仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ ヒューム×滅炎 DIFFERENT TIMES 作:熊澤しょーへい
どうも、皆さん。警視庁捜査零課所属の瀬良詩音と言います。仮面ライダーガレス、と言った方が通りは良いでしょうか。『瀬良詩音』は死人の名前ですから。他二人の同僚と共に仮面ライダーとして日夜戦っています。
そして最近新しい仲間が増えました。伊藤海翔君、仮面ライダーヒュームを名乗って単身で活動していた方です。数日前に書類が通り、特別協力者として適宜情報を共有することで一致したそうです。
ところでバンジージャンプというものはご存じでしょうか?そうです、命綱をつけて高いところから飛び降りるアレです。生憎と私や空賀君は経験が無いのですが、蘆屋さんは経験があるようで色々話してくれました。曰く、
『始める前が一番怖く、落ちてる最中は考える余裕などなく、終わった後でもう一回やりたくなるもの』
だそうです。あくまで蘆屋さんの主観なので、人によってはまた違う捉え方になるでしょう。
・・・そういえば初めてジェットコースターに乗った時の心境に似ている気がしますね。アレはゆっくりと登っているときと今にも落ちようとするときが一番怖いですからね。私も子供のころは―――
私が言いたいのは安全が保障されていて、程よい恐怖があるからこそバンジージャンプは娯楽として成り立つわけです。恐怖を感じる課程が丸々カットされ、しかも命綱が無いバンジージャンプなどただの処刑でしかないのです。
まあ、今の私たちの現状なのですが。
「~~~ッ!」
言葉にならない絶叫が口から洩れる。風にあおられてすごい顔になっている。醜いと嘲るなかれ、紐なしバンジーを決行したことがある人だけが石を投げなさい。
謎の化け物とプレイスターを倒した私たちでしたが、非通知の電話から助けを求められ居場所を尋ねた瞬間、広大な大空に放り出されていました。高度は少なくとも1000mはあるように感じる。地上では見上げても前兆を把握できないであろうビルが、今では豆粒大にしか見えない。
死ぬ、そう考える暇すらありません。自然落下により速度がどんどんと上がっていく。それだけではなく、高所ゆえか冷たい風が針のように体を刺してゆく。
《ENERGIZE!》
《SET UP、ELECTRIC!》
もう駄目か、ようやくそう考えるに至った時、ふと隣から電子音が聞こえてきた。
「瀬良さんッ!」
と同時に温かい何かに私の身体が包まれる。それが伊藤君の身体だと脳が処理するには少し時間が必要だった。日常生活でもこれほど気が抜けたことはない。
「・・・はっ!ちょっと、伊藤君!?」
つい甲高い声を発してしまう。見た目から子供に間違えられることが多いが、れっきとした成人女性だ。異性から急に抱きつかれて動揺しない方がおかしい。
「すみません、これしか思いつかなくて!」
動揺する私とは正反対に、必死そうに声をあげる伊藤君。そうこうしている間も落下は続き、速度もどんどん上がっていく。小柄な私を庇うように更に強く抱きしめる。
(ちょ、胸硬っ!意外と鍛えて・・・ってそうじゃなく!)
