巣作り古龍   作:むつきばな

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クロノジェネシスを天井まで回したり、宝塚で爆死しましたが私は元気です。

新シナリオ来るからサポ用に石貯めといたんだけどね……性癖には勝てなかったよ。



私は異世界の龍だけど、神に嘘は通用するのだろうか?

 

「じゃあ、食事にしましょう」

 

おもてなしとして披露した舞踊に感激したのか言葉が出ない様子の神と人をアイルーたちに食卓まで誘導してもらい、私も前世で色々な意味で大変お世話になったカムラの姉妹の巫女服モドキからいつもの白いドレスにパパッと着替えて来て席に着く。

 

うんうん。大変感動して貰えたみたいでよかったよ。あまり時間が取れなかったけど、練習した甲斐があったね。

 

私が席に着くとキッチンアイルーやザルドが配膳を始めてくれた。

 

肉球の絵柄が描かれたエプロンを着けて料理を配膳してくれたザルドを愕然とした表情で眺めている人もいたけど、私はエプロン姿も似合ってると思うのだけどなぁ。

 

並べられた料理はザルドとアイルーたちが禁足地から集めてきた食材を調理したもので、今回はシルドの白い謎食材は使われていない様なのである意味安心だ。

 

決してシルドの謎食材も不味くはないんだけどね、初見だと何もかもが白いから驚くくらいで。

 

「すっごい美味しいわっ!!」

 

まだ緊張が残っていたのか少し固い雰囲気で食事会が始まったけど、並べられた料理を皆が口にしたらすぐにその雰囲気も霧散した。

 

特にアリーゼの食いっぷりが凄い。アストレア・ファミリアは私のダンジョンに定期的に食料を採りに来ていたからダンジョンの食材は口に合うのだろう。

 

妙に静かなアイズも最初は口に運ぶのに躊躇いが見えたけど、アリーゼの感激した姿を見て勇気を出して一口食べた後は目の色を変えてパクパクですわってなったみたいだし。

 

「ふふ、これらは全てうちのダンジョンで採れた物なのよ。そういえば、アストレアの眷属たちはうちのダンジョンによく食材を採りに来ていたわね」

 

何で知ってるの!?と叫ばれたが、原作知識以前に苦労して討伐したテツカブラを解体しながらアリーゼの魔法で焼いて食べてた連中なんて珍し過ぎて忘れる方が難しいでしょうに。

 

焼かれるテツカブラの肉の匂いに集まって来たマッカォの群れから焼けた肉を盗られないよう食べながら討伐してた所なんてお腹抱えて笑ったのだから。

 

そう話したらアストレアの眷属たちは顔を真っ赤にしてしまい、主神のアストレアには頭を抱えられた。

 

そんなこんなで最初はともかく途中からは和やかに会話も弾んだ食事も終わり、いまは食後のティータイム中である。

 

「さて、聞きたいことがあるのなら答えるけど。何かあるかしら?」

 

こちらもザルドとアルフィアの改宗をお願いしたいからね。ギブアンドテイクという奴だ。

 

私の言葉にまず口火を切ったのはロキ・ファミリアの団長であるフィン。

 

事前に打ち合わせでもしていたのかな?ってくらいスムーズに最初の質問者になってた。

 

内容は最初の質問ということで、改めて私が何者なのかをちゃんと聞きたいらしい。

 

「私のこと?さっき自己紹介をした通りよ。このダンジョンを創ったダンジョンの主。付け加えることがあるとすれば、貴方たちも知っているとは思うけど、私はヒトではなく龍。古龍と呼ばれる種族に分類されているわ」

 

当然、古龍とは何か?という質問が加わったが……これ、正直私も正確には理解してないんだよね。

 

祖龍としての知識は私の中に確かに存在しているけど、祖龍自体は他の龍をそこまで気にしていなかったみたい。黒龍の方のミラボレアスやグラン・ミラオスなんかは流石に気にかけている部分はあるみたいだけど、同じ禁忌に指定されてるアルバトリオンについてはやり過ぎて世界を滅ぼしたりしなければ別にどうでもいいって感じ。

 

「古龍とは何か。そうね、説明することが出来ない生き物かしら」

 

なので、私が彼らの質問に対して答えられるのは前世で得たゲームの知識や、祖龍が街に遊びに行った際に聞いた龍歴院が発表しているものから説明することとなる。

 

「理解が出来ないって顔をしているわ。でも、それが正解」

 

「生態系って言葉はわかるかしら?私のような古龍という生物は、あらゆる生態系から逸脱した存在なの」

 

