ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング! 作:RAP
ユーリはセイとマユリを引き連れ、リリィとアーク大司教の前に立つ。
「大司教様」
「はい、侯爵閣下」
「
「それは構いませんが、いつ頃になされるおつもりですか?」
「侯爵の正妻ということであれば、本来であれば最低でも半年は結婚式の準備にかけます。ただ、それは格式に応じた招待客を呼ぶための準備が九割。幸い、ここは暗黒大陸で招待客の貴族は皆無です。聖教会側も、表向きは『勇者御一行様』を維持する体裁をとったとしても、内部処理などで時間がかかるのではと思いまして。そうですね、採寸と共にドレス完成時期の見積もりをとってそれに合わせましょうか。最短で一ヶ月、平均二ヶ月。アイギスの聖教会にて挙式をおこない、招待客も最小限とする。……馬車を何台も引き連れて街中を進むパレードなんて、セイちゃんもマユリちゃんも望んでいないでしょう?」
ユーリは、そう言いながらセイとマユリを見る。
「そういうのは勇者の歓迎パレードだけでいいかも」
「派手じゃなくていいですっ! 地味ーな感じの!」
「なんにせよ、聖教会のかなり深いところまでお話することになるかと思います。こちらとて、何の意味もなく交渉担当を殺したわけではありません。ですから、こちらをそこまで歩み寄らせたいのなら、セイちゃんとマユリちゃんが法的な意味でも初夜的な意味でも、確実に僕の正妻となった後までお待ち頂きたい。その意味では、お二人との婚前交渉を許して頂けるのであれば、話し合いは結婚式後でなくとも構いません。……全ての戦いが一段落するまで、彼女達を妊婦にすることはないと誓います」
婚前交渉、妊婦という生々しい単語に、セイとマユリの頬が染まる。
アーク大司教は顎に手をあてて考える。
「どうせ侯爵閣下と繋がりを得るのなら、上層部が気づいた時にはもう後戻りできないぐらいがよろしい。既にセイちゃんもマユリちゃんも、侯爵閣下の婚約者です。細かいところは婚約者同士で話していただくとして、侯爵閣下が納得いくところまで仲が進展したのであれば、早めにご連絡をいただきたい。遺族のためにも、真実を知るには早い方が望ましい」
「……わかりました。そういうことであれば、今日は個人的な荷物などを取りに一度戻っていただき、明日からでも港街のこの屋敷にセイちゃんとマユリちゃんに来ていただいた方がいいでしょう。僕の側室や妾達との正式な顔合わせや、話し合いもあります。聖杖の賢者様には、寂しい思いをさせてしまうことなりますが」
「いえ、私の身は主に捧げられておりますから……大丈夫です」
リリィが、二人を送り出そうと微笑む。
しかし流石に、涙目になってしまう。
「リリィちゃん」
「リリィ」
三人が、抱きしめ合う。
尊い、良い風景だ。
……尊いのは、認めるけれど。
できるだけ殺さずに、聖女システムからの救済とか無理ゲーでは?
御使いも精霊も、今までたっぷり良い思いをしてきてるんだからさ。
もう思い残すことなんて無いでしょ。さっくり
ユーリはぼんやり考える。
そういや、ドレス姿のカタナちゃん、可愛かったな。
原作だと鎧姿ばかりだったから、新鮮だった。
今日はカタナちゃんとグラスちゃんの3Pで、グラスちゃんをあわあわさせながら、ついでだから不必要になったカタナちゃんのスライムを回収して……回収……うん?
――その時、ユーリに閃きが走る。
理論上はいけるか? やるならレピアも一緒か時間差だ。
メンタル崩壊手前まではいくにしても、廃人化は抑えられる。
真実をつきつけて単純に廃人にするよりは大分マシなはず。
そうなると……処女性も処女懐胎も元々存在しなかったことへのフォローと、こちらの主張の真実性を高めるために『夢の時のご寵愛』の上書きが必要になるから――
最悪の場合、妾が二人増えるな?
