ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング!   作:RAP

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第51話 原作開始前・聖女騎士レピア

 聖教会の神敵駆逐機関所属、聖女騎士レピア。

 たった一人でゴブリンとオーク達の前に歩み出た少女は、その両手にレイピアを抜き放ち、十字に構えて荘厳に告げる。

 

「主よ。我が剣舞を、ご照覧あれ」

 

 しゃん。しゃん。しゃん。

 

 鈴の音と共に、ふわり、と少女が舞いはじめる。

 

 八巻144P。剣舞を必死に練習していた少女時代のレピア。

 その彼女が、五年先でも着ている聖女姿。

 

 僕は無言で右手を挙げ、手をグーで握ってから、手を広げて下げた。

 

 ――総員停止。座って待機。

 

 

 * * *

 

 

 オークやゴブリン達は、困惑していた。

 何だコイツ?

 

 まず、森に入る服装じゃない。弓はどうした。

 なんだその、異様に薄っぺらい細剣(レイピア)は。

 抜くの? 戦うの? それで? 俺たちと?

 

 刺突専用? 儀礼用? 護身用?

 囮にしては、伏兵も別働隊もいない。

 

 しゃん。しゃん。しゃん。

 

 袖口に仕込まれているのか、涼やかな鈴の音が響く。

 

 舞。完璧な舞踏。

 重心、中心線、指先、剣先に至るその全てにブレがない。

 

 戦士ではない。極上の踊り子。

 

 少女がくるりと回る。

 シースルーの生地なので、胸の乳首が透けて見える。

 下半身も見える。下着をつけていないから陰毛まで透けて見える。

 

 シャン、シャン、シャン!

 

 舞が激しくなっていく。

 ――見惚れる。

 

 歌と同様、舞は文化も言語も超越し、問答無用で黙らせる。

 丹念に積み重ねられた基礎から生み出される、本物の技術力と表現力。

 

 しなやかで柔らかそうな身体。

 揺れる乳房に合わせ、乳首の突起も揺れる。

 白い太股と鼠径部がスリットの奥から姿を見せる。

 透けて見える陰毛の奥に、見えそうで見えない女性器があるとわかる。

 

 ターン。ほんのり上気した白い尻がぷるりと揺れる。

 

 フォウ! フォウ! フォウ!

 見惚れていたゴブリンやオーク達は手を鳴らし、足を慣らし。

 いつの間にか、踊りに対して皆で声を合わせていた。

 

 踊っている少女自身が、恥ずかしそうにしている。

 顔を真っ赤に染め、ちらちらと自身の裸体を見せていることに照れている。

 

 人間はゴブリンと違い、その身体を衣装で隠す。

 しかし、隠しているはずの乳房を、陰部を。

 見えそうで見えない、いや見える、凝視すれば、あっ見えた。

 

 種族も性別も関係なく、見ている全員がゴクリと唾を飲む。

 

 見よ! 恥じらう少女の顔の淫らさを!

 見よ! チラリズムが演出するエロスの極致を!

  

 少女の乳首が、完全に立っているのが服の上から透けて見える!

 少女は恥じらいながら踊りつつ、自身の行為に興奮すらしているのだ!

 

 シャン、シャン、シャァァァン!

 

 少女の片腕が細剣(レイピア)と共に高く掲げられ。

 観客達の興奮が一際大きくなったところで、少女は高らかに叫ぶ!

 

「ご加護を!」

 

 瞬間。

 ゴブリンとオーク達は、何が起きたのかわからぬまま、全員が崩れ落ちた。

 意識が遠のく中、一匹のゴブリンは目の前の少女に視線を向ける。

 

 細剣を高く掲げた少女は、頬を染め、乳首を立たせたまま、歓喜に打ち震えている。

 

 陶酔。主は、御使いは。常に我らを見ておられるのだから。

 

 

 * * *

 

 

「……『神の奇跡』……」

 

 セスレが呆然と見ている。クコロは青ざめている。

 バーチェがわなわなと震える。

 

