仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ ヒューム×滅炎 DIFFERENT TIMES   作:熊澤しょーへい

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はい、リアルが忙しすぎて一か月経ってしまいました・・・


開/(ぼく)は仮面ライダー

 翌日、AM6:00

 

 早朝の街中を一人の男が歩く。男が纏う白衣は辛うじて形を保っているだけで、小突いてしまえば直ぐにも塵になってしまうほどだった。昼や夜の喧騒は見る影もなく、男とすれ違う者は一人もいない。

 

 チチチチチ・・・

 

 小鳥のさえずりがやけに煩く聞こえる。しかし男が近づいた瞬間喉を鳴らすのを止め、慌てた様子でその場から飛び去ってゆく。

 

 男の足は喫茶Hamelnに、否、一人の男へと向けられている。彼を殺すためならばありとあらゆる障壁を意にも返さずに打ち壊すだろう。

 

 だからこそ、彼は気が付いていない。作戦は発動しており、彼は既に狩人の座から引きずり降ろされていることに。

 

「僕はここだよ、エクスマキナ」

 

 男―――井上に向けて声が掛けられる。それは彼の記憶にあるよりも低く、ひどく知性を感じさせるものになっていた。しかし彼の心に感傷などは存在しない。彼の心は狂気が占め、青年は彼にとって憎むべき存在へと成り果てていたのだから。

 

「ヒューム・・・!」

 

 だからこそ、心の闇を隠すことはしない。ありったけの怨嗟を込めて海翔を睨む。濃密な殺気があたりに充満し、肌温度が一段低下する。

 

 ダッ!

 

 布切れ一歩手前の白衣を翻し、井上が海翔に向けて急接近する。勢いそのままに海翔に蹴りを入れる―――と見せかけてプレイングスラッシャーを白衣の奥、海翔から見た死角で振りかぶる。

 

「くっ・・・!」

 

 海翔は辛うじてそれを見破り、数歩後退することで短剣の一撃を回避する。しかし井上は執念深く踏み込みプレイングスラッシャーを振るい、そのたびに海翔は後退を余儀なくされる。

 

「一人で私を倒そうとは、舐められたものだな!」

 

「―――ッ!」

 

 気が付いた時には海翔の背後には大きな遊具が。いつの間にか公園に入っていたらしく、その目玉遊具である巨大滑り台が海翔の逃避を阻んでいた。そんな海翔の隙を狂気に染まった男が見逃すはずもなく、短刀を大きく振りかぶる。

 

 ギン!

 

 振り下ろされたプレイングスラッシャーは海翔に当たることなく、寸前で甲高い金属音を奏でた。狂気の一撃を防いだ刀はそのまま横払いに一閃。井上を大きく後退させた。

 

「遅れた」

 

「いや、これ以上ないほどナイスタイミングだよ。(とお)ちゃん」

 

 増援に現れたもう一人の仮面ライダー。あと一歩のところで阻まれた井上は忌々しく舌打ちする。

 

「骨董品が。大人しく時代の隅に眠っていればいいものを―――ッ!」

 

 激高したように叫ぶと、プレイングスラッシャーに一枚のレコードカードを装填し、そのまま短刀を一閃する。

 

《再生完了。妖怪(SPECTOR)

 

 無機質な機械音があたりに響く。刃が通った空間に妖気溜まりが生成され、無数の貌無き者(ノーフェイス)が湧き出る。その数は10、20、30・・・そうしている間にもネズミ算と言わんばかりにどんどん増えてゆく。

 

 井上はフーフー、と荒い息を上げながら、左手で顔を抑えている。見えている目は真っ赤に充血しており、正気を感じることは出来ない。

 

「だがこれで終わりだ。押しつぶされて無残に死ね」

 

 井上の合図と共に貌無き者(ノーフェイス)らが(とお)たちに向かって殺到する。その様子は正に人の津波。「数は力」を体現している。

 

「それはどう?」

 

 しかし二人の顔に焦りは見えない。何故、と井上が疑問に思うよりも早く、それは出現した。

 

―――急急如律令

 

