貴方にとってウルトラマンとは?諦めないことっすかね(白目) 作:クレナイハルハ
子ウサギ公園のベンチで一人の男性が眠っている、イビキも寝言も発することなく静かに眠っている。
そんな男性の近くに置かれていたゴミ箱がガタリと動き蓋が開くとそこから一人の少女が現れた。
頭には小さなウサギ耳のカチューシャと木の葉をくっ付けた彼女は音を立てる事なくゴミ箱から身を乗りだし目の前のベンチで眠る男性を見つけた少女、霞沢ミユはゴミ箱からでると恐る恐るといった様子で男性へと近付く。
彼女にとって大人の男性に会うのは二度目、シャーレの先生とはまた違う雰囲気の男性は新鮮であり興味の対象となった。
足音を立てる事なく男性へと近付く。
「こ、この人……銃を持ってない」
見た感じあるのは男性の物と思われる大きな鞄だけであり、銃といった攻撃性のあるものは所持していなかった。
このキヴォトスで銃を持ち歩かないのは裸で歩く人より少ない、ゆえにそんな男性に興味を持ったミユは寝ている男性の顔をのぞきこんだ。
この人、顔が良い……。
瞬間、大きな銃声と共に何かを貫かれたミユは、気がつけば男性の頭を自身の膝に置いていた。
今日見たばかりの男性に膝枕と呼ばれるそれをしている自分に、ミユは混乱した。
なんで私がベンチに?なんで私がこの人に膝を?いつの間に私はこんなことを?
混乱て困惑が消えない中で膝の上に乗せた男性を起こしてしまうのは不味いと深呼吸して心を落ち着ける。
「……おやすみなさい」
ミユはそっと、男性の頭に手を置き……撫でた。
優しく、起こさないように、穏やかに過ごせるように撫でる。
母が子を愛するように、今さっきに出会ったばかりで、はじめましても言えていない。顔を合わせたこともないけれど、それでも精一杯の優しさを注いで頭を撫でていた。
「まだ、起きないでくださいね」
きっと赤くなっている顔を、見られたら恥ずかしいから。
そんなことを考えながら眠る男性の顔を眺めていると、ドサッという荷物が地面に落ちた音がして聞こえてきた方を見るとそこには、私を見て目を見開き頬を赤らめ口を開いたサキの姿があった。
「あ」
サキと目が合い、思わず撫でていた腕が固まり呼吸が止まる。
此方を見て驚いたまま私と男性の姿を交互に見つめていたサキに慌てて何を言えば誤解を与えないか考える。
「そ、その……違うんです」
「違うって、何がだ?」
「これはその、この人が………」
「ソイツが?」
「この人の顔が、良すぎて気が付いたら」
そんな私の言葉に、サキは先程までの頬を赤らめている様子からジト目に代わり口を開いた。
「いや、そんな訳ないだろ……」
キヴォトス、連邦捜査部シャーレのオフィスでは二人の青年が共に食事を行っていた。
テーブルにはエンジェル24から買ってきたのであろうカップ麺の他にも、唐揚げや弁当といった物が並んでいた。
「"改めて、ありがとうリクくん。本当に助かったよ"」
唐揚げ弁当から唐揚げを口に運び咀嚼しながらそう話すシャーレに所属する男性、先生と呼ばれる彼はそう目の前の青年に感謝する。
「アハハ……結局あのペロロジラ?を一人では倒せませんでしたけどね。あのウルトラマンに、助けられちゃいましたし」
そんな先生の言葉に、リクと呼ばれた青年。
特徴的なオレンジのシャツにデニムのジャケットを羽織った彼の名前は朝倉リク。
そして先程までペロロジラ(色彩)と対峙していた鋭い目付きの特徴的な巨人、ウルトラマンジードである。
「"リクくんがあの巨人……えっと、ウルトラマンだっけ?に変身しちゃうなんて、未だに信じられないよ"」
「まぁ、この世界には宇宙人もウルトラマンもいないみたいですし。本当にすいません、急にこの世界に辿り着いて倒れていた所を助けて貰って、更には食事まで」
「"何度目になるのこの会話、気にしなくて大丈夫だよ。リクくんはペロロジラから私や生徒達を守って戦ってくれたんだから、これぐらいのお礼はしなきゃね"」
そう話し食べてと促されたリクは手元のカップ麺の蓋を開け、麺を口に運ぶ。
朝倉リク、彼は偶然この世界に迷い込んだのだ。
デビルスプリンター、ウルトラマンベリアルがかつて宇宙中で暴れまわった際に残していった細胞の破片から発生したソレは怪獣を凶暴化させる力を持ち、宇宙各地に混乱を巻き起こしている。
大きさは、人間の手で掴めるものからウルトラマンの手で掴めるものまで様々である。
そんなデビルスプリンターを回収するため各宇宙を巡っていたウルトラマンジードことリクだったが、運悪く四次元怪獣ブルトンと交戦。
一瞬の隙を突かれ別次元へと繋げられたワームホールからこのブルーアーカイブの世界へと跳ばされてしまったのである。
連戦によるエネルギー消耗もあり、この世界に迷い込んだリクは変身を解除しながらシャーレ近辺へと落下した。
偶然落下地点の近くを歩いていたシャーレの先生が空から落ちてきたリクを助け、シャーレへと運んだのである。