「『JKリフレ』……敵の視線誘導と油断を誘発し、視野狭窄に陥らせる、狡猾な……」

「ただの露出狂さ。見えたかい、アイリス、バトさん」

 

 僕は立ち上がる。

 

「左に2、奥に1……2?」

「手前にも1やな。あとは……わからん」

「凄いよ、二人とも。不確定は全部で8だと思う。多分、ね」

 

 数年後に御使いは二人死ぬから。

 

「行こう。ゴブリン集落戦の難易度が、大幅に低下したみたいだ」

 

 

 * * *

 

 

 僕達が近づいた頃、聖女は倒れ伏した一匹のオークの喉に、細剣(レイピア)を突き立てているところだった。僕は両手を軽く挙げ、敵対の意思はないと示しながら歩み寄る。

 

「はじめまして、聖女様。僕達は冒険者パーティの『鳴神(なるかみ)』です」

 

 F級、とかそういう余計な情報は口に出さない。

 僕は簡易貴族礼……右手を左胸にあてて頭を下げた。

 

「リーダーのユーリ・アイダ・ハサマールと申します。御名を伺っても?」

「聖教会、聖女騎士レピアと申します」

 

 ぺこり。彼女は素直に礼を返してくれる。

 

「貴女もゴブリン集落を?」

「はい。皆様もですか?」

 

 ちなみに、僕の言い方は酷く曖昧だ。

 どうとでも受け止められ、どうとでも解釈できる言い回し。

 

「聖教会にも打診していたとは伺っていましたが……いや、はや。主の御業は、凄いですね」

 

 周囲を見渡しながら驚いたように言う僕に、少女は微笑む。

 

「教会の門は何人(なんぴと)にも開け放たれております。いつでもお待ちしております」

「ああ、信仰はともかく、教会には寄付金にて貢献させていただいております。こう見えて、聖戦(ジハード)体験会にも参加経験があるんですよ」

 

 教会への寄付金も、聖戦(ジハード)体験会への参加も事実だ。

 だが教会の方針に理解があるとも、賛同しているとも言っていない。

 お前等を受け入れるとは、一言もいっちゃいない。

 

「聖女レピア様、これから集落へ? 僕達も依頼を受けておりまして、邪魔にならぬよう助力させていただきたいのですが」

 

 何の依頼を受けているとか、何の助力をするとか、言わないよ。

 

「ああ、それでしたら……メスと幼体の駆除のお手伝いだけでも、どうでしょうか?」

「なるほど。メスと幼体の駆除」

 

 オスはこっちでやるけど、メスと幼体の駆除なら皆さんでもできますよね? とレピアの笑顔が語っている。

 

「オスだけ殺してメスや幼体を放置するわけにはまいりません。万が一生き残ればそれだけ人が死に、奴隷にしては国が毒を飲むも同然でしょう」

「ああ、ええと、聖典の……」

「はい。『不正に人を模した邪悪な魔物は、妊婦・幼児・赤子に至るまで一切の容赦なく主の正義の名のもとに殺害し地上から駆逐せよ』」

 

 にこやかに。

 レピアはにこやかに、何でも無いように告げる。

 

「バーチェ」

 

 僕に指示されたバーチェは一歩前に出て、一礼する。

 

「『赤子や幼児を慈しむ心は尊し。されど邪悪の幼獣に慈悲を向け邪悪をはびこらせること、すなわち邪悪なり』」

「……まぁ!」

 

 聖女騎士レピアは満面の笑みだ。

 バーチェは聖典を全文暗記してるから、こういう時に便利です。

 

「その通りです! 弓を使い、知恵が回り、人を殺して女を攫って犯して増える害獣は、皆殺しにせねばなりません!」

「さながら――『おしゃべりしながら食用カエルの首を次々落として仕分けていく、市場のおばさん達のような気持ちで』、ですね?」

 

 僕がそう言うと、聖女騎士レピアは僕の手を両手で握り、ぶんぶん振った。

 

「そうです! そうです! 私も同じ気持ちです! 素晴らしいですユーリさん、是非教会の門をくぐられんことを!」

「そうだ、聖女レピア。少しだけお伺いしたいことがあって……」

「なんでしょう?」

「ああ、その前に。まずは聖女レピア、神の奇跡をこの目で見ることができた僥倖に対して、寄付をさせてください」

 

