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思ってた以上に長くなった……おかしい、戦闘シーン書くの面倒だからばっさり切ったのに。
長さ的に分割した方がよかったかもだけど、分割したら祖龍が次話になるのでそのまま投稿。
次話でアストレア・レコードを終えたい(願望)
その日、ギルドと各ファミリアの代表達に緊急で召集が掛けられた。
大胆不敵にも程があるが、敵の首魁である邪神エレボスから書状が届けられたのだ。
その内容はダンジョン18階層、通称『
バベルを吹き飛ばす事が本当に可能なのかはさておき、ダンジョン内に神が侵入し神威を解放されるというのは相当に危険な行為であり、神を憎んでいるダンジョンが神の存在を感じとった場合、積極的に神を排除する為に非常に強力なモンスターが産み出される。
過去、ロキ・ファミリア所属のアイズ・ヴァレンシュタインがダンジョン上層にて闇派閥の神に遭遇。その神が神威を解放したことで通常種より強化された黒色のインファント・ドラゴンが出現したことがある。
ダンジョン上層で神が神威を解放しただけでソレなのだ。中層で神威の解放と神の送還などを本当にされたらダンジョンが何をするか予測すら立たない。
地上で闇派閥の対処に必死だというのに、エレボスからの書状のせいでダンジョンにまで気を配らなくてはならなくなってしまった。
これがこちらを撹乱する為の罠であれば問題ないが、実際にダンジョンで神威の解放と自害をされたら例え地上で闇派閥に勝利出来ても意味がない。
重苦しい雰囲気が続く会議にて、オラリオ側を纏め、指揮を取っている『
―――相手の誘いにあえて乗り、その上で食い破る。
実際問題、オラリオ側も戦力に余裕はない。邪神エレボスの絶対悪宣言から始まったこの大抗争でオラリオ側が負った被害は決して小さくはないのだ。
昼夜を問わず襲撃や嫌がらせを繰り返す闇派閥にオラリオの住民はもちろん、各ファミリアの冒険者たちも心身共に限界が近い。
特に、闇派閥の襲撃に対応する為に常に前線に立ち、碌に休みも取れていない上級冒険者ほどそれが顕著である。
だが、それは闇派閥側も同じなはずだ。
闇派閥側はオラリオ側と比べると圧倒的に人数が少ない。そんな闇派閥がここまで大規模な攻勢に出たのもエレボスという旗頭に『暴食』と『静寂』という特級戦力が闇派閥側についたからであろう。
ここ2日程は闇派閥からの襲撃も散発的になっているし、切り札である両名も姿を見せていない。元々『暴食』は『
―――であれば、次で決着をつけるしかない。
「アストレア・ファミリア総員、ロキ・ファミリアからガレスとリヴェリア……そして、アイズに18階層へ向かってもらう」
Lv.5が2人、それ以外はLv.3以下と少数精鋭と呼ぶには少し心もとない。だが、これが現状でダンジョンに送り出せる最大戦力だった。
自分は地上で全体の指揮を取らねばならないし、都市での活動に長けているガネーシャ・ファミリアには地上で闇派閥だけでなく民衆の対応もしてもらいたい。
戦力が健在なファミリアを一緒に送るという手もあるが、その場合は地上の戦力が手薄になるし、名指しされているアストレア・ファミリアとの上手く連携が取れるかという問題や、人数が多くなればそれだけ18階層に辿り着くのが遅れてしまう。
可能であればフレイヤ・ファミリアの幹部にも1人くらいダンジョンに向かって欲しいが、主神である女神が最優先である彼らは都市の情勢が極めて混迷している状況で主神から遠く離れてダンジョンには行ってくれないだろうし、闇派閥の幹部クラスが健在である以上そちらに対応して欲しい。
弱者を嬲るのが大好きで生き甲斐としている人格破綻者の極みである闇派閥の幹部クラスは、人のいないダンジョンに現れる可能性はないので、フレイヤ・ファミリアには幹部クラスを担当してもらおう。
「オッタル。『暴食』はダンジョンではなく地上で襲撃を仕掛けて来ると僕は予想している。『暴食』は君に任せていいんだね?」
「無論だ。奴とは俺が決着をつける」
エレボスがダンジョンで事を起こすと宣言している以上護衛として『暴食』か『静寂』のどちらかがいる可能性が高い。前衛である『暴食』とは違い『静寂』は前衛後衛両方とも可能な万能型ではあるが、その本質は『
