巣作り古龍   作:むつきばな

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顔を見れば一瞬でわかるくらいご機嫌である

 

ハンターズギルドが稼働を始め、私のダンジョンを利用する冒険者が一気に増えた。嬉しい限りである。

 

ダンジョンから採取した素材の売買の基準が出来たことと、ダンジョンから出てすぐに実績と信頼があるオラリオのギルドが主体となる買い取り場所が出来たことはやはり大いに喜ばれたようだ。

 

まぁ、オラリオまで持ってくのはちょっと遠いし、知識や経験がないと自力での売買はぼったくられるから仕方ないね。

 

生産系のファミリアは自前で拠点を建て生産や販売等も始まった。ヘファイストス・ファミリアとゴブニュ・ファミリアなどはこちらに眷属を何人か送って私のダンジョンから採れる素材の研究施設みたいのも合同で用意していたし。

 

うちのダンジョンは未知の素材のが多いから別々に研究するんじゃ先に進まないって判断をしたらしい。変形武器(ガンス・スラアク・チャアク)やG級鉱物素材の件もあったから余計にそう感じたみたい。

 

他の生産系のファミリアも似たような動きをしてる所があったかな?医療系のディアンケヒト・ファミリアだけは「良い薬のレシピがあれば買い取るぞ!どうせ小規模ファミリアでは生産が追い付かんだろうしな!!」って強気な発言をしていたけど。

 

逆に探索系のファミリア向けの宿泊施設や宿泊拠点はこっちで幾つか用意した。

 

私のダンジョンを主に攻略しているファミリアの中には自前で拠点を購入した所もいたが、10人程度の小規模ファミリアならハンターズギルドに併設させた宿泊施設に泊まれるようにしたし、中規模や大規模ファミリアとなればオラリオのダンジョンでの強制依頼が発生するから私のダンジョンにばかり潜れないので拠点を買うまでいくのは難しいからね。

 

それに、高価な装備品なども自分達で管理した方が安心出来ると思ったから中規模や大規模ファミリア用の貸し出し拠点を用意した訳ですわ。

 

アイルーたちが働ける場所を増やしたかったっていう狙いもあったのだけどね。普段の宿泊拠点の管理などはアイルーたちにやってもらえばいいし、アイルーキッチンで保護してる孤児の就労先の一つとしても使えるからね。

 

ちなみに、私のダンジョンの上に築かれた町の名前の希望があるか?というウラノスからの手紙には『セリエナ』と返信した。正直、この名前以外は思いつかなかったのだ……温泉も作ったし。

 

更には、そろそろ定期メンテナンスでメレンに寄港するらしい学区がうちのダンジョンでも実地研修を行う事を考えている様子だと手紙に書いてあったし、私のダンジョンはもっと盛り上がっていくだろう。

 

オッタルなんかは吹っ切れたのか、ザルドに尻を叩かれたのかは知らないけどソロで24階層にあるベルナ村まで攻略してたからね。ベルナ村にいるアイルーからフィールドの地形や採れる素材、出現するモンスターについての情報収集をしたり、野営中でも出来る料理をアイルーと一緒に作ってる姿を見てちょっと唖然としてしまったくらいだ。

 

ロキ・ファミリアは下の育成にちょっと忙しい感じかな?幹部クラスが下の育成に向いてない人材ばっかりなんだよね……アイズとかベートとか。

 

原作にいたアマゾネス姉妹も入団したらしいけど、まだ入団してからそれほど経ってないみたいで団員との信頼関係を構築してる最中みたい。

 

新人とか下の団員の育成に関してはラウルとアキ辺りが何とか頑張ってくれてるけど、派閥運営もあるしどうしたものかってフィンとリヴェリアの愚痴が書かれた手紙がロキからの手紙に混ざってたくらいだし……ストレス溜まってるんだろうなぁ。

 

派閥運営ね。ロキ・ファミリアはフィンとリヴェリアが主にやってるんだっけ?フレイヤ・ファミリアは事務仕事が壊滅的でヘディンが主にやるしかないとか書いてあったな。

 

んー、今度ロキとフレイヤから手紙が来たら提案してみようかな?アイルーの派遣業みたいなの。

 

そもそも、最初にオラリオにアイルーを送り込んだ理由がモンスターハンターズの世界の技術をオラリオに持ち込む為で、目的が大体達成出来てるんだよね。基盤となる技術が定着し始めて、技術によっては応用にも進んでるんだけど……セリエナが出来たから応用研究の拠点が素材の入手が容易なセリエナへ移っていくだろう。

 

そうなるとオラリオにいるアイルーの仕事が減るんだよね。アイルーキッチンがあるけど、あそこはオラリオに行きたいアイルーが多かったから作った訳で、いまも割と余裕を持った数のアイルーが働いてるからこれ以上は増やせない。

 

そこで考えているのがアイルーの派遣業。ロキやフレイヤの所など事務作業が滞っているファミリアには事務仕事が出来るアイルーを派遣して運営が円滑に回せるようにするという試みだ。

 

当然ファミリアの外に出せない情報はあるだろうけど、例えばギルドに提出したりする書類などであれば部外者でも出来るだろうし、その辺は契約時に守秘義務の範囲や業務内容などをきちんと確認させればいい。

 

アイルーたちは基本的に真面目だから、その辺りはきっちりと守ってくれるよ。私が命令すれば逆らえないから私以外にはだけど。

 

