ブリテン解釈譚(完結)   作:ミルトントン

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マーリンは最近のアルトリアに懐疑心を抱いていた、何せ少し前まで何かを思い詰めたような顔をしていて、果てには自身に相談を持ちかけるほどに疲弊していた彼女が…たった数日で平然とした顔で過ごしているのだ。これに素直に嬉しがれるほどマーリンは楽観的にはなれないのだ……マーリンは何か彼女にとてつもないほどの変化を起こさせた人物がいると当たりをつける、そこでマーリンはは真っ先にラグネルを疑った。彼とはアルトリアの次くらいには親しくなれていると自負しているがそうして関係を深めていくにつれて彼の異常さが自ずと見えてくる。

何せ彼は本当にこのブリテン国から生まれたのかと疑ってしまうほどに現実を理解し過ぎてしまっている、そして何より異常なのはそのあまりにも膨大で強力な人間性をその身に秘めていてなおそれを強靭な理性と知恵で抑制し処理できてしまっていることだ。だからこそ彼女は彼の尋常ならざる人間性に当てられ疑問というかつての創世記で描かれる知恵のリンゴを身に取り入れてしまったのだろう。

私は彼を問いたださなければいけない、彼の真意を知るためにも。

 

「やぁ、ラグネル調子はどうだい?」

 

「まぁ、ぼちぼちと言ったところさ。それで要件は何だい?」

 

マーリンは目を細めて問う

 

「用がなければ君と話していけないのかい?」

 

「いや、お前のことだ用があろうとなかろうと関係なく話しかけてはくるだろうさ。…けど今のお前の顔さ…いつもの胡散臭い雰囲気からじゃ想像もできないほど真剣な顔だぜ。」

 

マーリンは彼の観察眼に舌を巻きつつ本題に入る

 

「今日の夜私の部屋に来てほしい」

 

「それは強制かな?」

 

マーリンは無意識に真剣さを深めた表情をして答える

 

「もちろんだとも。」

 

「そうか…なら仕方ないね、了解したよ。」

 

そう言って彼は自室へと戻っていった。

マーリンは彼が座っていた椅子に座りながらため息を吐いた

 

「はぁー」

 

(彼と話しているといつも私ですら知らない[私]を引き出される。夢魔である私にここまで干渉してくるなんて、ホント彼ぐらいだよ。いつか彼の夢の中に入ってやろうかな……いやよしておこう、彼って多分夢の中でもはっきりと意識を持っているタイプだろうし逆にこっちがやられそうだ。)

 

そんなことを考えつつ彼は今夜の会談に想いを馳せていた。

 

一方ラグネルは自室でマーリンが自身を部屋に招いたことに心底驚いていた。

何せ彼が人を部屋に誘うなんて話を全くもって聞いたことがないからだ。だがそれ以上にマーリンがアルトリアのきびに気付き俺に原因があると当たりをつけたことだろう。

何せマーリンは基本アルトリア以外に干渉しない、それどころか普段も観客席からこちらを見ている奴がいきなり表舞台に入ってきて一個人に誘いを入れたのだ。

しかしラグネルはこれはいい機会だと認識する、それは単純にマーリンをこちら側に‥…現実に引っ張り込める絶好の機会だからだ。

 

(マーリン…お前が観客として見れるのも今日で潮時だ。夢魔の癖にいまだに夢想に浸るなんてとんだ皮肉だが…まぁいいさ、あいつの千里眼と客観視はぜひとも欲しいからね。)

 

そう想い馳せながら彼は夜が訪れるのを待ち焦がれる。

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