私の頭は沸騰寸前。耳に熱が溜まっているのを感じます。
真にヤバいのはこれを素でやっている伊藤君です。彼に邪な気持ちは一切なく、善意100%で私を抱きしめている。
うーん、これは初恋ハンター。
日野森学園で葉月さんと話していたことを思い出しました。曰く『日野森学園では初恋と失恋を伊藤海翔で済ます』とのこと。あそこで暮らす子供たちは訳アリだ。幼いながらも大きな傷を持つ彼らにとって、四六時中子供たちのことを想って行動する伊藤君は頼もしいことこの上ないでしょう。
ですが彼と接するほどに実感するのは、恋愛感情に対する察しの悪さ。補足しておくが伊藤君は別に人のことを見ていないわけではない。喧嘩の気配を感じれば即刻仲裁し、悩みを抱えていればゆっくりとそれに寄り添う。どちらかと言えば感情に敏感な人間です。
しかし、こと伊藤君自身の恋愛においては呆気にとられるほど鈍感。その様は日野森学園内で「前世に何かやらかした説」や「恋愛できない呪いに罹っている説」、「他のステータスが軒並み高水準のため、恋愛のステータスが犠牲になっている説」など都市伝説めいた噂が囁かれているほどです。
伊藤君は落下している中、腰にあるドライバーへとレコードカードを入れようとしています。途中で手放す―――といったハプニングは幸運なことに起こらず、悪戦苦闘しながら持ち前の器用さでレコードカードを挿入しました。
《HUMAN!REALLY?》
ドライバーは問題なく機能しているようで、幾何学文字が排出され魔法陣のように隊列を組み、私たちの周りを旋回する。伊藤君がドライバー右部に取り付けた器具―――確か名前はE-ジェネレーションバックルと言ったか―――のハンドルを回すと、新たに黄色の幾何学文字が排出され、図形の欠落を補ってゆく。
「変身!」
《ALL RIGHT!》
伊藤君が叫びドライバーの左部にあるスイッチを叩くと、ドライバーからの承認音声と共に幾何学文字が伊藤君の身体へと収束し、戦士の姿へと変貌させる。
《THIS IS ARTIFICIAL POWER!YOU ARE HUMAN!》
《DON'T FORGET THIS ANSWER》
噛みあう歯車、埋め込まれたコイル、刻まれた稲妻の紋章。エレクトリックヒューマンフォームへ変身したヒュームは空中で起用に垂直に態勢を変える。その勢いで私の態勢も抱きしめられる形から両手で支えられる形へと変化する。
―――俗にいう、お姫様抱っこである。
「―――ふぇあ!?」
変な声が出てしまったのは仕方ない。さっきまで抱き着かれていた人間に急にお姫様抱っこをされて―――文字にすると凄いですね。
《AUTHENTICATION!WHAT'S HAPPENED?》
私がパニックと羞恥で脳が焼かれている最中にも、ヒュームは行動を起こしている。E-ジェネレーションバックルのハンドルを回し、脚部についているコイルに電気が蓄積されてゆく。
気が付けば地表はすぐ近くに迫っていた。豆粒ほどにしか見えなかったビルだったが、いつの間にか屋上はすぐそこ、というところまで私たちは落下していた。
「瀬良さん!舌、噛まないでくださいね!」
「わk―――」
《ALL RIGHT!ELECTRIC HUMAN DESTROY!》
わかりました、と言う暇すらなくヒュームはドライバーを操作する。瞬間、一部を除いてヒュームの身体は雷と化し、景色が高速で流れてゆく。
「・・・へ?」
気が付いた時には浮遊感は無くなり、針のようだった風もピタリと止んでいる。おそるおそる目を開けてみればそこは地上。真下には愛すべき地面が見えていました。
着地の衝撃か、ヒュームの周りは小さなクレーターが出来ている。
