貴方にとってウルトラマンとは?諦めないことっすかね(白目)   作:クレナイハルハ

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優しさの強さ、未来へ駆ける、炎の約束

今、海では四体の怪物と三体の巨人が戦闘を繰り広げていた。

 

「ギンガファイヤーセイバー!デヤァッ!」

 

巨人の一人、ウルトラマンギンガは右腕のクリスタルを白色に発光させてホワイトプラズマエナジーを解放し右腕から伸びる光の刃を展開させ、即座にクリスタルを赤く発光させる。

そうして白い光の刃は、炎を纏った刃となりゾーアが伸ばしてくる触手を切り飛ばし、切り飛ばされた触手はギンガファイヤーセイバーの纏った炎に焼き付くされる。

そして同じように腕から展開したアグルセイバーで、触手を高速で切断していくのは青い巨人、ウルトラマンアグル。

そしてそんな彼らの背後から、光で形成された斬撃が飛来して更に怪物の触手を吹き飛ばす。

 

「コイツら、バンスケのとこにも自分達にも俺達を近付かせないつもりかよっ!」

 

「どうにか、隙をつくらないと……でもなんでバンスケさんだけ捕まえて僕らは捕まえようとしないんだろう」

 

「恐らくはバンスケの、ネクサスのエネルギーが目的だろう。ネクサスはかなりのエネルギーをその体に宿している」

 

後ろへと下がりながら、シンクロするように咆哮を上げるガタノゾーア、マガタノゾーア、デモンゾーア、メガロゾーアに対峙する三体の巨人。

 

「一か八か、リクのレッキングバーストと俺のギンガクロスシュートで」

 

「駄目だ、ネクサスと俺の全力の攻撃ですらあの壁を貫くだけで終えてしまった」

 

「なら、ならどうすりゃアイツらを倒せるんだ……」

 

「この戦い、正直にいえば勝ち筋はない。だが希望はある、()()()()()……バンスケの意志が鍵となる筈だ。だが彼は今、絶望し諦め……全てを放棄してしまった」

 

「だから、奴らの拘束に抵抗する様子が見えないのか……」

 

邪神達により空中へと吊し上げられたネクサス、彼はピクリとも動かず、エナジーコアを鳴らすことすらせず俯いて脱力していた。

もう、なにもしたくない。なにもみたくないというように。

 

「なら、アイツの諦めた心を俺達が引っ張りあげてやろうぜ。俺達がコイツらを少しでもダメージを与えられたなら」

 

「彼の諦めが、きっと変わる筈です!」

 

「よし、ならば行くぞギンガ、ジード」

 

そう言いながらウルトラマン達は空へと飛び上がり、空中へと延びてくる触手を避けながらギンガがガタノゾーアへ、ジードがメガロゾーアへ、アグルがマガタノゾーアへと向かう。

そんな彼らの動きを嗤うように、各ゾーア達が咆哮をあげ触手を伸ばす。

ギンガは空をかけながらギンガファイヤーボールやギンガサンダーボルト、ギンガセイバーを駆使してガタノゾーアへの道を妨害しようと現れる触手を切り抜けていく。

 

「どれだけ妨害しても、俺達は諦めねぇぞ!ショウラァッ!」

 

ウルトラマンアグルはアグルセイバーを駆使して最低限の動きで触手を切り裂き、マガタノゾーアへと向かう。

 

「この星は、まだ終わっていないっ」 

 

ウルトラマンジードは、空を飛びながらその姿を変化させる。

 

【ウルトラセブン】【ウルトラマンレオ】

 

【フュージョンライズ!】

 

「燃やすぜ、勇気!!」

 

【ウルトラマンジード!ソリッドバーニング!】

 

先ほどまでの銀と黒を中心としたジードの姿から、獅子の闘志と深紅のファイターの力を受け継いだ全身がアーマー状になっているのが特徴的な姿、ソリッドバーニングへとフュージョンライズする。

頭部に存在するアイスラッガーのような武器、ジードスラッガーをその手に握り締め、ジードは迫り来る触手を切り裂きながらもメガロゾーアへと向け突き進む。

 

ウルトラマンと邪神との、地球の存亡を掛けた戦いはまだ、始まったばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として現れた巨人による、海と大空へと出現した怪物との戦闘。

