貴方にとってウルトラマンとは?諦めないことっすかね(白目) 作:クレナイハルハ
俺は変化したネクサスの姿を見て困惑していた。
ウルトラマンネクサス-ルラシオン-コア・ネクストと、アリアンスがそう告げた瞬間にアンファンスだったネクサスの体色が、赤だった場所が完全に黒となり先程までの左腕に装備されたアームドネクサスがアローアームドネクサスへと変化していた。
なんだこれ、コア・ネクスト?
それに左手のアームドネクサスがアローアームドネクサスになった?
おいO-50聞いてないぞこんなの。
取りあえず、早くトライキングを片付けないと……。
「ここは任せろ、お前は奴を!」
「!」
アグルの言葉に頷いて返しながら右手にアリアンスを持ち変え、左手を胸元のエナジーコアに翳す。
アームドネクサスが展開、エナジーコアのような形の光が左腕に展開する。
だが展開された光は、ジュネッスブルーやヴィオレのような大型ではなく小さかった。アローアームドネクサスの性能も変わってるのか?
左手をガタノゾーアへと向ける、打つイメージをするとアローアームドネクサスからアローレイ・シュトロームを小型にしたような、パーティクル・フェザーに近い形状のアローレイシュトロームが連続して放たれる。
なるほどな、アローレイ・シュトロームをパーティクルフェザーに近い連射力で撃てるって事か。
放たれたアローレイ・シュトロームはガタノゾーアが前に展開した触手の壁を少し削る。
俺はアローレイ・シュトロームを連射しながら、ガタノゾーアが俺を阻むよう現れた触手へと走った。
そしてガタノゾーアへ向かうネクサスを一瞥したアグルは、その片手を真っ直ぐ伸ばし指を曲げトライキングを挑発する。
すると怒りを表すように地団駄を踏んだトライキングはアグルへと突撃していく、それに対してアグルはアグルセイバーを解除し展開していた腕を腰に起き抜刀術と似た構えを取る。
トライキングにあるゴルザの額から超音波光線を、腹にある超コッヴの顔部分から無数の光弾を乱射しながら迫る。だがアグルはその場から動かず、構えを解かない。
そうして構えを解かないアグルにトライキングの振り上げた手が振り下ろさらようとした次の瞬間、アグルはその手からアグルセイバーを展開していたトライキングの横を切り抜け、更に下から振り上げられたアグルセイバーによる斬撃によりトライキングは切り裂かれ爆散した。
そうしてアグルもまたガタノゾーアの触手の壁で行く手を阻まれているネクサスへと駆け出していく。
降星小学校の屋上、そこでは海の底から現れた怪物の存在や突如として光と共に現れた巨人の姿。
そして怪物と戦いを繰り広げる巨人の姿に、子ども達は大興奮している者や恐怖から泣き出すもの、様々だった。
「すっげぇ……なんだ、あれ」
そんな中で、礼堂ヒカルは目の前の存在に何故か心が高鳴るのを感じていた。過去に置いてきた、冒険への憧れ……未知への好奇心。
友人達を心配させたくない、未知への恐怖や不安という感情に負けて選んだ今の降星小学校の用務員という道。
後悔していないといったら嘘になる、今でもその憧れに手を伸ばしてしまいそうになる程に。そんな伸ばしてしまいそうな手を、反対の手が不安や恐怖、友人に心配をかける申し訳なさから掴むのだ。
自分で、未来を閉ざした。
「礼堂くん?」
その時だ、海で怪物と戦っていた巨人が突如として姿を消し次の瞬間には大勢の人達がいる建物を背に庇っていた。
その光景にヒカルは、見覚えのない山の風景が浮かんだ。それは見覚えのある、幼馴染みの石動 美鈴を黒く頭部に1本の角が生えている恐竜のような怪物がその両手を広げて守っている姿。
怪物が怪物からの攻撃を受けて、美鈴を守る光景は目の前の光景からはとてもありえなくて、夢のようだった。
「礼堂くん!しっかりしてください!」
「わ、悪い。少しぼーっとしてた」
ヒカルはただ目の前の巨人達が化物と戦う姿を見つめていた。
公民館に避難していた人たちは、海から離れるなかで怪物と巨人が争う姿を目にしていた。