 街の五つの地点から霊力が噴出し、巨大な透明な壁が出現する。それは結界術が一。平安時代において京の都に張られていたそれと同一のもの。古に張られていた結界は手練れの陰陽師が複数人が協力して展開、維持されていた。しかし今回展開された結界は一人の陰陽師が作成したもの。このような常識はずれな術を行使できる存在は歴史を見ても数えるほどしかいない。

 

 結界が展開された瞬間、不意に貌無き者(ノーフェイス)の動きが制止する。そして何かに引き寄せられるように何処かへと歩いていく。

 

「あの術師か!この時点でこれほどの力を持っているとは・・・!」

 

 場に残ったのは海翔、(とお)、そして井上の三名だけ。苛立つように井上が言い放つが、それは数秒だけ。すぐさまを冷静さ取り戻した。

 

「・・・まあいい。私自身が貴様たちを殺し、残りも殺す。小細工を弄したようだがそれで終わりだ」

 

 白衣の内ポケットからレコードカードを取り出す。噛みあった歯車が幾つも描かれた絵。下部には『MACHINE』と刻まれている。

 

《レコードカードを確認。読み取り開始》

 

 マシンレコードカードをプレイングスラッシャーに装填すると、錆びついた機械を無理やりに動かしたかのような、不快な音声があたりに響く。それと同時に井上の周囲に物体が生成される。

 

 スマホ、テレビ、自動車、ドライヤー・・・機械と区分される物体たち。それらが井上を護るように周回する。井上は機械たちに向けてプレイングスラッシャーを振るい、引き金を引いた。

 

「―――壊動」

 

 機械たちは砕け散り、井上の身体に装着されてゆく。機械の鎧は正にツギハギ。元となった機械の面影は数えるほどしか存在しない。

 

《再生完了。機械(MACHINE)

 

 ―――エクスマキナ、顕現。

 

《エヴィデンスドライバー!》

 

《調伏之具!》

 

 対する海翔と(とお)もそれぞれのドライバーを腰に装着する。

 

《AUTHENTICATION!PROVE THAT WHO YOU ARE!》

 

《HUMAN!REALLY?》

 

 海翔はエヴィデンスドライバーに人間について記録されたオーパーツ、ヒューマンレコードカードを装填する。

 

「妲己、出番」

 

「仕方ないのう」

 

 (とお)が空中に向けて呼びかけると、虚空から紫色の火の玉が出現。火の玉が調伏之具に封入され、中心のガラス玉が紫色に怪しく光った。

 

 住む世界も、時代も、抱える正義すら異なる二人。しかしこの瞬間だけは同じ相手だけを見据え、同じ言葉を紡いだのだ。

 

「「変身―――」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は昨日の夜まで遡る。

 

『周囲一帯に結界を構築します』

 

 食事を終え、太陽が沈み切った時間帯。最後に確認するように言葉を発したのは四の姫だった。

 

『これによって怪異やエクスマキナが逃亡するのを防ぎます』

 

 机に置かれている地図には五つの点が。その五点を結ぶように赤い線で五芒星が描かれている。

 

『ここからが肝心なのですが、結界内にいる存在に微弱な洗脳効果を付与します。洗脳と言っても人間の、例え幼児であっても無意識に抵抗できる程度のものです』

 

『しかしあの怪異たちは違います。推測になりますが、アレは恨みなどの感情から生まれた存在。怪異ではなく呪いと言った方が正しいかもしれません。怖れから構成され、確固たる意志を持った妖怪とは異なり、微弱すら意思を持っていない。だからこそ奴らだけは洗脳に抵抗できない』

 

『流す命令は『四の姫(わたし)を殺せ』です。これによって結界内の怪異を私に引き寄せ、五郎さん、瀬良様、私の四人で迎撃。この間にエクスマキナを打ち取ります』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、現在

 

 三つの影が乱戦を演じている。手札の一つは無力化し、1vs2と数の優位を取った。にもかかわらず二人の仮面ライダーはエクスマキナを攻めあぐねている。

 

「フッ―――」

 

