ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング!   作:RAP

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第122話 原作時間軸・聖女騎士システム

 

 聖女騎士システム。

 聖女という囮を用意して、狙撃兵に狙撃させる。

 狙撃兵というぐらいなのだからただの人間だが、聖女達は彼らを「御使い/精霊」と信じ、主の使いであり実体なき天使と思い込んでいる。天使が受肉し地上にとどまることはとても大変なので、聖女自らの心と身体でいたわるべきだと信じ込んでいる。

 就寝時に寝たふりをしながら、狙撃兵達からの御寵愛(セックス)を受け入れる。

 

 聖典には御使い/精霊様の子を処女懐胎にて授かったならそれは聖女として最大の喜びであり、休息の合図とある。

 子を産み、体が回復するまでの間は戦いから遠のき、安息が与えられる。

 言い換えれば安息が終われば再び戦いの日々、となる。

 ボロ雑巾になるまで戦い続けて、すり潰される前に子供を産んでから死んでいってね!

 

 こんな感じで、聖女達は騙されながら毎晩三回セックスしている。

 聖杖の賢者リリィは、10人の自称精霊達が毎晩交代でリリィを犯してる。

 殺戮聖女レピアは、昔は8人で今は6人の自称御使い達が毎晩交代でレピアを犯してる。

 

 結局のところ、聖女達が騙され続ける限り、聖教会も狙撃兵達も大勝利だ。

 可愛い女の子を、順番が回ってきたら三発ヤっていいから、神の奇跡となって生きろ。

 イエッサー! あの子と生本番セックスできるんなら何でもしますよ、任せてください!

 

 ……というのが聖女騎士システムの全容となる。

 聖女達は自分が処女のままだと思い込んでいるのも救えない要素だ。

 ゴブリン達に捕らわれ、処女性を失ってしまいましたと嘆くレピアの叫びは、それそのものが無駄な行為でしかない。

 

 

 * * *

 

 

 聖女騎士システムから女の子を解放する場合、殺しがアリなら簡単だ。

 

 ・御使いでも精霊でもなんでもいいけど、とりあえず鏖殺します。

 ・「今夜もまた夢の時に」と聖女が祈りを捧げます。

 ・寝たふりをしている聖女に、なんちゃって睡眠姦プレイで三回膣内射精(なかだし)します。

 ・聖女に子供が産まれるまでなんちゃって睡眠姦プレイによる膣内射精(なかだし)を続けます。

 ・子供が産まれれば聖女は勝手に戦線から離れて終了です。

 

 後は偽書を強引に読ませるかどうか次第。

 聖女の精神が壊れるかどうか、1d100で判定してください。

 

 御使いや精霊達をこちらの手の人間に総入れ替えする手もある。

 でもそれだと「今夜もまた夢の時に」と聖女が祈りを捧げた時に聖女を抱く人間がいなくなる。

 天使から見放されてしまったのだ、と思い込んだ聖女の精神が壊れかねない。

 入れ替えた人間が抱けばいいんじゃないの、という方向性に持って行ってしまうとそれはそれで結局聖教会がやってることと何ら変わらなくなる。

 

 とはいえどう考えても狙撃兵達を殺した方が早い。

 もうエエやん? 散々いい思いをしたろ? 美少女とヤれて満足だったろ?

 聖女様大好きですが遺言だったと、墓に刻んでおいてやるから。な?