目の前で繰り広げられている、人間の付け入る隙すらない人知を越えた争い。
その争いに朝倉リクは、巨人の姿にテレビで見ていたヒーローの姿を重ねていた。
何より決定的だったのは、巨人がその両手を広げ避難所を守っている光景だ。
自分の憧れていた、いや憧れであり続けている姿。
でも、それでも憧れ以外に嫉妬も感じている。
リクは周りを見る、怪物の姿に腰が抜けてしまっている大人や恐ろしさに涙を流す子ども、いくら励ましても、目の前に存在し続けている怪物がみんなを恐怖へと突き落とし続けている。
巨人のような力があれば、みんなを守れるのに。
みんなを泣かせないのに、どうして。
先程から現れ続ける怪物を次々と倒す巨人、自分と比べるのすら、バカらしいと考えてるのが普通なのに、彼は巨人達を妬んでいた。
崩壊した建物の外で春野ムサシは、海から現れた怪物によって、先程までの元気だった筈の動物達が力なく横たわる姿や木々から花も葉も散り、咲いていた花達が枯れていく姿に、悲しさと悔しさを感じていた。
「このままじゃ、この星は」
滅ぶ、その言葉が口から出なかった。
出せなかった、その想像が恐ろしくて苦しくて、悲しくて。
何も出来ない自分が情けなくて……。
「優しさだけじゃ、何も助けられない……」
その呟きが、風に乗り消えていく。
遠くの海で怪物と戦う二体の巨人、彼らは果たして味方なのだろうか?何故戦っているのだろうか?
真っ暗な空の下、光をまとっているあの巨人はこの星を見て何を思っているのだろう。
そう考えていた時だった、周りの枯れかけていた花達が一斉に萎れていく。
「一体どうして!?」
ムサシの疑問に答えるように、新たな三つの咆哮が鳴り響き空気を震わせた。
咆哮の聞こえてきた海の方を慌てて、ムサシは目を見開き膝から崩れ落ちた。
海に現れた怪物が2匹に増えていた、巨人が戦っていた怪物の右側から出現したソイツは頭?らしき場所に宝石がついており、最初に現れた怪物と体色は違うが瓜二つと言えるほどに似ていた。
左から現れたのは6つの目を持ち4本の角のような物が生えている、現れた二体の怪物と似た巻貝のようなものを背中に背負っている。
そしてそんな囲まれた巨人達のはるか上空に、雲が集まっていた。
そしてそんな雲が集まり現れたのは、禍々しく裂けた口部が特徴的な怪物。いや怪物なのかそれとも人間の知らない、触れることの出来ない何かが現れた。
目の前にガタノゾーア、右側にマガタノゾーア、左側に第二形態となったメガロゾーア。
そして空を見上げればデモンゾーアが俺とアグルを見下ろしていた。
「はは、嘘だろ……」
「クッ」
一番恐れていた光景が、絶望の化身が目の前に勢揃いしている。
呆然としていた時だった、先程まで自分とガタノゾーアを隔てるように伸びていた触手が、勢いよく此方へと向かって伸びてくる。触手は予想より早く、防御しようとアリアンスを構える暇すら与えずネクサスの胸部を殴打した。
石化光線でも、シャドウミストでもない。
ただの触手の殴打、しかもたった一撃でネクサスが吹き飛ばされその手からアリアンスが離れ海面に突き刺さる。それと同時に背後へと吹き飛ばされたネクサスは、海へと仰向けに倒れ苦しそうに胸部を押さえる。
痛い、まるで金属バットで殴られたような痛覚。
骨が折れていないのが不思議だと感じるほどの痛み。
「バンスケッ!」
アグルが吹き飛ばされたネクサスへと叫ぶと同時に同じように伸びた触手が、アグルの横腹を払うように殴打する。
アグルはそのまま、横に吹き飛ばされ海面へと倒れる。
くそ、ガタノゾーアとマガタノゾーア、デモンゾーアはネクサスが対面して良い相手じゃないだろ。そもそも、俺らじゃなくてティガとかトリガーとか適任者いただろ……。
仰向けに倒れた体を起こしながら、左手のアローアームドネクサスをエナジーコアへと翳す。
メガロゾーアなら、デッカーでも倒すことが出来たメガロゾーアなら、倒せるはず。
