「う、うーん」
いったいどれくらいの時間が経っただろうか。セイコーは眠りから目を覚ました。
「あ、セイコー起きたんだね」
セイコーより早く起きていたらしいタカティンがそう言う。見ると他のメンバーも起き始めている。
「マスーニョ、いったいどうなってしまったのラ?」
ランたんが不安そうに尋ねている。
マスーニョはと言うと、パソコンを相手に真剣な表情で向かい合っている。
「大丈夫だニョ。今分析が終わったニョ」
「おお!さすがはマスーニョ、仕事が早い!で、いったいどうなったんだ?」
マスーニョの仕事の速さに感心しつつアスミンが尋ねる。
「うん、簡単に言えばこのビットキャッスルは異世界に転移してしまったんだニョ」
「「「異世界に転移!?」」」
マスーニョの発言に一同は驚く。当然だ。いきなり異世界に転移したと言われても脳の処理が追いつかないだろう。
「まぁ落ち着くニョ。転移したといってもドラゴンや魔王がいるファンタジー世界じゃないニョ。別世界の地球に転移したんだニョ」
「なんだ、それだったら少しは安心だな。次元が違うとはいえおなじ地球なんだろ?」
ゾースが安心したように呟くがマスーニョの表情は険しい。
「いや、それがそうとも限らないんだニョ。実際に見てみたら早いと思うからみんな外に出るニョ」
そして、マスーニョに連れられて外に出た一同は驚くべき光景を目にする。
「こ、これは•••」
「街の建前が•••」
「軒並み崩壊してるじゃねーか!?」
そう、ビットキャッスルの周りの建物が軒並み崩壊していたのだ。高層ビルは真っ二つに折られ窓にはあちこちにヒビが入っており、住宅街にいたってはまるで爆発でも起こったかのように木っ端微塵だった。さらに言えば空にも少しも光が見えず、真っ暗な雲が覆っていた。
「ご覧の通り、なんらかの原因でこの世界の街は軒並み荒廃し切ってるんだニョ」
マスーニョの言葉に途方に暮れる一同。異世界に転移した上に転移した先がこんな有り様なのだ。こうなるのも無理はないだろう。
しかし、彼らのリーダーは他のメンバーよりいち早く立ち直りこう告げた。
「•••とにかくこの世界のことを探索してみよう。もしかしたらビットキャッスルが突然転移した理由が分かるかもしれない。レン、ゾース、街に出てこの辺りを探索してくれ。僕たちはキャッスルの中から調べてみる」
そう力強くセイコーは言った。普段はのほほんとしているが、いざという時はこうしてメンバーをまとめて先に進む道を示せるから彼はリーダーたりえるのだ。
「分かった。よし、ゾース行くぞ!!」
「言われなくても分かってる」
こうして当面は二つのチームに分かれて動くことになった。外で情報を収集するレン•ゾースチーム、ビットキャッスルの中からこの世界の解析を進めるセイコーチームの二つに。
「とは言ってもよぉ、どうやって手がかりを見つけりゃいいんだ?」
出発してしばらく経った頃、崩壊した街並みを歩きながらゾースが愚痴る。
「大体アスミンはなんでいないんだよ?あいつビットキャッスルの切り込み隊長って言われてるんだから俺たちと一緒にくるべきだろ!!」
「アスミンはこの不安定な時にキャッスルの治安が悪くなるのを防ぐために治安維持でキャッスルにいるんだから文句言うなよ」
「ほーん。じゃあレン、お前は何か手がかりを見つける方法でもあるのか?」
「それは•••まぁ歩いてりゃそのうち見つかるだろ!」
「はぁ!?お前はいつもそうやって見切り発車で始めやがって!それで迷惑を被るのは誰だと思ってんだよ!」
「いや、それいうならゾースお前だって人の事言えないだろ!ほら、この前ゲームの部屋に行った時だって•••」
いつも通りの言い争いを始めた二人。その背後に謎の影が迫っていた。
カサッカサッ
音を聞いた二人はすぐさま後ろを振り向く。そして•••••
「な、なんだよこれ•••」
「窓ガラスの•••怪物?」
そう、二人が目撃したのは、レンの言うようにビルや住宅で使われるであろう窓ガラスがいくつも合体してまるで怪物のようになった異形だった。
グオン
窓ガラスの怪物は自分の一部である窓ガラスを二人に向かって投げつけてきた。
「うおお!!?」
咄嗟に身を躱して避ける二人。そして二人は顔を見合わせた後、一目散に逃げ出したのだった。しかし、窓ガラスの怪物も追いかけてくる。
「なんで異世界にきて早々こんな目に遭うんだよー!!!」
「俺に聞かれても知らねーよ!!」
異世界に転移したビットキャッスルのメンバーたち。彼らの冒険はまだ始まったばかりである。
アスミンの歴代衣装ばぶっち切りでキャッスル期が好きです!めっちゃかわいい!!!