そもそもアイルーに事務仕事が出来るのかって?いやアイルーってマジで器用なのよ。原作モンハンでも色々な事をにゃーにゃー手伝ってる描写があったけど、普通に複雑な計算が出来る子がいるのよ。実際アイルーキッチンもアイルーたちが主で経理とかやってるくらいだし。

 

この試みが上手くいけばロキやフレイヤだけでなく、他にも団長や幹部クラスが事務仕事に追われてるせいでダンジョン攻略や大規模遠征が出来ないっていうのも減るでしょ。事務仕事以外にもアイルーは器用だから様々な分野で活躍出来る子が沢山いるので、文字通り猫の手を借りて欲しい。

 

そうすれば、私のダンジョンにも来てくれる可能性が上がるし、それ以上に「(アイルー)にも出来る作業が出来ないとか、マジ?」って煽れるからね。

 

うん。やっぱりきちんと提案出来るようにまとめておこう。

 

こうやってコツコツと頑張っていけば様々な冒険者が私のダンジョンを訪れる機会が増えていくのだ。

 

学区の生徒たちとか私のダンジョンに入ったどんな顔をするかな?オラリオのダンジョンや地上にいるモンスターとはまるで違うモンスターハンターの世界のモンスターに出会った時にはどんな反応をするだろうか。

 

オッタルと同じLv.7の『ナイト・オブ・ナイト』も来てくれるだろうか?『ナイト・オブ・ナイト』になら私の事を伝えてもいいし、何ならオッタルと2人で私のダンジョンを攻略したりしてくれないかな……あぁ、本当に楽しみだ。

 

 

 

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「さて。説明は出来るかな、セレニア?」

 

いま私の前には満身創痍のセレニアがいる。

 

まぁ、満身創痍といっても大怪我とかじゃなくて疲労がとても酷い感じ。

 

土や埃、汗で汚れよく見れば手当されていない細かい擦り傷なども出来ているし、装備も割とボロボロだ。

 

セリエナの付近で夜の散歩していたアイルーたちが発見した際にはもうこんな感じだったらしく、どうやらアストレア・ファミリアに移籍した際に発現した魔法を毎日限界まで使い、それでも2週間近い日々を駆け抜けて此処まで帰って来たとか。

 

あのウォルフガング・シュライバーの創造みたいな魔法を毎日限界まで使って2週間とか……どれだけの距離を駆け抜けたんだ。

 

セレニアだけが戻って来た理由としては、セレニアの移動速度が一番速いかららしく、一緒にいたはずのアストレアや眷属達はいない。

 

これ、確実に厄介事だよね?

 

そんなボロボロのセレニアはアイルーに手伝われながらも何とか手紙を取り出し私に差し出すと、震えて途切れ途切れになりながらも私に一言だけ告げ、そのまま気を失った。

 

「どうか、神アルテミスを助けて欲しい……ね」

 

アイルーたちにセレニアを運び傷の手当などをするように伝え、セレニアから渡された手紙に目を通す。

 

手紙の主はアストレアであり、現在の自分達の状況などが書かれていた。

 

「どうしたものかね、これ」

 

セレニアの言葉やアストレアからの手紙から予想するに、ダンまちの劇場版であるオリオンの矢。それが何故か数年程前倒しで来てしまったのだろう。

 

私は手紙を自分の机の上に置きダンジョンを出ると、ヒトの姿のまま翼を広げ空へと飛翔する。幸いな事に深夜と言ってもいい時間だったので冒険者などからは見られる心配はなかった。

 

まぁ、たとえ見られていたとしても見間違いや勘違いだと思われるだろうから別に気にしないが。

 

「…………………………いた」

 

ある程度の高度まで飛び目を閉じて神を名乗る不審者から与えられた権能の一つを発動させる。此処からだと距離は本当に相当遠いが権能を通じて感じられる気配からすると、状況はかなりマズい。

 

事態を解決出来るであろうロキやフレイヤの眷属では、現状の説明から移動手段の確保、移動時間等を考えると確実に間に合わない。

 

現地にいるアストレアの眷属だけでは、単純に実力が足りていない。

 

かと言って、私が直接手出しをするのはなぁ。

 

暗黒期の時はエレボスに煽られ龍としての本能が疼いてしまったから手を出したが、今回はそういう訳ではない。

 

このままでは下界が滅びるだろうが、現地にいるアストレアが天に還ることを決意すればどうにかなる可能性もある。

 

まぁ、そこまでしても確実性がないからこそ私を頼ったのだろうが。

 

「さて………本当に、どうしようかな」

 

目を開き、翼をはためかせると地上を照らしている月を見上げる。

 

微かではあるが確かに神の力を纏わせる姿がそこに存在していた。

 

権能を未だに発動させている私の眼には、矢を形成しようとするのを必死に抑える天秤の姿がはっきりと視えた。

 

 

 

 





ちなみに、セリエナのオープニングセレモニーが開催された際に祖龍ちゃんはステージで歌って踊ってました。ノリノリでオリオンをなぞりました。

祖龍ちゃんは自分からフラグ立ててた事はすっかり忘れてます。

後のオラリオやセリエナで白の歌姫と呼ばれる怪生物はこうして爆誕しました。

何柱かは胃を痛めましたが、祖龍ちゃんは楽しかったので全く気にしてません。


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