
だが、その後ろから――また一体、さらにその奥からも。
「……っ、キリがない……!」
黒見さんがそう吐き捨てる。
黄泉先生は「戦闘は目的じゃない」と言っていた。だけど、撃たなければ進めなかった。
地形の把握による差で、完全に先回りされていた。
絶え間なく飛んでくる弾丸。
また、疲労と緊張で仲間たちの動きにも乱れが見え始めていた。
「くっ、リロード!」
「私もう残弾ほぼゼロなんだけど……!」
「補充してる暇もない…!」
次々と交わされる声。
焦りと疲弊が積み重なり、どこかで何かが限界を迎えようとしている。
その時だった。
『……せい、聞こえますか? 包囲網を抜け……また……』
奥空さんの通信だ。だが音声にノイズが混じっている。
『……が不安定………早く……退却……』
『…………が…接近……』
”奥空さん!? もう一度言ってくれ!”
慌てて通信を送り返すが――
……応答は、ない。
完全に途切れた。
私の手の中で、端末の光だけがむなしく点滅している。
”……っ。”
誰も言葉を発さなかった。
沈黙の中で、次々と現れるオートマタたちの足音だけが、乾いた砂の上を響いていた。
「……絶体絶命?」
静かに、でもどこか淡々と、砂狼さんが呟いた。
「包囲されちゃったかー……」
小鳥遊さんの声も、いつものような余裕はなかった。
その瞳には、明確な“諦め”が宿っている。
「もう爆弾も残ってない…。」
浅黄さんが肩をすくめるように言う。
その仕草すら、どこか虚ろだった。
「……ここまでみたいだね。」
鬼方さんが吐息混じりに言った。
その言葉を聞いた時、何かが“本当に終わる”気がして――
私は、無意識に拳を握りしめていた。
そして。
――ブゥゥゥン……
不自然な低音が地響きのように辺りを包んだ。
砂煙を巻き上げながら、1台の黒塗りの車両が現れる。
それはまるで待ち構えていたかのように滑るように止まり、重々しく、後部のドアが開いた。
……中から現れたのは――ロボットだった。
だが、ただの機械ではない。
漆黒のボディに、無機質なシルエット。
胸元には目を引くようなオレンジのネクタイ。
そして、顔に走る4本のアイラインが、不気味な“知性”と“威圧”を纏わせている。
その場にいる誰もが、息を呑んだ。
その存在感は、これまでのオートマタとはまったく異質だった。
まるで、意思を持って我々を見下ろしているかのように――。
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そのロボットは、まるで人間のようにゆっくりと視線をこちらに向けた。
重厚なフレームがきしむような音を立てる。
4本の橙の光が、私たち一人ひとりを順番に見つめる。
そして、静かに話し始めた。
「侵入者とは聞いていたが……アビドスと、“便利屋68”だったとはな。」
落ち着き払った低音。冷たい、そして妙に滑らかな口調だった。
次の瞬間、視線が陸八魔さんたち“便利屋”の方へと向けられる。
「まさか、君たちが我々を裏切って、そちらにつくとは思わなかったよ。」
「……ま、まさか……あんたがクライアント……!?」
陸八魔さんが叫んだ。
その言葉に、私たちの誰もが言葉を失った。
ロボットは断定するように答えた。
まるで最初から、それが当然だったかのように。
その時、ぽつりと呟いた声があった。
「……あんたは……あの時の……」
小鳥遊さんだった。
静かに、でも確かな怒りと警戒をにじませながら、ロボットを睨んでいた。
ロボットの目のようなラインがわずかに明滅する。
「……確か、例の“ゲマトリア”が狙っていた……生徒会長……いや、副会長だったか。」
彼女はこのロボットと“面識”がある?