僅かながら『静寂』と『暴食』の両名が護衛として18階層で待ち構えている可能性もなくはないが、この局面で自分たちの最高戦力であるLv.7の両方をダンジョンの護衛にはしないだろう。
確定した情報が少なく、予想ばかりな中で立てた作戦を成功させなればならないという事実にフィンは苦い気持ちになるが……それでもやるしかない。
こうして会議は終わり、決戦の為に各自の準備が進められいく。
ダンジョンへ向かう者、地上に残る者、長年の宿敵に挑む者、民衆の命を守護する者、皆等しく最後になるであろう戦いへ向け出来うる限りの準備を進め、覚悟を決めていく。
後の世で『死の七日間』と呼ばれる闇派閥と都市オラリオとの大抗争。
その決着の時は近い。
―――しかし、この時オラリオも闇派閥も気付いてはいなかった。
既に、この大抗争はオラリオと闇派閥という2つの勢力の争いではなくなっているという事実に。
この大抗争に紛れ込んだ
これまで、異物の存在に気付く機会は幾らでもあったというのに。
オラリオの外に突如発生した異質なダンジョン。
オラリオのダンジョンには神を憎むという意志がある。
では、外のダンジョンには意志はないのだろうか?
外のダンジョンで発見されたアイルーという獣人族は、何故オラリオを訪れたのか。
そこに、何者かの意思は介在していないのだろうか?
未だ11階層までしか攻略されていない外のダンジョン。
対価を捧げることで地上から4階層と9階層に一瞬で行き来する未知の技術。
その4階層と9階層に意味ありげに設置された数多の石碑。
オラリオ側は暗黒期の対応に、闇派閥側は襲撃の計画を練るのに集中したり、そもそも興味がなかったが為に気付くことがなかった。
結果、世界は、オラリオは、ダンジョンは、冒険者は、闇派閥は今更ながら知る事となる。
この世界に取っては飛び切りの異物。
誰かに話をしたとして、容易に信じてはもらえないであろう荒唐無稽な御伽噺。
そんな存在との邂逅は、もうどうにも避けられそうにはなかった。
フレイヤ・ファミリア団長『猛者』オッタルは困惑していた。
長年の宿敵であり、かつては幾度も戦いを挑み、その度に敗北してきた元ゼウス・ファミリア所属『暴食』のザルドに今度こそ勝利すべく、この決戦に並々ならぬ覚悟を決め全霊で勝負を挑んだはずだった。
だが、当のザルドはオッタルの姿を見つけると「場所を移すぞ」と言い放ち、オッタルの返答を待つことなく移動を始めた。
バベルへ向かう道に幾重にも引かれていた防衛線を強引に突破され、ダンジョンの中へと入る。ザルドを追いかけるオッタルと時折斬り合いながら下へと進んでいく。
オッタルが「どういうつもりだっ!」と問いかけても「すぐにわかる」の一点張り。
そうして気付けば18階層に到達していた。
「『猛者』っ!?どうして此処に!?」
自分の二つ名を叫ぶ声に視線を向けると、満身創痍になりながらも元ヘラ・ファミリア所属『静寂』のアルフィアとの戦いを続けるアストレアの眷属たちとロキの眷属である3名の姿が見え、少し離れた場所にはエレボスとアストレアの姿も確認出来た。
「わざわざ此処まで連れて来たのか」
「あぁ。俺たちの後継を名乗るのであれば、どちらにせよ必要だろう。ただ全員を連れて来る訳にもいかんからな。なら、せめて何度も俺や団長に挑んできた小僧くらいはと思ってな」
「確かに。こいつらは私たちとは違い
地上から此処までほとんど息を乱すことなく駆けて来たザルドと、これだけの人数と戦ってたはずなのにそれを感じさせないアルフィアの姿に……ふと、違和感を覚えた。
「一体何の話?というか、何で2人共そんなに元気なのよ!?」
こんな状況でも無駄にテンションが高いアストレア・ファミリア団長の『
ザルドとアルフィアは余命幾許もない重病人であり、長時間の戦闘行為は残り僅かな寿命をさらに縮めるものであったはずなのに、いまの2人はそんな事を全く感じさせない動きをしていたのだから。
「なんだ、妙に時間を稼ぐような立ち回りをするから何かと思えば……私の忌々しい病も、そしてザルドを蝕んでいた毒も
