ブリテン解釈譚(完結)   作:ミルトントン

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アルトリアはマーリンとの食事を終えて自室へ戻っていた。彼女の悩みはマーリンの慰めで解消することはなく呼吸をするごとに増していくばかりだ。彼女は膝を抱えながらひたすらに考えていた。思考のドツボにハマってしまっている中、彼女はなぜかふと……彼の言葉を思い出した。

 

(私はどうして忘れていたんですか!この理想を私より理解していてそれでも捻くれた反論をしてくる……そんな幼馴染がいるじゃないですか。……早速彼にこの悩みを打ち明けてみましょう。そうすればきっと、この現状に活路を見出してくれるでしょう。)

 

こうしてアルトリアは彼の部屋に向かった。彼の自室の前についた彼女は緊張を抑えるように少し大きな声を出して彼に尋ねた。

 

「夜分遅くにすみません、今大丈夫ですかラグネル?」

 

彼はドアを開けて彼女と対面した。彼はこんな夜遅くに訪ねてきた彼女を揶揄おうとした、だができなかった。なんせ彼女の眼差しがあまりにも真剣で余裕なんてひとかけらも感じさせない、言わば追い詰められている者の目をしていたから。だからこそ彼はここで茶化してはダメだと考え言葉を飲み込んだ。

 

「とりあえず入りなよ、紅茶はいるかい?」

 

「お願いします。」

 

彼は紅茶の用意をしつつアルトリアの様子から彼女の中で何かが起きていることを確信していた。推測できることは多々あるが結局現段階では未知数でしかない、だが少なくともマーリンに頼った後であり、あの人でなしはアルトリアに対して適当な言葉を与えたのだろうということは推測できた。まずは彼女から話を聞かなければ今どれだけ考えても意味はあまりないと思い完成した紅茶を彼女が待つテーブルへと持っていった。

二人分の紅茶をカップに入れ終えて、彼は口を開いた。

 

「それで?大方君は何か悩みがある…けれどマーリンに頼ってもその悩みは消えなかった、だから消去法で俺を選んだ。そうだろう?」

 

「……ええ……私は確かに…マーリンに助言を求めました…けれど彼の助言を受けてもこの心の中で深く沈殿している苦悩は消えてはくれなかったのです。…ここ最近の私はふと思ってしまうことがあります、この旅は本当に意味があるのか?私が求める理想とは本当に民を幸せにするのでしょうか?こんな取り止めのない疑問ばかり生まれてしまう。だからこそ私はあなたに助言を求めようと思った、何せあなたは多分私より私の理想を理解しているでしょうから。…お願いしますラグネル…あなたに現状に活路を見出してもらいたい」

 

そう言って彼女は頭を下げた。彼女のその姿を目に映しながら、ラグネルはため息を吐きつつもその目には確かな真剣さが宿っていた。

 

「アルトリアまずは顔をあげてくれ、未来の王に頭を下げさせたなんて仲間たちに知られようものなら…即打首だ。」

 

アルトリアはそんな彼の言葉を聞いて少し緊張を緩めたのか顔を上げカップの紅茶に手を付けた。

 

「まず、君の悩みは本来人間として当たり前のことだ。…逆によくここまで馬鹿正直に走れたものだよ。だからねアルトリア…君の苦悩は君を確かに苦しめているけれどその悩みは君が真の理想を実現させるために必要な要素なんだ。」

 

アルトリアは咄嗟に反論した。

 

「なら私は一生苦しみながら、民に罵倒され、苦悩を抱えて過ごすしかないのですか!?この苦しみから抜け出す方法はないのですか!?」

 

ラグネルは彼女の必死な訴えに平然とした顔で答えた。

 

「そうだよ。君は一生その苦悩を抱えながら、自身の活躍に妬み嫉みやらをかかえた民の罵倒を受けながら王として過ごす。それが…この国の王になるってことだよアルトリア」

 

「それはあまりにも残酷だ、ならどうすれば私は救われるのだ!?一生この苦悩を抱えて生きていくなんてそんなのあまりにも恐ろしいではないですか!?」

 

「そうだね、確かに今の君ならそのまま恐怖に押し潰されてしまうだろうさけれど残酷なことに君の精神はどこまでも王として完成され過ぎている。今からあと4年もしたらその苦悩を切り離せるようになるかもだが、それはあくまでも対症療法にすぎない、結局のところ原因をどうにかしないと解決したことにはならない。だからこそ君はその苦悩を捨てるのではなく受け止めなければならないのだよアルトリア。さてここまでかなりのお膳立てをしたが、ここで一度原点を振り返るためにこの質問を送ろう『君はなぜその理想を抱いたのか』『君の理想とは一体何なのか』……この質問に対する答えを見つけれた時、君の理想はより進化するだろうね。それじゃあ今日のところは一旦解散だ。次の機会は……」

 

「いいえ、無理です。この質問の会を見つけるのに私一人では無理です……だからあなたも手伝ってください。私は今あなたの助力なしで立ち上がれそうにないですから」

 

彼はそんなアルトリアの発言を聞いて米神を抑えながら口を開く。

 

「ハァァー、本当は君一人で見つけることに意味があるのだけどね……けどしょうがない、いまだに幼馴染離れができない甘えっ子のために、人肌脱いであげようじゃないか。けれど俺はあくまで君の鏡として話す、そこに俺の意思は介入させない…つまり擬似的な自己対話の再現だ。まぁ、気長にやっていこう…なんせ夜は長いのだからね」

 

そう彼は締めくくり、アルトリアの自己対話が始まった。

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