それは恐怖と同時に、人類への希望を与え始めていた。

始まりは銀色の巨人が避難所を襲う怪物の放った攻撃から身を挺して庇った姿だった。

そんな巨人が、怪物達に捕らわれ絶望を呼び起こす人々を救うように新たに現れた二人の巨人。

合計三体の巨人が、怪物へと立ち向かい拘束された巨人を助けようとする姿は人々に印象的に映っていた。

そんな中で春野ムサシは己の無力感に苛まれ、悲しみにくれていた。優しいだけで、人間の自分は無力で何も出来ない。そんな悔しさが胸から溢れてしかたがなかった。

もし、自分にもあの巨人のような力があったらすべての命を守ることが出来たのだろうか。

ふとそんな事を考えたとき、自分に食料を分け与えてくれた青年の姿が浮かんだ。

そう言えばと呟きながらポケットから取り出した青年から貰ったカードに描かれていた存在は、目の前で戦闘を繰り広げる巨人達と似ていた。

 

『ムサシ』

 

その時、何処から聞こえてきた声に思わず立ち上がる。

 

「誰だ…」

 

『ムサシ』

 

背後から聞こえてきた声に思わず振り向くとそこには、カードに描かれていた青い巨人が半分程透けている状態で此方を見つめていた。

 

「あなたは、あの巨人達の仲間なのか」

 

『私の名は、コスモス…ウルトラマンコスモス。ムサシ、私は君の力を借りたい。この地球の全ての命を、守るために』

 

「そんな、そんなの僕には出来ない……僕にはそんな力は」

 

コスモスと名乗る巨人の誘いに、僕は首を振った。

そもそも巨人は何故、僕なんかの力が必要なのだろうか?あの海で戦う巨人達の姿を見る限り、僕のような人間なんかの力は必要ないように思えてしまう。

 

『諦めるなムサシ、力は確かに必要なのかもしれない。だが大切なのは、振るう力ではなく他者を思いやる優しさだ』

 

「優しさ……でも優しいだけじゃ何も救えない。僕には何も出来なかった」

 

僕がかろうじてエサを与える事でこの場にいる、生きている動物達は少ない。これしか、救うことが出来なかった、救おうとした結果。

避難所から追い出され、多くの動物達を救えなかった、何も出来なかった。

 

『ムサシ、キミには他者のために行動する優しさが、全てを救いたいと行動した勇気がある』

 

「勇気?」

 

『ムサシ、他者だけでなくすべての命に対して優しくあろうとし、勇気をもって訴えた心。全てを思いやる心、その優しさが君の強さだ』

 

優しさが強さ、そう言われたのは初めてだった。

 

『ムサシ、私だけではこの星を守れない。キミの力が必要だ……私と共に、飛んでくれないか』

 

そう言いながら、目の前の巨人…コスモスは俺へと手を差し出した。

もし、彼の手を取れば多くの命を救えるのか?

今ここで怯え、苦しんでいる犬や猫といった動物達だけじゃなく植物や人も救える?

 

─春野さんの優しさは……きっと大切にした方が良いものですから。春野さんがその優しさを忘れないためのお守りっすよ─

 

カードを渡してくれた青年が言った言葉が脳内に浮かぶ、何処から浮世離れした不思議な雰囲気を纏った青年のくれた言葉。

僕に、今出来ること。

もし、僕のこの優しさでみんなを……すべての命を救うことが出来るなら、僕は!

 

「分かった、僕に出来ることがあるなら!」

 

『ありがとう、ムサシ』

 

そう言いながら巨人、コスモスと握手をしたときだった。握手をしている手とは反対の腕で持っていたカードの感触が消え、変わりに硬い何かが掌にあるのを感じた。

次の瞬間、コスモスの姿が消える。

驚きつつ、掌にある硬い何かを確認する。

それは蒼い小さな石、でも何故かそれはすごく大切な気がして手放してはいけないと思った時だ。

脳内に、知らない記憶が溢れる。

子供の頃、森でウルトラマンコスモスと出会い、コスモスに太陽光を当てることでコスモスを復活させその時に願い一緒に空を飛んだ記憶。

コスモスと再会し、カオスヘッダーとの戦いに挑んだ記憶、ジャスティスと共に地球を守り未来を掴むため共に戦った記憶。

 

─これからは君と仲間達で守るのだ、すべての命を─

 

─コスモス、僕はもう一度あなたと一緒に飛びたい。子供の頃のようにっ─

 

──ムサシ、君は……もう一人で飛べる─

 

