ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング!   作:RAP

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第21話 原作開始前・盲導人バト

 原作を読んでいる人はわかると思うけど、この世界の人類はわりとサクサク死んでいる。

497人の軍隊が死んだり200人級の農民が死んだり223人の奪還軍が死んだり、街が陥落して肉奴隷以外は焼却処分されたり、白面金毛の紹介文だけで100人以上死んでたり、さらに言うと「ふかふかダンジョンでは1万人以上の兵士が帰ってこなかったことが幾度もある」と述懐するギルドマスターの台詞まである。

 

 人口減は国力の低下に直結している。経済が死んでいき、出生率と平均寿命の低下にまで影響を及ぼしていく。第二次世界大戦後のソ連が良い参考例だろう。ソ連兵は畑からとれるというジョークまであったらしいが、畑にだって限度はある。戦後、捕虜の兵士とソ連女性が結婚していたぐらいには、戦後ソ連の人口ピラミッドは洒落にならない形をしている。

 

 『ハサマール革命』において、僕は徹底的に生活の質(Q.O.L.)の向上を図った。

 生活に余裕ができると、余暇が発生する。空いた時間は、芸術や音楽などの文化を発達させたり、観光や外食を促進させたりする。だが、ここは中世的異世界。しかも禁忌の関係で電力がない。圧倒的に光源が少ないから光量も低く、夜は暗い。

 

 つまるところ、この世界におけるQOLの向上はセックスに繋がる。セックスする人間が増えれば出生率も増える。人口が増えれば、国力も戦力も増える。単純な話だ。

 

 医療技術が未発達だから平均寿命も低く、ゆえに婚姻可能年齢も低い。例えば僕は12歳だし、妾のアイリスは12歳だし、原作のアロちゃんも12歳で伯爵の第9夫人となった。一般的な貴族が16歳で本妻を迎える云々は、周囲に余裕を見せつけたい貴族の見栄に過ぎない。貴族達からの「おかわいそうに……」の視線を無視できるのであれば、別にいつだって本妻を迎え入れたっていい。

 人口増のためには経済に余裕のある男性が複数の女性を娶った方が早い。ハーレムは論理や心理的なものを無視すれば、人口増に対するメリットが多すぎる。ゆえに貴族がハーレムを形成するのは理にかなっている。ロリゴッド前田利家が11人の子供をまつに産ませたという逸話は、「11人産ませ育てる経済的な余裕が旦那側にある」ということでもあるのだから。

 

 『科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日記』では、リアルハーレム王が織津江パイセン達にハーレム道を説いていた。前世ではアレの完全上位互換が知り合いに居た。経済力のために医者となり、ハーレムのために改宗までした。彼を飲み会で酔わせれば、愉快な話を自慢してくれる。

「今度、14人目の妻を迎える。14歳の少女だから、日本なら中学生。全ては合法だ。当然、全ての妻を等しく愛していることになっている。そういうことになっているから、何も問題は無い。エロ漫画に住んでいる女子中学生を妄想の中で犯す連中を酒の肴にして、自分は合法的に14歳を抱きまくる。いやぁ、世界は素晴らしい!」

 前世で最大派閥だった一夫多妻の宗教は表向きには妻は4人までとなっているが、決してそんなことはない。札束ビンタで上限人数を簡単に増やせる。ある程度富裕層になると、見知らぬ他人が親族の縁を結ぼうと娘を差し出してくるようになる。一度親族が増えると、俺も親族にしてくれと嫁候補が増える。遠慮なんて彼らにはない。海外の人は基本的に何でも強気に捻じ込んでくる。

 

 リアルハーレム王の完全上位互換は、女に対してホスト的奉仕をする必要が無い。親自らが娘を差し出してくる合法的なハーレム。日本の法律は関係ないから14歳すら妻となる。

 そんな完全上位互換と前世で知り合ってしまった経験は、今世の僕に大きな影響を与えている。前世の僕は、カースト上位の美人や美少女へ深く踏み込みすぎないようにしていた。今世はそんな()()をかける気は毛頭無い。せっかくのイケメンで貴族令息スタート、使える手札は全部使う。

 

