僕の方では書きませんでしたが、セリカちゃんがヘルメット団に誘拐されるシーンがあるじゃないてすか。あのシーン個人的にかなり好きなんですよね。
「迷惑をかけてしまった」とか、「もう会えないんだ」とかじゃなくて、「裏切られたと思われてしまう」ことによる涙。
アビドス勢の絆がしっかりと表されてて、お気に入りのシーンの1つです。
夜が明けきる前の、ほんのわずかな時間。
薄青い空に、星の残滓がまだうっすらと瞬いている。
乾いた風が砂を巻き上げ、肌を刺すほど冷たい。
廃工場地帯の奥、照明も看板も落ちたコンクリートの建物が静かに影を落としていた。
――あれが、ヘルメット団のアジトか。
”奥空さん、ドローンで上空からの状況を確認。敵の数と配置が分かり次第、すぐに知らせてくれ。”
『了解しました、先生。』
薄明かりの下、ドローンが音もなく飛び立ち、夜と朝の狭間に消えていく。
私はアジトへ走りながら、各生徒たちの動きを伝える。
”小鳥遊さん、シールドを構えて先行。中に踏み込んだら敵の注意を引きつけてくれ。”
「任せて。」
”砂狼さんは小鳥遊さんのカバー。前に出過ぎないよう注意して。”
「ん、分かった。」
”十六夜さんは後方からの制圧射撃。敵が固まったら任せるね。”
「朝から暴れるのはちょっとアレですけど……お任せください!」
”黒見さんは後方からの支援。全体を把握しつつ、みんなの背中を守って。”
「オッケー、後ろは任せて!」
朝靄が漂う中、私たちは地を蹴って前進する。
アジトまではもうすぐ。黄泉先生はすでに裏手へと回り、こちらの突入と合わせて中から動くはずだ。
その時、通信機から奥空さんの声が鋭く入った。
『先生!ヘルメット団がこちらに気づいたようです! アジトの正面に、さらなる増援です!』
”動き始めたか…。”
視線を上げると、うっすらとオレンジ色が地平線に滲み始めている。
”よし、このまま突入しよう。奥空さん、敵の配置は。”
『敵の数はおよそ20人。正面で陣を敷いています!』
”了解。行くよ、みんな!”
「「「「おーっ!」」」」
戦場に身を置く覚悟を決めた少女たちが、それぞれの持ち場へと走り出す。
薄明の空を背に受けて、ヘルメット団との最後の戦いが、いま始まる。
夜が明けきる直前、蒼白い空の下。砂に覆われた荒野に朝露の名残が漂う中、静かだったアジトがざわめき始めた。
『みなさん、会敵します!』
ドローン越しに上空から状況を確認していた奥空さんの声が通信に入る。
歩を進めると、アジト正面のヘルメット団員が目視で確認できた。
「んじゃ、派手にいこっか!」
足元の砂を蹴り上げて、小鳥遊さんはまっすぐ敵陣へと突っ込んでいく。
ダダダダダダッ!!
鳴り響いた銃声を、構えたシールドがしっかり受け止める。そのまま止まること無く至近距離まで詰め寄り、敵の1人に、躊躇うこと無くトリガーを引いた。
次の瞬間、爆音と共に撃たれたヘルメット団員は後ろへ吹っ飛んだ。
そのまま彼女は敵陣の中を恐れること無く直進する。
それにより、敵の戦線を真っ二つに切り裂いた。
「よ~し!ノノミ、行きま〜す!」
十六夜さんの明るい声と共に、後方からガトリングの回転音が唸りを上げる。弾幕が敵の集団に襲いかかり、遮蔽物に隠れていた者たちを引きずり出す。
圧倒的な火力に、ヘルメット団の生徒たちは散り散りに走り出した。
「逃げた奴は任せて。」
砂狼さんがひとつ息を吐き、素早く姿勢を低くして移動を開始した。持ち前の機動力で斜面を駆け上がり、岩陰に滑り込む。そのままアサルトライフルを構え、敵の動線を狙う。
『パパパパパッ』と乾いた音が響き、敵の動きが寸断されていく。小鳥遊さんの動きに合わせて斜めに走り、背後から回り込んで撃ち抜く。流れるような連携に、敵は対応しきれず崩れていった。
「逃さない!」
黒見さんはあらかじめ戦場から少し離れた高所に身を伏せ、スコープ付きのアサルトを構えていた。彼女の眼差しは静かで冷静。仲間たちの動きを正確に読み、フォローの必要な位置に向けて、確実に撃ち込んでいく。
やはりというか…彼女たちの連携には毎度驚かされる。お互いがお互いを深く信頼していなければできないだろう。
部隊の人数はたった5人しかいないにも関わらず、負ける未来が見えない。
”(おっと、油断は禁物…。)”
また黄泉先生に怒られてしまうところだった。
私はぶんぶんと頭を振り、目の前のことに集中する。
『みなさん!かなりの数の増援です!』
奥空さんの声がインカムを通して響く。ヘルメット団の意識は完全にこちらに向いている。
私はすぐさま黄泉先生に通信を飛ばした。
”黄泉先生、そちらはどうですか?”