気が付けば掌の輝石を強く握り締めていた。

 

「コスモス、僕は君と戦う。あなたに教えて貰った……この優しさと、勇気で。記憶でみた僕のような…勇者にっ!」

 

僕は握り締めていた輝石を、心から願い空へと掲げながら記憶でみた自分のように叫んだ。

 

「コスモースっ!!」

 

その瞬間、輝石が眩く優しい光を放ち僕の体を包んだ。

瞬間、大地から優しい光が登った。

その光はゆっくりとその姿を変えて行く、青い巨人とは違う明るく優しい青い体が特徴的な巨人、ウルトラマンコスモスへと。

怪獣との共存を実現させた力と優しさ、勇気を備えた真の勇者、ウルトラマンコスモスがこの世界に顕現する。

ウルトラマンコスモスは即座にその体を輝かせ、優しさと強さをあわせ持つ勇気の姿、エクリプスモードへとモードチェンジする。

そして海で戦う巨人達へと向かう、それぞれがガタノゾーア、マガタノゾーア、メガロゾーア、デモンゾーアと戦うなかでそれぞれの対峙する相手とは別のウルトラマンへと伸ばされていた触手。

コスモスは即座に両腕で大型の三日月を描くと、描いた通りに巨大な三日月型の光の刃が展開された。

伸びる触手へと向けて、両拳を付き出す。コスモスから放たれたエクリプスブレードはそのすべての触手を一撃で切り裂いた。

その一撃に戦闘をしていたウルトラマン達は、自分の攻撃や光線とは違う威力に驚く。

ウルトラマンコスモス、エクリプスモードの光線や攻撃は邪悪なエネルギーの破壊に対しては大きな効果を生むためガタノゾーアの闇に対して有効だった。

 

「僕も戦います!この星の命を守るためにっ!」

 

「あの触手を一撃……すごい、あの人が慈愛の勇者……」

 

「やるなぁ!流石だぜコスモス!」

 

そんなギンガとジードの言葉に同意するように頷くとアグルは即座にマガタノゾーアへと再び立ち向かい、それを阻むように展開された触手を切り裂いていく。

そんな中でコスモスは触手によって宙に吊り下げられているウルトラマンを見る、そしてそのウルトラマンの特徴的なカラータイマーの奥にいる存在に、コスモス……ムサシは驚いた。

 

「彼があのウルトラマン!?」

 

「驚くのは後だ!アンタもアイツの心を引っ張りあげるの手伝ってくれ!!」

 

「バンスケさんは、もう全部を諦めてしまっている状態なんです!この怪獣達を倒せば、いやこの状況を変えられれば、きっと」

 

「この状況を……分かった!」

 

そう言いながら、それぞれが本体と戦えるようコスモスはエクリプスブレードやエクリプススパークを放ち触手がそれぞれに向かわないよう攻撃する。

そんな彼の勢いに背中を押され、それぞれのウルトラマンはガタノゾーア、マガタノゾーア、デモンゾーア、メガロゾーアから迫りくる触手を切り裂きながら突き進む。

ガタノゾーア、マガタノゾーア、メガロゾーア、デモンゾーアはそれを阻むように、先程までの行為は全て遊びだというように倍の量の触手を海中から飛び出させる。

 

「ぐっ!?」

 

そしてそんな触手に捕まり首を締め付けられたギンガは、宙につり上げられていく。

 

「ヒカルさん!?うぐっ!?」

 

「!?」

 

苦しそうな声を漏らすギンガに注意を向いたジードは橫凪に振るわれた触手にの勢いによって弾き飛ばされ、飛ばされた方向にいたアグルへとぶつかり二人とも海へと倒れる。

 

「ギンガ!今すぐッ!?」

 

コスモスが助けようとするが、即座にコスモスの自由を阻むように飛び出してきた触手を空中に大きく飛び上がって後ろへと下がり避ける。

 

「このままじゃ……いや、諦めたら駄目だ!必ず君の心を引き戻してみせるっ!」

 

そう言いながらウルトラマンコスモスは拳を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くで怪物と戦う巨人達、そんな姿を見て「ウルトラマンがんばれー!」「負けないでー!」と必死に応援する子ども達の橫で、日比野ミライは胸の中で何かが込み上げてくるのを感じていた。

