ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング! 作:RAP
アイギス港街、セルヨーネ侯爵邸の寝室。
窓のカーテンの隙間からは、綺麗な月が覗いている。
僕は全裸にナイトガウン姿で、いつものようにベッドに座って待機中だ。
そこへ、静かなノック音。返事をする僕。
「どうぞ」
「失礼します。セイ様とマユリ様をお連れしました」
メイド長が扉を開け、案内をする。
全裸にバスタオルを羽織ったセイとマユリが、部屋に入室してくる。
二人の顔は、真っ赤だ。具体的には10巻173Pのような。
「ありがとう」
メイド長は一礼をし、静かに扉を閉めた。
部屋に案内された二人が、何をすればいいのかわからず緊張している。
僕は立ち上がり、両手を広げる。
「おいで、二人共」
こくりと頷いた二人が、ゆっくりと歩み寄ってくれる。
顔を真っ赤に染めながら、素直に腕の中に入ってきてくれた。
僕は二人の体温と、風呂上がり時の良い匂いを感じながら言う。
「この世界は子供を作ることが大事だから、とにかく同性愛には厳しい」
セイのおでこに、キスを一回。
マユリのおでこに、キスを一回。
「18になっても、二人は彼氏も作ってなかった。小さい頃の結婚の約束が、心の中に残っていたから」
「へへへ……マユリちゃんはねー、昔はぼくと結婚するって言ってたんだよ?」
「男の子だと思ってたからね!」
苦笑しながら、二人の肩を少しだけ抱き寄せる。
僕が一緒にいるけどごめんね、的なアピールだ。
「流石の聖教会も、彼氏を作ることまで禁止しない。二人は可愛くて美人だから、今まで沢山言い寄られてきたんじゃないかな。でも、全部断ってきた。二人で過ごす時間の方が心地よかった」
「マユリちゃんが、ぼくに変な虫はつけないって頑張ってたんだぁ」
「だっ、だって私の代わりに保護者になれるような人じゃないとっ」
「セイちゃんが、結婚は『一緒に住む』ぐらいの意味だと思ってたから。自分の代わりに保護者になれる人じゃないと駄目だって、マユリちゃんは思ってたんだよね。僕も正直、マユリちゃんにダメだしされるものだとばかり思い込んでた。だから僕が隣にいることを、受け入れてくれてありがとう。二人を包んで愛する。嘘じゃないよ」
そう言ってから、二人が羽織っているバスタオルを剥ぎ取る。
二人の裸体が、カーテンの隙間から覗く月光と、室内のランプの明かりに照らされる。
セイもマユリも胸が大きいから、光源が描く陰影だけで淫靡極まる。
「さあ、二人共。そのまま抱き合って。ほら、遠慮無く。ぎゅーっと」
裸の二人を向かい合わせて、そっと近づける。
おそるおそる、といった様子で二人は抱きしめ合う。
なんだかんだいって禁忌な行為そのものだから、遠慮が入ってる。
巨乳同士でハグしあってると、潰れた胸がエロすぎてヤバイ。
とはいえ、暫く裸で抱き合っていたら落ち着いたのか。
セイもマユリも、互いを慈しむような瞳で見はじめた。
「んー? いいよー♡」
「!? ~~~! ~~~!!」
セイがマユリの肩を抱き寄せ、マユリにちゅーをした。
ちょっとだけ舌が入り、マユリが混乱する。
「な……あ……ああんっ……なん……?」
「ちゅーしたいって言わなかった?」
「……ってない! 言ってない!」
「あれ? でももっとしたいって……」
『DEATH NOTE』の主人公・夜神月の顔で、僕は計画通りとニヤついていた。
ただでさえ全裸同士で抱きしめ合ってる。
そしてエッチなことをする理由しかなく、それが許される環境しかない。
本来ならおでこへのキスも余計だが、それだと僕が百合に割り込めない。
百合の間に挟まるための布石を、さりげなく自然にやっておく必要があった。
とんっ。
「「あっ!?」」
二人を軽くベッドへと押しやる。
柔らかいベッドにもつれこむように、二人は倒れ込んだ。
ちょうど、マユリが上、セイが下となって二人は見つめ合う。
後はもう、時間の問題でしかなかった。
顔を真っ赤にしてセイを見つめていたマユリ(10巻174P)だったが。
じーっと、セイの目に、自分の目を近づけていく。
「え? え? ……んふっ!?」
お互いに目を見開いたまま、閉じない。
驚愕するセイの瞳を見つめたまま、マユリはセイにキスをする。
ちゅっ、ちゅっ。
ちゅぱっ、ちゅっ、ちゅっ。
それはきっと、味すらも甘いキスだろう。
ついばみ、絡み、ねじこみ、離れ。
ねじこみ、絡み、絡み、維持、離れ。
何度も何度も、ずっとそうしたかったのだと、想いを伝えるように。
そしてマユリがそう思うということは、セイにマユリの想いが伝わるということ。
ハーフヴァンパイアのセイは、その気になればいつだって力で抵抗できる。
セイがその気になれば、マユリは何もできなくなる。
でも、そうしない。
マユリのまっすぐな想いを受け止めるのが、ただ嬉しいのだとわかる。
「濡れてんじゃん……」
「あ……はっ……はっ……」
マユリの指先が、セイの秘部を下から上まで這うように伝う。
セイの蜜が、とろりと糸を引いている。
そしてセイの吐息は、既に荒い。
* * *
「ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング!R18」
「第120話ex 原作時間軸・百合の狭間でex」
タイトル直下のあらすじの時点で、こうなることはわかっていたはず!
