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暑さと湿気でやられている私です。夏は本当に苦手ですわ…。
セレニアをアイルーたちが拾って来て3ヶ月が経った。
何とか命を繋いだセレニアであったが、意識が戻るまでに1ヶ月、ベッドから動けるようになるまでに更に2ヶ月程かかり、いまは彼女を助ける為に必死に動いたアイルーたちとリハビリに励んでいる。
死にかけて手足の骨がバキバキになってたヒトが3ヶ月でリハビリが出来るまで回復したと考えると、冒険者って丈夫だよね。
そういえば、セレニアって名前を何処かで聞いた事あるなぁと思ってたけど、まさかあのツンデレ狼人ベート・ローガの恋人だとは予想してなかったよ。原作だとオラリオのダンジョンで死んだはずのヒトが私のダンジョンで死にかけてアイルーたちが救うとは……。
しかし、どうしようか。セレニアにはまだ伝えてないのだけど、オラリオからの報告だと何故かセレニアは死亡したと認識されていて、原作同様ベートがファミリアをオラリオから追い出していた。
これについてはベートの動きが予想以上に早過ぎた。生死の境を彷徨ってたセレニアの容態が安定するまでは下手に希望を持たせるのも悪いし、容態が安定したら連絡出来るようにセレニアの所属ファミリアを調べるくらいはしておこうと思っていたのだけど……セレニアの所属ファミリアが判明した時には既に遅かった。
それだけセレニアを愛していて、セレニアを喪った絶望が深かったって事なのかな?前世だと私は喪う前に死んだ側だし、いまは龍になって感性も変わったからちょっとよくわからないな。
まぁ、セレニアにはそのうち伝えればいいか。考えても仕方がない事は先送りにするに限るよね。
って……思ってたのだけど。
「私をオラリオに……ベートの所に行かせてください」
セレニアが神妙な顔で私の所に来るから何かと思えば、多分オラリオから里帰りしてるアイルーに聞いたのかな?セレニアに絶賛やさぐれ中のベートの事がバレちゃったみたい。
しかし、初対面の時は私にビビり散らかしていたというのに、今はしっかりと私を見据えているのだから愛する男がいる女は強いね。
「行きたいなら行けばいいわ。ただ、貴女は恋人に会ってどうしたいの?」
なら、私もしっかりと向き合ってあげましょう。
「死んだと思われていたけど、実は生きてましたなんて奇跡のような再会が出来れば全部綺麗にハッピーエンドになる。なんて、甘い事を考えているなら止めておきなさい」
アイルーたちからベートの事以外は聞いてないのかな?まさか、ベートが荒れているという情報だけでファミリアをオラリオから追い出した方は聞いてないってことはないと思うけど。
「いま貴女と再会したとして……二度と自分がいない場所で喪いたくないと安全な場所に鎖で繋がれるか、二度と喪う気持ちを味わいたくないと罵倒を尽くされ安全な場所へ遠ざけられるか、どちらかしらね?」
「そんなことベートはしないっ!!」
「するわ。だって、彼にとってセレニアやファミリアのメンバーは
セレニアの反応からして。これ、もしかして本当にファミリアを追い出した方は聞いてないっぽいな。
「彼は既に
「…………え?」
おい、アイルー。情報を渡すならきちんと渡してあげなよ。中途半端は良くないよ。
「その様子だと知らなかったみたいね。ベート・ローガはヴィーザル・ファミリアをオラリオから追い出しているわ」
顔を真っ青にしてその場に座り込んでしまうセレニアの姿に溜め息が出る。こういう姿が見たくないからアイルーたちは中途半端にしか情報を渡さなかったんじゃないかと邪推したくなる。
実際はベートが荒れてるって部分を聞いて居ても立ってもいられなくなり私の所まで来たのではないかと思うけど。
「いままでの貴女と彼はファミリアの団長と副団長として互いに支え合う存在であり、対等な恋人関係だったのでしょう。それは否定しない。でも、いまは違うわ」