「シッ―――」

 

 エクスマキナを挟み込み、タイミングを合わせての同時攻撃。即席にしては息の合った攻撃を、しかし機械を纏った戦士は回避するどころか構える様子もなく攻撃を受け入れた。

 

「「―――ッ!」」

 

 しかしてダメージを受けたのは攻撃したヒュームと滅炎の方。一方のエクスマキナは痛痒を受けた様子すらなく短刀で両者を斬りつける。

 

「フン、昨日の戦いを忘れたか?貴様らではこの私に傷一つ付けられん!」

 

《完了、二倍速》

 

 迫りくる純粋なエネルギーの刃。おそらくは機械の「動力」の面を元にしているのだろう。その威力は馬鹿に出来ない。両者は跳躍することで何とか回避する。

 

 このままではジリ貧になる。しかし二人とも無策で作戦に挑んだわけではない。

 

「さあ?そうでもないかもよ」

 

《ONE MORE!PROVE THAT WHO YOU ARE!》

 

 ドライバーを操作して待機状態にし、取り出したのはミュージシャンレコードカード。ヒューマンレコードカードを抜き去ると代わりに装填し、ヒュームを異なる姿へと変化させる。

 

「再証明!」

 

《ALL RIGHT!YOU ARE MUSICIAN!》

 

 肉体に宿すは音楽家の記録。仮面ライダーヒューム、ミュージシャンフォーム。一見して戦闘向きではない姿だがしかし、その性質は「防御キラー」ともいえるものだった。

 

「私が前に出る」

 

「お願い、(とお)ちゃん」

 

 並び立っていた二人は滅炎が前衛、ヒュームが後衛というフォーメーションへと立ち位置を変える。見ての通りミュージシャンフォームは防御力が低い。それこそアーチャーフォームよりもだ。

 

「姿が変わったところで!」

 

 エクスマキナが短刀で斬りかかる。例のエネルギー刃を使用しないところを見ると回数に限りがあるのか。脳内でそう分析しながら滅炎も前に出る。

 

 狙うのは関節部分―――ではなくプレイングスラッシャー。回避は最低限に留め、可能な限り刃を重ねる。

 

 これまでの戦いを見るに相手の攻撃手段はプレイングスラッシャーによるものだけ。これを抑えていればまず負けることはない、滅炎はそう判断した。仮に鬼札を隠し持っていたとしても相当追い詰められなければ使わないはずだ。

 

 その推測は当たっていたらしく、刃を重ねるたびに相手が少しずつ動揺する。

 

 日本刀は平側や棟側からの衝撃には弱い。エクスマキナもそれを知っているらしく、逆に蜘蛛斬りを破壊せんと試みる。しかし技量の方は滅炎の方が一枚も二枚も上手。それを上手く受け流してゆく。

 

 否が応でも滅炎の方に意識が向いてしまうエクスマキナ。それを咎めるようにジャン!という重い音と共にエクスマキナの腕に衝撃が走る。

 

「―――ッ!なんだと!?」

 

 動揺し、思わず刃が鈍るエクスマキナ。その隙を見逃すことなく滅炎はプレイングスラッシャーを大きく逸らし、がら空きとなった胴体にヒュームがエヴィデンスギターのボディを当て、弦を一度引く。

 

「クッ!」

 

 内臓が直接揺さぶられるかのような衝撃に、エクスマキナは大きく後退する。見ると自慢のボディには傷一つ付いておらず、しかし内部には確実にダメージが通っている。

 

「どれだけ硬い装甲でも、音の衝撃波は防げないでしょ?」

 

 挑発するようにヒュームが言う。優位に立ったように見えるが状況はようやくイーブン。ここからはどうやってヒュームの攻撃を命中させるか―――

 

《再生速度、加速開始》

 

「「―――ッ!」」

 

 二人の思考は忽ちに吹き飛んだ。妨害するべくエクスマキナに向けて疾走する二人。しかし一手遅かった。

 

「意外にやる。これだけは使いたくなかったが―――やむを得ん!」

 

《再生完了。四倍速》

 

