死を識る者、日常に佇む   作:ツカッチ

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開拓者のみなさん、先生のみなさん、こんにちは。
今回はシロコと黄泉先生が勝負をする話です。


これまでの3人のように甘くすることはできたんですが、どうもそんな情景が浮かばないと言うか……。
ある意味、シロコらしい話にできたと思ってます。


何度負けたって

「先生、これ見て。」

 

ある日の午後。黄泉先生と一緒にトリニティをパトロールしていた私は、先生にスマホの画面を見せた。

それはキヴォトス中心部にある、屋内型の複合レジャー施設のサイト。

野球やサッカー、バスケットボールや卓球など、たくさんのスポーツを楽しめる場所みたい。

 

「先生と行きたいな。」

 

私がそう言うと、先生は小さく頷いて、でも少しだけ眉を寄せて尋ねてきた。

 

「俺は構わないが……対策委員会の皆じゃなくていいのか?」

 

先生らしい質問。確かに、みんなと一緒に行ったほうがもっと楽しくなるに違いない。

でも、今回は先生と2人でよかった。なぜなら――

 

「誰も行ったことない場所だし、調査ってことで。」

 

「本音は?」

 

「先生と勝負したい。」

 

「だろうな。」

 

そう言って先生はふっと笑った。

むぅ、先生にはちゃんとバレてたみたい。

 

「明々後日なら空いている。それでどうだ?」

 

「ん、おっけい。」

 

そう答えた私は先生の顔を見上げながら、小指を立てる。そして、わざと指をぴょこぴょこと動かした。

 

「約束。」

 

先生は一瞬きょとんとしたけど、すぐに肩をすくめて、私の小指に自分の指を絡めた。

 

「……ちなみに、この約束を破ったらどうなる?」

 

低い声で尋ねる先生に、私は口角を上げて返す。

 

「その時は――先生を襲う。」

 

「それは怖い。」

 

そうして私と黄泉先生は、指切りげんまんをした。

ちなみに『襲う』っていうのは『先生を捕まえて無理やりにでも連れてく』って意味で、決して変な意味じゃない。決して。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

――3日後。

待ち合わせ場所の噴水前。私は約束の時間より15分も早く来てしまった。

広場に集まる小鳥たちを見ながら、ふっと息を吐く。

 

(……よし。今日は勝つ。絶対に)

 

これまで、先生にいろんな勝負を仕掛けてきた。オセロから格闘技まで、全部で何回勝負したかはだいぶ昔に忘れちゃった。だけど、全敗していることだけはちゃんと覚えてる。

 

だからこそ燃える。どんな競技でもいい。一度でいいから先生の上に立ちたい。

身体機能や頭脳では勝てないことは分かってる。でも、今回はそうはいかない。なんたって、気合の入り方が違うからね。

 

私は今日のためにお気に入りのジャージを着てきた。薄いグレーに、ブルーのラインが入ったシンプルなやつ。可愛さなんて無い。動きやすさ重視で靴もランニングシューズだ。

 

軽く髪を直していた、その時。

 

「すまない、待たせた。」

 

低く落ち着いた声に顔を上げると、黄泉先生が歩いてきた。

 

……思わず、視線が止まる。

ラフな白シャツに黒のジャケット。その上、ダークグレーのスラックス。いつもよりもさらに大人びた感じ。でもどこか自然体で、肩の力が抜けている。

 

「全然。むしろ、私が早すぎた。」

 

「そうか。……しかしその格好、随分と気合いが入っているようだな。」

 

「もちろん、今日は勝負だし。」

 

言いながら、小指をぴょこっと立ててみせる。昨日の約束を思い出させるために。

 

「来てくれてありがと。」

 

私が笑って言うと先生は一瞬だけ目を細め――そして、静かに笑った。

 

「どんな勝負になるか楽しみだ。」

 

「今日こそ勝つから。」

 

そう返事をして、私たちは並んで歩き始める。

コンクリートの上で、私のシューズが軽やかに鳴る。今日は絶対に勝つ――そう心に刻んで。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