「自分がいないだけで死んでしまう弱い存在。自分が傍にいないと消えてしまう儚い存在。それが彼にとっての今のセレニアよ。現に、彼がいなくても平気だと判断してダンジョンに潜って死にかけたのだから、そう言われても何も否定出来ないでしょ?」
原作のベートの独白からすれば多分そう遠くない事を考えているはず。違っても別にいいけど。
それに、セレニアもアイルーが拾ってこなければ死んでいたのは間違いないのだから。
「もう一度だけ言ってあげる。セレニア、貴女は恋人に会って何をしたいの?」
セレニアとベートの家族であったヴィーザル・ファミリアはもうオラリオにはいない。家族の関係を壊したのはベートで、その原因はセレニア。
何の覚悟もないのに、セレニアがベートと再会した所で既に壊れてしまった関係性は元には戻らないのだから。
「おぉ、アストレアの眷属たちがシェンガオレンを突破したよ」
オラリオの復興が落ち着いた頃からちょいちょい潜って階層更新をしてるのは観てたけど、撃退とはいえシェンガオレンを初見で突破とは中々やるね。
まぁ、他にも挑戦してたり突破した冒険者はいるから情報もそれなりに回ってそうだし、前より多少は難易度も下がってるだろうけど。
しかし、他に冒険者がいないからって「ミラちゃんの馬鹿ぁぁ!!」とか叫ばないで欲しい。石碑に一度しか使えないってちゃんと書いてあったのを見落として「おっきな蟹さんが来る前に試し撃ちしておきましょ!」って撃龍槍を空撃ちしたのはアリーゼであって、私は悪くないでしょうに。
接近してくるシェンガオレンに「これでとどめよ!」と高らかに叫びながら使用済み撃龍槍の起動スイッチを押しても何も起こらず、腕を振り上げるシェンガオレンの姿に焦って何度もスイッチを押し込んでいた姿は実に滑稽で面白かったから私への暴言は許してあげよう。
「ロキの眷属も10階層までは来れてるし、半年以内に上位入りしそうかな。アイズも最近Lv.4になったらしいから、幹部と一緒ならシェンガオレン初見でも突破出来そうね」
ベートも原作と同じようにロキ・ファミリアに入団したらしいし、有望な戦力が増えるのはいい事だね。
逆に中々うちのダンジョンの攻略が進まないのはフレイヤの眷属たち。
フレイヤが何を考えたのかは知らないが、私の事は眷属たちに伝えてないらしく、オッタルとヘディンから他の眷属に伝える事も禁じているとか。
それはロキの所も同じみたいで、三幹部とアイズ以外は私の事を知らないらしい。
アストレアの眷属たちは龍の時に全員会ってるから、ダンジョンの事もヒトの姿になれる事も共有しているみたいだけど。
なので、オッタルとヘディン以外は私のダンジョンを攻略する事への意欲が低く……そもそも、眷属たちの仲が悪過ぎる。
幹部みんなで探索に来た時は途中で何故か眷属同士で殺し合いを始めてたし、騒がしくて大型モンスターが乱入して殺し合い所じゃなくなってたけど。
私の事を知ってるオッタルとヘディンの2人だけでダンジョンに潜った時は、ヘディンが途中でオッタルにブチ切れてお互いソロ攻略になったりと、そりゃそんな調子じゃ攻略が進むハズないよね。
一応、オッタルがソロで9階層まで来れてるけど……シェンガオレンはどうするつもりなのだろうか?位階差があるからオッタルならゴリ押せるだろうけど、上位以降はソロだと辛そう。
まぁ、強くなるだけならソロが一番効率がいいってのは間違ってない。問題は、普通を突き破って異常になれるヒトは少ないってくらい。
そういう意味ではオッタルは異常ではなく普通だから、そのうち躓くだろうな。
「早く気付くことを願うわ、オッタル。フレイヤを守護する為に強くなるのであれば、異常には成れない。では、貴方はどう強くなるのがいいのかしらね?」
原作とは違いオッタルの壁であったザルドは生き残り、私のダンジョンという挑戦の場がある。
出来ることなら、原作のように7年も停滞したりせずに命を懸けて頑張る姿が見られるといいな。
そして、それは他の冒険者も同じだ。
オラリオのダンジョンだけでは芽吹かなかった可能性を私に魅せて欲しい。
