仮面の人物“ゼロ”。
奴が起こしたあの事件から翌日。
租界ではゼロの話題で持ちきりだ。
クロヴィスを殺したことを告白し、枢木スザクを奪取してあの場から逃走することに成功した。
そのせいでエリア11ではテロへの警戒を強めている。
といっても指揮官であったジェレミアがゼロを逃がしたせいで、ブリタニア軍は内部を統率できてなさそうだ。
「まあ、今の俺じゃ知られる情報は限られてるけど」
それらの情報は基本的に街頭テレビと八雲の憶測だ。
こいつでネットを調べられたいいけど、流石にそう都合よくはいかないか。
懐にあるハロコンに触れながら、ゲットーを散策する。
MS以外何もない八雲は何か使える物がないか探し始めている。
「やめてください!暴力は!」
「ん?何だ?」
騒がしい声に足を運んでみると、2人組の学生が3人の日本人に絡まれているところに、サングラスをかけた見覚えのある少年が割って入っている。
そんな少年を払った手がサングラスに当たって外れてしまった。
「やっぱり枢木スザクだ」
日本最後の内閣総理大臣“枢木ゲンブ”の息子で、ゼロが助け出したクロヴィス殺しの容疑者だった人物。
日本人達もスザクだと気づき、このゲットーに来ていることに驚いている。
「けっ!こいつはただの奴隷だよ!何が名誉ブリタニア人だ。嬉しそうにしやがって、プライドも魂もブリタニアに売って、それでも日本人か!」
「違う!僕は!」
「違わねえんだよ!このブリタニアの犬があぁ!?」
男の言葉にスザクは否定するも聞いてはもらえず、男はスザクへと殴りかかった。
スザクは殴ってきた腕と服を掴み綺麗に投げ飛ばした。
男は背中から地面に叩きつけられていた。
「うわぁ……痛そう。っと、バレないうちに離れよう」
受け身も取れずに叩きつけられた様子を建物の陰から見ていた八雲。
バレて顔を見られて覚えられるわけにはいかないため、そそくさとその場を離れるのであった。
「それにしてもまさか話題の人物をみつけることになるとはな。その後の銃声が聞こえたし、離れてよかったかも………ん?」
なるべく人に見られない様に離れた後、その後に銃声が聞こえたのだ。
何事もなく離れられたことで一安心していると、日本人達に絡まれていた2人の学生を見つけた。
カメラを構え、何かを撮っているようだ。
「あれは………」
2人組が撮っていたのはマーヤだった。
「くふふ。誰だか知らないけど知らないけどこの写真を学校に送りつけたら、学生生活終わるな」
その声を聞いた八雲は2人に気づかれない様に背後に回る。
そして、2人の首に腕を回し力を込める。
「がぁっ!?」
「ぐぇっ!?」
突然首に腕を回され、力を込めて締め上げれらた2人は小さな声を上げる。
「そういうことをされると困るんだよなぁ。それに………お前たちも同じように写真を撮って学校に送ってやろうか?」
顔を見られない様に強めに力を入れているため、2人は苦しそうに腕を叩いている。
「一度しか言わない。カメラを捨てて二度とゲットーに来るな。もし来たら………わかるよな?」
八雲の問いかけに2人は何度も首を縦に振る。
「ならいい。振り返らずにそのまま走れ。俺は見ているからな」
「「うわぁぁぁ!!」」」
首に回していた腕を放すと、2人はカメラを投げ捨て悲鳴を上げながら走り去って行った。
2人が見えなくなったことを見届けた八雲は投げ捨てられたカメラを拾う。
「これで問題ないが……念のため注意しとくか」
翌日、八雲はカメラを手にアッシュフォード学園に向かう。
場所は以前ミレイに連れてこられたときに覚えている。
どうにか迷うことなく学園に到着する。
「来ることはできたけど、ここからどうしようか………」
はたから見れば不審者が学園入口をうろついていると見られてもおかしくはない。
「何してるんですか?」
頭を悩ませる八雲は声をかけられ振り返る。
「えっと……確か、シャーリー……だよな?」
「はい!それで何してるんですか?」
