ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング!   作:RAP

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第81話 原作開始前・セッション開始

 

 『ふかふかダンジョンズ&ファイアードラゴンズ』

 

 【能力】筋力、敏捷、体力、知力、機転、魅力。

 【役職】国軍兵、斥候(スカウター)輜重(ポーター)、貴族、村人、狩人、メイド、勇者など。

 【過去】武家、商家、狩人、軍人、伝令、騎士、孤児、奴隷、農民、盲目など。

 【武装】剣・大剣・槍・薙刀・メイス・素手・弓・盾。女性用鎧、軽装鎧、重装鎧など。

 【技能】隠密、軽業、騎乗、交渉、知覚、生存、登攀、水泳、自然知識、モンスター知識、罠知識など。

 【得意】遠くが見える、絵が得意、反射神経がよい、料理が得意、泳ぎが得意、乗馬が得意など。

 

 ・【能力】は男キャラだと前3つにボーナス、女キャラは魅力に特大ボーナス。

 ・【役職】【過去】【得意】は、冒険者等級や、戦闘や技能にボーナスがついたりする。

 ・軽業が高いと高所からの落下ダメージを減らせたり、自然知識で足跡から敵の痕跡がわかったり色々。

 ・選択した項目からHP(ヒットポイント)、イニシアチブ、移動速度、攻撃力などが算出され決まる。

 

 

名前:アロ

女(魅力+3)、狩人(交渉-1、狩人系技能二種選択:隠密+1、自然知識+1)、商家(知力+1、装備1つ改造可)、選択1:弓(弓命中+1)、選択2:知覚(知覚+1)、選択3:罠知識(罠知識+1)、絵が得意(冒険者等級ボーナス)

近接:ナイフx2(斬撃または刺突、軽い武器)1d2

遠隔:弱弓(刺突、改造:速射)1d4

防具:女性用鎧(体力-1、魅力+1、隠密-1、交渉+1)

 

名前:ナギ

女(魅力+3)、メイド(生存+1、交渉+1)、奴隷(体力+1、登攀or[水泳]+1)、選択1:薙刀(薙刀命中+1)、選択2:弓(弓命中+1)、選択3:登攀(登攀+1)、料理が得意(製作料理+1)

近接:薙刀(斬撃、両手、間合い)1d6+2

遠隔:弱弓(刺突)1d4

防具:弓兵重装鎧(防御+1、敏捷-1、弓射程補正無し)

 

名前:ウォル

女(魅力+3)、メイド(生存+1、交渉+1)、奴隷(体力+1、[登攀]or水泳+1)、選択1:スコップ(スコップ防御+1)、選択2:知覚(知覚+1)、選択3:生存(生存+1)、掃除が得意(任意:知覚+1)

近接:スコップ(殴打、防御)1d4

遠隔:弱弓(刺突)1d4

防具:弓兵重装鎧(防御+1、敏捷-1、弓射程補正無し)

 

 

 * * *

 

 

 さて、セッション当日。

 広めのテーブルも用意させて、応接室で優雅にいきまっしょい。

 とか言ってたら、見学がゾロゾロと。娯楽に飢えてるからって君達なんなの?

 

GM:ユーリ

PL:アロ、ナギ、ウォル

見学:バーチェ、ミルヒ、カカオ、ジャン、ハンティ

 

 セスレは特に興味が無く、バトさんはヒカリの相手に忙しいそうです。

 なお、アロだけ寝不足で機嫌が悪い模様。

 あらやだ、睡眠不足はお肌に悪くてよ? アロ。

 

「はい、それでは本日のセッションのGMを務めますユーリです。ダイスを振る際は、ダイス投げ入れ専用の革皿を特注してあるのでその中に見やすく投げ入れてください。強く投げ入れるとダイスが転がってはみでちゃうので、そっと投げ入れる感じで大丈夫です。これは不正防止でもあり、雰囲気を楽しむものでもあります」

「この『いちでぃーに』とかって、なに?」

 

 アロが問う。

 

「今、皆さんのお手元には4面、6面、20面のダイスがあります。4面を1つ振ると1d4。6面を2つ振るなら2d6になります。じゃあ1d2は、という話ですが単純に1d4で出た目を2で割って切り上げるだけです。1と2の目なら1、3と4の目なら2。判定方法とかは、やりながら説明していくのでご安心を。システム自体は簡素なのですぐに理解できると思います」

