仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ ヒューム×滅炎 DIFFERENT TIMES   作:熊澤しょーへい

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コラボしたいけど、陰キャな俺にとって声かけるハードル高いよね。
・・・なら自分の作品でコラボさせればええやん!

って感じで決まった作品です。
更新はスローペースかも(知ってた)


移/喚ばれる者たち

 東京の郊外にある住宅街。言われなければ日本の首都とは気が付かない、ありふれた街を一組の男女が進む。

 

 遠目からは買い物帰りの父娘にしか見えないが、それは口にしてはならない。事実、女の同僚は無遠慮な発言を発端とした騒動にて彼女の手によって一瞬で意識を刈り取られている。その手際の良さは男をして戦慄させた。

 

 ともかく、二人とも日常的に戦場に立っているという点を除けば、微笑ましい日常の一コマだ。

 

「瀬良さん、付き添って頂いてありがとうございます」

 

 男―――伊藤海翔は並進する女に声を掛ける。

 

「気にしないでください、伊藤君。普段から協力していただいているのです。これくらいは何てことありませんよ」

 

 瀬良と呼ばれた女は謙遜するように言う。両腕には限界まで膨れ上がった買い物袋が抱えられており、相応の重さのはずだが、彼女は苦も無く運んでいる。

 

 この小柄な体のどこにそんな力があるのか、喉まで出かかった疑問を海翔は何とか飲み込んだ。

 

 ウォーリアープレイスターとの激戦から僅か二週間。海翔たちは日常を取り戻していた。日野森学園に新たなスタッフがやってきたり、それに伴う大量の手続きで過労死しそうにはなったが、プレイスターの活動が沈静化したこともあり、概ね平和と言っていい。

 

「それよりも伊藤君、いい加減に敬語は止めてください」

 

「いやいや、瀬良さんの方が年上ですし、敬語を使うのは当然ですよ」

 

 本編の設定資料を読んでいない方のために補足しておくが、詩音は27歳、海翔は暫定22歳である。

 

「それを言うなら私の方こそ敬語を止めてほしいのですが・・・瀬良さんの方が年上ですし」

 

「私はこれが素です。それに書類上は海翔君の方が上司なので敬語(これ)は止めるつもりはありませんよ」

 

「いやいや―――」

 

「いやいやいや―――」

 

 堂々巡りとはまさにこのこと。お互いに一歩も譲る気配がない。この応酬は三十分を超えてもなお続き、ここまで来たなら引き下がるわけにはいかない、と二人とも半ば自棄になっていた。

 

 そんな時―――

 

「キャー!」

 

 少し離れたところから叫び声が届く。しかも一つだけではない。幾つも、しかも断続的に二人の耳に届いた。

 

「「―――ッ!」」

 

 すぐさま戦闘態勢に入ったのは流石は仮面ライダーと言ったところ。買い物袋を道の端に置き、悲鳴の発生源に向けて走り出した。

 

 幸運にも目的地はすぐそこだった。二人を待っていたのは灰白色の怪物。全身は毛で覆われ、50cmはあるだろう長く黒い爪が特徴だ。二足歩行していることと2mに迫るであろう体長に目を逸らせばただの特異な動物であるように感じるが、ツギハギだらけの身体とひしゃけた頭部がそれを否定している。

 

 動物、鉱石、事象―――世界中の蟻とあらゆるものの情報が詰め込まれたオーパーツである『レコードカード』。人間に挿入することで生まれるのが目の前に存在する怪物、『プレイスター』である。

 

「やはりプレイスターの仕業でしたか」

 

「でも、周りにいるのは―――」

 

 二人にとっては見慣れてしまった怪物。しかしプレイスターの周囲には見慣れない怪物たちがたむろしていた。

 

 大きさは人と変わらない。見た目もだ。ジャージ、パーカー、作業着、スーツ、制服・・・人間の着る服を着用している。不気味なのはその顔。暗い靄がかかったように顔は黒く塗りつぶされている。光すら飲み込むその姿に生理的な嫌悪感を抱く。

 

  そのうちの一体、制服を着た個体の顔が腰を抜かしている男性へと向けられる。怪物―――否、怪異と呼んだ方が正しいか。怪異はゾンビのようにゆっくりと近づき、男の首を締め上げた。

 

「―――ッ!させない!」

 

 男が意識を失う寸前、海翔が怪異を引き剥がす。力は人間と変わらないようで、海翔でも簡単に引きはがすことが出来た。

 

