終了してほしくなかったですね。
河口湖でのホテルジャック事件から数日が経ち、黒の騎士団は文字通り正義の味方として悪事を働く悪党を断罪していた。
「この前が悪徳企業にその前は物資の横領だろ。それ以外にも色々とこの短期間で凄いな」
「………それで話って何なの?」
黒の騎士団と学園という二重生活で若干寝不足なっているマーヤは八雲に呼び出されて屋上に来ていた。
「実はゼロに連絡を取ってほしくてな」
「ゼロに連絡を?」
「ああ。これから協力するにあたって、一度は顔合わせをしていたほうがいいだろ?」
「確かにそうだけど。そう簡単に外に出れるの、有名人さん?」
からかうように言うマーヤに八雲は顔を少ししかめながら頭を掻く。
「やめてくれ。用務員の先輩や生徒からずっと質問されて大変なんだ」
ホテルジャック事件以降、八雲だけでなくミレイ達も学園内で他の生徒達から質問攻めされている。
そのうえ学園の外にはミレイ達へインタビューしようとマスコミがまだいるのだ。
「とりあえずゼロには顔合わせしたいことを伝えておくわ」
「ありがとう。一応これ渡しとくよ、俺の携帯の番号」
「わかった。それじゃあ何かあればこの番号に連絡するね」
そして、授業に遅れない様にマーヤは教室に戻り、八雲は今日の用務員の仕事へと戻るのであった。
いつも通り仕事を終え、クラブハウスの自室で休んでいた夜の時間。
「電話?誰からだ?」
携帯に着信が入り出ると、予想だにしなかった人物からだった。
「っ!?ゼロ…………もしもし」
画面の発信者名にZEROと表示されていた。
「初めましてかな、八雲・アルステア?」
「ああ、初めましてだな。とはいえまさかこんなに早く連絡が来るとは思っていなかったかよ」
「何、私としても君には興味があったからね」
「それは光栄だな。こっちとしても今話題の有名人に興味を持たれていたことにびっくりだ」
「用件は手短に済ませよう。明日指定するポイントに時間までに来てほしい。君の機体も一緒にだ」
「機体も?」
「ああ。そこで他の団員達との顔合わせをする」
「…………わかった。できれば物騒なことにならないことを祈るよ。ああ、それとできたらトレーラーを一台用意してほしい」
「何?…………いいだろう、こちらでトレーラーを一台用意しておこう。それでは、明日会おう」
ゼロから電話が切られ、八雲はベッドに倒れこむ。
「まさか今日連絡来るとは。………緊張するなぁ」
ゼロから連絡受けてから翌日。
八雲は急な用事のためという理由でどうにか休みをもらうことができた。
そして、バスを利用して指定されたポイント近くへ向かう。
指定された場所はサイタマの山中。
「できればトレーラーとか借りて偽装したかったけど、免許がないからな………」
機体は配置できる場所ならどこでもだせる。
だが、どうやって持ち運んだのか聞かれたらが問題なのだ。
普通にトレーラーに載せたって言えば、不自然に思うものはいないだろう。
そのトレーラーをレンタルする際に免許証などの提示を求められたら。
それらを持っていないから八雲はこうして交通機関で目的地に向かっている。
「情けないよな………」
ちょっと落ち込みながらもバスは目的地近くの停留所に到着した。
「着いた。ここから移動だ」
指定された時間まではまだ余裕はあるが、機体の問題があるため急ぐのであった。
「指定されたポイントは………ここだな」
あぜ道に見渡す限りの緑。
「準備は早々に済ませよう」
ハロコンを取り出して、あのサイタマゲットーの戦闘から修理が完了しているケンプファーを配置する。
コックピットに搭乗して機体を起動する。
そして、機体を木々の中に隠れるように潜ませる。
「よし。あとは時間まで待とう」
そのまま待っていると、2台のトレーラーが近くに停車した。
その2台のトレーラーから青色と赤色にカラーリングされたKMFが起動している。
起動したKMF“無頼”に八雲はケンプファーを立ち上がらせて姿を見せる。
「なんだよありゃ!?」
「全員落ち着け。彼は敵じゃない味方だ」
姿を見せたケンプファーに赤色の無頼と周りの団員達に対し、ゼロは落ち着くように声をかける。
コックプットを開き、ゼロ達に姿を見せる。
「随分と早い到着だな」
「新参者だからな。あまり遅れるわけにはいかんだろ」
「ゼロ、彼は?」
「我々の新しい仲間だ。名前は……」
『ゼロ、ファクトスフィアに反応あり。ブリタニアの装甲車が3台向かってくる』
マーヤからの通信にゼロは向かってくる装甲車へ向き直る。
「そうか。彼の紹介はあとだ。君はそのまま隠れてくれ」
「了解」
それからはゼロとブリタニア軍の兵士達のリーダーとの話し合いが始まった。
「なるほど。だから機体も一緒ね」
見た感じブリタニア軍の一部の兵士たちが黒の騎士団への合流を申し込んできたのだろう。
だが、その申し込みが罠である可能性もあるため、KMFを持ち込んだ上にこのケンプファーで備えるということなのだろう。
ゼロとリーダーの話が終わり、彼らはこの場を離れていく。
話し合いが終わったのを見計らって、彼らの傍によって機体を停止する。
「そういえば、それであれは何なんだよゼロ?」
団員である玉城の言葉に他の団員達もケンプファーを見る。
「彼について今から紹介しよう。降りてきてくれ!」
コックピットを開き、八雲はワイヤーに足を掛けて地上に降りる。
2機の無頼からもマーヤと赤い髪の少女が降りる。
「紹介しよう。新しく仲間になった八雲だ」
「八雲・アルステアです。よろしくお願いします」
しっかりと頭を下げて挨拶をする八雲。
そんな八雲に団員達はどう接すればいいか困惑する。
「彼は優秀なパイロットだ。シンジュクではたった1機でブリタニア軍の部隊を撃破する実力を持つ」
「しかしだな、急に言われても………」
「困惑するのは当然だ。だが、彼の身元に関しては問題ない。私と百目木が保証しよう」
「けどよぉ、この機体は何なんだ?KMFとは違うみたいだしよ」
「あ、この機体はKMFとは別系統の技術の機体です。これに関してはあまり話せません」
「話せないって本当に大丈夫なのか?」
流石にMSのことを詳しく話せないため、別系統といって誤魔化す八雲に他の団員達は不安そうにする。
「ひとまずはここを離れよう。彼を受け入れることはすでに決定事項だ」
「そうか。まあ、そこまで言うんなら大丈夫なんだろう。俺は扇だ、よろしくな」
「こちらこそよろしくお願いします」
どうにかゼロのお陰で黒の騎士団に合流した八雲。
頼んでおいたトレーラーにケンプファーを積み込んだところで、八雲は自分をじっと見る赤い髪の少女に気づく。
「あの、何か?」
「…………何でもない」
「カレン!行くぞ!」
「わかった!」
カレンと呼ばれた少女は赤色の無頼の下に戻るのであった。
「カレン?いやでも、あの声は………」
先程の少女が八雲の知るカレンと同一人物なのかと、帰り道に考え込むのであった。
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