 

 あー、なんか懐かしいなこの雰囲気。

 異世界でTRPGするなんて思ってなかった。

 

「ではアロ、自分のキャラクターの説明を。プレイヤー、つまり遊ぶ自分の説明ではなく、あくまでもキャラクターの説明ね?」

「……うん。名前はアロ。弓の名手で、罠にも詳しいです。弓を改造して、速射できるようにしています」

 

 ふふん、とドヤ顔をするアロ。

 『村娘ルマノ』の影響かなー、とジャンは苦笑している。

 ハンティ、ミルヒ、カカオは「速射の技術による速射ではなく、弓を改造しての速射って微妙では?」と内心思っている。

 

「ナギです。薙刀使いです。アロお嬢様を守るメイドで、料理が得意です」

 

 ぺこり、とナギが頭を下げる。

 美人のメイドさんだぁ、とジャンはニヨニヨする。

 ハンティは、リアルのナギの歩き方から「本人も薙刀使いだろうなぁ」とニヨニヨしている。

 

「ウォルです! スコップでお嬢様を守ります! お掃除が得意なので、よく気がつきやすい……みたいです」

 

 えへへ、とウォルが言う。

 この人も美人だなぁ、この家は美人ばかりだなぁ、とジャンはニッコリ。

 スコップで守るってなんだろう、とバーチェは真顔になった。

 

「それでは『ふかふかダンジョンズ&ファイアードラゴンズ』の『暗黒大陸編』、はじめます」

 

 言いながら、僕はわざわざ画家に描かせたイラスト――原作一巻冒頭における、ジャンが船でアイギスに辿り着いたシーンの見開き――を皆に見せる。

 額縁にいれない絵だけど発注通りに描いてね? って脅しただけあって見事な仕上がり。この世界で絵を頼むと、みんな額縁に入れるヤツを想起するんだよね。

 違うから。欲しかったのはただのイラストだから。こんなんわざわざ額縁に入れないから。

 

 でも、小道具の効果は大きかったようで。

 アロ達も、見学の皆も。おー、と声をあげて驚いてくれる。

 僕はGMとして語っていく。

 

「海の魔物に襲われないよう祈りながら、揺れる船内で眠る日々。『ついた、ついたぞー!』船員の叫び声に、君達はたまらず甲板に出る! 海を隔てて見える島には、視界一面に映る広大な山々と森、そして草原に建設された街が見える。あれが有名なアイギスか! 君達は興奮する。そう、ここは暗黒大陸。そして、いま目の前に見える全てが深き不可知の迷宮……通称『ふかふかダンジョン』であるのだと、直感が理解する」

 

 TRPGの台詞に関しては、GMにしろPLにしろ、演技要素は抑えてる。 

 映画やアニメのように演じて話すのではなく、朗読劇のように。

 時には小説の地の文のような補足説明も挟んで語っていくのが僕の手法だ。

 

「複数の国家と軍をもってしても、ひたすら巨大すぎて攻略しきれない謎の超巨大ダンジョン。人工物かも自然物かもあやふや……その規模は大陸級ともされるが、実態はいまだ見当もついていない。ダンジョンを守る邪悪なモンスターの群れ。奥深くに眠る、水に沈んだ謎の古代都市。時折見つかる謎のオーパーツや財宝。その上に広がる険しすぎる大自然すら、ほぼ全てが未知……そんな謎とロマンの塊! それに挑むは自由を尊ぶ『冒険者』!」

 

 ジャン君をはじめ、見学している人達の目がキラキラしてきた。

 みんな好きだねぇ! わかるよその気持ち!

 僕はイラストに描かれている、街の部分を指さす。

 

「開拓城壁都市アイギス。100年前、冒険者達が作った最初の拠点を中心に、同心円状に城壁を広げて作り上げられた冒険者の街。暗黒大陸における最大の拠点でもあり、新人教育はここで行われる」

 

 アロが真剣に聞いている。

 ナギやウォルも大真面目だ。

 

「城壁以外の建築物まで城壁。城壁外の農地や水路まで城壁。城壁だけで作られた多重城壁都市。ダンジョンと戦う為に人が作ったダンジョン。それが開拓城壁都市、アイギスなのだ」

 