何故か、僕にも何か巨人達のように出来ることはないかと考えて、目の前の子ども達を守ることが、保育士としての勤めだと思い出して、子ども達を見守ることに集中する。

でも何故だろう、さっきの怪物のせいで目の前の町が、建物が崩壊している光景に胸が強く傷付くのは。

他にも僕に出来ることはまだあるのではないかと、そう思ってしまう。

この持ち場から離れてはいけないのだと、そう分かっているのに。

 

「ミライ、大丈夫か?」

 

「え?」

 

「さっきから、ボーッとしてるぜ。大丈夫かよ」

 

「はい、大丈夫です……」

 

「大丈夫って……」

 

リュウさんにそう返しながら、先程から大声で応援する子ども達の中で何故か泣きそうな顔をしながら、巨人達の姿を見てボーッとするユウマくんに不安を感じていた。

その時だった、泣きそうな顔をしていたユウマ君が潤んだ眼を袖で拭うと僕ら大人の人混みを駆け抜けるように走りだした。

 

「ユウマッ!?」

 

「ユウマっ?!何処行くのっ!ユウマ!」

 

たまたま近くにいたユウマくんのお父さんとお母さんが、追いかけるが人混みに邪魔されユウマへと追い付くことが出来ない。

 

「ユウマくん!?」

 

「僕が追いかけます!コノミさんはここをお願いします!僕はユウマくんを!」

 

「俺も行くぜ!」

 

そう言いながら僕へと追い付いてきたリュウさんと共に、僕たちはユウマくんを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前で巨人が怪物との戦いを繰り広げる。

そんな光景に、ユウマは呆然としていた。みんなが頑張ってと応援してる、でもきっとまだ足りない。

ウルトラマンは、きっとあの怪物達に勝ってくれる、そう思っていた。

でも、近くの友達や園のクラスの友達が泣いたりしてるのをみると悲しくなる。

 

『ユウマ』

 

もし、お絵描きで描いたあの最強のヒーローに..あの巨人、ウルトラマンみたいになれたら。

きっとみんなを、お母さんやお父さんを、困ってるみんなを助けられるのに。

 

『ユウマ』

 

その時だった、気がつけばユウマは真っ白な来たことも見たこともない場所に立っていた。

さっきまで回りにいた沢山の人達や幼稚園の先生、お父さんやお母さんもいない真っ白な場所。

そんな場所で、ユウマの前には光を放つ人ような存在が片膝をついた状態でいた。

 

「だれ?」

 

『ぼ……んん!私はルティオン』

 

「るてぃおん?」

 

最初に喉をならして少し苦しそうな声をしながら、お名前を教えてくれるルティオンにユウマはその名前を呟いた。

 

『ユウマ、君がもし君が描いた最強のヒーローのようになれるのなら、どうしたい?』

 

「なりたい!あのヒーローになって、みんなを悲しめるアイツらを倒すんだ!!」

 

『でも、なるためには君にとって悲しくて、きっと君がまだ見ない方が良いもの。それでも君はなりたいかい?』

 

「悲しい……でも、ずっと悲しい方が嫌だ!ぼくは、ぼくはみんなにわらっていてほしい!」

 

『……分かった、なら』

 

次の瞬間、目の前に見たことがない風景が浮かび上がる。さっきみたい怪物とは違い、ウルトラマンみたいな、人みたいな怪物のせいでお父さんとお母さんが岩に足を挟まれた光景だった。

 

─走れ、ユウマっ…走るんだ!!─

 

お父さんにそう言われ、ぼくは走り出す。

お父さんが何時も着けているあの黄色い腕時計を抱えて。

お父さんとお母さんにもう、会えなくなった僕がおばあちゃんと一緒に暮らして大人になっていた。大人になった僕が走り続けたの凄く悲しくて、でも沢山の人たちとの出会いがある暖かい道。

 

─ユウマ!─

 

─ユウマ!─

 

─ユーマ!─

 

─ユウマくん!─

 

所長、リンさん、ユピー、そしてシュウさんの声が……みんなの声が聞こえる。

うしないたくない、みんなとの出会いが、声が、ぼくの背中を押してくれる。

 

『走れ、ユウマ!!』

 

次の瞬間、真っ白な空間から少年は姿を消した。瞬間、真っ白な空間で立っていたルティオンの姿がゆっくりと変化していく、どこか先ほどの少年の面影がある青年の姿へと。

そして青年の背後に赤と銀色の体、そして胸に灯った菱形の宝玉が特徴的な存在が現れる。

 