 僕は懐から金貨一枚を取り出し、聖女に手渡す。

 聖女は金貨を見て驚いてくれる。

 

「こ、こんなに? よろしいのですか?」

「はい。よろしければ……何点か質問を許して頂けるのであれば、お答え頂いた回数に応じて喜捨を重ねたいと思います」

「はぁ、質問……ですか? お答えできるようなことであれば良いのですが……」

「バーチェ、戻って。聖女様、少しだけこちらへ、よろしいですか?」

 

 僕は聖女レピアに少しだけ僕のパーティから離れてもらうようお願いする。

 素直な彼女は、特に疑うこともなく指示通りにしてくれる。

 僕はレピアにそっと近づき、自分の口に手を添えて。

 

「少々お耳を拝借させていただきます」

「はい?」

 

 僕は聖女レピアの耳元で、小声で囁く。

 

「僕は貴族ですから、嫁が六人います。一人目の御使い様は女性の胸を好まれると噂に聞きました。僕の嫁達も主への信仰により御使い様の寵愛を得られるやもしれぬ以上、これは大事な情報です。ならば、二人目以降の御使い様は何を好まれるのでしょうか? レピア様は複数の御使い様のご加護があるのだと噂で聞きます。レピア様がお答え頂いた人数分、金貨を喜捨しましょう」

 

 そんな質問をされて、ぼんっと、レピアの顔がわかりやすく真っ赤に染まる。

 僕は姿勢を直し、彼女の目の前に立つ。

 

 僕は一枚の金貨を右手で聖女に見せてから、左手にその金貨を握る。

 左手の甲を右手の人差し指でとんとんと叩いてから、左手を開く。そこには何も無い。

 あったはずの金貨が無いことに、レピアは驚く。

 僕は彼女の髪に、右手の人差し指と中指を差し込む。

 僕が右手を引き抜くと、二本の指の間に金貨が存在している。

 それはまるで、彼女の髪から金貨を引き抜いたかのよう。

 

 簡単な、手品のコインマジック。

 とはいうものの、手品の知識なんてあるわけもない彼女には衝撃だったのだろう。

 口をパクパクさせて、僕と金貨を交互に見ている。

 

「教えていただけますか? 二人目は何を好まれるのですか?」

 

 そう言って、僕は優しく微笑する。

 妙な質問で気が動転した後、手品で心を揺らされた。

 混乱した聖女レピアは、あわあわしながら小声で答えてしまう。

 

「ふ、二人目の御使い様は……」

 

 僕はその答えを聞いて、満足気に頷いてレピアに金貨を握らせる。

 レピアは一瞬で、金貨二枚(20万円)を手にした。

 その事実になおさらレピアは混乱し、慌てる。

 でも逃がさない。僕は彼女の髪から、新しい金貨を取り出す。

 

「三人目は?」

「さ、三人目の御使い様は……」

 

 あとは作業だった。

 彼女の髪、彼女の服、彼女の袖、彼女の手。

 僕は彼女の色々なところから金貨を取り出し、渡していった。

 

「ありがとうございます、聖女レピア。僕の質問は終わりです。金貨八枚、お納めください」

「は、はいぃ……」

「ついでです。神の奇跡で処理したゴブリン達の討伐部位を、頂いてもよろしいですか?」

「はいぃ……」

 

 顔を真っ赤にしたまま小声で返事をするレピア。

 レピアは両手一杯の金貨八枚を眺めて、ぷるぷる震えている。

 僕は再度の簡易貴族礼をし、レピアから離れる。

 

「みんな、聖女様からご許可が出た! 神の奇跡にて倒れ伏したゴブリンやオーク達の討伐部位を回収せよ! 僕達は冒険者だが、これは聖戦(ジハード)でもあると解釈せよ!」

 

 僕は皆に堂々と指示を出す。

 遠くから様子を見ていた人は、聖教会の討伐成果を、冒険者が貴族パワーの札束ビンタで買い取ったように見えただろう。

 