「早く逃げて!」

 

「あ、ああ・・・」

 

 ぜーぜーと息を整える男に、海翔は逃げるように言う。

 

 正体が何であろうと、人々を襲う存在を見逃すことは出来ない。海翔は腰に白色の正方形のベルト―――エヴィデンスドライバーを装着し、頂点にあるスイッチを押し込む。

 

《AUTHENTICATION!PROVE THAT WHO YOU ARE!》

 

 周囲に軽快な音声が響き渡る。エヴィデンスドライバーが起動すると同時に、海翔は何処からともなく一枚のレコードカードを取り出し、ドライバーに挿入する。

 

《HUMAN!REALLY?》

 

 ドライバーの中心から幾何学文字があふれ出し、半分ほどは魔法陣のように図形を形成して海翔の周辺を旋回し、もう半分はある一点に集中し、半透明のヒトガタへと姿を変える。

 

 一方の詩音も腰に長方形の真紅のドライバー、インベスティドライバーβを装着し、宝石が描かれたレコードカードを装填した。

 

《Set Ruby》

 

 響き渡るは無機質な機械音声。ドライバーの中心部から戦闘システムの設計図が投影され、詩音の周囲には大塊のルビーが幾つも浮遊する。

 

 二種の異なる音声が協和音のように交じり合う。二人は同じ敵を見据え、力強く宣言した。

 

「「変身!」」

 

 海翔はインベスティドライバーの側面に設けられているスイッチを、詩音は専用武器であるインベスティマグナムの引き金を、それぞれ力いっぱいに押し込んだ。

 

《ALL RIGHT!YOU ARE HUMAN!》

 

 幾何学文字の群れが海翔の身体に収束し、身体の表面が純白のアンダースーツで覆われる。そこへ半透明のヒトガタが重なり合い、胴、腕、足と同じく真っ白な装甲が形成される。

 

《Burning, Breaking, Victory!》

 

 真紅の銃から放たれた弾丸は巨大な設計図をすり抜け、周囲に浮かぶ宝石を鎧のような形へと削ってゆく。その破片は黒化し、アンダースーツとなって詩音の身体に定着する。そうして研磨された宝石は彼女を護る鎧となる。

 

《Kamen-Rider Gares Mode:Ruby!》

 

《DON'T FORGET THIS ANSWER》

 

《System All Green》

 

 純白の戦士『仮面ライダーヒューム』、真紅の銃士『仮面ライダーガレス』。プレイスターの脅威に晒される人々を護る、この世界の仮面ライダーだ。

 

 それぞれ構えを取る仮面ライダーたちに向けて、怪異たちが群れを成して殺到する。

 

「フッ!」

 

「ハッ!」

 

 しかし動きは素人そのもの。拳と銃弾を浴びてあっという間に残らず地面に倒れ伏す。

 

 余りの呆気の無さに拍子抜けしつつも、奥に控えるプレイスターに対する警戒心を高める。しかし―――

 

「―――なっ!」

 

 怪異は何事も無かったかのように立ち上がり、二人に向けて歩き始めた。中には包丁やゴルフクラブを装備した個体もおり、勿論これしきの武器では傷一つ付かないが、まるで機械のようにそれらを振り上げる姿に二人は思わず怯んでしまう。

 

 蹴りを入れても銃弾を脳天に当ててもまるで無意味であるかのように迫りくる怪異たち。その対応に手間取っていると、

 

「―――!」

 

 奇声を上げながらプレイスターがその長い爪を振り下ろす。双撃は斬撃はとなり、地面を抉りながら二人の下へと急接近する。

 

「クッ―――」

 

「フッ―――」

 

 地面を転がって何とか回避する。脅威度はプレイスターの方がはるかに高い。しかし目の前には依然として怪異の壁が立ちふさがっている。プレイスターを倒すためには先ず彼らをどうにかせねばならない。

 

(何処かに弱点はあるはず―――)

 

 そう考えたヒュームはひと先ずは色々な方法を試してみることにした。エヴィデンスドライバーを再度起動状態にし、炎について記録したブレイズレコードカードを正面から読み込ませる。

 

《BLAZE!》

 

 音声と共にオレンジ色の炎がヒュームの足に宿る。すると、その炎に怯えるように怪異が僅かに後退した。それを見逃さず、怪異の一体に炎を帯びた蹴りを喰らわせる。するとその怪異は少しもがいてから粒子状となって消滅した。