 初対面のセスレ先輩を抱き寄せた時に彼女が抵抗しなかったのは、なんだかんだで彼女がセックスに興味を抱いていたからだと僕は解釈する。あの時はキスだけで済ませたが、強引に押せばその先の展開も恐らくは望めただろう。でも急がない。焦らない。学校に居る限り、セスレ先輩の卒業まで約一年の猶予が僕にはある。嗚呼、セスレ先輩。あの人だけは、時間をかけて丁寧に丁寧に、これ以上ないぐらい徹底的に完墜ちさせておきたい仄暗い欲望がある。

 

 

 随分長々と語ってしまった。

 資金稼ぎのついでに人口を増やそうと『革命』をしたら、巡り巡って高位貴族に目をつけられた。バタフライエフェクトなのか、グラスちゃんとの婚約が強制的に白紙になろうとしている。

 

 ……思うに、本来の僕は、あの侯爵令息の取り巻きの一人だったんじゃなかろうか?

 今世の僕は、テコ入れが無かったら気弱な感じに育ちそうな印象がある。言われるがままに高位貴族の取り巻きになって、侯爵令息の高慢さを真似するようになってたかも。

 グラスちゃんに対して婚約破棄を宣言したり、クコロちゃんに「お前を愛することはない」とか言っちゃったり、なんかそういう展開だったのかもしれない。知らんけど。

 

 原作を壊すにしても、少なくとも今は、原作知識チートが使える範囲内でおさえておきたい。

 もう既に何もかも手遅れな可能性はあるけれど。

 

 『原作を守護(まも)らねばならぬ』なんて、僕が言うわけない。

 

 ……冗談じゃない。この、控えめに表現してファッキンな世界で、大人しくしていてどうする。せっかくの原作知識アリ転生なのに、モブ人生を謳歌して原作キャラを遠目で見ながら聖地巡礼を楽しむだけで終わらせて何の意味があるというのか。僕の股間の愛息には、存分にエンジョイ&エキサイティングしてもらいたい。そんな親心がある。

 

 

 * * *

 

 

 あの後お風呂でバーチェを抱いてアイリスを研究して、夕飯後にも散々蹂躙して、寝て起きてから朝勃ちの勢いでもう一回蹂躙して……とやったら、彼女たちは二人とも完全に潰れてしまった。ベッドの上で全裸のまま無防備に倒れ伏し、かろうじて生きている、そんな感じ。前世でここまで女性を抱き潰すとなれば、シアリス(一回こっきりのバイアグラと違って、丸一日以上の効果時間がある勃起薬。効果時間中は何度でも勃起させてくれる)に頼っていただろうけれど、今世の僕は鍛えているうえにまだ10代。日頃の鍛錬によるテストステロン増強と、戦闘モードによる脳内麻薬の分泌が絡み合って、愛息の凶暴さは種付けおじさんレベルだった。僕の場合はバーチェ相手なら「おねショタ」で、アイリス相手なら「インピオ」となる。多分テストには出ない。

 

 完全に二人が動けなくなっていたので、僕は自分で朝食を作って(普通の貴族は食事なんて作れない。これも前世記憶チートか)、二人の白くて可愛いお尻を眺めながら優雅にモーニングティーを飲んだりしていた。

 

「……動けません……」

「なんか……すごくて……すごかったです……」

 

 瀕死のバーチェと、語彙を失ったアイリスの感想を受け取る。

 実のところ、アイリスが積極的過ぎて困惑しているのは内緒だ。

 もっとこう……恥じらいというかなんというか……その、ね?

 バーチェは愛してます感が凄く伝わってきて単純にエロイ。よきかな。

 

 僕は彼女たちの身体を濡らした布巾で丁寧に拭きながら、「今日は動けるようになったらシーツの交換と室内掃除だけでいい」「とにかくできるだけゆっくり休んで」「食事は貴族寮の出前サービスを手配するから今日は作らなくていい」「僕は外出申請して武器になりそうなものを買ったりしてくるから、後はよろしく」「今の君たちは、男に会ってはいけない顔をしているから、出前サービス以外の来客は全部無視して」と指示を出していく。

 

 うん、久しぶりの一人だ。街に出てみよう。

 

 

 * * *

 

 

 聖都カケルは、バーピィチピット聖王国の首都だ。中世ヨーロッパ的に景観は綺麗だし町並みも整理されているし、お店を見るに割と何でも揃っているし、聖都のどこからでも見える王城は立派な観光資源だ。スリやひったくりはいるかもしれないけれど、巡回する警邏の姿も確認できるし、12歳の僕が普通に一人で歩いているのに誰も注意の声をかけたりしてこない時点で、ある程度の治安の高さがあるのだとわかる。