噴水広場から歩くこと25分。私たちは目的地のレジャー施設に足を踏み入れた。

エントランスを抜けると、吹き抜けの広いホールが目に飛び込んでくる。ガラス窓からは太陽の光が差し込み、床に反射してきらきらと輝いていた。周囲のテーブルでは、競技を終えたばかりの生徒たちがジュース片手に談笑している。

 

「次はロデオやろうよ!」

「ねぇねぇ、バスケしに行かない?」

「よーし、負けた方がアイス奢りだからなー!」

 

笑い声や軽口が飛び交い、その合間を縫ってスタッフの案内アナウンスが流れる。

 

私は立ち止まり、館内を見渡した。どこを見ても生徒たちで賑わっている。ジャージ姿の子もいれば、制服のままの子もいて、それぞれが思い思いの時間を楽しんでいた。

 

「結構、活気があるな。」

 

「ん。」

 

隣で黄泉先生が小さく呟く。その声には、少しだけワクワクが混じっている気がした。

先生は軽く周囲を見渡しながら、私に問いかける。

 

「さて、まずはどの競技からだ?」

 

私は少しだけ考える素振りを見せ、すぐに答えた。

 

「シンプルなやつからやろう。」

 

そうして私は自然な動作で先生の手を取り、エスカレーターの方へ歩き出す。不意を突かれた先生が一瞬だけ眉を上げたけど、私は振り返らずまっすぐ前を見据えていた。

 

 

1階と2階の喧騒から離れ、3階に近づくにつれて、音の質が変わっていく。軽やかな笑い声に混じって、ボールの弾む音、シューズが床を擦る音が響く。本格的な運動の気配が漂っていた。

やがて視界に広がったのは、野球やサッカー、バスケットボールのコートがずらりと並ぶエリア。天井は無く、ネットに囲まれていて、涼しい風が吹き抜ける。でも、ここの空気は確かな熱を帯びていた。

 

フロアを抜けると、一際目を引くコーナーがあった。

長いケージの奥、30メートルほど先に掲げられた赤い幕。そこには大きく「HOMERUN」の文字――。

ピッチングマシンから次々と白球が送り出される音と、鋭いバットの音が響いていた。

 

「……ホームランダービーか。」

 

黄泉先生が興味深そうに幕を見やり、私は小さく頷く。

 

「ん。どっちがより多くのホームランを打てるか勝負。」

 

「分かった。」

 

そう答えて、先生は空いたバッティングケージのドアに手をかけた。

 

「では俺から打とう。球速は120でいいな?」

 

「ん。」

 

先生はドアを開け、立ててあったバットを手に取る。握り具合を確かめた後、軽く素振りをした。

 

ふと、周囲のざわめきがわずかに大きくなった。

黄泉先生が打席に立っていることに気づいた生徒たちが、バッティングケージに目を向けている。だけど、先生は特に気にしていないようで、バットを肩に担ぎながら、黙ってスタートボタンを押した。

 

ピコンと音が鳴り、ピッチングマシンが動き始める。機械の手にボールが乗せられ、ゆっくりと腕が回り始めた。

先生は「ふー」と息を吐き、静かに構える。その立ち姿には不思議と圧があった。

マシンがバネの反動を活かし、ボールを投げる。先生は上げた左足を下ろし、振り抜いた。

 

『カン!』と音が響く。鋭い打球だったけど、ボールは高く浮いて天井のネットに当たって失速。静かに地面に落ちてくる。……本物の野球場ならホームランだったかも…?

 

「なるほど……。」

 

そう呟いたのが聞こえた。

先生はバットでホームベースをコンコンと叩き、構える。その時の先生の顔は少しだけ笑っていた。

 

第2球。先生は水平気味にバットを振り抜く。

 

『カキーン!!』と真っすぐな音が響いた。

打球はさっきよりも低く、鋭く飛ぶ。そして――

 

 

バスン!!  ホームラーン!!

 

 

「「「 おお〜〜っ!!」」」

 

「HOMERUN」と書かれた幕に飛び込んだ。その次にはサイレンの音とホームランを知らせる音声、そしてみんなの歓声が響いた。

 

……いきなりホームラン。あの1球目だけでどうすればホームランにできるかを理解したってこと? いや、偶然の可能性も――

 

 

カキーン!!  バスン!!  ホームラーン!!