ユーリの背筋に、寒気が走った。
元々『どうせ廃人になるんだし、レピアは生きたオナホとしてクロス君に預けて終了』なんて思ってたのに。思ってたんと違う。
エロモーブちゃん、色んな意味で本気になりすぎでしょ……。
* * *
「とりあえず何をお願いされたのか聞かせてちょうだい。正座で」
「はい……」
『勇者御一行様』の帰宅後。
セスレを筆頭に嫁一同に言われ、ユーリは正座になった。
「リリィちゃんも精霊様達も、聖女も助けて欲しいと早速セイちゃんに要請されました」
「はい、そのようですねユーリ様」
「御使い様も精霊様も鏖殺、レピアもリリィも真実を告げて廃人化。そこで捨てるはずだった」
「捨てるはずだった。ほんで? 結論は?」
「……捨てないのなら、拾うしかない。精霊達も生かしたままならなおさら」
「ん。拾うなら、妾にするということ」
「いやレピアは放置でも……ああ駄目か、リリィを拾うならリリィがレピアを望む」
ユーリは、正座をしたまま頭を抱える。
「正妻2、側室3、妾5、アラクネ1。そこに妾が2人追加されたら13人」
「やっぱり聖女は捨てたい……」
アロが指を折りながら指摘する。
ユーリの嘆きに、ミルヒとカカオがため息をつく。
「教会軍の生存者を増やすことよりも、聖女騎士の救済をお願いされたんですよね?」
「妾の数が増えるぐらいは、どうでもいいとか言われそう」
「既に二人ずつじゃないと夜が回らなくなってきてるのにぃ……」
「あの、ユーリ君」
「なんでしょうグラスちゃん」
「私、本当に中央大陸に行って大丈夫なんですか? あんまり嫁が増えても覚えられないんですけど。現状だと、どれだけ暗黒大陸が危険でも、私はこっちに残りたいです」
「……中央の仕事をミーナ夫人に代替してもらうプランBはあります」
「暗黒大陸で私ができる仕事は、本当に無いんでしょうか」
「リリィちゃんとレピアを拾う流れに修正すると、グラスちゃんに仕事が発生します」
「ではそれでお願いします」
「むぐぐ……アイギスとアイギス港街の両方で結婚式の準備、死の森に
思い出したとばかりに、アロが告げる。
「そういえば、ジャンパーティで西アイギスに行こうって話が出てるんだけど。結婚式があるなら、一ヶ月待った方がいい?」
「……確かジャンパーティは、マーフォークを見つけたんだっけ?」
「ええ。マーフォークをわからせるなんてユーリがいってたから、発見の届け出はとっくに済んでるとばかり思い込んでたんだけど。初の発見報告はジャンパーティで提出したわ」
「西アイギスまでは行ってもいいけど、西アイギスから先の嘆きの街方面には行かないで一旦戻ってきてもらっていい? どうせルマノの聖地巡礼でしょ? グラスちゃんも連れていってよ。護衛依頼って名目でジャンパーティに依頼出すから。報酬はジャン君の秘伝の弓ね。あともう少しで完成するはず」
「了解。嘆きの街や兵站拠点、要塞は結婚式後に改めて向かうことにするわ」
ジャンは喜ぶでしょうね、とアロが苦笑する。
ここでユーリは、内心で首を傾げた。
『嘆きの街・西側の主要街道(13巻29P)』で、【死の森】前要塞から逃げてきたイライザ達とジャンパーティは出会う。その後『【死の森】前要塞と嘆きの街の中間、【死の森】前要塞寄りに流れる川』においてセイ&ジャンがアラクネのアラ女史と一戦交える。
アラクネの報告をしに、セイ達は嘆きの街へと一旦戻る。『嘆きの街からすぐ森にさしかかるあたりの街道に(13巻121P)』エロモーブちゃん達の死体があった。リリィとレピアの再会時、アーク大司教は『嘆きの街に帰ってからにしよう(14巻30P)』と言っている。
オークヒーロー・ヒィロも川に流されながら『嘆きの街とやらから増援が』とボヤいている。
つまり下記のような並び順ではないかとユーリは錯覚していた。
『アイギス-西アイギス-嘆きの街-【死の森】前要塞』
しかしアロが言ったように、10巻40Pで嘆きの街の次は『死の森前兵站拠点』になっている。
キャラバンでの移動単位だから、9巻167Pにあるように『街と街』の距離。
最長でも30km程。時速3kmで10時間歩けばつく距離に街と街は設定されている。
さらに言えば『兵站拠点』だ。
相応の防衛施設と厳重な警備態勢、兵士数が存在していないとおかしい。
となると、下記のような並び順が正しいものとなる。
『アイギス-西アイギス-嘆きの街-死の森前兵站拠点-【死の森】前要塞』
いや待って、その順番で街が並んでいることになると。
13~15巻あたりの原作展開が崩壊しちゃわない?