『良かったのか、ユウマ。幼い君にとって、あの記憶はあまりにも残酷だ』

 

『分かってる……でも()なら、走ることを選ぶから。だから力を貸してあげて。頼んだよ、()()()

 

『分かった、あの世界のユウマとご両親を絶対に守って見せる。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ白な世界から元の世界に戻ると、少年はみんなが避難していた避難所の人混みを走り抜ける。

背後から聞こえる怒声や此方を引き留めようとする両親の声を聞かずにユウマ……飛世ユウマは走る。

そして避難所から少しはなれたのを確認すると胸に抱えていた菱形のアイテム…アークアライザーに持っていたアークキューブを装填する。

 

「走れ……ユウマっ!」

 

「ユウマくん!そっちは危ないからこっちにきて!」

 

「コイツの言う通りアブねぇからこっちにっ」

 

後ろから聞こえてきたミライ先生と消防隊の人の声に思わず振り返る、走り出した僕を連れ戻そうとしてるんだろう。

でもぼくは戻らない。

アイツらを倒して、みんなを助けるっ。

アークアライザーの絵柄を揃える、次の瞬間にぼくの後ろにさっきみたいルティオンのような姿のウルトラマンが現れた。

そんな光景に追いかけていたミライ先生と消防隊の人が足を止めて驚いている。

そしてぼくは、大人のぼくがやっていたように両手で持ったアークアライザーを正面に突き出した。瞬間、後ろに現れたルティオンが僕を抱き締める。ぼくとルティオンがひとつになって、ぼくの描いた最強のヒーローのような姿のウルトラマンへと変わっていく。

 

「ショワッチッ!」

 

地上から光を放ちながら新たな巨人が現れる、その巨人は赤と銀色、所々に黒の入った体に胸に灯った菱形の宝玉が特徴的な巨人。

想像力を解き放ち、銀河を救った光の巨人ウルトラマンアークがこの世界に顕現した。

ウルトラマンアークは背後のミライとリュウを一別すると、海の方へガタノゾーアやウルトラマン達が戦闘を繰り広げる場所へと走っていく。

そして走りながら片手を怪物達へと放ったアークテラショットが、それぞれのウルトラマン達を拘束していた触手を切り飛ばす、自由となったそれぞれのウルトラマンが下がりながらも海へと着地する。

そしてウルトラマンコスモスの背後に迫っていたガタノゾーアとマガタノゾーアの鋏のついた触手をも吹き飛ばした。

 

「ありがとう、君は……」

 

「私は、アーク。ウルトラマンアーク」

 

ウルトラマンコスモスの言葉に頷いて答えるアーク、その姿に驚きながらも新たな戦士の登場にウルトラマン達はそれぞれの反応を示す。

 

「助かったぜアーク!」

 

「ありがとうございます。ウルトラマンジャックと似てる?まだ僕らの知らないウルトラマンが……」

 

「ボサッとするな!来るぞ!」

 

新たな仲間の登場に嬉しそうに感謝を述べるギンガと新たなウルトラマンの姿に驚いた様子のジード。そんな二人とコスモス、アークはアグルの声にそれぞれが構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミライは目の前の光景に驚きを隠せずにいた。

 

「嘘だろ、あの子どもが!?」

 

隣にいたリュウさんも目の前で起こった事に驚愕していた。自分達より遥かに幼い子どもが、あの海で戦う巨人達のような姿に変わった、それが目の前で見ていたけど、とても現実だと思えなくて、夢のようで信じられなくて。

 

「くそっ何がなんだが分からねぇ、なんとかあいつをこっちに……でもどうやって」

 

あのこが変身したウルトラマンはまるで、子どもとは思えない動きで戦闘をこなしていた。

でもあの子が、ユウマくんなら僕はどうすれば良い?