その中心で悠然と立つ電気を纏った戦士と、その彼にお姫様抱っこされている私。そして背後から突き刺さる幾つかの視線。・・・やばい、頭が茹で上がりそうです。耳だけでなく顔全体が赤くなっているのを感じます。
「あの、大丈夫なので・・・早く、降ろして、ください・・・」
ようやく発した声は、それはそれは弱々しい声でした。
空中から現れた謎の戦士。一撃で大量の怪異を蹴散らした彼に対して、五郎と四の姫は対応を決めかねていた。
「・・・どっちだと思う」
「それは
怪異の群れを掃討した一撃。あんなものを生身の人間が受け止めれるはずがなく、五郎が直撃すれば即死は免れず、例え四の姫の結界でも五発受け止められるか怪しいところだ。
加えて彼の操る雷には霊力が少しだけ含まれている。ヒューム本人からは微塵も霊力が見えないのにも関わらずだ。四の姫から見れば自身の霊力を完全に統制し、こちらに一切の情報を与えない不気味な人物に見える。
ただでさえ現状が手詰まり。これ以上の相手方に戦力が加われば詰み一直線だ。
「でもなあ・・・」
五郎は警戒しながらヒュームの方をチラッと見る。
「怪我はありませんか!?」
「ええ、お陰様で。なので早く―――」
「いや、ホントに良かったです。無我夢中だったので少し怖い思いをさせてしまったかも―――」
「大丈夫、大丈夫ですからいい加減降ろしてください!」
「―――あっすみません・・・」
抱えていた詩音を慎重に降ろすヒューム。一連の動作を見て五郎はぽつりと呟く。
「・・・敵には見えないんだよなぁ」
「・・・ですよねー」
殺気のさの字も見えないやり取り。自分たちの敵にしては平和ボケした様子に二人は毒気を抜かれる。
しかし忘れてはいけない。ここは既に敵の陣地。人類の悪意の結晶は根絶されることなく、生者に向けて牙をむく。
消滅させられた分は忽ちに補充され、思い思いの凶器を振りかざす。真っ先に狙われたのはヒューム・・・ではなく詩音の方。武装をしていない者から狙うあたり、悪意から生まれた存在なのだと実感する。
20を優に超える
しかしその未来は訪れない。彼がここにいる限り。
《ALL RIGHT!ELECTRIC HUMAN DESTROY!》
ヒュームは一筋の雷と化し、戦場を縦横無尽に駆け巡る。エレクトリックヒューマンフォームはその速度の代償に、攻撃力が極端に下がっている。しかし
時間にして5秒。計28体の
「―――ッ!これ以上は限界かな・・・」
取りあえずの安全を確保したヒュームは慌てた様子でE-ジェネレーションバックルを取り外した。
エレクトリックヒューマンフォームは電気の記録を内包したエレクトリックレコードカードの力を最大限に発揮し、肉体を一時的に電気へと置換するだけでなく、ヒュームの肉体の電気信号を操作することで超スピード下での活動を可能にしている。
故にこの姿で活動できる時間は最大で一分程度。これを超えればヒュームは一時的に活動停止になる。
「・・・すげえ」
一瞬で怪異を殲滅したヒュームに対し、五郎が羨望の眼差しを向ける。その後ろ姿は正しく
「―――ッ!負けてられねえよな!」
殺しても殺しても
「そうですね!“縛”―――からの“滅”!」
四の姫も同じく札を介して術式を行使、怪異を次々と滅してゆく。そしてヒュームは―――
(―――え?なんでこの子たち普通に倒せてるの?ていうか巫女服の人、もしかして魔法使いだったり?)
滅茶苦茶内心で困惑していた。ヒュームからすれば「物理攻撃が効かない相手が物理攻撃で倒され、なんかしれないけど一般人が特殊攻撃をしている」とかいうよく分からない状態。
ヒュームは数度思考を重ねた末、一つの結論に達した。
(・・・まあこういうこともあるか!)