 ここで僕は、皆に見せていたイラストをしまう。

 イラストの力は強いが、使いすぎも問題だ。

 あえて口頭で語るだけにして、脳内で妄想してもらうのはTRPGの味の一つだと思う。

 

「だが、残念なことに君達は冒険者ではなく、ただの一般人だ。君達はアイギスの冒険者ギルドに併設されている冒険者学校に入学することにした。冒険者として必要な……例えば誤射を避けるルールだとか、ギルドでの手続きだとか、絶対必要な知識を学べるという。この、冒険者としての最低限の義務教育は無料であり、義務教育中の一ヶ月は寮も無料らしい。金の無い君達にとって、無料サービスは魅力的だった。さらに料金を払って専門知識を学ぶこともできるらしいが、少なくとも今の君達には財布の余裕が無い。大人しく一ヶ月間、みっちりと無料の授業を受け、まずは冒険者としての門の入り口をくぐることにした」

 

 僕は道具箱から、冒険者証(ガチ)を取り出す。

 セッション未参加のセスレから借りてきた本物のF級冒険者証。

 

「冒険者証。等級と名前と登録番号が書いてあるだけの木の割符……これはセスレの冒険者証を借りてきた。本物だよ」

 

 ジャン君、ジャン君、キミが身を乗り出してどうするんだい。

 

「冒険者等級には、一番上のAから最低のFまである。その他、特別な技能があると言われているS級が存在する。S級は戦闘だけではなく、優れた調査能力や、優れた記憶能力、優れた絵画能力など、冒険者ギルドに何か特異な能力持ちだと判断されると認定される。例えばユーリとしての個人の僕は『SのB級』。僕の二つ名は「発明家(インベンター)」。簡単に火を起こすファイアーピストンや、遠くを見ることができる遠眼鏡などの特許を冒険者ギルドから申請して認められた、本物のS級の冒険者証さ」

「SのB級、発明家(インベンター)、ユーリ……」

 

 アロが呆然と呟く。

 ハンティ爺さんまで気になったのか、そばに寄って冒険者証を見に来た。

 僕は苦笑しながらハンティ爺さんに渡す。しげしげと眺められる冒険者証。

 なお僕には血塗れ侯爵(ブラッディ・マーキス)の二つ名もあることを言わない自由がある。

 

「セッションを再開します。君達は無事にF級冒険者と認められました。冒険者パーティは5人を1単位とし、そこに数人追加する形で大体7~9人で行動するのが相場だと貴方達は冒険者学校で教わりました。稼ぎや隠密性を重視して、ソロや、三人程度で活動する冒険者も存在しますがその分危険度が高い。君達三人は冒険者仲間を集めようと、冒険者ギルドの最寄りにある酒場へと向かいました。狙い通り、そこには男女問わず多くの冒険者達が集まっていました。彼らは酒やつまみを片手に、仲良く談笑しながら『今度一緒に冒険しようぜ?』と語り合ったりしています。酒場に向かったのは正解だったと君達は確信し、酒場の中へ入っていきます」

 

 アロとジャン君が身を乗り出している。

 僕は内心で苦笑しつつ、淡々と説明していく。 

 

「ですが、君達はそこで耳慣れない単語を耳にします。彼らの会話の中に、『Z級』『半額』という単語が混じっているのです。一体なんの話だろう? と君達は思いました。さて、能力値判定をしてみましょう。能力値判定は2d6を振って能力値修正を加えて達成値を出します。その達成値が、GMの言った難易度以上であれば成功、そうでなければ失敗します。能力値判定、知力の6か機転の7。全員、判定してください」

「知力で振るわ! 商家で知力+1だから、2d6+1……よね?」

「同じく知力で。2d6です」

「えっと、機転で振りまーす。2d6です」

 

 アロ、ナギ、ウォルが答えていく。僕はどうぞダイスを振ってください、と革皿に手を向ける。

 ジャン君は凄く嬉しそうにニヤニヤしている。

 バーチェは『ウォルが何故機転を選んだのか心底理解できない』という顔だ。

 

「10、足して11! 成功!」

「7。成功です」

「5、失敗です……」

 

「では、アロとナギは『これは暗黒大陸の冒険者独自の決まりではないか?』と気がつきます。例えば、中央大陸でも女性冒険者は通常『一人前』とみなされるC級にはあがれないからです」

「なっ!?」

 

