気づけば人生強制ハードモードでした   作:雫暉

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前日譚
悪夢と最悪の転生特典


 

 

───地獄とは正にこの事だな、と思った

 

 

突如、猛吹雪に襲われた森林

 

不気味に感じる程静まり返った里

 

あちこちに佇む、見覚えのある顔立ちの人型の氷像

 

胸にぽっかりと穴が開き、既に冷たくなった最愛の母親とその周りに広がった、雪に滲んだ赤黒い液体

 

そして、氷の中で眠る自身の最愛の片割れ

 

 

 

「これは悪夢だ」と心の中で自分に言い聞かせるも、痛みを感じる程の凍てつく寒さと、倦怠感と、鼻につく鉄臭さが無情に、容赦なく現実だと突きつけてくる

 

 

悽惨な現実を目の当たりしてからどれくらい経ったのか分からない。呆然としていた身体を叱咤するように抜けていた腰を強制的に上げ、涙でぐちゃぐちゃになったり血が付着した顔を乱雑に拭い、僅かにヒリヒリと痛む皮膚や全身の疲労を無視して、森の外を目指して歩いた。

 

 

 

 

 

 

宛もなく歩き続けて、どのくらい時間が経ったのか分からない。現実を受け止めたくなくて、先程の光景が厭に頭から離れなくて、吐き気を感じて、空気が凍てつく程寒くて、でも身体は熱くて、全身が痛くて、頭の中が霞んで───気づけば地面が目と鼻の先にあった。完全に体力が尽きたのだろう

 

この状況に呆然としながらも、「死」が近づいてきているのを感じた

 

「───」

 

 

名前を呼ばれた気がした。聞き覚えのある声だった。聞き間違いか幻聴かもしれないという考えは浮かばず、無いに等しい力を振り絞り、声がした方へ、ゆっくりと顔を向けた。

 

地上から少し離れた上空に、藍色の髪の人物が見えたのを最後に、私の意識はそこで途切れた

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

今朝見た過去の悪夢を思い出し、思わずため息が出る

 

 

「ため息なんて珍しいのぉ、体調が優れないのか?」

 

 

庭の花壇に咲いた白と赤の花が視界に入っただけでトラウマが蘇った事に辟易していると、テーブルを挟んで目の前に座っていた、目鼻立ちの整った薄紅の長い髪に愛らしい顔立ちの、黒いローブを着た少女が心配げに此方を覗いていた

 

 

「いえ、今朝の夢見が少し悪かったのを思い出しただけで…ご心配おかけしてすいません」

 

「…困ったらすぐにワシか他の住人に言うんじゃぞ。皆、もうお主の事は家族の様に思っとるからの」

 

 

夏空をそのまま閉じ込めたような、少し深く碧い双眸に真剣な眼差しで見つめられる。優しく温かいその言葉に心が軽くなるのを感じた

 

 

「ありがとうございます。今度何かあれば、遠慮なく頼らせて頂きますね!」

 

「あぁ、いつでも歓迎しとるぞ」

 

 

その会話を最後に中断していた茶会を再開し、彼女との団欒を続けた

 

 

*****

 

 

「……はぁ〜」

 

 

空が夕焼けと紫光に染まる逢魔時。基、魔刻結晶が青色から黄色に変化する冥日六時頃。見目形に反し老成した言葉遣いの少女、この村の長老であるリューズさんとのお茶会が終わって間もない今現在、私は鏡の前に佇み本日何度目かも分からない溜息を盛大についた。

 

 

──透き通るきめ細かい肌。上質な絹のような銀髪に、アメシストをそのまま嵌め込んだかの如く濃い紫紺の瞳。加えて、人間とは異なった先が尖った耳

 

 

今、私の目の前の鏡にはそんな美少女が映っていた。

 

 

傾国の、という言葉が付いてもおかしくなさそうな容姿の亜人…"ハーフエルフ"の姿を鏡越しに十秒単位でじっくりと眺め、私は再びの溜息と共に絶望した

 

 

信じ難いが、異世界転生というものをしたらしい。

 

 

それに気づいたのは、つい昨日の出来事だ。風邪を引き高熱に魘され、熱や頭痛で呆然としている最中に甞て人間だった頃の…前世の記憶が甦った

 

 

私は生まれつき病弱で、奇病を患っており長い間病院のベッドで過ごす生活になると言われ、それでもめげずに闘病生活を続けていた…が敢え無く衰弱死したらしい。亡くなる直前の記憶は朧気だが、ベッドで仰向けになり天井や自身の腕に繋がれた管をぼんやりと眺めていたのは覚えている。闘病以外の有り余った時間で、私は友人に教えてもらった有名所をメインに様々なジャンルの小説·漫画·アニメを履修し、多くの作品にハマり、何時しか立派なオタクになっていた。閑話休題。

 

 

 

前世の記憶を取り戻してから私は、一日経った今も絶望した。私が新たに生を授けられたこの世界は、前世で私が好きになった、異世界ダークファンタジーかつループものとして名を馳せた作品と舞台が合致していたからだ。

 

 

ここはRe:ゼロから始める異世界生活…ファンから略してリゼロと呼ばれる作品の世界だと、理解してしまった

 

 

私がいったい何をしたと言うんだ。

 

 

モブとしてでも割と命の危機に瀕す可能性が高めな世界なのに、何故か、よりによって銀髪のハーフエルフとして生まれていた。エミリアは最推しだし大好きだけどさぁ……推しの身内=幸せには必ずしもならないんですよ!!!!

 

超が付く程の美人でも、この世界で銀髪ハーフエルフは詰みなんよ。度し難いにも程がある。

 

あまりの理不尽さに一度愚痴を零したら止まらないレベルだ。

 

転生特典()と同等に意味不明なのが、今の私の立場と居場所である。

 

私は何故かパンドラや黒蛇の襲撃やエミリアのマナの暴走によるエリオール大森林の凍結から助かり、ロズワールに拾われ聖域で保護()されて早数年経っているのが現状だ

 

そういうの加護でもあるのだろうか?

 

一度考え出すと…というか考えないといけない事だらけだが、昨日から、主に精神的理由で疲労が凄く、頭が痛くなってきた気がしたので一先ず一刻も早く休もうと布団に潜る

 

想像よりずっと早く睡魔が来て、私は数瞬で眠りについた




ハーメルン含めて小説書くの超絶初心者なのでグダグダだったり情報が足りない、分かりづらい等あると思いますがご了承ください。また履修途中なので色々原作の内容や設定と食い違ってたらすいません。
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