『問題ない。』
淡々とした返答。
でも、その裏には強い覚悟があった。
”では、作戦通りにお願いします。もし、戦車のような戦闘兵器を見つけた場合は、優先して排除を。”
『ああ。』
そうして通信は切れた。
黄泉先生が敵の中枢を破壊するまでの辛抱だ。
”みんな!黄泉先生が来るまで、このまま耐えるよ!”
「「「「 了解! 」」」」
夜明け前の静寂を破って、戦いは本格的に動き出した。吹き抜ける風の中、アビドスの仲間たちの戦意が、確かに荒野に鳴り響いていた。
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乾いた風が吹き抜ける。
砂に覆われた家々の廃墟、その隙間から覗く、錆びついた線路。
誰もいないはずのその場所には、どこか懐かしさのような気配が残っていた。
ザクッ ザクッ
砂を踏みしめる音が、静寂の中に響いた。
俺は歩く。無数の足跡が風に消されていくその場所を。
かつてはここにも笑顔があったのだろう。
家族が食卓を囲み、列車がこの街の未来を運んでいた。
だが今は、そのすべては砂に埋もれ、音もなく沈んでいる。俺の視線の先にあるのは不自然で巨大な構造物。ヘルメット団のアジトだった。
かつての倉庫であろうそれは、鉄骨は歪み、壁は半ば崩れていた。
ヘルメット団のような生徒たちが身を隠すのにはうってつけの場所だ。
『黄泉先生、そちらはどうですか?』
右耳に聞こえたのはハルトの声。どうやら作戦通りに進んでいるらしい。
俺は軽く返事を返し、再び砂の上を歩く。
俺はアジト裏の防犯カメラに、あえて姿を晒した。
動揺を誘い、正面に向いている視線を少しでもこちらに引きつけるために。
やがて鉄扉が開く。
荒く踏み出す足音、慌てた怒声が耳に届く。
「間違いない、”死神”だ…!」
「ほ、ほんとに来やがった……!」
「恐れるな、全力でやるぞ!使えるものは全部使え!なんとしても食い止めるんだッ!」
そんな威勢のいい声と共に姿を現すのは戦車。
無骨に改造され、鈍い音を立てながらこちらに砲身を向ける。
その数は5。果たしてどこから持ってきたのか気になるところだが…
「俺に使う戦車は…それだけでいいのか?」
あえて、挑発をする。
力の過信による煽りではない。ハルトたちの元に戦車が向かわないようにするためだ。
戦車1台で戦況がひっくり返ることもある。多くのヘルメット団員を相手取っている彼らの元へ戦車を向かわせるのは危険だ。
ここにある戦車は全て俺が引き受ける。あいつらを危険な目に合わせはしない。
そんな俺の言葉に、周囲のヘルメット団員は一斉に息を飲むように沈黙した。
戦場に、じわりと緊張が広がる。
数秒の間を置いて、ようやく返ってきたのは――
「……これしか戦車がねぇんだよッ!」
なんとも間の抜けた声だった。
あまりにも正直すぎて、俺はほんの一瞬、目を瞬いた。
予想外の返しに、息を呑むどころか、むしろ肩の力が抜けそうになる。
……嘘ではないのだろう。だからこそ、妙に重い。
「…そうか。」
短く呟き、俺は前に進んだ。
たとえ一台でも、奴らはそれを俺に向けた。
ならば、ハルトたちのもとへ向かう砲口は、ここにはない。
俺は左腰に差している刀を鞘ごと引き抜き、左手で持つ。右手を刀の柄に当て、いつでも抜刀できるようにする。
「お前たちに傷をつけないよう手加減はするが…逃がしはしない。」
この街がかつて持っていた温かさを、こんな連中に、これ以上穢させるわけにはいかない。
刹那、戦車から聞こえた轟音が、戦闘開始の合図となった。
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砲身が俺に向いた瞬間、爆音と共に、炎の弾丸が空気を裂いて飛んできた。
――遅い。
俺は地を蹴る。足元を砲弾が抉り、背後に砂の柱を立てる。その余波を背に感じつつ、戦車の脇に滑り込む。
抜き放った刃が鋼鉄の砲身に触れる。