私の場合はスキルとして刻まれているから実際に更新せねばわからんがな。と続けるアルフィアの言葉にその場にいた全員が驚愕した。
「どちらにせよやることは変わらん。決死の覚悟でかかってこい―――英雄の作法を教えてやろう」
アルフィアの言葉により再開された戦いは熾烈なものとなった。
当初の作戦通り、オッタルがザルドを。他の者たちがアルフィアを相手にするが、毒と病を完治させたというザルドとアルフィアが常に優勢を取り続けている。
そんなアルフィアに「余命幾許もないからと闇派閥側に立ったのであれば、完治したいま我々が戦う必要なんてないだろう」というリヴェリアの声にアルフィアはこう答えた。
「喚くな行き遅れ。先程も言ったが貴様たちは
そうして語られるのは黒竜討伐の真実。
最強の男と最恐の女が黒竜に無慈悲に潰され、1000年続く神時代の中で最高の人材であり『
最強と最恐の眷属たちが、黒竜に一矢報いることすら出来ずに形振り構わず逃げるしかなかった。
その過去に、一時的にザルドと距離を取っていたオッタルでさえ動揺を隠せなかった。
かつての自分が何度挑んでも傷ひとつ付けることが出来ず、今なお届かぬ遥か高みに存在していた『英傑』と『女帝』が何も出来ずに散るしかなかったという事実は驚愕するしかなかった。
「腹立たしいことであるが、私とザルドはあくまでも
「前座?前座とはどういう意味だ」
「…………話が過ぎたか」
リヴェリアからの疑問に返答することはなく、それ以上は何も話すことはないと魔法が放たれる。
自分たちが知らない何かを知っているらしいアルフィアから話を聞き出したいが、素直に話すはずもない事は分かり切っていた。
まるでこちらの悪い点を教育するかのように剣に、拳に、魔法にと舞うように戦い続けるアルフィアに勝利する為、ロキ・ファミリア副団長『
戦いは終わった。先程まで響き渡っていた剣戟や魔法を撃ち合う破壊音が嘘のように静まり返っている。
最初に勝負がついたのはオッタルとザルド。
渾身の力と力、積み重ねてきた技と技とのぶつかり合いは、ほんの僅かな差でオッタルが勝利した。
ザルドの身体を蝕み続けた毒こそ癒えたが、長年毒に蝕まれていた間に体力や技量は当然全盛期と比べると落ちており、オッタルが執念でレベル差を覆した形となった。
その結末を見たアルフィアはアストレア・ファミリアの全員とロキ・ファミリアの3人をまとめて第三魔法で沈めた。
彼らの周囲にはまるで死体のように倒れ伏す者と、大剣を杖代わりに必死で倒れまいと気力を振り絞っているオッタル。
ザルドはオッタルに正面から袈裟懸けに斬られ血が流れているが、特に気にする事なく歩いていた。
その姿だけを見ればどちらが勝者でどちらが敗者なのかわかったものではないが、ザルドとアルフィアにとって一応決着はついたらしい。
「負けたのか、ザルド」
「生きてはいるし、この傷も致命傷ではないが。まぁ、負けだな」
「こちらも……………………………ギリギリで合格といった所か」
「不満そうだな」
「当たり前だ。殺さないように本気で戦うなど面倒でしかなかったのだぞ」
自らの眷属たちに駆け寄る女神の姿を横目に、樹に背を預け腕を組んで見学していたエレボスの元へと歩く。
エレボスから渡された回復薬など使い傷の治療を行うザルドを横目に、渡された精神回復薬に口を付ける。
「無駄だと思うが心構えくらいはしておけ。奴は
ぽつりと聞こえたアルフィアの言葉の意味を激闘を終えたばかりの勝者たちが理解出来たのは、そのすぐ後であった。
空気が、変わった。
それは持ち込んだポーションなどで可能な限りの治療を施し、一応は負けを認めたエレボスたちを地上へ移送しようとした時だった。
何の前触れもなく重くなった空気に警戒を強めていると、17階層への道がある壁が轟音と共に崩れ落ち、階層主であるゴライアスが姿を現した。
階層主が壁を破壊し無理矢理階層を越えて来るという弩級のイレギュラーに戸惑いを隠せない一行であったが、ゴライアスは何かを探すように動き回り、やがて自分たちがいる場所とは違う場所を凝視し出した。