カキーン!!  バスン!!  ホームラーン!!

カキーン!!  バスン!!  ホームラーン!!

 

 

……偶然なんかじゃなかった。先生は完全にコツを掴んだみたいで、ホームランを連発していた。

 

「さすが、先生だな……。」

 

先生の結果は15球中13球がホームラン。素直に凄いと思ったと同時に、異次元すぎる先生のスペックに燃えた。

簡単に先生を超えられるなんて思ったことは1回もない。それに、完封負けなんてこれまでに何度も経験した。

 

だからこそ追いつきたい。

だからこそ超えたい。

 

最悪、これからの勝負は全部負けてもいい。今はまだ、先生にいっぱい食らわせられたら、それでいい。

それに、せっかく先生と2人で遊びに来たんだし、楽しまなきゃ損だもん。

 

「絶対負けないからね、先生。……たくさんホームラン打ったからって、簡単に勝ったなんて思わないでよね。」

 

ゲージから出てきた先生とすれ違う瞬間、声を落として言うと、先生は目を細めて小さく頷いた。

 

「ああ、シロコがホームランを打つ所を見せてくれ。」

 

短く答えた先生の声は、ほんの少しだけ弾んで聞こえた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

バッティングケージに入り、スタートボタンを押して打席に立つ。黄泉先生のバッティングが終わったら、ギャラリーたちは解散して行った。やりやすくて助かる。

 

1球目。力を込めて勢いよく振るけど、ボールに勢いはなく、ヘロヘロなフライになった。続く2球目も平凡なゴロになる。

3球目、4球目、5球目――。上手くミートできず、バットをかするだけ。先生はあんなに気持ちよさそうに飛ばしてたのに、全く飛んでくれない……。

 

(先生はあんなに簡単そうに飛ばしてたのに……なんで?)

 

――その時、不意に背後から声が落ちてきた。

 

「……力を入れるのは、バットにボールが当たる瞬間だけだ。」

 

ただそれだけの言葉。でも、不思議とすっと胸に落ちた。

 

(当たる瞬間だけ……。)

 

私はバットを握り直し、全身の力を抜く。自然体――肩で息をして、投球を待った。

 

6球目。タイミングを合わせ、バットにボールが当たった瞬間に力を込め、強く振り抜いた。

するとボールはさっきまでとは違い、鋭く、真っすぐに飛んでいった。

 

身体で理解したことが嬉しくて、先生の方を振り返る。先生はただ小さく頷いた。それだけで胸のあたりがじんわりと熱くなる。

 

それから私は完全にコツを掴み、少しずつ鋭い打球を打てるようになった。

「HOMERUN」の幕までもう少し。そして、15球目。

 

カッキィィン!!

 

完璧なタイミングと位置でミート。瞬間、身体に力を入れ、それを運ぶように打ち返す。

私の打球は先生の打球と似た軌跡を描き――

 

バスン!! ホームラーン!!

 

そのまま幕に飛び込み、ホームランになった。

 

「や、やった……!!」

 

ホームランを告げるサイレンを耳にしながら、先生の方へと振り返る。

 

「さすがだ。」

 

短く言って、先生は小さく笑った。

ケージから出て、私は先生に手のひらを見せる。先生はそれに応えるように、軽くハイタッチをしてくれた。

 

「とは言え、この勝負は俺の勝ちだな。」 

 

「ん。でも、勝負はまだ始まったばかり。絶対に先生をぎゃふんと言わせるから。」

 

「楽しみにしている。」

 

そうして私と黄泉先生は次の勝負の場へと向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「俺の勝ちだな。」

 

そう言って黄泉先生は、コートで大の字になっている私に手を差し伸べた。

今やっていたのはサッカー。一対一で5点先取のルールだったんだけど……はっきり言って勝負にならなかった。

 

風を切る音が耳元をかすめるたび、先生の姿はもう視界にない。気づけば先生とボールは私の背後にあって、踵でボールを浮かせるプレーまで披露されて……結果は0―5の完封負け。