私がその意味を図りかねている間にも、事態は進んでいく。
十六夜さんが、戸惑いながらも問いかけた。
「あなたは……誰なんですか?」
ロボットは肩をすくめるようにわずかに首を傾け、冷笑にも似た仕草を見せた。
「君たちなら、よく知っている相手だと思うがね。」
そして、一歩前へ。
乾いた音を立て、機械の足が砂を踏みしめる。
「私は、カイザーコーポレーションの理事を務めている者だ。」
「そして――君たち、アビドス高等学校が借金をしている相手でもある。」
その言葉に、全員が固まった。
ただの敵ではない。
このロボットこそが――アビドスを追い詰めている“現実”そのものだった。
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ドォォォン!!
ダダダダダッ!!!
戦車の砲撃とともに、無数の弾丸が俺に向けて放たれた。俺は横に走り、地を滑るようにそれを避ける。
砂の地面が体力を少しずつ奪っていく。足元の砂は深く、動きのキレを鈍らせる。
「チッ…。」
俺は巨岩の裏に身を隠し、舌打ちをした。
この場で最も厄介なのは、上空を旋回するヘリだ。
機関銃を搭載しているあいつを、砂漠でどう処理するか――判断を誤れば、即死だ。
市街地ならどうということないのだが、ここには足場にするものも、身を隠せる場所も少ない。
早いところ撤退したいところだが、奴らはそれを許す気などないようだ。
俺は深く呼吸を整え、つま先に力を込める。
……まだだ。まだ動ける。
巨岩から少しだけ顔を覗かせ、ヘリと戦車の位置を確認する。
即席の作戦だが、やるならこれしかない。
「……簡単に俺を殺せると思うなよ。」
静かに、そして確かにそう呟き、俺は目の前にあった巨岩を――両断した。
ザンッという音とともに、岩は左右に裂ける。
俺はその裂け目から、雷のように駆け出した。
目標は――戦車。
ちょうどその真上にヘリがある。つまり、そこは唯一の“死角”だ。
砲口がこちらを捉え、慌てて火を吹いたがもう遅い。
俺は砲弾を避け、刹那のうちにその前を取る。
そして戦車を――水平に斬った。
直後、轟音と共に大爆発が巻き起こる。
爆風で吹き飛ばされるオートマタたち。砂が舞い上がり、視界が赤く染まる。
俺はその一瞬の隙を見逃さず、次々とオートマタどもを斬り伏せた。
そして――地を蹴って、跳ぶ。
高く、鋭く。真上から迫るヘリのど真ん中へ。
空中で刀を引き、一閃――!
機体は左右対称に裂け、爆発を起こし、黒煙を引きながら地に堕ちていった。
爆音が遠ざかり、あたりは再び静かになる。
俺は刀を納め、砂の上に着地した。
俺はすぐに背を向ける。
撤退のタイミングはここだ――そう判断した瞬間。
「ククク……さすがですね、黄泉先生。」
不意に聞こえた声に、俺は足を止めた。
聞き間違えるはずがない。
その声は――
砂を踏みしめる音と共に、複数の足音が近づいてくる。
続いて、パチパチと乾いた拍手の音。
振り向くと、砂煙の中から、黒いスーツ姿の男がゆっくりと歩いてくる。その後ろには、数体のオートマタが付き従っていた。
「……なぜ、お前がここにいる。」
俺は静かに、だが明確な嫌悪を込めて問いかけた。
「――“黒服”。」
そう呟いた瞬間、奴の顔に浮かぶ“白い炎”が、ふっと揺れた。
熱を感じない炎。だが、それは確かに燃えている。
感情も、思考も、常識も――すべてを焼き捨てるような異常な光。
俺は、再び刀に手をかけた。
風が吹き、砂が舞う。
沈黙が、じわじわと張りつめていった。
最近、シャインポストの「TOKYO WATASHI COLLECTION」って曲にハマってるんですよね。みなさんは知ってますか?
ゲーム配信の切り抜きをきっかけにシャインポストを知ったのですが、個性的なキャラがいっぱいでしたね。
アイドル系のアニメは初代のラブライブを少し拝見したくらいで、「こんなアニメがあったんだ」と驚きました(ラブライブとは方針がかなり異なるみたいですが)。
…「フレア」? もちろん毎日聴いてます!
誤字脱字があれば、ぜひ教えてください。