 

「これだ―――瀬良さん!」

 

 銃弾で牽制しているガレスに向けて声を張り上げる。

 

「怪異たちの足止めできますか!?」

 

「突破口を見つけましたか・・・!任せてください!」

 

 ガレスは蹴りで近くに居た怪異を吹き飛ばすと、インベスティマグナムにダイヤモンドレコードカードを読み取らせた。

 

《1-Reading》

 

 機械音が鳴り響くと同時に、銀色のエネルギーが溜まる銃口を地面に向け、引き金を引いた。

 

《Diamond Shooting Unchanging!》

 

 怪異の足元から透き通った宝石が出現し、ガッチリと固定する。慌てたように外そうともがくが、人並みの力しかない怪異に外せる道理はない。

 

 そして、そんな隙を晒した相手をヒュームは見逃さない。

 

《ALL RIGHT!BLAZE FINISH ATTACKE!》

 

 炎を纏った蹴りが最も怪異が密集した地点に浴びせられる。直撃した怪異は跡形もなく消滅。辛うじて生き永らえた怪異も大きく吹き飛ばされた。

 

《1-Reding、2-Reading、3-Reading》

 

 そして、怪異の壁が取り除かれたということはプレイスターを狙うことも容易になったということ。呆気に取られているプレイスターに向けて大きく跳躍する。

 

「ハアッ!」

 

《Ruby Shooting Victory!》

 

「―――!」

 

 避けようとしても、もう遅い。真紅のエネルギーを纏った蹴りを正面から受け、プレイスターは爆発四散した。

 

 燃え盛るプレイスターの跡地から詩音はレコードカードを回収した。

 

「RACOON・・・アライグマのレコードカードですか」

 

「大丈夫ですか、瀬良さん」

 

 ヒュームも変身を解除し、詩音の下へと駆け付ける。その顔はプレイスターを撃破した喜びよりも、懸念する感情の方が強かった。

 

「どうしたのですか、伊藤君」

 

「ああ、さっきの怪物たちは結局何だったのか分からずじまいだったな、と」

 

「確かに・・・」

 

 あたりを見ると、先ほどの戦闘がまるで嘘だったように、怪異の姿はきれいさっぱり消えていた。

 

「グレイが使役するという怪物の亜種なのでは?」

 

 グレイ―――度々ヒュームたちとぶつかる謎の戦士。彼が扱う武器はヒュームやガレス達が扱うデバイスと同様に自由自在にレコードカードの力を引き出すことが出来る。その応用としてアントトルーパーと呼ばれる怪物を召喚し、使役する。詩音はそれと同系統なのではないかと推測したのだ。

 

 しかし、海翔は頭を振ってそれを否定した。

 

「いや、レコードカード由来の力じゃないというか・・・根本的に僕たちとは違う、そんな気がしたのです」

 

 そこまで海翔が口にすると、不意にポケットの中が振動していることに気が付いた。そう言えば買い物の途中だった、と慌ててスマートフォンを確認する。

 

 怒れる親友の顔を想起しつつ、恐る恐る画面を確認すると、如何やら非通知からの電話だった。想像していた相手からの着信ではなくホッとするが、相手を待たせているのも事実。海翔は慌ててスマートフォンを耳に当てる。

 

 時を同じくして詩音のスマートフォンも振動する。こちらも海翔と同じく非通知からの着信であった。詩音は公的には死亡したことになっている。零課の職員以外から電話がかかってくるはずがない。訝しく思いつつも何故か電話に出なければという脅迫めいた考えが詩音の頭を支配し、気が付いた時にはスマートフォンを耳に当てていた。

 

 少し離れたところで二人は同時に電話に出る。そして、二つの電話口から聞こえてきたのは同じ声だった。

 

『『……――! けて、……!! ライ――……ッ!!』』

 

 掠れるような子供の声。しかし徐々に大きくなっていき、数秒後には二人の耳へと鮮明に届く。

 

『『たすけて! 仮面ライダー!!』』

 

 確かに聞こえた助けを求める子供の声。それを耳にして二人のライダーはそれぞれ声を張り上げる。

 

 何故ライダーが自分だと知っているのか、そんなことは二の次だ。海翔は職業柄親を失った子供を大量に見てきた。そしてそれは海翔自身も同様だ。詩音は自らが不在の間に家族が怪物の手にかけられている。