 

 だから御使い/精霊も全員生かして欲しいとか言われると話が変わってくる。

 少なくとも通常の手段では難易度が高すぎて割に合わない。

 僕の世界線(二次創作)ではスライム、あるいは加護という卑怯技があるから難易度が低下する。

 

 

 * * *

 

 

 聖教会、アイギス支部。

 

 良い天気なので、聖杖の賢者リリィはシーツなどの洗濯物を外庭に干していた。

 セイもマユリも所属が変わってしまったので、年頃で同性の話し相手があまりいない。 

 ならば、空いた時間で聖教会の仕事を少しでも手伝おう。

 ……とても軽い、そんな気持ちだった。

 

 そこへ不意の来訪者が複数人、聖教会の外庭に現れた。

 リリィはタオルを干しながら、何事かと見やる。

 

 あれは……侯爵閣下こと、勇者達を正妻に迎えたユーリさん。

 彼を先頭に、セイさん、マユリさん。

 後は、先日の資料でも見た、ミルヒさんとカカオさん。

 

 リリィが首を傾げていると、ユーリはリリィから少し離れて立つ。

 ユーリの前右(まえみぎ)にセイ、前左(まえひだ)にマユリ、右後(みぎあと)にミルヒ、左後(ひだあと)にカカオ。

 女性陣はリリィの方を見ず、ラケットメイスすら抜いて、ユーリを中心とした斜め四方向を厳重警戒している。セイはラケットメイスではなく聖剣のレプリカを抜いていたが、剣を抜いているという時点で異様な光景だ。

 

「ええと……あの?」

 

 リリィが首を傾げると、貴公子服のユーリが真っ直ぐにリリィを見ながら告げた。

 

「リリィちゃん。いや、聖杖の賢者リリィ。今日は大事な話があって来たんだ」

「大事な話、ですか」

「500年以上に渡る聖教会の神殺し、その断罪について」

「……なっ!?」

 

 リリィが、思わず一歩後ずさる。

 

「傲慢な聖教会は自らの権威付けのためだけに、主は一柱(ひとはしら)だけであるとし、500年前に神の大量虐殺を行った。聖教会が殺した神の数、実に799万9999柱。殺した神は神などではなく天使だったのだと、嘲り笑うように聖典まで書き換えた。当時の聖教会には、寄進をした者に神の活力を授けるという名目で聖女達がその身体を捧げ、信者達と性交渉を行う風習すらあった。区別するために『聖娼女』と呼ばれているが、そんな彼女達の尊い献身の事実すら隠そうとした」

 

 怖い。怖い目だ。リリィは戦慄する。

 

「殺された神々は、それでも人々が悔い改め、思い直してくれるのを待った。待ち続けた。だが500年経っても、聖教会は事実を捩じ曲げたまま、金と欲と権威に溺れ、あまつさえ亜人との絶滅戦争を唱えだして各国すら操作し、人類を絶滅させんとばかりに今も動いている。……だから、殺された神々はもう我慢をやめた。怒りをぶつけることにした」

「主は一にして全、全にして一、そして主を補佐すべく天使様がおられるのです! 聖典にもそう書かれて、」

「そんな()()の話はしていない」

「聖典を偽書などと(うそぶ)くなんて!」

「神々は目に見えるもの、見えないもの、あらゆるものに宿っておられる。決して一柱(ひとはしら)だけじゃない。だから八百万(やおよろず)の神々を500年も冒涜してきた聖教会に、文字通りの天罰を下すべきだと殺されし神々は考えた。いま出回っている聖典こそが偽書だ。正しき聖典は500年前の、聖教会が偽書と定め焚書せよと命じたものだけだ」

「……まさしく神敵にして異端……シエ神父達はこのことを……!」

 

 ユーリは、リリィをじっと見つめている。

 

「そうだね。聖杖の賢者リリィが言うぐらいだ、きっと僕は神敵で異端なのだろう。雷神、剣神、武神、軍神、地震の神、境界の神であられる建御雷神(たけみかづちのかみ)の信徒として、僕は聖教会と戦うと誓う」

「聖典564項、(よこしま)な人殺しが主の敬虔な信徒となり人を救い続け、ついには救済された……」

「来るぞ。総員警戒」

「ご加護を!」

 

 リリィが聖句を唱え、神の加護を求めた瞬間。

 セイ・マユリ・ミルヒ・カカオの手が素早く動いた。

 

 カンカカンカカカンカァン!