どうやら神であるエレボスやアストレアの存在がダンジョンにバレた訳ではないと少しだけ安堵の息を吐いていると、ゴライアスが凝視していた場所から真紅の雷が飛来し、鈍く短い悲鳴を上げゴライアスは跡形もなく
「っ!!何が起きたの!?」
推定Lv.4であり7M程の大きさであるゴライアスを一撃で消し去る攻撃など、一体どれほどの威力なのだろうか。
この場にいる都市最高峰の魔導師であるリヴェリア・リヨス・アールヴであっても不可能であり、先程まで戦っていたアルフィアの第三魔法でさえ粉微塵に砕くことは出来ても一瞬で蒸発させるなどということは出来ない。
イレギュラーに続くイレギュラーに激闘で疲れ切った体に鞭を打ち周囲を警戒する。
ふと、何かが羽ばたいているような音が聞こえ視線を上へと向けた。
―――伝説が舞い降りた。
「―――――綺麗」
その言葉は誰が漏らしたのか。
長い尾を携えた輝く白い体毛を持つ巨大な体躯に一対の翼。
深紅に輝く龍眼、頭部に生えている四本の角はまるで王冠のようであった。
巨体に見合わぬほど静かに羽ばたきながらこちらに向かってくるその存在に、恐ろしさよりも神々しさで目を奪われる。
まるで、御伽噺から抜け出て来たような白き龍が其処にはいた。
そんな圧倒的な存在から目を逸らすことが出来ない。
この存在に逆らってはいけないと、その神々しい姿を視界に入れた瞬間から本能が警告を出し続け、思わず跪きたくなる身体を必死で抑える。
地上には天界より数多の神々が降臨しているが、神々は地上に降り立つに辺り自身の持つ神威や権能を封印してきている。
実際には全ての神が権能を使えない訳ではない。美の神などは『魅了』の力を使えるし、神威を解放し過ぎれば天界に強制的に送還されるが、送還されない程度になら神威を解放は出来る。
故に、多かれ少なかれ神と触れ合った事がある地上の人々は神威というモノを経験している。
そして、神々が発する神威を知る地上の子と、神威を使用出来る神であるからこそ理解が出来る。
いま自分たちの前に現れた存在は決して神ではない。
だが、この存在が神でないのであれば……一体この存在は何だというのか?
黒竜ではない、あれは現在も竜の谷に封印されているはずだし、何より目の前の存在は穢れ無き純白の姿をしている。
ではダンジョンが新たに産んだ三大クエスト級のモンスター?それも有り得ない。
目の前のアレは、そんな矮小な存在なはずはない。
例えるなら、絶対の存在。
例えるなら、絶望の象徴。
例えるなら、終焉を齎す龍。
ゆっくりと、翼を優雅に羽ばたかせながら自分たちの前に白き龍は降り立った。
龍の深紅の瞳が自分たちを視た、その瞬間。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!!!!!!
意識が、心臓が………いや、いま確かに白き龍の咆哮で己の
「馬鹿な………有り得ない」
受けた衝撃から立ち直れないまま、愕然としたエレボスの声が耳に届く。
「エレボス、アレはいま一体何を……何をしたのよ」
まるで否定して欲しいと言わんばかりに血の気の引いた震える声でアストレアはエレボスに尋ねた。
「お前も感じただろうアストレア―――アレは、ダンジョンを止めたんだよ。俺とお前という神の存在を察知したダンジョンがモンスターを産み出そうとしたのか、階層主を一撃で仕留めた存在を危険視したのかはわからないがな」
思ってた以上にトンデモ存在が過ぎるぞというエレボスの苦い声が響く中。
迷宮都市オラリオの冒険者と祖龍との邂逅は、こうして幕を上げた。
祖龍「私、華麗に降臨」
ダンジョン「カミガイル、モウイヤ、ガマンデキナイ、クロイモンスターヨブ」
祖龍「
ダンジョン「ゴメンナサイ、ヨビマセン、ガマンシマス」
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メモ代わりに書いてる『祖龍ちゃんダンジョン(仮)』設定資料あるけど、読みたい方います?
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設定資料とか読んでみたい
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別に気にならないから大丈夫