ここは日本のとある街中。
普段と変わらぬ風景が続く中、一つ異様な建物がある。その建物は並の高層ビルはおろか、東京タワーやスカイツリーを遥かに上回る超高層マンションであり、今なおその高さは伸び続けている奇妙なマンション。
その名はビットキャッスル。この物語はこのマンションに住む者たちの新たなる冒険談である。
ここはビットキャッスルのロビー。
どことなく中世のような雰囲気が漂っている内装で、管理人のスペースもここいある。
そこで一人のメガネを掛けた男がパソコンで仕事をしていた。
「ふぅ、とりあえずこの辺で休憩に入るか。」
そう言って男は伸びをする。彼の名はセイコー。ビットキャッスルの管理人であり他のメンバーたちのリーダーである。温厚な性格だがメンバーの中で一番経験豊富であり、いざという時はリーダーとしてみんなをまとめる。
「セイコーは大変だねぇ。いつも管理人の仕事で忙しくて」
ソファーにくつろぎながら帽子を被った冒険者風の男が言う。
「まったくだよ。無職で気ままに放浪してるタカティンが羨ましくなる時があるよ。」
「無職って言わないでよ!!僕は冒険者っていうちゃんとした職業なんだから」
タカティンと呼ばれた男は憤慨した様子を見せる。
彼はタカティン。穏やかで優しい性格の冒険者なのだか、心なしかビットキャッスルにいる時間の方が長い気がする。
「まぁそれは置いといて、セイコーが休憩するなら僕も休憩するニョ。」
そう言いながら「外」という帽子を被った男が機械を修理する手を止めた。
彼の名はマスーニョ。ビットキャッスルのエンジニアであり今まで様々なメカを開発してきた。昔は完全な箱型だったのだが、いろいろあって今は完全な人型になっている。
マスーニョはソファーから立ち上がりお菓子を取ってこようとするがその時、
「ランタンターン!!お菓子とお茶をお持ちしましたのラ!!」
なんとも可愛らしい外見の小さなロボットがお菓子とお茶を乗せたお盆を運びながら登場してきた。
彼の名はランたん。マスーニョが作ったロボットであり、セイコーたちと同じくビットキャッスルで働いている。基本的的に可愛らしい性格だか、生みの親のマスーニョに対しては辛辣である。
「お〜ランたん気がきくじゃないか。しかも僕の好物の3色団子まで!」
自分の好物が入っていることにご機嫌なセイコー。さっそく食べようとランタンが持っているお盆に手を伸ばそうとしたその時、
「おーい、セイコー!313階の掃除終わったぜー!」
ツノのついたヘルメットを被った青年が銀髪の青年を連れてやってきた。
「お、うまそうな物あるじゃねえか。俺たち掃除してきて今疲れてんだよ。ナポリタンでも出してくれねぇか?」
そう少し偉そうに銀髪の青年は言う。
彼らの名はヘルメットを被っている方の青年はレン、銀髪の青年の方ばゾースと言う。
レンはセイコーたちがビットキャッスルで働く前のある事件で知り合い、その後色々な事件を共に解決してきた仲間だ。
ゾースは出会った頃は敵対していたが、その後色々あって和解し、今ではレンと凸凹コンビのような関係を築いている。
そんな二人を見ながらセイコーは少し呆れた顔をしながら言う。
「あのねぇ、掃除に行くって出発してからまだ20分しか経ってないじゃないか。ほんとはやってこなかったんだろ?この前だってそうだ。露天風呂の掃除頼むってお願いしたのに後から住民の皆さんから中途半端にしか掃除されてないって苦情きたんだよ?」
「うるせえな!大体あんな巨大な露天風呂を全部掃除しろとか無理ゲーだろうが!!」
「まぁまぁゾース、落ち着けよ。でもさセイコー、俺たち腹ペコなんだよ。だからなにか食べさせてくれよ〜」
怒るゾースを宥めながらレンがセイコーににお願いしている中、ロビーに新たな人物がやってきた。
「おーい、今日のパトロール終わったぜー」
ロビーに勝気な雰囲気の女が入ってきた。彼女の名はアスミン。ビットキャッスルの警備員だ。性格は気が強く男勝りで、ビットキャッスルのメンバーの切り込み隊長とも呼ばれている。
「あぁ、アスミン。悪いんだけどもう一仕事してくれない?66階の怨念と恐怖の部屋に最近異常が報告されてるんだ。ちょっと見てきてくれない?」
「えぇ!?嫌だよあんな部屋!!あたし入ったことないけどドアの前の時点でいかにも妖しげな雰囲気が漂ってるじゃねえか!?」
露骨に嫌そうな素振りを見せるアスミン。実は彼女はこう見えてお化けなどの類のものが大の苦手なのだ。
「そうは言っても仕事は仕事なんだか、行かなきゃダメニョ」
「ええ、そんなー」
いやがるアスミンをマスーニョが無理やり行かせようとしたその時•••••
異変が起こった。
ガタガタガタッ!!!
突如、ロビーを大きな揺れが襲う。
「な、何だ!?地震!?」
よろめきながらレンが呟く。その時、タカティンが異様な光景に気付く。
「み、みんな!!窓を見て!!!」
一同が窓をみるとその光景に驚愕する。
何と、窓の風景が虹色の空間に変化しているではないか!!
「こ、これはいったいどういうことなのラ!?」
揺れが続く中、ランたんが困惑する。
マスーニョがすぐさま手元にあったパソコンを使ってこの現象を調べ始めた。そんな中でも揺れは続く。
「おいマスーニョ!!どうなってるのか分からねぇのか!!」
ゾースは慌てながらながらマスーニョを急かす。
「落ち着くニョ。原因が分かったニョ。今このビットキャッスルはワームホールに吸い込まれているんだニョ!!!」
「ワームホール!?それってどういうことなんだ!?」
セイコーが説明を求める。
「このビットキャッスルが立っている地面に突如ワームホールが出現したんだニョ。そしてそのワームホールは今、下層からどんどんビットキャッスルを飲み込んでいるんだニョ!!!」
「何だって!?もしビットキャッスルが全部吸い込まれちまったらどうなっちまうんだよ!?」
パニックになりながらもアスミンが聞くが、マスーニョの回答は無常なものだった。
「それは•••••分からないニョ」
「そんな•••••」
そんな時、レンが異様な光景に気付く。
「お、おいみんな!!あれ見ろ!!!」
なんと、レンが指差した方向には白い巨大な光が迫っていた!!!
その光はどんどん大きくなり、ついにはセイコーたちを飲み込んだ。
「「「「「「「うわぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」」」」」」」
街中にそびえ立つ超高層マンション、ビットキャッスル。この日この建物は突如発生したワームホールによって屋上まで全て吸い込まれてしまった。
なぜビットキャッスル編で書こうと思ったかと言うと、単純に作者がその世代だからです。