 

 ユーリはちらりと周囲を見て、かがみこんで何かを拾う。

 それはまるで、何事も無かったかのように。

 

「精霊様達の『裁き』が……なぜ……」

「随分と俗物的な精霊だね。こんな矢を使う精霊なんているわけがないだろうに」

 

 ユーリの手の中には、小さな矢が存在していた。

 リリィの顔は青ざめている。

 ユーリはリリィに歩み寄ろうと一歩前に出た。

 

 カカカンカカンカンカァン!

 

「ふふっ。焦ってる焦ってる」

 

 ラケットメイス術のソードマスタークラス四人が周囲を囲っている。

 御使い? 精霊? この防壁、抜けるもんなら抜いてみろよ。

 ユーリは苦笑しながら、リリィの手をつかみ、手のひらに矢を置いた。

 

「あ、あ、あ……」

「聞くんだ、リリィちゃん。真実のごく一部と、聖教会が殺した神々の意思を、僕は今日伝える」

 

 ユーリは、リリィの額にぴとりと人差し指をつけた。

 本来はスライムを聖女の脳に仕込む予定だったが、直前にユーリが得た加護の関係でその必要は無くなった。どちらにせよ方法が違うだけで、やる内容は変わらない。

 

「聖女騎士は処女懐胎などしない。聖女騎士に処女膜なんてものは存在しない。そして、主の使いとやらを偽る御使い、精霊、呼び名はなんでもいいが、リリィちゃんが連中に股を開いて抱かれてやる機会はもう二度と訪れない。……聞いているか、『存在しない者』ども! お前達の御寵愛(セックス)とやらは、もう聖女達に苦痛と嫌悪しか与えない! 永遠にだ! 最初からお前達を視界に入れるはずのない聖女は、お前達が抱けるはずも無かった聖女は、もう二度と! もう二度とお前達の短小包茎早漏チンポで汚されることはない! 今後は聖女の寝顔を見ながらマスでもかいてろ、それがお前達に一番お似合いだ!」

 

 カカカカカカカカカカァン!

 

「……おお、全弾僕に来た……」

「ユーリ君煽りすぎー」

「言い過ぎですユーリさん」

「旦那様もう少し抑えて」

「今の殺意が段違いでしたよ」

 

 嫁勢が一斉にツッコミを入れる。

 レピアだと狙撃兵は6人だが、リリィの場合は狙撃兵10人だ。

 念のためにラケットメイス術勢を連れてきたが、大正解であった。

 

神、空にしろしめす(God's in His heaven)すべて世は事もなし(All's right with the world)。またね、リリィちゃん」

 

 そう言って、ユーリ達は去って行った。

 ユーリの発言全てがリリィにとって絶望的な内容だったが、それでもユーリはまだ全てを語っていなかったので、リリィは壊れずに済んでいた。

 

 

 * * *

 

 

 全知である主と、主の御使い様方は、全てを見て、全てを聞いておられます。

 あなたの守護天使である御使い様方は、常にご覧になっておいでであると知りなさい。

 身を隅々まで清め、そしてこう祈りなさい。

 

「精霊様、今夜もどうか夢の時に……」

 

 真夜中、いつものように身を清め、いつものように祈りを捧げ。

 いつものように寝たふりをしていたリリィだったが。

 

 聖典には、『聖女は夢の時に処女のまま御使い様と交わる』とある。

 御使い様のお顔もお姿も決して見てはならない。

 リリィの場合は、御使いの上位たる精霊様達が、常に侍っておられる。

 

 聖女騎士は処女懐胎などしない、と悪魔の使徒ユーリが言ったことがどうにも気にかかる。

 処女のまま交わっているのだから、聖女はみな、処女なのに……

 

 ああ、いつものように精霊様が私に入ってくる。

 受肉した実体なき天使達を、いつものように(いたわ)らなければ、あ、あ、あ!