 

 武器防具屋に入った僕は、店内を丁寧に見て回る。服装があきらかに貴族のお坊ちゃまだから、冷やかしを嫌がる店主に追い出されることもない。

 目の前に置かれているプレートアーマーを軽くコンコンと叩き、厚さや作りを確認する。

 いわゆる、一般的なプレートアーマーだ。重くて動きにくいやつ。

 

 僕は原作のゴブリンマジシャンガールを思い出す。

 そう、確かアレは……ナイツ王国の騎士団が相手だった。

 

 ナイツ王国が開発に成功して大量生産をはじめる前に、あの装備類の特許を取得して、中央大陸に広めるのはアリかもしれない。

 戦闘大鎌(バトルサイズ)車輪大盾(ホイールシールド)、そして量産板金鎧(マスプロデュースド・プレートアーマー)

 

 「ドラゴン相手でもなければ負けない無敵の歩兵」とまで評価されているそれらを、史実よりも早く開発し、ナイツ王国以外にも広める。

 人類の連合国軍の装備が原作より底上げされて、多少は死者が減るのではないだろうか?

 通常のプレートアーマーの数十分の一の価格とはいえ、あの鎧は現場で実戦データが取れれば各国が勝手に量産するだろう。僕はそこから特許料をかすめ取る。塵も積もればなんとやらだ。

 お金はあって困らない。経済を回すために死蔵させることもしない。ガンガン使うよ。

 

 ラケットメイスと中型盾のセットが特売セールをしていた。

 あー、そんなものもあったな。ラケットメイス術、か……。

 バーチェとアイリスに一旦やらせてみて、いけそうなら習熟させてもいいかもしれない。

 冒険者ギルドか、それとも聖教会か……教師のツテを探そう。

 

 とか思ってたら鉄扇が売られてて本気でびっくりした。

 鉄扇!? 鉄扇ナンデ!? アイエエエ!

 ニンジャリアリティショックに襲われながら、僕は迷わず鉄扇を購入した。うひひ。

 

 そういえば、カタナちゃんの剣を作れるのなら、ぐにゃぐにゃのアレをこの世界で作ることはできるはず。アレの特許は……とらなくていいか。研究所に最優先処理案件として捻じこんでこっちに送ってもらおう。

 

 よし、いっちゃうか! ぐにゃぐにゃのアレを! 腰帯剣(ヤオダイジャン)を、僕はこの世界に投入する!

 

 

 * * *

 

 

 冒険者ギルドにはそのうち行くが、その前に道具屋を覗くことにした。

 何があるのか、把握しておくのは大事だからね。

 

 冒険者用の照明としては、「指向性ランプ」が主に使われている。

 かがり火や松明は、あまり使われていない。ダンジョンは明かりの類が気休めにしかならないほどの暗さと広さを持つ。

 ダンジョン外はダンジョン外で、レッドキャップなどの暗視能力持ちがいるため迂闊に使うことができない。不用意に火種を使うことで森を燃やしてしまえば、ドラゴンがやってきて殺される。

 だからこの世界の明かりは、森林火災を発生させないような工夫がなされている。

 

 松明の類は街中で警邏するような立場の人間が使うのだろう。

 かがり火は戦力に自信のある軍隊が使うのだと、原作にはある。

 

 言い換えると、松を入手するルートがどこかにあるってことだな。

 アイダ領には無かった気がする。聖都は色々あるなぁ……ってまさかこれは!

 

「海綿スポンジ!?」

「なんだ坊主、知ってんのか」

 

 店主のおっちゃんが暇そうに答えてくる。客が僕しかいないからね。

 

「えっ、これ海産物でしょ? 内陸のここまで来てるの!?」

「ああ、そりゃ『革命』のおかげだよ。海のある領地から、海魚ついでに、売れるものはなんでも売ろうって連中が売りに来るんだ。奥様の掃除洗濯用にってところだな。坊主、買うか?」

 

 僕は懐からがさごそと金貨を取り出した。10万円相当でございます。

 

「おっちゃん、仲介料を払うよ。松と海綿の入手ルートを教えて欲しい」

「松明は需要ねぇぞ? 海綿も全然知られてねぇし……」

「いいんだ。買い占めてもいいぐらいには気に入ったから」

「はぁ、貴族の坊ちゃんが考えることはよくわからんねぇ」

 

