ブリテン解釈譚(完結)   作:ミルトントン

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彼らはカップに入った紅茶に手を付けた後再び顔を合わせる、するとたちまちに緊張感が蘇る。

アルトリアは過去を振り返りながら口を開いた。

 

「私は自身の理想に対して揺るがない信頼を置いていました、けれど最近になってこの信頼は私の一方通行に過ぎないのでは…そう、訝しんでしまうことがあります。私は今でもこの理想を実現したいと思っています、けれど今の私は果たして王に相応しいのでしょうか?」

 

「君が自身の理想と現実のギャップに悩んでいることは理解できる、けれどそもそもの話なぜ君はその理想を実現させたいのだい?現実は君の想像の何倍も理不尽だ、たとえ仮に君が理想を実現させれたとしても…その理想を民が受け入れてくれるとは限らないし君の一方的な独政になる可能性もある。それでもなぜ君はこの国の王となり理想を実現させたいのだい?」

 

アルトリアは深く……深く、思考の渦を泳ぐように思考を働かせていた。

 

(私の理想の大元……それは…)

 

考え込んでいる中、ふと過去の記憶が再生される。

 

『そもそもの話さ、君がしきりに言う[理想]って一体何だい?あまりにも漠然とし過ぎている。』

 

『あれ、言ってませんでしたか?ラグネルはてっきりわかっていて私と話していると思っていました。』

 

『おいおい、未来の王様は随分と連絡が杜撰だね。』

 

『ふんだ!!今から伝えるので問題なしです!!』

 

そうしてアルトリアは一呼吸して話し始めた

 

『私はエクターやケイ兄さん、ラグナル達みんなが今よりももっと幸せな明日になってほしいのです。それこそお肉がたまにではなく毎日でて、ラグネルともっといっぱいおしゃべりして、ケイ兄さんと剣を撃ち合って、エクターの美味しいご飯を食べる。こんな幸せな日々が続いてほしいのです…でも私たちだけが幸せになってもお肉を売ってくれる人や近所の人たちが不幸なままでは…それはあまりにも…寂しいです。だからこそ!!私たちが幸せになるためにも周りの人々を幸せにする、そしてみんなで今日より良い明日を迎えるために私は王になるのです!!』

 

アルトリアの顔には一切の疑いがなくただただそんな可能性が訪れることを信じていた。

ラグネルは呆然としていた顔をすぐに戻してこう告げた。

 

『それじゃあ君はどうなるんだい?いくら周りが幸せになっても君がその明日に入っていなければ……それはあまりにもあんまりだろう。』

 

『けど、私のそばにはラグネルがいます、ですから大丈夫でしょう。つまり問題なしです!!』

 

ラグネルは呆れながらも言う

 

『君は本当にいつ幼馴染離れができるのか、俺は心配だよ。』

 

そう言ってる彼もまたかなり満更では無いと思っている。そして彼らは再び議論を再開した。

 

アルトリアは意識を現在に戻す。

 

(……ええ、そうです…過去の私、私の理想はそんな高尚なものではない…どこまでも我欲な、自分勝手なものだ、けれどこの思いは…理想は誰にも否定できない…だってこれは人がより良い明日を得ようとする生存本能に過ぎないのですか…笑えますね皆から理想の王と言われていると言うのにその実一番我欲に濡れているのがその王とは…けれど不思議となぜか頭にかかっていた靄が晴れている、ああ…感謝します過去の私、あなたのおかげで今一度私の理想が何なのか思い出せました。)

 

『本当に感謝してよね!!……もう忘れちゃダメだよ未来の私』

 

ラグネルはアルトリアの顔色をみて安心した。そしてラグネルは口を開いた。

審判をするように、決別を促すように、改めて再確認のために

 

「君がしきりに言う[理想]って一体なんだい?」

 

アルトリアは一呼吸して告げる。

 

「私の理想は今日より少しでも良い明日を求め実現させることです。だからこそ私は自分勝手に民を幸せにさせます」

 

「ハハハ!!これは随分と横暴な王様だ……けど、いいね…このブリテンを制するんだ、それくらいの我欲がなければやってられない。けどさ、君はどうするんだい?その理想を遂げたが最後君はその明日には入れないかもしれないのに。」

 

「ええ…確かにあなたの懸念も理解できます…けど私のそばにはラグネルがいます、ですから大丈夫でしょう。つまりは問題なし!と言うことです。今にして思えば私の人生最大の幸福はあなたと友になれたことですね。」

 

ラグネルは呆れながらも満更では無い顔をしながら言う

 

「随分と横暴な王様だ。でもそれでいい…欲なき王なんて価値すらないからね。だからこそ改めて君に忠誠を誓おう我が王よ」

 

彼の格式ばった忠誠に背中がむずむずする彼女は彼から少し顔を背けつつ告げる。

 

「ええ、これからもよろしくお願いしますラグネル。」

 

こうして彼らは時も忘れてかつてのように熱い議論を交わした。

 

その次の日二人で盛大に寝坊してしまうのであった。

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