声をかけてきたのはシャーリーだった。
入口で佇む八雲に声をかけてくれたのだ。
「あ~実はマーヤに用があったんだけど、部外者が勝手に入るわけにもいかなかったからどうしようかと」
「そうなんですね。う~ん………あ!ちょっと待ってくださいね」
シャーリーは携帯を取り出すと、誰かと電話し始める。
「わかりました!八雲さん、入って大丈夫ですよ!」
「えっと……誰に電話してたんだ?」
そんなあっさりと学園の入場許可が取れたことに、八雲はちょっと不安になる。
「ミレイ会長に聞いたら大丈夫ということです。ただ、生徒会室で待っていてほしいって言ってました」
「生徒会室……は何処に行けばいいんだ?」
「案内しますね。付いてきてください」
「何から何まですまない」
「気にしないでください。それでマーヤにどんな用があるんですか?」
「それは………とても、とても大事な話があって」
マーヤへの要件を聞かれ、濁しながら答える。
「え!?大事な話ってもしかして……告白ですか!」
まさかバレてしまったのかと思うも、全然違う問いに思わずこけそうになる。
「違う違う。そう言うことじゃないよ」
「違うんですか?それじゃあどんな話なんですか?」
「こればっかりはマーヤ本人に言わないといけないことだからね」
そして、シャーリーに生徒会室があるクラブハウスへ案内される。
「生徒会室は入ってすぐの左の部屋ですから。それじゃあ私は朝練に行ってきますね」
そう言ってシャーリーは手を振り、足早に去っていった。
「元気だなぁ……行くか」
ドアを開けてクラブハウスに入り、言われた通りに左の部屋に入る。
そのまま椅子に座り、八雲はマーヤが来るまで待つ。
そうして待っていると、誰かが生徒会室に入ってきた。
「……何でここにいるんだ?」
入ってきたのはルルーシュだった。
「マーヤに用があってな。用が終わり次第出るから待っててくれ」
「わかった。……ちなみにどんな用事なんだ?」
「あ~ちょっとマーヤに注意というべきか警告というべきかな」
「警告?」
八雲の言葉にルルーシュは眼を鋭くする。
「あの、お待たせしました」
「待たせてごめんね~。あれ、ルルーシュもいるの?」
そこへマーヤとミレイが生徒会室へ入ってきた。
「いえ、人がいるのを見かけて入ったら彼がいたもので」
「そうなの。まあ、急だったからね。それでマーヤにどんな用事なの?」
ミレイに尋ねられ、八雲はカメラを取り出してマーヤに手渡す。
手渡されたマーヤはカメラを操作する。
「えっ……これって……」
そして、ゲットーを出るとこを撮られた写真を見つけて驚愕の声をあげる。
「その写真はゲットーに遊び気分で来ていたここの学生が色々あった腹いせに撮ったものだ」
「…………そう。確かにゲットーに行くのは別に犯罪じゃない。でも、危険だから学校では禁止していること、知っているわよね?」
「はい」
「俺も別に大事にしたいわけではないから、できれば大目に見てやってくれ」
「それでわざわざ注意のために来たと?」
「ああ。遊び気分で来ていた学生達と違って、マーヤなりの理由があるのは知っている。それでも、この写真でよからぬことをする奴もいるから注意をと思ってね」
それにマーヤはともかく遊び気分で来ていた学生も悪いのに、日本人に絡まれた腹いせに写真を撮って学園に送ろうとしていたのだ。
正直あの学生たちのほうが質が悪い。
「そうなのね。……ねえ、今の話だと八雲はゲットーによく出入りしているの?」
「というよりゲットーで寝泊まりしてるかな。何しろ身分を示す物をなくしてしまってな」
それっぽい理由で八雲は苦笑しながら誤魔化す。
少し前まで危険な兵器を所有してましたなんて、口が裂けても言えない。
「それじゃあさ、うちで働かない?」
そこへ思わぬ勧誘をされる八雲であった。
読者の皆様、今年も本作品を読んでくださりありがとうございました!
来年もどうか宜しくお願い致します。
それでは皆様、良いお年を!