120話もかけて、ようやく名前の伏線を回収したんですッ!
* * *
三人百合って、あんまり履修してなかったなぁ。
純女性体で二人と絡み合いながら、ぼんやりと考える。
マユリは元来、レズではなかった。
レズではなかったが、セイならありかな、と思いはじめていた。
マユリがそう思っていたのなら、セイもその気持ちを(勝手に)受け止める。
結果として、セイもマユリならありかな、と思いはじめていた。
性知識に欠けていたから、女の子同士だとエッチできないと思い込んでいただけ。
そこに僕、というか私、もうなんでもいいか、とにかく男性・女性・ふたなりを切り替えられる人間が加わって、完全に二人の
『囮や精鋭として敵の中に突っ込ませてもいいよね、異論は認めない』という聖教会理論は、給料で割り切ってはいたものの、やはり彼女達は精神的にげんなりしていたのだ。
散々絡み合ったあと、皆で川の字に寝転がって。
ピロートークとして計画の全容を話して、願い事の再確認をしたりした。
あ、もう男の僕に戻ってます。
しかもセイとマユリをダブル腕枕です。贅沢ですわね。
「計画の全容を話せば、教会軍の死者を減らして欲しいって言われると思ってた。蓋を開ければ、聖女システムの救済……御使いや精霊達も含めて、というお願いだったんだけど。でも確かに、御使いも精霊達も、二人に対して囮になれとは言ってこない。教会軍にとって勇者は『囮にしてもいいし』『守るべき少女ではない(10巻167P)』けど、御使いや精霊にとって聖女騎士は『仕方なく囮にするが』『必死に守るべき少女』。聖女を抱けるという報酬とその下心を考慮したとしても、勇者システムを強制してくる教会軍とは全然違う。少なくとも、セイちゃんはそう感じた」
「大司教様は最初から助けてくれるっぽかったし、それなら、って」
「亜人と仲良く、かぁ……考えたこともなかった」
三人全裸で、いちゃいちゃしながらだべってる。
「元々、聖女は捨てるつもりだった。リリィちゃんもレピアもね。真実を告げれば廃人になって、壊れてしまう可能性が高いから。でも、そこをあえて救って欲しいとなると、拾うしかない。拾うってことは……大事にするしかない。最悪の場合、妾が増えることになるけど、二人はそれでもいいの?」
「私を囮として考えない人って、少ないんですよー」
「セイが囮として扱われる限り、私はセイについていくって決めてますから……」
「……なるほどね。そうか……そうかぁ……」
撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ(by ルルーシュ・ランペルージ)。
アナルを求めるのは、アナルを掘られる覚悟のある奴だけだ(前世からの実体験)。
つまるところ。
囮として扱ってよいのは、囮として扱われる覚悟のある奴だけだ。
相手を絶滅させてよいのは、絶滅させられる覚悟のある奴だけだ。
意思決定に関与する全体方針にまで反対するつもりはない、というセイとマユリの同意さえ取れるのなら、こちらとしては助かる。
聖女騎士システムからの救済がうまくいくことを祈る。
「わかった。挑戦するだけはしてみる。失敗したらごめん。あと、セイちゃん、マユリちゃん」
「はい、ユーリ君」
「なんですか? ユーリさん」
「僕の計画は、生き延びるために仲良くできる人を生かす計画であって、生き延びるために殺す人を生かす計画ではない。人類も亜人も復讐の連鎖が続く状態に突入しちゃってるから、それを無理矢理断ち切るには沢山死ぬと思う。でもどちらかが全滅するまで戦争し続けるよりはマシだ。だいぶだいぶマシだ。だから僕は殺すと決めた。僕の周りの、僕の手が届く人達を守るためだけに、何百年も戦争を続ける奴らを殺すと決めた」
そう言って、セイとマユリを抱き寄せる。
「聖教会にとっては、勇者達は守るべき少女ではない。でも僕にとっては、二人は守るべき少女だ。可愛くて大切な、僕の奥さんだ。……だから、守るよ」
セイとマユリは、告白した時のように、僕の頬に同時にキスをしてくれた。
「もう一回、エッチするー?」
「フェラチオしますか?」
「完全に絞り尽くされて、本気で何も出ないからまた今度ね」
セイもマユリも鍛えてるから、一度スイッチが入ると止まらなくなる。
腹上死だけは御免
僕は疲労困憊のまま、気持ち良く眠りについた。
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