ブリテン解釈譚(完結)   作:ミルトントン

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アルトリアside

 

何故……なぜ…………なんで、どうして、答えれなかったの?

 

ただ一言『あなただから頼れるのです』と伝えるだけでよかったのに…なぜか私の口は蝋で固められたが如く開くことができなかった。

 

……いえ、本当は『できなかった』ではなく『しなかった』なのかもしれません。

 

これは言い訳のように聞こえるかもしれません、ですが私は彼からの問いを聞くまで『彼という個人』と『彼が持つあまりにも特化された人間性』の両者を天秤にかけることなど考えたこともありませんでした。

 

……本当に理想を遂げるというのなら私はあの時……何がなんでも『彼が持つ人間性』を選択するべきだったのだ、普通ならこの選択は否定されるだろう…だけど私は彼の幼馴染として言いますが彼はただただ選んで『欲しかった』のでしょう。

 

確かに彼は苦悩したでしょう、言わば自分の存在意義のようなものを問うているのですから……しかし彼はそんな苦悩すら受け止めて自己の性質として昇華させてしまう、『こんな自分もいていいんじゃないか』と子を抱擁する母のように、しかし彼はどこまで行っても『人間』です。

 

人は生まれた時から自我を確立できたわけではない、母や父、友に近隣の誰かなど必ず他者が関わってくる…そうして『自分』という世界が『自我』生まれるのです。

 

故に真に一人の『人間』なんてのは生まれることはできないのです、もし仮にいたとしたらそれは『人間』ではなく『虚無』以上の憐れな何かでしょう。

 

……少し脱線してしまいましたね。

 

つまり彼もまた『人間』である以上他者を切り離すことなんてできない……だからこそ私に頼ったのでしょうマーリンではなく私に、なぜなら私が彼の力を一番頼りにしているのだから。

 

彼は『結果』よりも『過程』に重きを置いているのでしょう、だからこそそんな私がどちらを選びとるのか非常に気になっているのです彼は……何せ『受け止めれるとこと』と『気になること』は必ずしも同じとは限らないのですから。

 

彼の悪質なところは回答者でもある私への心身への負担を軽視するところでしょう。

 

そして現にあの質問に私は口を開くことはできなかった、確かに王として彼の異常なまでの人間性は貴重であり今後を見据えるのであれば相互の関係を保つためにも『彼の人間性』を選択するべきだった……しかし『アルトリア』としての私は『彼という個人』を選択するべきだと訴えていた、それが彼への絶大な信頼からきているのかはたまた信頼とは異なる無意識に宿る何かなのかはわかりません。

 

けれど両者に板挟みに私はどちらの選択が『正しい』のか自分でもわからなくなってしまったのです……ホントにあの時の私の優柔不断さにはどれだけ罵倒してもつきませんね。

 

はぁ、考え込んでいたたらお腹が空いてきました。

 

ここは軽く食事を摂ってから今後のラグネルとの関係改善のための模索をしましょう。

 

そう決めた私は自室を出て食堂へ向けて歩みを進めた。

 

食堂へ着いた私は先に席を取っておこうと空いている席を探した。

 

良さそうな位置の席を見つけた私は向かおうとして少し離れた席に座っているラグネルを見つけてしまい、つい気まずくなって彼の視線に入らないように席に向かおうとしました………だけどできなかった…できるわけがなかった。

 

彼が隣に座っている人物を見てしまったのですから

 

「……なぜ……どうして……貴方がそこにいるのですか………マーリン。」

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