「ねえ、ルルーシュ。実はもう1人仲間に引き入れたほうがいい人がいるの」
「何?いったい誰なんだ?」
アッシュフォード学園の地下倉庫。
そこでマーヤはルルーシュに案内され、訓練用に横流ししてもらったKMFのシミュレーターを見せられた。
そして、来るべき日までこのシミュレーターで訓練するように言われる。
その時にスザクを仲間に引き入れるべきではと聞くも、スザクは中からブリタニアを変えるとルルーシュの誘いを断った。
「シンジュクで白いKMFと戦った青い機体を覚えてる?」
「ああ。わずかだったがあの白い奴相手に渡り合った青い機体。見たところ既存のKMFとは全く別のように見えた」
「うん。その機体のパイロットなんだけど」
「まさか……パイロットが誰かわかったのか?」
「ううん。ただ、あの機体のパイロットが……八雲かもしれないの」
「八雲………あいつか」
八雲・アルステア。
名前以外は一切の素性が不明の青年。
名前からして日本人とブリタニア人のハーフかもしれない。
ミレイによってクラブハウスで住み込みで働いていている。
「本当に奴があの機体に乗っていたのか?」
「確実とは言えないけど、通信してきた声が彼の声のように聞こえたから」
「そうか。確かに単機で敵部隊を撃破する戦力が仲間になるのは心強いが、駄目だ」
「やっぱり、そうだよね」
「ああ。八雲があの機体のパイロットだという可能性があっても、仲間になるとも思えない。それに下手に誘うのも危険すぎる」
こちらの味方になるかわからないうえに、逆に自分達のことをブリタニアに通報される可能性もある。
マーヤとしてもルルーシュの言い分は理解できる。
あの時はブリタニアがシンジュクの住民を殲滅行動をとっていたから、生き残るために戦っただけなのかもしれない。
「今は奴のことを詳しく調べよう。仲間に誘うのはそれまで保留だ」
「わかった。私もそれとなく調べてみる」
「あまり目立つ行動はするなよ。あの写真のこともある」
「うっ……その件はごめんなさい。」
「八雲のお陰とは言え、次も同じようになるわけではない」
「うん。気を付けるよ」
それから数日が経ち、今日は休みの八雲は租界に自分の日用品の買い出しに来ていた。
「とりあえず安い機種だけど携帯は買えたと」
やはり携帯は日常生活で必要な物の一つだ。
「後は服とかかな」
必要な物を頭の中でリストアップしていると、視線を街頭モニターに移す。
「軍部はテロリストが潜伏するサイタマゲットーに対し、包囲作戦を展開中です」
アナウンサーが軍の作戦行動を報道している。
「コーネリア総督も現地入りしたため、サイタマゲットー周辺に立ち入り制限が発令されました」
「コーネリア総督……ね」
コーネリア・リ・ブリタニア。
亡くなったクロヴィスにかわって新しくエリア11に着任した皇女。
ネットではブリタニア皇族でありながら最前線で、高度な指揮能力と優れたKMF操縦技術をもつ帝国きっての女傑とのことだ。
「わざわざ報道するってことは……狙いはゼロかな?」
正直ただのテロリストぐらいにこんな報道をするのだろうか。
そうでなければ考えられるのは皇族殺しのゼロと八雲は推測する。
「まあ、だから何だという話だけどね」
別に自分はゼロがどうなろうと関係ない。
「(そういえば………まさかな)」
一瞬思いだしたのはゼロがスザクが連れて逃げた時。
わざとパニックになるように発言したマーヤ。
マーヤはゼロの協力者なのかと思ったがかぶりを振る。
幾らなんでもと思い、モノレールに乗るために駅へ移動する。
それからモノレールが来るまでしばらく待つ。
「………ん?今のは?」
高速を走る1台のバイクが目に入った。
一瞬だったが乗っていたのはマーヤらしき少女と緑色の髪の少女。
「行先は………まさか!?」
行先をすぐさま地図で確認する。
「行ってみるしかないか」
八雲は急いでサイタマ方面に向かうモノレールを探し始める。
それから急いでサイタマ方面に向かうモノレールに乗り込む。
だが、サイタマ方面へ向かう道は封鎖されだいぶ遅くなってしまった。
どうにか公共交通機関を乗り継ぎ、最後は走ってサイタマゲットーが見える場所に到着する。
「報道通りに包囲網が引かれてるな」
物陰に隠れながらどうすべきか八雲は思案する。
一瞬見えた少女がマーヤかどうかわからない。
だが、もしそうなら見捨てるわけにはいかない。
「(陽菜たちの大切なお姉ちゃんだからな)」
恩人のために決心した八雲は人気のなく、広い場所へ移動する。
懐からハロコンを取り出し、目の前にケンプファーを配置する。
機体に搭乗し荷物を邪魔にならない様に置く。
「こっちが逃げることを考えて………あまり時間がかけられないな」
たった1機で出来ることなんて限られている。
その上これから戦うのはクロヴィス率いる部隊とは比較にならないはずだ。
「そんじゃ、いくぞ!」