 

「ああああああーーーーーッ! いやああああああーーーーーッ!」

 

 苦痛。激痛。絶叫。

 あまりの痛みに跳ね起き、リリィは目を開けてしまった。

 

 そこには、呆然とした顔の精霊様……お顔もお姿も見てはいけない精霊様が。

 草と土で顔を汚し、草木を身に纏い、生殖器を下半身ごと露出させた男の兵士が。

 信じられないといった顔で、リリィを見ていた。

 

 リリィの脳裏と、今夜がリリィを抱く担当だった狙撃兵の脳裏に同じ言葉が重なる。

 『お前達の御寵愛(セックス)とやらは、もう聖女達に苦痛と嫌悪しか与えない』。

 

 いつも、御寵愛(セックス)は気持ち良かったはずなのに。

 気持ち良かったからこそ、密かに楽しみでもあったのに。 

 

 草木まみれの男兵士は、絶望に満ちた表情で、生殖器を丸出しのまま走り去っていった。

 

 次の日も、次の日も、次の日も。

 入れ替わり立ち替わりやってきた精霊達は、激痛しかリリィに与えなかった。

 そして顔は違えど、全員一目で人間だとわかってしまう存在だった。

 

 律儀なリリィは、自分にいるとされる精霊10人分、つまり十日間確かめた。

 部屋に一人でいる時に、鏡を駆使して自分に処女膜が無いことも確認した。

 

 文字通り、リリィは発狂しそうになった。

 考えれば考える程、イヤな想像しか思い浮かばない。

 私は一体何を信じ込まされ、何をされていたのだろうか?

 

 

 * * *

 

 

 全ての点と点が糸で繋がりはじめて、リリィは気鬱で塞ぎ込んでいた。

 部屋に閉じこもって、ベッドの上で膝を抱えてずっと座り込んでいた。

 

「……リリィちゃん」

「……」

 

 セイとマユリがリリィの元を訪れて、何も言わずに抱きしめた。

 ずっとずっと、優しく抱きしめ続けた。

 長らく抱きしめられていたリリィは、これじゃダメだと感じた。

 

「セイさん、マユリさん。私は、真実と向き合いたいと思います」

「うん。今、ユーリ君が殺戮聖女レピアを確保しに行ってる」

「二人一緒の方が、精神的に安定するだろうからって」

「お姉様が……暗黒大陸に?」

 

 リリィは、きょとんとした。

 

「真実を知れば、リリィちゃんも殺戮聖女レピアも絶対に壊れる。ユーリ君は、ずっとそう言ってた。御使いも精霊も全部殺すって息巻いてた。でも、私とマユリちゃんが正妻になる時に、ユーリ君にお願いしたんだ。リリィちゃんも精霊様も、殺戮聖女レピアも御使い様も、みんな助けて、って」

「すっごいイヤそうな顔してたけどね」

 

 セイが説明して、マユリが苦笑する。 

 

「どうすればいいのか……何をすればいいのか……わからないです」

 

 気落ちしたリリィが、遠い目で呟くと。

 セイとマユリが、顔を見合わせた。

 

「一気に全部知ると壊れちゃうから、少しずつ真実を受け入れてもらうことで、自分の中で落とし所を作って貰うって言ってた」

「リリィちゃんと殺戮聖女レピアのどちらか、あるいは二人共が真実に耐えられたら、やってもらいたいことがあるんだって」

「……やってもらいたいこと?」

「うん。ちゃんと? マユリちゃん、説明パス!」

()()()となって、聖歌(チャント)で世界に希望を振りまいて欲しい……だったかな?」

()()()?」

 

 オークヒーロー・ヒィロがやろうとしたこととはまた別の話だったが、リリィにはなんのことやらさっぱり意味不明だった。

 それでも、まだ自分にやれることがあるのなら。

 どんな真実を知っても耐えてみせると、リリィは覚悟を固めた。

 

 

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