現実逃避である。「こういうこと」があってたまるか。
まあヒューム、というか海翔からすればプレイスターも仮面ライダーも似たようなものだ。あと戦闘の最中に正常な判断を下せという方がおかしい。
問題を華麗に先送りにしたところで、四の姫がヒュームへと声を掛ける。
「ここは私たちが食い止めるので、貴殿は
促されて戦場の奥へと視線を向けるヒューム。二分されたハサミを振るう怪人と甲冑を纏った狐を想起させる戦士が一進一退の攻防を繰り広げていた。
「(狐のレコードカードの仮面ライダーなのかな―――)分かったよ。けど・・・」
変な勘違いをしてしまっているが、それを指摘する者は誰もいない。海翔たちはそもそも別世界に来ているという意識がなく、零課で開発、或いはヒュームのように特異な状況で変身した、レコードカード由来の仮面ライダーだと思い込んでいる。
大鎧を着こんでいたり巫女服だったりも「そういう部隊なのか」としか想像できない。つい数か月前まで怪人も仮面ライダーも海翔にとっては有り得るはずがなかったもの。詩音は逆に有り得ないものに近づきすぎてしまった故、特に疑問に思わなかった。
一方の滅炎陣営も似たようなものだ。仏教に記されている六道かそれに類するものではと推測しているが、ここが千年以上先の未来とまでは想像していない。ましてやレコードカードというオーパーツじみた物品を用いて戦う戦士など想像すらできない。よってヒュームのことは「滅炎と同じく大妖怪を取り込んだ存在」と考えている。
見事なまでのアンジャッシュ状態。戦闘中ということもあって深く詮索する者が居ないこともすれ違いに拍車をかける。
ヒュームが言い淀んだのは五郎と四の姫を案じたが故。二人の攻撃は一回につき一体しか倒せない。四の姫に関しては物資と時間があれば別だろうが、今の状態では数の面で
しかし
《Set Ruby》
「では私がこちらを受け持ちます。防衛戦は私の方が適任でしょう」
ヒュームの手札の中で最硬なのはセイバーフォーム。その装甲をガレスは優に上回る。ルビーを自在に発生させる能力も防衛戦に向いていると言える。
「変身」
呟きと共に詩音がインベスティマグナムの引き金を引く。真紅の銃弾が縦横無尽に舞い、砕かれ、黒化した宝石の雨が詩音に降り注ぐ。宝石の雨は詩音の身体を傷つけることなく、逆に詩音を護る鎧に変化する。
《Burning, Breaking, Victory!Kamen-Rider Gares Mode:Ruby!》
《System All Green》
仮面ライダーガレスに変身した詩音は、挨拶代わりに銃弾を
「・・・ん?」
咄嗟に連携を取ったが、何かおかしくないかと振り返る五郎と四の姫。小柄な女性がいた場所には真紅の宝石を纏った戦士の姿が!
「変わった?!」
「嘘ぉ!」
ひときわ大きな声を上げたのは四の姫。なぜならガレスからは霊気の気配が微塵も感じないのだ。「仮面ライダーとは滅炎と同じく大妖怪を取り込んだ存在」という常識が崩れたのだ。そのショックは察するに余りある。
平安人たちの衝撃など察することが出来るはずもなく、令和人たちは会話を続ける。
「これ使ってください。瀬良さんでもあの敵を倒せるはずです」
手渡されたのはブレイズレコードカード。威力が高く、大技になりがちなこのカードは支援に向かうヒュームでは扱いにくく、少数対多数となるガレスの戦線の方が強みを生かせるのではと考えたからだ。
「あり―――」
「ではまた後で!」
「―――がとうございます」
ガレスが礼を言うよりも先にヒュームは戦場に飛び込んでいった。
自分の身を省みることなく誰かのために行動する。彼らしいと仮面の下で笑みを浮かべ、受け取ったレコードカードを早速使用する。
《1-Reading》
インベスティマグナムは問題なくカードを読み込み、銃身に火炎の力が宿る。銃を構え、ターゲットを照準に入れる。大きさ、距離、共に外す要素はない。血の滲むような訓練で培われた技術は今も彼女の根幹を支えている。
《Blaze Shooting Incinerate!》
確信をもって打ち出した炎の弾丸は一発と外すことなく着弾し、断末魔を上げる暇さえ与えず怪異を焼却した。
「オラッ!・・・ってあの人も凄いな」
「―――ハッ!」
炎の弾幕をすり抜けた