走る系で勝てるわけないのは分かってたけど、ここまで何もできないと……ちょっとだけ傷つく。

 

(ちょっとくらい手加減してくれたって……)

 

そう言いかけて、やめた。大人げないって思っちゃうけどこれは勝負なんだし、挑戦者の私は文句を言う立場じゃないし。

 

「ん、ありがと。」

 

そう短く言って先生の手を握る。全然息も上がってない先生を見て、胸の奥で小さく誓った。

――次は、もっと食らいつく。

 

 

 

 

「次の勝負はバスケにしよう。」

 

そう言った瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった。

サッカーは無理だったけど、バスケは違う。足じゃなくて手でドリブルをしなきゃいけないから、足だけの速さじゃ勝敗は決まらない。

 

今度こそ勝てる。いや、勝つ。

 

バスケのボールを軽く弾ませながら、私はコートの中央で深呼吸した。ルールは1on1で11点先取、シュートを決めるかボールを奪ったら攻守交代。

『今度こそ勝つ』と自分にそう言い聞かせて、ドリブルを始める。コートに響くボールの弾む音が、私の鼓動とシンクロしていた。

 

対する黄泉先生は、ディフェンスの姿勢でゆっくりと腰を落とし、じっと私を見ている。動かない。焦らない。まるで、獲物を狙う狼みたいな目。

――けど、私は怯まない。左へ切り込むフェイントから、一気に右へ!

 

その時――

 

 

バシッ!!

 

 

乾いた音と共に、私の手からボールが消えていた。気づけば先生が指の上でくるくるとボールを回している。

 

「これで攻守交代だな。」

 

――うーん、今のは分かりやすかったかなぁ。

悔しさを飲み込んで、私はディフェンスに回る。

 

先生はボールを軽く弾ませ、わざとゆっくりとしたテンポでドリブルを始めた。速さじゃない。リズムで崩すつもりだ。

こっちは速さで張り合えない。なら……集中するしかない。

 

フェイントに目を奪われるな。腰と足を見て先を読め。そう自分に言い聞かせ、私は距離を詰める。

 

先生が右に仕掛けた――と思った瞬間、ボールが左に弾かれる。分かっていたのに体が反応しきれない。逆を取られ、私はゴール下で必死に手を伸ばした。

だけど先生は真上ではなく、後ろにジャンプした。

 

(まさか……!)

 

黄泉先生は片足を引きながらふわりとボールを放った。

綺麗なシュートフォーム。まるで練習で打つみたいに迷いがない。

 

パスッ!

 

ボールは綺麗な弧を描き、リングに当たることもなくネットだけを揺らした。

 

「……っ!」

 

息を呑む私に、先生はボールを拾いながら微笑んだ。

 

「2点先制だな。」

 

……やっぱり先生は強い。身体能力も、技術力も。でも、勝てないって分かってても、まだ終わりたくない。

私は無言でボールを受け取り、再びコートの中央に立った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

あっという間に点差は開き、0―6。黄泉先生はやっぱり強い。私も全力で向かうけど、なかなか崩れてくれない。

プレッシャーのかけ方も上手くて、思うようにに動けない。そして、気がついたらボールを取られてる……。

 

バスケならもう少し善戦できるかと思ったけど、全然そんなことなかった。こうして先生を前にするけど、全く先が読めない。

 

「――っ!」

 

視線が左に揺れた。先生の肩がそちらに傾いたから。

……ほんの一瞬、意識がボールから黄泉先生に動く。

 

その一瞬で、ボールが股の下を抜けた。

 

「あっ……!?」

 

振り返った時には、先生の背中があった。

ドリブルの音が遠ざかる――いや、速すぎるわけじゃない。

ただ、流れるような動きに無駄がないだけ。

 

「ゴール。」

 

レイアップ。とても綺麗なフォームで決められ、あっさりと点が入った。

 

攻守交代、再び私のターン。

私は慎重に距離を詰めながらドリブルする。先生は、やっぱり冷静な目で私を見ている。

読まれてる。何をしてもきっと。――でも、それでも、やる。

 

ボールを捕られないように左手と体でガードしながらゆっくりとゴールに近づく。先生のすぐ後ろにゴールが見える。

すかさず私はシュートモーションに入った。ボールを持ち上げ、つま先で跳ね上がるその瞬間。

予想通り、先生が跳んだ。今だ!