 エクスマキナに向けて駆けていた足が思わず止まる。目の前を何かがものすごい勢いで通過したのだ。それも一つや二つではない。10、20、30・・・数えきれない。

 

「あれはドライヤー?冷蔵庫、車まで・・・」

 

 引き寄せられているのは所謂「機械」と呼称されているもの。町中にある機械が続々と集結し、エクスマキナの周囲で分解、再構築されていく。

 

「―――どうなってる?」

 

 分解された機械は川のようにヒュームと滅炎の下にも押し寄せ、三人を巻き込んで再び組みあがっていく。隙だらけのエクスマキナを倒そうにも破片の川が妨害して近寄ることすら出来ない。そして―――

 

「―――な!」

 

 突如二人を襲い来る浮遊感。それは一時的なものではなく、断続的に続いてゆく。三人は徐々に空中へと持ち上げられてゆき、町全体がミニチュアに見えるほどの高さまで持ち上げられた。

 

 出来上がったものを簡単に記すならば空中のコロシアム。標高は100mを超えているだろうか。観客席もなく見えるのは一面の青空だけ。凍えるような風が針のように三者を突き刺す。

 

「ハア、ハア・・・これだから使いたくなかったのだ・・・」

 

 下手人のエクスマキナは満身創痍と言った様子で呟く。息は荒く、体のいたるところから血を噴き出している。そんなエクスマキナにヒュームは思わず声を上げる。

 

「無茶が過ぎる・・・どんなシステムで動いているか知らないけれど、プレイスター(怪人)化しても可笑しくなかった!」

 

「成らぬよ。私には、あるお方から与えられた力がある!」

 

 ヒュームの言葉にエクスマキナは自身の胸元を指さして答える。困惑するヒューム。そんな彼に滅炎が耳打ちする。

 

「身体の奥底に妖気が根付いてる。それで暴走を抑え込んでる」

 

 しかしそれでも辛うじて、という風だ。こんな無茶が長時間続くわけもなく、10分もすれば自動的にこのコロシアムは解体される。

 

「ならばその時間内に―――」

 

 二人の背後で何か組みあがる気配がする。・・・否、背後だけではない。前方、左方、右方、斜め―――東西南北コロシアム内のありとあらゆる場所で二人を仕留めるための凶器が生産されてゆく。

 

 ガチャリ、と一斉に銃口が向けられる。このコロシアムの外は空中。逃げ場などは存在しない。

 

「―――貴様らを殺す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁっ!」

 

 少し時間は遡る。決戦の部隊から少し離れた地点では100を超える貌無き者(ノーフェイス)が押し寄せていた。それを迎え撃つのはたったの3人。しかし彼らの顔に疲労感は無かった。

 

 それもそのはず、一帯にはこれでもかと四の姫印の罠が仕掛けられていたのだ。動きを封じる札を初め、触れると小規模な爆発が起こる地帯、霊力を纏った(いばら)が群生している地帯、果てには貌無き者(ノーフェイス)を洗脳し同士討ちさせている地帯と殺意がこれでもかとまき散らされている。

 

 ほとんどの貌無き者(ノーフェイス)は罠にかかって消滅してゆく。それでも生き残った幸運な個体には―――

 

 ズドン!

 

「・・・クリア」

 

 ご褒美として刃と弾丸のどちらかが与えられる。殲滅は至って順調。大結界の維持のために四の姫が動けないことを加味しても、まだ余裕がある。

 

「どうですか詩音殿?その武器の使い心地は」

 

「感謝してます、四の姫さん。お陰でレコードカードに頼らずとも怪異を倒せています」

 

 そう、四の姫が使用しているのはインベスティマグナムではなく零課支給の拳銃だ。勿論、対プレイスター用として相応の魔改造はなされているが、神秘を纏っていない以上怪異を殺すことは出来ない。そこで前日に四の姫が拳銃に細工し、弾丸に霊力が付与されるように術式を刻んでいたのだ。

 

 付与される霊力は微弱。しかし貌無き者(ノーフェイス)相手にはそれで充分。

 