アローアームドネクサスにエナジーコアのような光が展開される、それもジュネッスブルーやヴィオレのような大きなもので、シュトロームソードも展開されたオーバーアローレイ・シュトロームの形状となっていた。
左腕をメガロゾーアへと向け、反対の腕で弓を引くように左手をアローアームドネクサスの下にき、そのまま勢い良く後ろへと引く。
少し先に倒れていたアグルもまたその握りしめた両手を付きだしリキデイターを放つ。
放たれたオーバーアローレイ・シュトロームとリキデイターは真っ直ぐメガロゾーアへと向かう。
オーバーアローレイ・シュトロームとリキデイター、その二つを阻むようにメガロゾーアは前面に壁のように触手を展開する。
連続で繰り出され続けるリキデイター、そしてネクサスが放った渾身の一撃であるオーバーアローレイ・シュトロームは数本の触手を吹き飛ばすだけで、貫通することはなかった。
アグルが繰り出し続けるリキデイターによって更に数本の触手が吹き飛ぶ。
即座にネクサスがクロスレイ・シュトロームを放つが壁となっている触手を数本切り裂き、メガロゾーアが見えるだけに留まった……留まってしまった。
はは、これでも駄目かよ……一体すら無理なのかよ……。
隣から聞き覚えのある点滅音、見ればアグルが膝をつき苦しそうに肩で息をしていた。
リキデイターを連発していたんだ、エネルギー切れなのは簡単にわかった。
手が震える、たった二人で、目の前の災厄に……邪神に勝つことが出来るのか?
どれだけ機転効かせてもこの状況を覆す方法なんて考えられない、ウルトラマンを知らない人間がウルトラマンネクサスになったならこの状況でも諦めるなと言えたのだろう。
目の前の存在が四体揃ってでも、それでもと言えたのだろう。立ち上がることが出来た、諦めず逆転の一手を探すため立ち向かう事を選んだのだろう。
でも、俺はウルトラマンを知っている。
ンネクサース♪─(。´・ω・)?─
知ってしまっているからこそ、目の前の存在が、どれだけ理不尽で強くて恐ろしいのか。
ンネクサース♪─( 」゚Д゚)─
この状況を覆せないと、勝ち目がないと分からない、目の前の存在がどれだけの絶望なのか理解出来てしまう、分かっているからこそ。
ンネクサース♪─バンスケ!諦めるな!─
プツン
小さな、とても小さな音が聞こえた瞬間。
俺…ネクサスが強く握り締めていた、拳が力無く開いた。
構えていた手がガタノゾーアから海へと、下りていた。
心の奥底で張っていた虚勢、ウルトラマンならと叫び動けていたその1本の糸。
強かった、強くあることを保っていた糸がプツンと切れた。
あぁ、無理だ……。
「バンスケ!!」
アグルがネクサスへとてを伸ばす。
ガタノゾーア、デモンゾーア、マガタノゾーア、メガロゾーアがそれぞれ伸ばした触手がネクサスへと伸びていた。
ネクサス、俺はアグルの言葉に反応もせず、呆然と目の前の景色を眺めていた。
マガタノゾーアの伸ばした触手がネクサスの右腕に絡み付く。
今までの暑くて強い、抗っていた何かが消える。
メガロゾーアが伸ばした触手がネクサスの左腕に絡み付く。
まるで蝋燭に灯った炎が、突如として吹いた強風でかき消されるように。
デモンゾーアの触手がネクサスの首もとを締め付けるように絡まり宙へと吊るされていく。
今の自分にあるのは諦観、静かな……冷めた心。
ガタノゾーアがネクサスの両足を触手で縛り付け、自由を奪う。
ネクサスがデモンゾーアが空から下ろした触手によりつるし上げられ、右腕はマガタノゾーアが、左手はメガロゾーアが引っ張る。両足はガタノゾーアがまとめて縛り自由を奪う。
ガタノゾーアが、マガタノゾーアが、メガロゾーアが、デモンゾーアが咆哮を上げ嗤う。
目の前の巨人の溢し始めた、絶望に嗤う。
勝てる訳がない、俺がウルトラマンだなんて解釈違いだから。
いや、そもそも解釈とかの問題じゃない。
俺がネクサスに選ばれるなんて。
ウルトラマンだなんてのは。
やっぱり、間違いだったんだ。
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