 

私はボールを下に叩きつけ、ドリブルで先生の後ろに回り込む。先生の着地を待たずに、リングへ向かって駆け抜け――レイアップ!

ボールはゴールの壁にぶつかり、ゆっくりとリングをくぐり抜けた。

 

「……やった。」

 

私は小さく呟いた。

たった1本。でも――あの黄泉先生から奪った1本。

 

「これは……一杯食わされたな。」

 

その言葉を聞いて、思わず笑ってしまった。

私が取れた点はこの2点だけでこのあと普通に負けちゃったけど……先生にそう言わせた、それだけで十分だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

この後も勝負をして回って、ボコされた。

 

アーチェリー。

弓を引いて狙いを定めようとすればするほど腕がぷるぷるする。放った矢は的の端の方へ。隣に立つ黄泉先生は無言で、ただ静かにど真ん中を射抜いていた。

 

バドミントン。

ギリギリで返したシャトルは高く登りながら先生のコートへ。先生はシャトルを見あげ、ふわっと飛んだ。次の瞬間「パァン!」という鋭い音と共に、風が私の髪を揺らした。

 

ロデオ。

最初は大丈夫だったけど、後半につれて動きが激しくなって、見事にふっ飛ばされた。先生は動きに合わせて体を前後に動かし、見事に乗りこなしていた。

 

これ以外にもたくさん勝負をしたけど、先生を超えるのは簡単なことじゃなかった。

それでも、心の底から楽しめたのは確か。

 

「いつになったら先生に勝てるんだろ。」

 

先生と並んで歩く帰り道。私はふと、そんな質問をしてみた。

先生に一杯食らわせることはできたけど、肝心な勝利はまだ得られてない。いつか必ず全部の勝負で勝つって決めたけど、どれかの勝負で勝つ未来が想像しにくいって言うか、今のままじゃ一生追い向けなさそうというか……。

 

「まぁ……俺が寿命で死ぬ頃には勝てるんじゃないか?」

 

少し間が空いて、先生はそんなことを言った。

 

「寿命で死ぬって……その時は私もおばあちゃんだよ。」

 

「それもそうか。なら、一生勝てないな。」

 

強引に結論づけるかのように言う。私は少し挑発するかのように尋ねた。

 

「ふーん……。どんなに年をとっても私に勝つ自信があるんだ?」

 

「当然だ。」

 

先生は、変わらず真っすぐ前を見て答えた。だけどその目には冗談とかは一切なくて、自分の使命みたいな、強い意志があった。

私は、先生のその意図が何となく分かった気がした。

 

「それは……黄泉先生が "先生" だから?」

 

そう聞くと、先生は少し目を見開いて、小さく頷いた。

 

「……でも、いつか必ず何かの勝負で勝ってみせる。勝ち逃げなんて許さないから。」

 

私は先生の前に立ち、指を突きつけて言う。

これは宣戦布告。もっと強くなるっていう、私の決意表明だ。

 

「元から逃げるつもりなんてない。時間がある時はいつでも受けて立とう。」

 

先生はふっと笑って私の頭を撫でてくれた。そして、何事もなかったかのように歩き出す。

 

(……見ててよね、先生。)

 

胸の奥で誓いながら、その大きな背中を追いかけた。

 

 




シロコは甘々な話よりも、こっちの方が似合ってる気がするんですよね。まぁ……僕のシロコに対するイメージが「戦闘狂」のせいなんでしょうけど。

話は変わりますが、ナド・クライ編……ver.ルナ1の予告番組、とんでもない情報量でしたね。フリンズ、ラウマ、アイノだけでなく、いろんなキャラの3Dモデルが出て、ストーリーも初回からかっ飛ばしていくぜ!みたいな感じで。

配布やシステム変更、メインテーマに戦闘BGM。「本当に原神運営か?」と思うような情報だらけで感謝しかありません。これからもついていきます。

次回はラスト、ノノミと黄泉先生のお話です。お楽しみに。
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