「そちらは?」

 

「こちらも予定通りです。後半刻は持たせられるでしょう。あとは―――」

 

 ―――二人がエクスマキナを倒すだけ。そう言おうとしたとき、ゴゴゴゴゴ、と地面が振動し始める。

 

「なんだ、これ!」

 

「あれを見てください!」

 

 四の姫の言葉に釣られて残る二人も視線を向ける。そこには巨大な塔が聳え立っており、その影が彼らを覆いつくす。呆れるほど高い建物。平安生まれの四の姫と五郎どころか、現代人の詩音でさえこのような建物は目にしたことがない。

 

「伊藤君・・・」

 

(とお)の奴、無事だろうな・・・」

 

 震源地にいるであろう友の安否を案ずる。しかし気を抜くことは出来ない。彼らが立っている場所もまた戦場なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ、再証明!」

 

《ALL RIGHT!YOU ARE SABER!》

 

 銃口が火を噴く。その直前、ヒュームは咄嗟にセイバーフォームへとフォームチェンジしていた。

 

 その判断が彼の命を救う。大急ぎでエヴィデンスカリバーを創造、刀身を簡易的な盾とするが当然全ては防ぐことが出来ない。必然的に残りは自らが受け止めることになる。防御力が低いミュージシャンフォームでは間違いなく耐え切れなかっただろう。

 

「―――!」

 

 一瞬遅れて滅炎も紫炎の壁をヒュームと自身の周囲に発生。只の炎では無意味であったが、そこは大妖怪の力を宿した炎。銃弾は飲み込まれるや否や溶けてその役割を喪失した。

 

 一先ずは安心、と一息ついたのも束の間、一部の弾丸が炎をすり抜けて滅炎の肩に命中したのだ。

 

「―――っ」

 

(とお)ちゃん!―――クッ」

 

 続いてヒュームの足に命中。何故炎をすり抜けたのか、それは(とお)の中にいる大妖怪が答えを導き出していた。

 

『妖気を纏わせておるのか!?厄介な・・・』

 

 ご丁寧にも弾薬の中に高密度の妖気を纏わせた弾丸が紛れていたのだ。これに合わせて火力を上げることは出来る。しかし長時間の維持は困難となり、エクスマキナの限界が来る前にこちらがガス欠する。そうなればハチの巣となってゲームオーバーだ。

 

「使うか?これを―――」

 

 絶体絶命の中、ヒュームが取り出したのはE-ジェネレーションバックル。しかしこちらにも時間制限という特大のデメリットが付いている。

 

 エレクトリックであれば弾丸の雨をすり抜けることが出来るだろう。しかしエクスマキナの装甲を突破できない。

 ブレイズであれば必殺技を何度も叩き込めばエクスマキナの装甲を突破できるだろう。しかし弾丸の雨を攻略できない。

 

「―――ッ!」

 

 再びヒュームに弾丸が命中する。致命的ではないが着実にダメージを与えられている。このまま閉じこもるのは一番悪手だ。

 

「なら―――ッ!」

 

 高速で接近し、一撃或いは二撃でエクスマキナを倒しきる。そう決意してE-ジェネレーションバックルを装填しようとした瞬間―――

 

「させんッ!」

 

「ッ!」

 

 ヒュームの手の甲が的確に撃ち抜かれ、思わずE-ジェネレーションバックルを弾き落とされてしまう。慌てて拾おうとしたが再び足を撃ち抜かれ、その場でうずくまる。

 

「―――」

 

 反応したのは滅炎。これは逆転の切り札。なければ勝利は不可能に等しい。そう訴えかける本能に従いE-ジェネレーションバックルを拾い上げる。

 

 彼女の誤算はただ一つ。数㎤というごくわずか、しかもコロシアムの端側と限定的な条件でのみ、エクスマキナはことフィールドを自在に操ることが出来たという点だ。

 

「あ―――」

 

 あるはずだった足場が、無い。滅炎は物理現象に基づいてE-ジェネレーションバックルごと空中へと追い出された。

 

「―――先ずは、一人」

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