 アランビック蒸留器は、既に完成の報告を受けている。

 大豆から醤油を作る時のオマケで発生する副産物のために用意したものだが、ここは予定変更だ。今思いついたブツも特許はとらない。その気になれば全世界規模で馬鹿売れするかもしれないが、絶対に広めてやらない。僕が、僕だけが使う。僕の欲望のために、僕だけが使う。

 

 流石に腰帯剣(ヤオダイジャン)は急ぎだけれど、これはその次の処理案件だ。

 なんなら聖都に研究所支部を作ってもいい。それぐらいの優先順位の高さ。

 

 ……コレ専用に、支部を作るのは真面目にアリだな。アイダ領と聖都の往復時間が単純に無駄だ。聖都に材料を集めて、聖都で現物を作ればいい。

 うん、動くか。材料の馬車輸送を考慮した候補地。売る気は無いから裏路地系でいい。

 

 思わぬ副産物だ。『革命』をやり遂げて良かった。あのブラックな自業自得の日々も報われる。

 この世界や次元に限らず、異世界転生者は僕以外にも沢山いると思うけど。

 お前らどうせ食事チートとか銃の開発とか、そういうのに必死なんだろ?

 僕は()()()に必死にならせてもらうよ。

 そりゃ、食事チートだってちょっとはやるけどさ。流石に優先順位が違い過ぎる。

 

 あー、楽しみだなぁ!

 

 

 * * *

 

 

 鉄扇を広げて顔をあおぎながら帰路についていた時に、ある看板と目があった。

 パチン、と鉄扇を閉じて、扇の先で自分の頬を軽くつつく。

 

 『バトのマッサージ店』

 

 思わず二度見する。まさか。まさかな。

 おそるおそる、ドアを開ける。ドアに連動した鐘が、チリンと鳴る。

 

「……おう……おぼこそうな(ぼん)やな。ここは按摩の店や、わかるか?」

 

 すらりとした長身、軽くまとめた金髪ロングヘア、爆乳ナイスバディの盲人女性。

 右手には盲人用の白杖。仕込み杖ですねわかります。

 盲導人バト、20歳バージョン……ヤバいぐらいの超絶美人がそこにいた。

 

「わかります。店主のバトさん、ですか?」

「せやで。ウチの按摩は 一時間半で半銀貨1枚(5000円)。金はもっとるか?」

「あります。そこの台にうつ伏せで合ってます?」

(さか)しい(ぼん)やな。合っとるで。荷物はそこの籠な?」

 

 鉄扇を籠に入れて、指定の台に寝そべる。

 バトさんは僕の背中や腕を触診していく。

 

「なんや、(ぼん)の癖に随分鍛えとんな。ほぐしといたるわ」

「うっひゃすご」

 

 バトさんの指が的確に僕の身体をぐにゃぐにゃにしていく。

 これアレだ、ツボとか血流とか全部把握して刺激されるやつだ。

 こんなにも手練れなのに、お店は妙に静かな印象だ。

 

「バトさんめっちゃ美人で按摩も凄腕なのに、なんで閑古鳥なんです? ……あ痛ッ!」

「生意気な(ぼん)やな。口のきき方、教えなあかんか?」

「いやだって聖都のメインストリートでここまで凄腕であだだだだだ」

「わかっとるがな。ほっときぃ」

 

 わざと痛くされ、悶絶する。

 そういえば、「音見」の説明時に『一番のベテランでもまだ5年弱しかやってへん』と言っていた気がする。原作まで約6年、暗黒大陸への移動時間を考慮に入れると、近いうちにお店を閉めて冒険者になるのだろう。

 

「……まぁ、見ればわかりますよ。バトさん美人ですから、痴漢なりナンパなり、冷やかしが多いんじゃないですか?」

 

 前世も今世も、美人女性は男性からの被害が大きそうだ。

 アイリスも、家から出ただけで誘拐されたって言ってたし。

 

「メクラの美女は大変なんや。雑魚が絡んできてめんどいねん。そいつら全部追い出しとったら、こうなった」

「家賃が大変そうだな、ってのはわかります。……お店の売り上げ、大丈夫です?」

「大丈夫やないな。正直、畳むかもしれん。冒険者でもやった方が、まだエエかもしらん」

「あー。暗黒大陸とか、めっちゃ募集してるんでしたっけ? 船賃も安いとか」

「みたいやなぁ。一応、マッサージ用オイルも売っとるで」

「ふぅん……ってオリーブオイル使ってますねこれ!?」

「なんや、おがって(大声で)。見るんははじめてか?」

「せっかくだし、売り上げに貢献していきますよ」

「まいど。おおきにな」

 