「強くなった冒険者たちと戦ってみたいな」
オッタルがLv.8、フレイヤの幹部やロキの三幹部がLv.7になったらザルドとアルフィアも加えて一度デモンストレーションで戦ってみようかな?その程度ではまだ黒竜を相手にするには足りないってわからせる為に。
ちゃんと手加減はするし、シュレイド城階層の仕掛けの試運転として死んでも大丈夫なようにすれば戦ってくれるかな?今度、ザルドとアルフィアに聞いてみよう。
色々と悩みながらリハビリを続けていたセレニアが主神であるヴィーザルに会いに行きたいと言ったので、アイルーを護衛に送り出してしばらく経った頃、私に聞きたい事があるとアストレアとウラノスから呼び出された。
ウラノスがダンジョンを鎮めている祈祷の間には、私とアストレアとウラノスがいて……雰囲気はあまり良くない。
雰囲気が悪くなってる大体の原因は私の態度のせいだろうけど。仕方ないね。
「……もう一度、確認してもいいかしら?」
「いいわよ、アストレア」
「貴女、知っていたわね?」
「ウラノスが
ギリッと歯を噛み締める音が聞こえた。かなりお怒りみたい。
まぁ、大切な眷属たちが死にかけたのだから怒りたい気持ちはわからなくもないけど……。
「私に怒りをぶつけるのは筋違いよアストレア。私のダンジョンで起きた不備ならともかく、オラリオのダンジョンで起きた事なのだから私には関係ないわ」
「それに、私は以前からアイルーたちを使ってオラリオに噂を流させていたはずよ『ダンジョンを破壊するとこわーいモンスターが出現しますよー』ってね」
流させた噂は私のダンジョンだけを指定していないのだから、オラリオのダンジョンでも起きるかも知れないと想定してないのが悪い。
というか、むしろ私に感謝するべきなのでは?原作だとアストレア・ファミリアはジャガーノートで壊滅していたのだ。私が流させた噂と、私のダンジョン産の素材を使用した防具で重傷者は出たが死者は出なかったのだし。
原作知識を持たないアストレアやウラノスからしたら、ジャガーノートの事を知っていた私がもっとしっかり伝えてくれれば……とか感じているのかも知れないが、私からすればそこまでしてあげる義務はないのだ。
「何故、お主は知っていた?」
「エレボスから聞いてないの?彼がバベル破壊用に深層で神威を使いダンジョンに産み出させたモンスターを討伐したのは私よ。そのときにね、ちょっとだけ加減を間違えちゃったの」
いやはや、あの時は大変だった。これくらいなら大丈夫でしょ?って龍の姿で赤雷を出したらモンスターが階層ごと消し飛んでしまったのだから。
その後出現したジャガーノートで遊んだおかげで龍の姿をしているときの加減がわかったから、18階層の時に誰も殺さなくて済んだのだけどね。
「以前にも言ったけど、私は別に貴方たちオラリオや地上の味方ではないの。だから、私が知った事をその都度伝える義務はないわ」
「それに、はっきりと言うけど。アストレアの眷属が死にかけたのは弱かったから……それだけよ」
「あの娘たちは大抗争後にオラリオの復興や治安維持などでダンジョンに中々潜れなかった。なんて言い訳は通用しない」
「『世界はいつだってこんなはずじゃなかったことばっかりだ』。昔聞いた言葉だけど、まさにその通り」
「だからこそ、ヒトは備えるの。『こんなはずじゃなかった』と後になって嘆かないように」
「ねぇ、アストレア」
「貴女の眷属は、きちんと備えていたのかしら?」
さて、聞かれた事には答えたし言いたいことは言えたから……せっかくオラリオに来たのだし、オープンしたアイルーキッチンに寄ってご飯食べてから帰ろうかな。
ちなみに、ジャガ丸を討伐したのはたまたまオラリオのダンジョンに(勝手に)潜っていたザルドとアルフィア。
祖龍ちゃんダンジョンの素材で防具が強化されていたとはいえ、2人が駆けつけなかったら普通にアストレア・ファミリアは壊滅してた。
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