この事をまず避難所に戻って報告?でも、これはあの人に報告しても解決しない。

ユウマくんは、きっと止められない。

僕のような人間には無理だ。

子ども一人、戦地に向かうのを止められなかった。子どもを守ることが、僕の仕事である筈なのに。

 

『諦めないで、君にまだ出来ることがある筈だ』

 

聞こえてきた声、それは何故か僕の声と同じ……だけど何処か優しさと、強さをもった声。

僕に、出来ること……。

目の前で苦しそうにしてる人達に手を差し伸べられるような、そんな力も強さも持ってない。

僕のような大人には、ただの保育士に何が……。

 

『思い出すんだ、君が……守りたいと思った、この地球のことを……仲間達の事を……約束を、翼を』

 

ふとポケットに暑さを感じて、エプロンのポケットの中に手を伸ばす。

ポケットの中から感じたのは、掌に収まるようなカード、熱を持っているそれは人間と同じくらいの大きさの怪物を、不思議な銃で倒した青年がくれたもの。

お守りだとくれたカードに描かれていたのは、地面に横たわるあの海で怪物と戦う巨人のような銀色のウルトラマン。

この巨人の名前は……

 

「ウルトラマン、メビウス?」

 

瞬間、ミライの脳内にいくつもの知らない光景が浮かんでは消えていく。

 

─メビウスの輪……ウルトラマン!?メビウス、ウルトラマン、メビウス……─

 

─君のこの星での()()()()()に幸多からんことを…─

 

─バカヤロー!なんて下手くそな戦い方だ!よく回りを見て見やがれ!!なんもっ守れてねぇじゃねぇか!!─

 

それは悲しくて、悔しくて。

 

─まだだ、まだ終わりじゃない!俺の復帰戦見に来てくれるんだろっ!?─

 

─私は世界グランプリに出場する!だからっ絶対に見に来なさい!─

 

─必ず立派な医者になるっ!いや!この戦いが終わったら君の怪我は僕が見る!─

 

─保育園のみんなが待ってるから!立って!─

 

─お前必ず帰ってくるって約束したじゃねぇか!仲間との約束破ってお前は平気なのかよ!─

 

─ミライっー!─

 

それは、かけがえの無い仲間との出会いで。

 

─お前達の戦いは必ず勝たねばならん戦いなんだ!─

 

─教え子たちに逆に教えられてしまったな─

 

─大切なのは、最後まで諦めず、立ち向かうことだ!─

 

─たとえ僅かな希望でも、勝利を信じて戦うことだ!─

 

─信じる心…その心の強さが…不可能を可能にする─

 

─それが…ウルトラマンだ!─

 

兄さん達から多くの事を学んだ。

 

─私は知っている、日比野ミライという青年を!彼は不器用だが、誰より一生懸命で!誰よりも優しく誠実だ!彼は私の、かけがけのない部下だ!─

 

─最後まで諦めず不可能を可能にする、それがウルトラマンだ!─

 

─GUYS!サディーゴーッ!!─

 

─ジー・アイ・ジー!メビウースッ!─

 

あぁ、そうか。

 

持っていたカードから光で出来たメビウスの輪が浮かび上がり、目の前に半透明な姿のカードに描かれていた、彼を形作る。

彼は僕の隣にいるリュウさんを一瞥すると、まっすぐに僕を見つめていた。

 

この記憶は、君の……。

 

心の言葉に、彼が頷く。

そして彼の姿が消えた、それと同時に僕の左手に暖かい感覚があった、メビウスの輪を浮かばせながら僕の左手には彼の持っていたそれがあった。

僕はその熱に、記憶に、覚悟を決めた。

 

「リュウさん、先に避難所に戻って下さい。僕はやらなければならないことがあります」

 

「お前……なに言ってんだよ。あの子のこと、伝えに戻らねぇといけねぇし、何よりお前は……保育士は子どもを守るのが仕事だろうが!早く戻って避難所の子ども達を──」

 

「僕が、ユウマくんや子ども達を、みんなを守りますッ」

 

「ミライ?」

 

「だから、リュウさん。見ていてください……僕達の戦いを!」

 

そう言いながら僕は左手に現れたブレスレット、メビウスブレスの中央の宝玉クリスタルサークルへと右手をかざす。かざしていた手を横へ振るう、メビウスブレスに光と炎が灯った。

僕は左手を上へ掲げながら、彼の……僕の名前を叫んだ。

 

「メビウースッ!」

 

その瞬間、メビウスブレスから浮かび上がるメビウスの輪がその場を眩しくも優しい光で照らす。

リュウは光を片腕を使い防ぐ、そしてその光がゆっくりと収まっていくと、片手を開いて上へと伸ばし、片手は顔の横に構えた銀色の巨人が立っていた。

それは、エンペラ星人の手から地球を守り抜き不死鳥の勇者と呼ばれた、無限の可能性を持つ戦士、ウルトラマンメビウスがこの世界に顕現した。

 

番外編でブルアカコラボについての反応スレ

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