 今のレピアは、冒険者ではない。

 聖教会所属だから、冒険者の僕達と手柄を共有できる。

 

 そして喜捨と引き換えに、手柄の共有を許してあげたとしても。

 完全武装で50人は欲しい、城塞規模のゴブリン集落を自分達が始末したという偽の報告をギルドに出して、無事に冒険者として昇格できたとしても。

 パーティの実力より高い冒険者等級を得ることで困るのは、僕達の方だ。金で成果を買った馬鹿貴族が、後日勝手に自滅するだけの話である。

 

 それがわかるからこそ、僕のパーティの面々は苦笑を浮かべているし。

 レピアにセクハラ質問をした僕も、御使いの狙撃を受けていない。

 

 一人目がおっぱい好き、二人目がクンニ好き、三人目はイく寸前に抜いて口に精子飲ませ好き、四人目はとにかくキス好き、五人目は腰を強く掴んでのバック好き、六人目は座位耳舐め好き、七人目はバックで尻を高くあげさせて尻穴を舐めながらのオナニー好き、八人目は正常位脇舐め好きだけど超早漏で、イッた後もずっと脇を舐めてる。

 

 ……七人目と八人目は業が少し深いから、死んでも問題無かったかもしれないね?

 七人目、そこまでいったんならシックスナインで良かったんじゃないか?

 君がこの世界初のシックスナイン開拓者になっていたかもしれないのに……。

 

 

 * * *

 

 

 レピアが単身でゴブリン集落に潜入し、僕達はレピアを囮にする形で集落に侵入。『メスと幼体の駆除』をお手伝いすることになった。

 この先何が潜んでいるのかはまだわからないが、ゴブリン集落戦を覚悟していた側としては、少々拍子抜けである。

 

「……本当に良かったの? ユーリ」

 

 セスレが心配そうに声をかけてくる。

 バトさんが苦笑する。

 

「せやな。わざわざ金で戦果を買わんでも、そんなん後からなんぼでもついてきたやろ」

「あ、うん。どのみちいつかは暗黒大陸に冒険者として渡るつもりだし、皆の助力があればA級パーティ認定とか余裕だと思うよ」

 

 うーん、と少し考えたアイリスが。

 

「多分、寄付は元々するつもりだったんですよね、ユーリ様?」

「おっ、鋭いねアイリス」

「私だけでなく、ミルヒとカカオにもラケットメイス術を学んでもらうつもりだったのでは?」

「うん、そう。僕の妾になった以上は、できるだけ死んで欲しくないからね。聖女レピア経由で聖教会に寄付をした記録自体は残るだろうし。雷光流でもラケットメイス術っぽいことは出来なくもないけれど、ラケットメイス術はそれはそれで学んでおいて損は無いさ。実際、今日はコカトリスを上手に受け流していただろう?」

 

 アイリスは困り顔を浮かべる。

 本来のラケットメイス術の目的と比べれば、巨体のコカトリスを受け流すなんていうのは、イージー以下のチュートリアルレベルだ。 

 

「僕的には金貨八枚払うに見合った行動だったんだ。だから、後悔は全くないよ」

「ユーリの金銭感覚、聴いてて頭おかしゅうなるわ」

 

 必死にお金を稼いでいたバトさんが、肩をすくめる。

 

 いや、余裕で払うね。

 もし将来に何かあって、殺戮聖女レピアと敵対するような流れになってしまった時にさ。

 ……僕はこの金貨八枚で、圧倒的有利を買ったことになるんだから。

 

「っと。ついたかな。同じ女子供ではあるけれど。みんなにはちゃんと割り切ってもらって、キッチリ亜人を皆殺しにするよ」

 

 遠目に、ゴブリン集落っぽい、砦のようなものが見える。

 さて、何が出てくるか。

 問題は、ゴブリンとオーク以外に何がいるか、だ。  

 

 視界の奥、散歩でもするかのような気軽さで聖女レピアがすたすたゴブリン集落に入っていく。

 僕はそれを眺めながら、悪い笑顔で呟いた。

 

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