「人々が調べれば調べるほど理解が出来なくなる生物。既存の生態系から外れた異端。超常的な力を持つことから神として崇められ、災禍として忌避される存在」

 

電撃を操る神出鬼没な白い獣、炎を纏う爆炎の王、山に巻き付けるほどの巨体を持ち隕石を降らせる蛇、火山を背負う龍、大海を渡り津波を引き起こす海龍、暴食で骸を傀儡にする異形。

 

幾つか例を挙げてみたが、本当に意味がわからない連中ばかりだ。

 

「それが私たち古龍」

 

場に沈黙が満ちる。まぁ、古龍の意味不明さを聞けばそうなるよね。

 

この世界の者にとっては古龍は三大クエストに出て来るモンスターのような物だし。世界を滅ぼせる古龍こそ少ないが、国程度なら簡単に滅ぼせるのが古龍なのだから。

 

「あなたは怪物(モンスター)じゃないの?」

 

神ですら何も言えない中でぽつりと零れたのはアイズの声。

 

「ふふ、そうね。ヒトが理解が出来ない存在という意味では私は怪物(モンスター)になるわね」

 

ヒトは自分の常識で世界を認識する生き物だ。なら、ヒトの理解の範疇を容易く越えた存在である私は怪物(モンスター)で間違いない。

 

怪物(モンスター)は人を傷つける存在してはいけないもの」

 

ヒトを傷つける、ね。

 

モンスターだって必死に生きているのだ、自身や(つがい)に危険が迫ったり縄張りに無遠慮に踏み込んで来たヤツを追い出すために牙や爪を向けることは否定出来ない。

 

モンスターがヒトを傷つける存在というなら、ヒトもモンスターを傷つける存在でしかない。

 

「そうね。でも、それはヒトの理屈でヒトの都合でしか…………………あ」

 

そこで気が付いた、私ってば根本的な事を言ってない。

 

「ごめんなさい。大事な事を言うのを忘れていたわ」

 

道理で話が噛み合うはずがないわと一人で納得する。

 

「私はそもそも()()()()の存在ではないの。だから、この世界の怪物(モンスター)の定義から私は外れてしまうわ」

 

それっぽい事は言ってきたけど、エレボスにもちゃんと教えるのを忘れていたから此処にいる神とヒトには伝わってないかも。

 

殺せば灰になって消えてしまう、遥かな昔から地上に存在しようと生態系の一部になりきれないこの世界の怪物(モンスター)と、生態系の一部として自然を支えてきたモンスターハンターの世界のモンスター。

 

私にとってモンスターとは生態系の一部であり、自然の摂理の中にいる存在であるという前提だったから、人や神を憎み敵意を向けるダンジョンで産まれたこの世界のモンスターとは全然違う存在だったわ。

 

 

 

⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎

 

 

 

「話をまとめるとやな。あんたは異世界出身で、このダンジョンも異世界の環境を再現したもんやと?」

 

頭痛を抑えるようにこめかみに指を当てたロキが私の話をまとめていく。

 

他の面々は情報量の多さにちょっとダウンしてるけど、ロキは元々策謀を巡らして神々を殺し合わせた経歴の持つ頭脳派だからまだ耐えれたらしい。

 

「んで、あんたのおった世界ではモンスターは自然におる普通……雷を操ったり隕石落とす存在を普通って言いとうないんやけど、産まれて育って子を繋いで死んでく普通の生き物や言うんか?」

 

「そうよ。雷を操ったり星を落とせるのは流石に古龍くらいだから滅多にいないけど、電撃を使う竜なら人里から少し離れれば出て来る可能性は十分にあるわね」

 

電撃が使える竜なんてパッと思い付くだけでも数種類はいるし、モガの村のように竜とヒトの生存圏は意外な程近い事が多いので本当にその辺にいたりする。

 

まぁ、竜の方は本当に若い個体以外はヒトというかハンターの恐さを知っているから滅多に人里に近付いたりはしないけど。

 

「どうなっとるんやあんたのおった世界は。そんな生物がぽんぽん出て来るのによぉ人が滅びへんな」

 

「ヒトが滅びに必死に抗うのは何処の世界も同じよ。この世界だってそうでしょう?」

 

神が降りて来る前のヒトが黒竜の片目を奪うくらいだ、ヒトは追い詰められればどれだけでも頑張れる証拠である。

 

まぁ、モンスターハンターの世界だと滅びに抗う為に頑張り過ぎた結果、それが禁忌に触れてしまい逆に滅びそうになったりする事もあるけど。

 

「そんで、結局あんたは何でこの世界おって、何を目的にダンジョンなんか創ったんや?」

 

そういえば、今更だけど神って嘘が見抜けるらしいけど……私の嘘も見抜けるのだろうか?