そんな二人にガレスはテキパキと指示を出してゆく。
「私はこのまま攻撃を引き受けつつ殲滅していくので、お二人は討ち漏らしの掃討をお願いします」
断る理由もない。二人は了承の意を示して行動を開始する。そうして先ほどとは比べ物にならないほどの速度で
「わたしいいいぃいぃいぃ、きれいぃぃいぃ?」
「・・・」
滅炎と怪異:口裂け女の戦いは、最初こそ拮抗していたものの徐々に滅炎有利へと傾いていった。
幾ら
ともかく徐々に天秤が傾いていたが、ある瞬間を境に口裂け女の様子がガラリと変わる。
「わた、わたわたわたわたわたわたわたわたわたわたわたわたわたわ―――」
「―――ッ!」
壊れた玩具のように小さく呟き続けると、攻撃が一気に苛烈になる。力一辺倒だった攻めから技を絡めた攻めへと戦い方そのものが大きく変化する。まるで何者かに操られているかのような―――
《ALL RIGHT!YOU ARE ARCHER!》
多少なりとも本気を出さなければいけないか。そう考え調伏之具に手を伸ばそうとしたとき、隙間を縫って滅炎の背後から一筋の雷が飛来し、怪異:口裂け女を射抜いた。
微弱ながら霊力が含まれているそれは、怪異:口裂け女の動きを止めるには十分。様子見も兼ねて滅炎は一度後方へと下がった。
「・・・誰?」
そこには弓士の力を宿したヒュームの姿が。初めて目にする存在に滅炎は警戒度MAX。それでも刀を向けないのは相手から妖気と殺気を感じないため。そうでなければとっくの昔に切りかかっている。
平坦な声に含まれる警戒心を悟ってか、ヒュームは可能な限り優しく声を掛ける。
「僕は仮面ライダーヒューム。君を助けに来た」
目線を合わせてゆっくり丁寧に。孤児院のスタッフとしてのスキルを遺憾なく発揮したが、如何せん相手が悪かった。滅炎はヒュームの言葉を首を傾げながらヒュームの言葉を反芻する。
「かめん、らいだー?ひ、ひゅー?」
・・・平安人に横文字は難しいようだ。時代の所為とは知らないヒュームは聞き取れなかったか、ともう一度ゆっくりと反復した。
「ヒ・ユー・ム」
「ひ・ゆ・う・む?」
やっぱり難しいようだ。諦めずに何度もトライしようとするヒュームだったが、先に滅炎の心が折れた。
「もういい。白い人、お前は敵?味方?」
滅炎の煩雑な言い方に、しかしこの程度でヒュームは怒らない。それどころか微笑みさえ浮かべて答えて見せた。
「勿論、味方だよ」
裏の無い言葉に一先ずは納得したのか、滅炎は怪異:口裂け女に視線を戻した。口裂け女の殺気は先ほどとは日にならない。しかも何故かヒュームに向けて集中している。
これはまたとない好機。先ほどと比べて滅炎への集中力が遠のいている上、怪異からも殺気を向けられている以上、ヒュームの言葉が嘘でもこの状況では裏切りにくいだろう。
「だったら、後ろは任せる」
そう言い残して、滅炎は再度戦いへと身を投じる。それと同時に怪異:口裂け女も駆け出し、互いに速度を十分乗せて再度ぶつかり合う。
「あああAあぁぁAAあああぁぁぁあああぁ!」
手足のように繰り出された双刃を滅炎は難なく受け流す。その動きには得物の数の差など微塵も感じさせない。
大上段から繰り出された一撃はコンクリートの地面を容易く砕く。理由は不明だが力も増大しているようだ。しかし滅炎は当たらなければどうということはない、と言わんばかりに懐へと飛び込み、攻めの手を一切緩めない。
そしてやはり怪異:口裂け女の動きは繊細さを欠いている。本能のまま双刃を振るっていた方が苦戦したほどだ。
《ALL RIGHT!ELECTRIC SHOOTING!》
そして相手は滅炎一人ではない。大振りな攻撃を狙って雷の矢が正確無比に口裂け女の腕を貫く。ダメージは小さいものの動きを止めるには十分。隙だらけの怪異:口裂け女の身体を滅炎が袈裟斬りする。
「AAAAAAAAaaaaaaaaaa!」
痛み故か、それとも宿敵が目の前にいるにもかかわらず一太刀も浴びせられなかったためか。絶叫を上げながら地面をのた打ち回る口裂け女。何とか立ち上がろうとするが、目の前の怪異殺しはそれを許すような存在ではない。
「これで終わり」
無慈悲な言葉と共に、紫炎を纏った刀が一閃される。首が零れ落ちると同時にけたたましい絶叫は鳴りを潜め、口裂け女の体は塵となって消滅した。