 知らなかったアロが、思わず声をあげる。

 僕は笑顔で説明を続ける。

 

「理由は簡単で、C級への昇格には成人男性一人を担いでかなりの距離を走ったりすることができる筋力や体力が求められるからです。なので、ベテランの女性冒険者には経験豊富なD級として『準B級』という基準があり、知識や経験で体力的不利を補えるとされています。このF&Fでは、筋力・敏捷・体力でそれぞれ達成値9以上を出さなければC級昇格試験に合格できません」

9()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 アロが嬉しそうに笑う。

 ミルヒとカカオが首を傾げている。

 バーチェは、すん……という真顔になってる。

 

 2d6で9以上が出る確率は27.78%。

 筋力・敏捷・体力に補正の無い女性がC級に昇格しようとした場合、2.14%にまで低下する。

 

 僕はマスタースクリーンも用意すべきだったと考えながら、革皿の上にダイスを転がす。

 これは『何かを判定しているようで実は物語を進めるだけの適当な小細工』だ。

 

「知覚判定に成功。魅力的な女性冒険者三人、つまり君達に気がついた男性冒険者が話しかけてきます。彼は無精髭を生やしたおじさんですが、風体はいかにもベテランです。『なんだい姉ちゃん達、新人かい? 何かわからなかったら何でも聞いてくれよ。なに、初回はサービスしてやるよ』彼の視線こそ君達の身体をいやらしく眺めていますが、言っている内容自体はまともです。何か質問してみますか?」

 

 この最後の台詞は、誘導だ。

 大抵は『どうしますか?』のように突き放した聞き方をする。

 今回は全員初心者なので、NPCとの会話に同意し、既に会話がはじまっていると錯覚させている。キャラロールに慣れた中堅者以上だと『アンタの目つきがイヤらしいからお断りだわ! と言ってまともそうな女性冒険者を探します』とか言ってくるから、その時はその時で合わせる。

 

「じゃ、じゃぁ……『Z級』とか『半額』ってなに?」

 

 アロがもじもじと尋ねてくる。

 僕がキャラロールしていれば最後に『と聞きます』と添えていただろうが、今回は初心者の上にただでさえ『自分の名前でキャラメイク』しているのでややこしい。

 僕は華麗に色々スルーして、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の演技をする。

 

「彼は気まずそうに肩をすくめてこう言った。『まぁぶっちゃけると……Z級はパーティ内娼婦兼雑用、だな。長くダンジョンに潜っていると、探索パーティに酷いストレスがかかる。そこで、身体で仲間達の心を癒やす、A級とは真逆の等級ことZ級冒険者様のご登場ってわけだ。稼ぎは少ないし危険も多いけど、ここじゃ割と人気なんだぜ? というか暗黒大陸の女冒険者は、大半がZ級だ』」

 

 僕は大仰に肩をすくめる動作をしてみせる。

 こういう身振り手振りって割と大事で、人間は身振り手振りをしながら話す相手に集中しやすいのだ。しかもTRPGだと、勝手に脳内で映像補正してくれる。お得です。

 

「しょっ、娼婦ぅ!?」

 

 アロが驚愕する。

 僕はアロを見ながら、おじさんが酒杯を掲げたようなポーズを見せて。

 

「『考えてみなよ。新人でも有名パーティについていってダンジョンの奥深くの経験を積める。男達はみんな最優先で抱いた女を守る。入るパーティを選べるってことは、娼婦と違って客を選べる。俺にゃわからんが、抱かれたくない相手に抱かれなくていいっていうのは、女達の間では結構でかいらしいぜ?』彼はニヤニヤと笑いながら、ナギとウォルの身体を見つめる」

「こっ、攻撃する? 薙刀? ナイフ? えっと」

 

 アロが慌て始めたのを、ナギが手でとめる。

 

「何もしません」

「えっ」

「何もしない、わかりました。無精髭のおじさんはため息をついてこう言います。『いいかい、よく聞きな嬢ちゃん。ここじゃ皆がこう言うんだ。女はSかZか準Bか半額以外()らない、ってな。有能なSか準B。身体で癒やしてくれるZ。どれもイヤなら半額だ』」

「半額がイヤなら……?」

「『簡単だ嬢ちゃん、女だけでパーティを組めばいい』そう言っておじさんは笑いだす。そばで聞いていた青年の冒険者が、困り顔で割り込んでくる……ジャン君、この紙に書いてある台詞を読んで。ここからここまで」