 

「―――ッ!今どこに!?」

 

「すぐに行きます!だからそのままの場所に―――」

 

 それが、この世界で二人が観測された最後だった。残響と大量の食材を残して二人は跡形もなく姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は遡り西暦1017年、寛仁元年、後一条天皇が統治する時代。

 日本の中心地たる平安京は今日も今日とて怪異の被害に悩まされていた。

 

 人の負の感情から生まれる怪異。人の手に余る存在であるが、そんな相手を討伐することを生業としている人々もいる。

 

「おらっ!」

 

 気合一発、青年が大上段から刀を振り下ろす。

 怪異を殺すために仕立て上げられたその刃は相手にとっては致命的であったようで、血液の代わり黒い靄を噴き出しながらこの世から消滅する。

 

 ふぅ、と息を吐く甲冑姿の青年。

 今倒したのは小型の鬼。低級とはいえいとも簡単に倒して見せたことから、彼の技量のほどがうかがえる。

 しかし経験は薄いのだろう。戦場で隙を見せるのは自殺願望者が望むこと。今も死角から小鬼が男に向かって飛び掛かってきた。

 

「“封”!」

 

 しかし小鬼の目論見は寸前で潰される。

 小鬼の身体に貼り付けられた札が霊力を纏い、小鬼の動きを完全に静止して見せたのだ。

 青年は慌てて空中で制止した小鬼の首を跳ねた。

 

「五郎さん!戦場で気を抜くとは、修業が足りないのではないですか?」

 

 巫女服を着こなし、細かく文様が刻まれた札を手にした少女が声を張り上げる。

 五郎と呼ばれた青年はバツが悪そうに顔を顰めた。

 

「悪い、油断した」

 

「全くです。(とお)ちゃんを見習ってください」

 

 少し離れたところでは刀を持った黒ずくめの少女が最後の小鬼の首を切り落としたところだった。

 その瞳には感傷や達成感などと言うものはなく、感情を読み取るのが困難だ。

 

 二人の姿を視界に納めると、テケテケと小さな歩幅で走ってくる。カワイイね。

 

「終わった」

 

「はい、流石は(とお)ちゃんです♪」

 

 よーしよしと(とお)の頭を撫でまわす。

 若干不服そうではあるが、(とお)は成すがままに弄られている。

 

 その横では紫色の火の玉がプカプカ浮いていた。

 

「ま、これも余のお陰よな」

 

「いやアンタなんもしてねえだろ」

 

「カーッ、これだから妖力を持たない人間は。この力の制御の大変さがまるで分かっとらん。よいか、そもそも妖力というのはの―――」

 

 老人のように長々と講釈を垂れ流し始める火の玉。

 彼女の名前は妲己。とてもそうは見えないが本人曰わく「泣く子も恐れる大妖怪」「人を虜にする魔性の姫」なのだそうだ。

 ・・・とてもそうは見えないが(二度目)。

 

「にしてもやけに怪異が多いな」

 

「小僧、余の話を無視しよって!これだから―――」

 

 五郎に突っかかった妲己だったが、その声は小さな手に鷲掴みされたことで中断することとなった。

 

「うるさい」

 

 その手の主は(とお)

 じたばたと暴れる火の玉を冷たく見下ろすと、四の姫の懐から札を一枚くすねた。

 

「あ、それは―――」

 

「待て、待たんか(とお)よ!余と主の仲であろう!?じゃからその札を疾くしまえ!」

 

 四の姫の声を飲み込んで、妲己の絶叫が響き渡る。

 しかしそんなものに心を揺れ動かせる(とお)ではない。札を持った手がどんどんと迫る。

 

「待てと言うてるであろう!ほんとに!余、泣いちゃうよ?じゃかr―――ギャアアアアアアァァァァァ!」

 

 合掌。

 ぺちん、と札が貼り付けられると、妲己は魂からの絶叫を吐き出す。

 

「で、本当に大変なのか?」

 

「え、それ程でもないですよ?流石に初めは大変ですけれど、すぐに慣れますよ」

 

「そ、れは・・・主が、おかしいか、ら、じゃ・・・(ガクッ)」

 

「ん、生きてた」

 

 火の玉なのに疲労感がこっちまで伝わってくる。

 サイズが大体三分の二くらいまで縮んでいる。

 

「生きてた、じゃないわ!大体本気で貼るとは―――アーイヤジョウダンジャヨ。ジャカラソノフダヲシマッテクレンカ?ノ?」

 

 文句を言おうとしたが、再度(とお)の手に札が握られると一転、ものすごく声が小さくなった。

 恐ろしいまでのヒエラルキーの格差がそこにはあった。

 

「ですがそろそろ夜も明けます。これで打ち止めのはずですが―――」

 

 確かに周囲には怪異の気配はない。

 センサーに漏れているとしたら弱い怪異だが、そんな怪異は朝の陽気には耐えられない。

 これにて業務は終了―――

 

 ジリリリリリリリリ!