 オリーブオイルがあれば、高級石けんが作れる。

 すぐに着手する気は無いけれど、醤油の副産物計画のあたりでGOサインだな。

 僕は思いきって聞いてみる。

 

「……こういうお店に、裏メニューがあるって本当ですか」

「ほー。なんや、(ぼん)はそういうんに興味津々かいな」

 

 お前もか、仕方の無い。そんなため息を彼女はつく。

 バトさんは、右手で何かを握る空間を作り、上下に軽く動かした。

 

「お触り厳禁の本番ナシ。マッサージ特別編や。手でしごいたる。追加で銀貨1枚(1万円)」

 

 こんな極上美女の手コキで15000円って安いのでは? 僕はいぶかしんだ。

 彼女は僕が緊張したと思ったのか、ニヤニヤと意地悪そうに笑って。

 

「口も使うんなら、さらに倍やな。全部で銀貨3枚(3万円)」

 

 こんな極上美女の手コキフェラで30000円って安いのでは?

 僕はいぶかしんだ。僕には相場がわからぬ。助けてメロス。

 

「ふふ、びびっとるんか? ええで、やさしゅうしたるさかい」

「……バトさん」

「ん? なんや?」

「パイズリってご存じですか」

「……は?」

 

 僕をひっくり返し、ズボンに手をかけたバトさんが、きょとんとする。

 言われたことを理解できてしまったのか、顔が真っ赤に染まる。

 

「お触り厳禁の本番ナシ。僕は動いてはいけない。いいでしょう。理解しました。もう一度言います。パイズリはご存じですか」

「……そ、そらまぁ知っとるし? ウチの胸なら? できんこともないけどな?」

 

 ちょっと早口になるバトさん。知ってますよ。あなた処女ですよね。

 その処女を、今後6年間、大事にとっておくんですよね。

 わかります。あなたは美人すぎます。ただでさえ高嶺の花なのに、変な虫ばかり寄ってくる。

 そりゃぁ、彼氏は作りづらいですよね。男の中の男に惚れちゃいますよね。

 

 僕は懐から金貨を一枚取り出し、バトさんの手に握らせる。

 

「上半身を脱いでのパイズリフェラ。〆は精液ごっくん。……金貨1枚(10万円)」

 

 触感と大きさで本物の金貨だと理解したバトさんが、ゴクリと唾を飲む。

 手が震えている。何か色々なものを、心の中で天秤にかけまくっているのがわかる。

 僕はバトさんに握らせた金貨から、カウントダウンをするかのようにゆっくり指を離していく。

 あっ……と、彼女の声が漏れる。彼女は、「制限時間が発生した」と勘違いしてしまった。

 

 僕が指を離し終えた後も、彼女は金貨を握りしめ続けていた。

 つまりこれは、悩んでいる間に時間制限が来てしまい、承諾してしまった事を意味する。

 ……別にそんな意味は全く無い。今からでも金貨を戻し、断ればいい。

 

 でも、優しい彼女は。僕が時間的猶予を()()()のにそれを()()()()()()のだから、YESの返事をだしてしまったと思い込んだ。だから、優しい僕は。金貨を握りしめている彼女の手を、両手でそっと包みながら、耳元で囁く。

 

「……お店のドア、閉めてきますから。上を脱いでおいてください」

 

 交換条件にすらなっていない交換条件の提示。

 思い込みと勘違いを誘導する、詐欺師の手口。

 

 僕は店のドアをしめて鍵をかけ、オープンの看板を引っくり返してクローズドにする。

 バトさんのところに戻る頃には、彼女は上半身の裸体をさらし、見事な爆乳を両手で抱えて隠すように抱きしめていた。

 顔どころか身体も真っ赤に染めながら、それでも彼女は仕事として割り切ろうとしている。

 

 勝った。

 僕はそう思った。

 

 

 こんな極上美女のパイズリフェラごっくん有りで10万円って安いのでは?

 愛息から飛び出た白濁液を必死に嚥下する彼女の姿を眺めながら、僕はいぶかしんだ。

 

 

 

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