「えっ、あっ、ハイ」

 

 突然指名されたジャン君があたふたとする。

 えー、ごほん。みたいなアクションをしてから、ジャン君は言う。

 

「『冒険者は自由だから、女だけで組むのも勝手さ。でも、食料調達でうろついてるだけのゴブリンさえ戦いを避けずに襲ってくるし、女だけのパーティは大体一年以内にダンジョンに消える』……大体一年以内ってのが生々しいですね」

「こらこらジャン君、いまはその感想はいらない」

 

 僕は苦笑しながら、人差し指を唇の前で立てる。

 いやー、えへへ、とジャン君は頭をポリポリかく。

 

「『同じ分け前を出すなら、倒れた俺を背負ってくれる野郎の方がいい。女が二人いれば、倒れた俺を担いで走れるだろうし二人分の攻撃力で男一人分にはなるだろう。だから半額なんだよ、嬢ちゃん』そう言って、彼は苦笑する」

「じゃぁ、あなたが私達と組めばいいじゃない!」

「えっ、俺?」

 

 アロがジャン君を指さす。

 そういえばまだ、互いの自己紹介をさせてなかったな。

 

「まあ別に問題ないけど……」

 

 ジャン君が勝手に返事をする。

 キャラシートも無いのに見学者が割り込んでくるんじゃありません!

 まぁいいや、アドリブしちゃおう。

 たった今から、この無精髭のおじさんはB級のベテランということになりました。

 

「『すまんが、問題アリだ』そう言って、おじさんは青年の冒険者をじっと見つめる」

「うっ」

 

 GMの僕もリアルでジャン君を見つめちゃうよ。

 

「『新人が危険な行為をしようとしている場合、準B級を含むB級以上のベテランは一度だけ警告する義務がある。今言ったように、女だけのパーティは大体一年以内にダンジョンに消える。さらにここで彼女達と組むと、パーティの人員増強もほぼ不可能になる。男一人に女三人じゃ、女だけと大差無い。そんな危険なパーティには他の男も女も入らない。今パーティを組んだら、その四人だけで完結だ……警告はしたぞ、あんちゃん』警告された青年の冒険者は、ごめん、と謝ってその場から離れます」

 

 僕はジャン君に向かって、両手の指先を合わせてつんつんするジェスチャーをする。

 察したジャン君は、アロ達三人を拝むように両手を合わせて。

 

「『ごめん!』……お邪魔しました……」

「そんな君達の姿を見た周囲の冒険者は、声をかけられないようにさりげなく君達から距離をとったりしている。それを見たおじさんは、君達三人に告げる。『なんなら一度、自分達だけでミッションを受けてみるといい。常時募集の定期調査任務あたりなんかどうだ? どんなに報酬が安くとも絶対に勉強になる』君達はこの酒場でパーティ募集を続けてもいいし、冒険者ギルドのミッション掲示板を見に行ってもいい。どうする?」

 

 これも誘導だ。

 別にどこに行って何をしても良いんだけど、最初から選択肢が少ないように思わせる。

 情景描写で周辺の冒険者に嫌がられていると説明した以上、パーティの行動は実質一つだ。

 

「……冒険者ギルドに向かいます……」

「アロお嬢様の手を握ります」

「じゃあ、私は反対の手を握りますねー」

「あっ……」

 

 なーに天然で尊いことしてんじゃオルァ!

 拝むぞオルァ!

 

 僕は表情に出さず、冒険者ギルドのイラストを用意しはじめた。

 酒場のイラストも発注しときゃ良かったな。

 まぁ今度ね、今度。

 

 見学者も含めてみんな思った以上に真剣に聞いてくれている。

 ……うう、アドリブで救済イベントとか入れたくなってしまう。

 まぁ、流れに任せてみるか。

 

「ではここで一旦休憩とします。トイレや飲み物補充はいまのうちに」

 

 僕はメイドに頼んで、新しい飲み物を用意させた。

 待機メイド付きとか、なんつー豪華で贅沢なセッションか。

 

 こんなことしてないで本物のダンジョン行ってみたいです。

 うるせー、我慢しろ僕。これは皆に必要な訓練なんだよ!

 

 僕の中で喧嘩がはじまって、僕は苦笑した。

 

 

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