ただの、真一文字の軌跡。
ギィンッ――鋼が悲鳴を上げ、砲身が根元から斜めに崩れ落ちた。
「ひぃぃっ!」
「お、落ち着け!まだ四台ある!」
動揺する声が飛ぶ中、2台目が砲門をこちらに向けた。それが撃つ前に、車体に足をかける。
踏み込みと共に跳躍。空中で回転しながら、砲身を刃で払う。鋭い金属音と共に、またひとつ、戦車の牙が地面に転がった。
「ひるむな! 撃てぇ!」
四方から銃声が響いた。無数の弾丸が俺に降り注ぐ。
――だが、全て見えている。
一歩踏み込んだ瞬間には、すでに銃弾の雨の外。
俺の皮膚どころか、外套にすら掠らない。
目の前の1人に接近。首に向けて素早く、手の側面で”当て身”を食らわせる。息を呑む音と共に、そいつは白目をむいてゆっくりとその場に倒れた。
振り返ってもう1人。足に力を入れて瞬時に背後を取り、首に向けて同様に当て身。ただ、意識を刈り取るだけ。
3人目は震えながらも撃とうとした。
だが指が震えており、引き金を引けない。
「…引き金を引けないなら、そこで大人しくしていろ。」
そう告げると、そいつは魂が抜けたかのように、ゆっくりと崩れ落ちた。
あっという間に全ての戦車は牙を失い、残ったヘルメット団員も地に伏した。最後の一人だけが、膝をつきながら俺を睨んでいる。
「クソ…!お前ッ…ホントに何者だよ…!」
「………。…俺は『先生』だ。」
そう答えると同時に、彼女は気を失った。
「これに懲りたら、もうアビドスには手を出すな。」
聞こえてはいないだろうが、最後にそう言って俺は視線を前に向ける。
この先では、今もハルトたちが戦っている。
止まっている暇はない。俺は彼らの元へと急いだ。
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黄泉先生に作戦開始の連絡を入れて数分。ヘルメット団の布陣に動揺が走っていた。
整っていた陣形が崩れ、あちこちで叫び声が飛び交っている。
「”死神”!? 何かの間違いじゃないのか!?」
「も、もう終わりだ…。」
彼女たちの顔に浮かぶのは恐怖と絶望――そして、逃走への渇望。
この地に逃げ道はない。包囲したのはこちらだ。
そのことに気づいたのか、何人かが銃を手放し、両手を挙げた。
「ま、待ってくれ! 降参だ!」
――その言葉に、小鳥遊さんが小さく鼻を鳴らした。
「…降参、ね。」
足元に転がる空薬莢を踏みしめながら、小鳥遊さんが一歩踏み出す。
その背を追うように、砂狼さんと十六夜さん、黒見さんも銃を構え直して前進する。
「ほ、本当だ!もう学校を襲ったりしないって、約束するから…!」
砂埃の舞うなか、アジトの瓦礫に囲まれながら、ひとりのヘルメット団員が叫んだ。
そして、戦場に短い静寂が訪れる。
「…君たちのようなゴロツキは、一度痛い目に遭わなければ理解しない。」
目を細め、戦場を見渡す小鳥遊さんの表情には、一切の迷いがなかった。
アビドスの制服を纏った生徒たちが、背後から彼女の言葉を待っている。誰もが、その決断を受け入れる覚悟でいた。
「だから……だめだね。」
乾いた風が吹く。
引き金を引く音が、まるで時報のように鳴り響いた。
私は小さく息を吐いた。
その視線は、崩れ落ちていくヘルメット団たちではなく、戦う生徒たちに向いている。
無抵抗の相手に、一方的に攻撃するのは些か心にくるが…今だけは目を瞑る。
今の彼女たちには”結果”が必要だ。
長きに渡る戦いに、終止符を打ったという結果が。
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あたりはまだ、戦いの余韻に包まれていた。
ガトリング、アサルトライフルの連射。炸裂するショットガン。それらが舞い上げた砂が空気を濁し、視界を曇らせていた。
――でも、音は、もう鳴っていない。
”奥空さん、ドローンで確認を頼めるかい。敵が残っていないかどうか……。”
『了解です、先生。』