 

 と思ったのも束の間、時代にそぐわない電子音が鳴り響く。

 三者の視線は大通りの一点へと向けられる。

 

 そこにあったのはガラス張りの公衆電話。

 通常のものとは異なり、人が四人ほど入ってもなお余りある大きさをしている。

 

 ジリリリリリリリリ!

 

 けたたましく鳴り響く電子音。

 これが時代劇の撮影ならばカットが入ること間違いなしだ。

 

「・・・新しい怪異か?」

 

「それにしては妖気が感じられないですが・・・」

 

 まあそんな反応になるわな。

 電話どころかガラスの技術すら日本では発展途上だ。貴族社会で少し見られるかな?程度の流通具合。貴族出身の四の姫はともかく、(とお)と五郎にとってはこれが初めて見るガラス製品だ。

 しかも奇怪な音声を垂れ流しているときた。誰も近寄ろうとはしないのは明白。

 

 ―――彼女を除いて。

 

「ん」

 

「「「いや待てい!」」」

 

 スタスタと電話ボックスに向けて歩みを進める(とお)

 恐れを知らないその行動に二人+一体のツッコミが重なり合う。

 

 そうこうしているうちに(とお)は電話ボックスの扉を開け、中に入っていった。

 五郎、四の姫、妲己もそれに釣られて電話ボックスの中へ入ってしまう。

 

「何してんだお前は!怪異の罠かもしんねえだろ!」

 

「・・・?そんな気配はなかった」

 

「無かったけど!だからこそ疑えよ!」

 

 だめだ、コイツ。

 現代社会で何かしらの詐欺に引っ掛かりそうな危うさがある。

 

 普通の電話ボックスよりは広いとはいえ、三人の人間が入ってしまえばかなり狭い。

 

「ん、鎧邪魔」

 

「仕方ないだろ。何時怪異が襲い掛かってくるか、こっちは戦々恐々としてるんだから」

 

 二人とは違い、五郎は妖気を読み取ることが出来ない。

 だからこそ咄嗟の奇襲に備えて鎧を着こんでいるのだ。

 というか妖気が見え、操れる方が珍しい。そこのところ履き違えないで頂きたい。

 

 ジリリリリリリリリ!

 

 現代からすれば古臭い、彼らから見れば遥かな未来の電子音が響く。

 (とお)は何かに導かれるように受話器に手を置き、そのまま持ち上げる。

 

「「「「・・・」」」」

 

 電子音が鳴りやみ、あたりは一転して静寂で包まれる。

 ゴクリ、と誰かが唾を飲み込む音がやけに煩く聞こえた。

 

『……――! けて、……!! ライ――……ッ!!』

 

 聞こえてきたのはノイズ交じりの声。

 全員が聞き逃すまいと必死に聞き耳を立てる。

 

『たすけて! 仮面ライダー!!』

 

 その声を耳にしたとたん、皆の意識が一瞬暗転する。

 次の瞬間、眩しいまでの日光が電話ボックスの中に差し込んだ。

 

「―――は?」

 

「な―――」

 

「嘘じゃろ?」

 

「―――?」

 

 ふとガラス窓から外を覗いた四人は素っ頓狂な声を上げた。

 

 舗装された道路、走る車、立ち並ぶコンクリート製の家。

 間違いなく、目の前に広がるのは遥か未来(げんだい)の姿であった。

 

「「「なんじゃこりゃー!!!」」」

 

「―――?」

 

 理解不能、とばかりに(とお)が首を傾げる。

 手に収まっている受話器からはツー、ツーというあまりにも頼りない音だけが響いた。




え?時代が違う滅炎をどうやってコラボさせるか、だって?
こ う や る ん だ よ!!!

嗚呼、なんて万能な電話ボックス。これからもコラボの度にお世話になります。
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