ユーリは『鋼の錬金術師』の主人公エドワード・エルリック顔で考えた。
その瞬間、ユーリの目の前に謎のユーザーインターフェースが浮かんだ。
『……君のような勘のいいガキは嫌いだよ。
【修正パッチ適用のご案内】
・原作で再登場が確認されるまで「死の森前兵站拠点」を無かったことにします。
・原作で再登場が確認されるまで、アイギスの副ギルドマスターはユーリ・ハーベラ・セルヨーネが暗殺したことになります。
・シロミミズリュウモドキと遭遇可能な理由が発生した瞬間にシロミミズリュウモドキがユーリ・ハーベラ・セルヨーネの前に出現します(最低一回)。
【トロフィー習得による加護付与のご案内】
ユーリ・ハーベラ・セルヨーネの嫁人数が10人を超えた為、加護を授けます。
・
・低位精力の加護……勃起薬レビトラの服用に相当する勃起力及び持続力が加算されます。
・睡眠姦の加護……現在所持している失神の加護の上位版です。失神姦・睡眠姦時に相手が目覚めません。
・感度の加護……現在所持しているMDMAの加護の上位版です。対象の性感を調整できます。
ゆっくり
それを見て、ユーリは大声で叫びたくなったのを必死に我慢した。
* * *
……どれもこれも祝福じゃなくて呪いだよ、馬鹿野郎!
気づいてしまった僕への、ただの八つ当たりじゃねーか!
ただ、感度の加護だけは大当たりかもしれない。
少なくとも、今後は性感調整目的での脳内スライム設置が不要になる。
元々スライム達は、殺すか毒を仕込むか死体処理に使っていたから何も問題は無い。
僕がそんな事を考えていると、グラスちゃんが笑顔で尋ねてきた。
「ユーリ君は、聖地巡礼しないんですか? ルマノは読んでるんですよね?」
「あーそうだね、行ってみたいところはあったんだけど、今はいいかなぁ……あれ、嘆きの街の次ってなんだったっけ?」
僕がそう言うと、アロが苦笑しながら答える。
「忘れたの? 嘆きの街の次は、【死の森】前要塞じゃない」
「ごめんごめん、ちょっと単語が出てこなかった。ありがとね、アロ」
『死の森前兵站拠点』への聖地巡礼、してみたかったな。
「なんにせよ、勇者システムから勇者を解放した以上、聖女騎士システムから聖女を解放できるようにやるだけやってみるよ。駄目そうなら当初の予定通りに鏖殺祭りがはじまるだけだ、無理はしない。目的は違えない」
全員が全員とも、人間を殺すのにためらいが無ければみんなで中央大陸に渡って国家上層部殺戮RTAをやった方が早そうなんだけど、そうもいかない。
今は
とりあえず、ミーナ夫人に送る用の手紙を書かないと。
あっ、また一つやることが増えた。
ToDoリストを今度作ろう。
やることが増えすぎて、僕は引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。