ドローンが静かに上昇し、舞い上がる砂煙の上から俯瞰で全体を捉える。
『……動く影、ありません。残存の反応もゼロ。敵勢力、完全に沈黙しました。』
”ありがとう。お疲れ様。”
ヘルメット団のアジト。砂埃と火薬の臭いがまだ微かに漂うこの場所で、ようやく静寂が訪れる。
「ふー……全く、朝から運動はきついね〜。」
「でも……みんな無事でよかったです。」
肩を回す小鳥遊さんの言葉に、十六夜さんがガトリングを抱えて安堵の表情を浮かべる。黒見さんはスコープから目を離し、小声で「大丈夫そうね」と呟いた。
「今度こそ、ヘルメット団の問題は解決できた。」
と、砂狼さんは銃を背に収めた。その顔には、わずかに笑みがある。
疲労と達成感が入り混じった、戦いを終えた者の表情だった。
”君たちは本当にすごいよ……。”
私は思わずそう漏らす。
戦闘の中で誰ひとり欠けることなく、全員が最後まで戦い抜いた。
――そして、もう一人。
「…無事、勝ったようだな。」
その声が、静寂の中に落ちてきた。
皆がアジトの方へと顔を向ける。そこにいたのは黄泉先生だった。
朝焼けを背に、瓦礫の間を静かに歩いてくる姿は、どこか幻のようにすら見える。
「黄泉先生が後ろから暴れてくれたおかげだね。簡単にヘルメット団をやっつけることができたよ。」
「…戦車を5台潰したくらいで、対して暴れてはいない。」
小鳥遊さんの言葉に謙遜(?)する黄泉先生。私たちは揃って苦笑いを浮かべた。
…単騎で戦車を5台潰すのは、かなり暴れてると思います。
「これで、終わり……だよね?」
ふと、黒見さんがぽつりと呟いた。
その言葉に誰もすぐには返事をしなかった。
静寂が数秒だけ支配したあと――
「……終わりじゃない。ここがスタートだ。」
黄泉先生が、淡々と答える。その表情には疲れも感慨もなく、ただ前を向く強さだけがあった。
小鳥遊さんが肩をすくめる。
「そうだね〜、ようやく借金返済に集中できるもんね。」
気楽に言いながらも、どこか張り詰めた空気をほどこうとするような、そんな声音だった。
だが――
「違う。」
和やかな空気を断ち切るように、彼は言い放った。
その声は静かで、それでいて鋭かった。
再び、その場の空気が張り詰める。
小鳥遊さんは口を開けたまま固まり、十六夜さんたちは互いに目を見合わせた。
あの戦場で、先生は何かを見た。何かに気づいたんだ。軽口ひとつ受け流せないほどの、強い確信を――
ふと、黄泉先生は私の方を見た。
深刻な何かを背負うようなその目に、私は思わず唾を飲んだ。
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戦いは終わった。けれど、教室に流れる空気はどこか重く沈んでいた。
それは、疲労のせいでも、借金の現実でもない。
――ただ、黄泉先生の沈黙が、そうさせていた。
先生は、窓際の席に腰かけたまま、誰にも視線を向けようとしない。
あのアジトで何があったのか。それを、言葉にしないまま教室へ戻ってきた。
重苦しい沈黙の中、一番に口を開いたのは、やはり小鳥遊さんだった。
「…黄泉先生。あのアジトで、何を見たの?」
私も息を飲む。
先生の目が、ゆっくりとこちらを向いた。
教室の空気が、一瞬で緊張に包まれる。私は自然と背筋を伸ばしていた。
「奴らの使っていた武器と戦車を確認したが…あれは、キヴォトスでは使用禁止とされている、違法機種だった。」
低く、静かな声が教室に響く。
「え、それって…。」
「俺たちは今まで、ただの不良集団と戦ってきたつもりだった。だが…ヘルメット団は“何か”の一部だ。奴らを動かす”何か”がいる。」
心臓が跳ねるような感覚がした。
小鳥遊さんも、砂狼さんも、言葉を失ったまま固まっている。
「…”奴ら”は、そう簡単には諦めないだろう。」
そう言い終えると、先生はまた黙りこみ、視線を窓の外に戻す。それを見た私は、喉にたまった息をゆっくりと吐き出した。