機体を前傾姿勢でスラスターを全力で噴かす。
ショットガンではなく、ジャイアント・バズIIを構えて包囲していた装甲車を撃つ。
撃破した装甲車を横目に、そのままサイタマゲットーへ進入する。
「何?わかった、姫様」
「どうした、ダールトン?」
司令部であるG-1ベースのコンダクトフロアにて将軍の”アンドレアス・ダールトン”は包囲部隊から通信を受ける。
「南側に展開していた包囲部隊が所属不明機から攻撃を受けたと」
「ほう?」
すでにテロリストは掃討し、作戦は終了している。
「報告にあった例の所属不明機か?」
「おそらく。報告では一つ目の青い機体だと」
「一つ目の青い機体だと!?」
シンジュク事変にいた助役たちもその時の報告は覚えており、再び現れた所属不明機に騒ぎ始める。
「どうみる?」
「ゼロの協力者であるかは現状では不明です。現に援軍のタイミングにしては不自然かと」
「確かにな。どちらにせよ敵であることには変わりはない」
「それでどうされますか?破壊しますか?」
「………いや、できるなら捕獲しろ。ゼロの協力者でないにしろ、機体からバックにどこがついてるのか吐かせろ」
「かしこまりました。ゼロの方は?」
「今は泳がせておけ。どうせ奴は近くに潜んでいるはずだ」
それからダールトンはギルフォードに青い機体の捕獲を伝達するよう指示する。
「(戦闘の様子はない………すでに戦闘は終わっているのか?)」
包囲を突破してサイタマゲットーへ進入したケンプファー。
しかし、すでにテロリストは掃討されて戦場は静まっている。
「(すでに終わっているならこっちも引き上げたほうがいいな)」
戦闘が終了した場所に長く留まれば、敵の援軍を派遣して来る。
そう考えていた矢先、こちらに迫ってくる駆動音が耳に入る。
サザーランドの発展型であるKMF”グロースター”3機がランスを構えて接近してくる。
ケンプファーは頭部バルカンで牽制すると、3機は散開し始める。
ケンプファーは周囲を警戒しながら後退し始める。
すると横から1機のグロースターがランスを突き出す。
横合いから突き出されたランスを、ケンプファーは上体を捻って回避する。
鋭く掠めたランスが左肩装甲を削り、火花が散った。
「っ……!」
直後、ケンプファーはスラスターを噴かせながら急旋回。
至近距離からショットガンを発砲するもグロースターはランスを盾にしながら後退する。
さらに上からランスを突き刺そうとするグロースターにショットガンを撃つ。
距離があったためか、多少攻撃は当たるもそのまま向かってくる。
グロースターのランスが振り下ろされる。
ケンプファーは咄嗟に左へ跳躍。
直後、叩き込まれたランスがアスファルトを砕き、破片が周囲へ飛び散った。
着地したケンプファーへ、別方向からギルフォード機のグロースターが迫る。
ショットガンからジャイアント・バズⅡに持ち替えて迎撃する。
だが、ギルフォード機は難なく回避しながら迫ってくる。
ケンプファーはスラスターを噴かして大きく跳躍して距離を取ろうとするが、3機のグロースターはスラッシュハーケンを射出する。
咄嗟に頭部バルカンで撃ち払おうと試みる。
2機のグロースターのスラッシュハーケンは撃ち払えたが、1機のグロースターのスラッシュハーケンが右腕に刺さり引き寄せられる。
「だったら……!」
引き寄せらることを利用してスラスターを噴かし、逆にグロースターへ接近する。
グロースターはランスを構えて迎え撃つ様子。
ケンプファーは右腕を犠牲にランスの盾にし、そのまま突進した。
グロースターのランスが右腕を貫くことも構わず、至近距離まで踏み込んだケンプファーはジャイアント・バズⅡをグロースターへ押し付ける。
次の瞬間、ジャイアント・バズⅡによる零距離射撃。
グロースターに砲弾が命中し、爆炎に包まれる。
至近距離であったため、ケンプファーも爆炎にひるむ。
ひるんだケンプファーに2機のグロースターが襲い掛かる。
迎撃するためにケンプファーはジャイアント・バズⅡを周囲に乱射する。
爆炎や瓦礫には周囲に飛び散り、2機のグロースターは動きを止める。
そして、全速力でスラスターを噴かしてこの場を離れるのであった。
人気のない廃ビル。
ケンプファーから降りた八雲。
「はぁ……はぁ………」
汗だくとなった八雲はハロコンを操作し、ケンプファーを格納する。
荷物を持って離れようとする八雲は誰かに引っ張られる。
「………っ!?誰だ!」
引っ張る人物を見る。
八雲を引っ張っていたのはマーヤだった。
「………マーヤ?」
「やっぱり、八雲があの機体に乗ってたんだね」
機体から降りたところを見られたことに、八雲は何て言うべきかと悩む。
「今はここから離れよう。詳しいことは後ではなしてもらうから」
「俺も……聞かせてもらうからな」
ひとまずはマーヤの案内の下、サイタマゲットーから脱出するのであった。