 

神と話をする時には基本的に嘘を話す必要がなかったから気にしてなかったけど、どうなのだろう。

 

まぁ、いまから話す事は別に嘘ではないから気にしなくてもいいか。

 

「私がこの世界に来た理由は知らないわ。気付いたらこの世界にいたのだもの」

 

本当に、祖龍の能力に幾つかの権能が追加されてる私はかなりのバランスブレイカーだというのに、神を名乗る不審者は何を考えて私をこの世界に転生させたのか。

 

気まぐれなのか意図があったのかは知らないが、何も言われてないから私は龍らしく自分がやりたい事をやるだけなのだけどね。

 

「でも、ダンジョンを創った理由は単純」

 

ぱちんと指を鳴らして神の鏡のような物を空中に出してダンジョン内の風景を映す。

 

鏡に映されているのはダンジョン12階層。きっと砂漠という環境に慣れていないのだろう、汗だくになり砂に足を取られながらもドスガレオスと必死に戦う数人の冒険者のパーティーの姿が鏡の中に流れていく。

 

「私はね、ヒトが一生懸命な姿を観るのが好きなの」

 

冒険者たちの中で最大位階はおそらくLv.2が2人、ドスガレオスを相手にするには少し厳しいが冒険者たちは巧みな連携でドスガレオスを追い詰めていく。

 

「オラリオのダンジョンを攻略するだけでは、貴方たちは黒竜には勝てない」

 

不意に冒険者たちに影がかかったと思ったら、間髪入れずに冒険者の1人が血飛沫を撒き散らしながら吹き飛ばされ砂の上を転がっていく。

 

吹き飛ばされた冒険者から流れ出ていく血が砂に吸われていく。あの出血量では直ぐに手当てをしない限り長くはないだろう。

 

「地に潜るばかりの冒険者では、空を自在に飛翔する竜との戦いの経験が圧倒的に足りない」

 

上空より冒険者を襲撃したのは千刃竜セルレギオス。火を吹いたりはしないが刃のような鋭い鱗に全身を覆われ、裂傷状態やら何やらが鬱陶しい事で有名な愛称松ぼっくりの飛竜種。

 

冒険者たちは突如出現し仲間を吹き飛ばしたセルレギオスに一瞬だけ動揺したが、直ぐに立ち直り閃光玉を投げつけるとセルレギオスを怯ませ吹き飛ばされた仲間を引き摺り一目散に逃げ出した。

 

逃げ出すと同時に他のパーティーメンバーがそれまで戦っていたドスガレオスにも音爆弾を投げて怯ませていたし、この冒険者たち私のダンジョンのモンスターとかなり戦い慣れているな。

 

「ヒトが滅んでしまえば、ヒトが命をかけて必死に頑張る姿も観れなくなってしまうわ」

 

冒険者たちが逃げ出し、怯みから立ち直ったセルレギオスとドスガレオスが戦い出すが、ドスガレオスが不利を察してすぐに砂に潜り立ち去ってしまった。

 

その場に残されたセルレギオスは獲物に次々と逃げられた怒りからか咆哮を上げると翼を広げて空へ飛び出す。

 

逃げ出した冒険者やドスガレオスを探すかのようにしばらく飛んでいたが、見つからなかったのかそのまま何処かに去って行った。

 

「だから、私は提供する事にしたの。オラリオのダンジョンでは経験出来ない、広大なフィールドで空を飛べる竜と戦える場所を」

 

手をさっと振り何もいない砂漠から先程モンスターから逃げ出した冒険者たちの姿が映される。岩場の影に運ばれた重傷を負った仲間を血だらけになりながら必死に手当てしていく姿に、此処にいる何人かが息を飲んだ。

 

「強くなりたい、英雄になりたい、黒竜を討伐したい。そう望むのなら、是非私のダンジョンに挑戦して欲しいわ。此処はその為に創った場所なのだから」

 

やはりヒトが懸命に生きようとする姿は良い。

 

いつか、今日此処に来てくれた彼等が私のダンジョンで懸命に戦い生き抜こうと輝く姿を観せてくれる日が来ると良いな。

 

そう願いながら、私は話を終えるのであった。

 

 

 





これにてダンジョン訪問は終了。ちょっと追加は書くかもだけど、一応終了。

次回からはのんびりダンジョン運営の予定ですわ。


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