この先、何が待っているのかはわからない。
私たちの本当の戦いは――ここから始まるんだ。
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場所は無機質な高層ビル。
その最上階、明かりのないオフィスの一室。
フロアの中央、暗闇に浮かぶ1台のモニターだけが、静かに輝いていた。
無数のウィンドウが開かれ、アジトの壊滅を伝える映像が再生されている。
その画面を、巨躯の機械――否、ロボットが見下ろしていた。
人型に似せてはあるが、どう見ても人のために作られた設計ではない。強化外骨格のような漆黒の装甲に覆われ、顔であろう部分には赤いラインアイが輝いていた。
「格下のチンピラ如きではこの程度が限界か…。主力戦車まで送り出したというのに、このザマとは。」
音声は機械的だが、言葉には明らかな感情が含まれていた。それは…“苛立ち”と“見切り”。
彼は映像を一時停止する。画面には、白い外套を身に纏い、長い刀を持つ人物が映されていた。
「まさか『死神』が動くとはな。廃校したも同然の学校に手を伸ばすのは、想定外だった…。」
重たい音を立てて背もたれに体を預ける。漆黒の装甲がきしむ音が、空間に小さく反響した。
「我々の存在が知られるのはまずい。ここは、専門家に依頼するとしよう。」
金属の指で顎をなぞりながら、端末にあるダイヤルのボタンを押す。指が触れる度に機械音が闇にこだました。
やがて、コール音。
そして――電話が繋がった。
『はい、どんなことでも解決します。便利屋68です。』
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沈黙と砂埃の中、銃を構えたまま数人の少女たちが瓦礫に囲まれたアジト跡地を歩いていた。
制服姿――しかしその立ち居振る舞いからは、明らかに只者ではない気配が漂っている。
「こっちは終わったよ〜。」
軽やかな声とと共に、白髪サイドテールの少女が銃をくるりと回して肩に担ぐ。
彼女の周りでは、ヘルメット団員であろう少女たちが大勢倒れていた。
「な、何者だお前たちは……!」
震える声を上げたヘルメット団の生き残りに、深い赤色のジャケットを羽織る少女が一歩進み出た。
「私たちは便利屋68。金さえもらえればなんでもする――“なんでも屋”よ。」
「あなたたちは今日限りでクビ。ここから先は、私たちが引き受ける。」
「ふざけ――ぐはっ!」
叫びかけたヘルメット団員に鋭い一撃が飛び、崩れ落ちる。その傍らでは、黒のパーカーを着た少女が何かを見つめていた。
「みんな、こっちに来て。」
彼女に呼ばれた仲間たちは目の前の光景に少し息を呑んだ。そこには、砲身が綺麗に切り落とされた戦車が幾つか放置されていた。
「これは……。」
「こんなことができるのは…黄泉先生しかいない。」
「黄泉先生かぁ…。くふふっ♪」
彼女の声に、先ほどの白髪サイドテールの少女が嬉しそうに瞳を輝かせた。
「だ、大丈夫でしょうか…。私たちであの人に勝てるんでしょうか…。」
薄い紫色の髪の少女がおどおどしながら尋ねる。
その質問にすぐに答える者はおらず、静寂が彼女たちを包み込んだ。
少しして、真ん中に立つジャケットを羽織った少女が、一度視線を遠くに向け、くすりと笑った。
「勝てるかどうかなんて関係ないわ。私たちは、どんな手を使ってでも依頼を遂行する。それが、“真のアウトロー”ってものでしょ?」
彼女の言葉に、仲間たちも笑みを浮かべる。
夜風に髪をなびかせながら、彼女たちはアジトの奥へと足を進めるのだった。
つづく
復習がてらブルアカのメインストーリーをようつべで見てるんですが、カヨコのキャラが違いすぎてびっくりしました。
「制圧完了だ、ボス」とか絶対言わねーって。笑
どうでもいいですけど、今回の文字数が7777文字でした。何か良いことがありそうですね。
誤字脱字を見つけたらぜひ教えてください。