「そういえば、行方不明になってたあの子無事に帰ってきて良かったですね」
「"まさかコユキがこことは違う世界に迷い込んでたなんて考えもしなかったよ、前みたいに海に出てたりとかソッチで考えて捜索してたからね"」
そんな事を話しながら食事をする二人はコユキを下ろし、カラータイマーを点滅させ飛んでいったウルトラマンの姿を思い出す。
「"リクくん、聞いてみたかったんだけど胸の光?が点滅するのってやっぱり危険とかそんな感じなの?"」
先生はペロロジラとの戦闘で巨人、ウルトラマンジードの胸に灯る光が点滅を始めた時と点滅前の姿、コユキを助けたウルトラマンの胸の光が点滅した瞬間にまるで倒れそうになって手を突いた光景を思いだし、質問する。
リクはスープを一口啜ると、頷いた。
「あの姿で活動する制限時間みたいな、そんな感じです」
「"なるほど、やっぱり凄いな……ならコユキを連れてきてくれたウルトラマンはなんで胸の光が点滅した瞬間にフラついたのかな、確かリクくんは胸の光が点滅しても戦ってたよね?"」
「あの点滅はウルトラマンによっては意味が変わるらしくて、点滅が始まったら残り1分しか活動できないとか、点滅が止まると消滅してしまうとか、変身した人が命を落とす可能性がある……あるウルトラマンから、そう聞いたことがあります。あの人はきっと点滅した時……ここに来た時には余程のエネルギーを消耗した後だったんじゃないかなって」
そんなことを話している部屋の扉がバーン!という音と共に開かれ、一人の少女が部屋に勢い良く入ってきた。
「先生あの人、ウルトラマンはいつからキヴォトスにいたんですか?!」
入ってきたのは、先程まで話題に上がっていたキヴォトスから行方不明になってた生徒である黒崎コユキだった。
彼女はそういいながら、先生に歩み寄りようやくリクの姿に気が付いた。
「先生、この人は誰ですか?」
「"この人はリク、コユキが行方不明になってすぐキヴォトスで倒れてるのを発見して保護したんだ。私みたいに外の世界から来た人なんだよ"」
そう聞き少しの間リクを見つめるコユキだったが、すぐに先生の方を向くと口を開いた。
「あの!あのウルトラマンが飛んでいった方は分かりますか!?」
「"あれから飛んでいった方角は分かったけど、ど、どうしたの?まだユウカと一緒に話してるかと思ったんだけど……"」
「あの胸の光が点滅するのは大変なんです!ずっと、ずっと戦ってたのに点滅しなかったのにです!きっと、あの人が何処かで倒れてるかも」
その言葉にラーメンを啜るリクの手が止まる、ウルトラマンとしての活動時間の限界を示すカラータイマーの点滅は、自分たちウルトラマンにとっては大きな問題であり、もしあのまま何処かで変身解除したなら、疲労や怪我で倒れている可能性だってあるのだ。
「い、急いで探さないと」
「"コユキにリクくん落ち着いて。コユキ、説明して貰えないかな?どうしてあの巨人が倒れてるって思うのかな"」
そういいながら座るよう促す先生に、コユキは恐る恐るといった様子で先生の隣に座ると口を開いた。
「あの人、ずっと私の世界を探すために色々な世界を連れていってくれたんです。ペロロジラを倒し続けてくれたんです」
「世界を回って!?つまり、ゼロみたいに次元を越えることが……」
コユキの言葉に、ウルトラマンゼロの姿を思い出したリクと、様々な世界を巡ったのだと知り行動する範囲の大きさに驚いてしまう先生。
あくまでも先生がこの世界で触れたのは、自分やクロコが様々な事になってしまった並行世界だ。
故に並行世界や別次元、異次元と続くリクやコユキとの会話のスケールの大きさに言葉がでない。
「それに今まで色々なのと戦ってきて一度も胸の光が点滅するなんて無かったんですよ!きっと、あの人達みたいに人間に戻って倒れてるかもなんです!」
そう力説するコユキの横でリクは考える、もし彼女をこの世界へと連れ戻してくれたあのウルトラマンの力を借りることが出来たならきっと、この世界から元の世界に帰れるんじゃないかと。
それと同時にそのウルトラマンの強さに、身近で最強ともいえるウルトラマン、ウルトラマンゼロの姿を思い浮かべる。
どんな怪獣や宇宙人と戦闘していたのか分からない、でも連戦で一度もカラータイマーを点滅させずに勝利し、更にはカラータイマーを点滅させずに複数の世界を巡ってコユキと呼ばれた少女のいたこの世界を探し出した。
どれだけの世界を巡ったのかも分からないけど、恐らくウルトラの父やゼロと同じくらいの強さを持つ実力者に違いない。
「あの、良ければボクも探すの手伝います。もしあのウルトラマンがまだこの世界にいるなら、話せばボクを元の世界に返してくれるかもしれませんから」
「"なるほど、分かった。ご飯を食べたらすぐにあのウルトラマン?が飛んでいった方向を中心にして探しに行こう"」
続きはビクトルギエルが石化させました
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